太極拳で高齢者が転びにくくなる

太極拳

早分かり -

  • バランスはスポーツの実績、仕事、転ぶ老人数の低下のために欠かせません。転ぶ老人により国民直接医療費が$310憶(米国の場合)まで上がっています
  • 太極拳は高齢者のバランス、体力、柔軟性を改善することが実証されており、潜在的には毎年転んで入院している800,000人によいインパクトがあるようです
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Dr. Mercolaより

バランスは生活に欠かせない極めて重要な要因です。65歳を超えているか否かに関わらず、心身共に最適な健康のためにはバランスが必要です。残念ながら、多くの人は毎日何時間も座業しており、このため筋肉の発達に支障をきたし、体力やバランスを失うリスクが増えています。

多くのエクササイズ・プログラムは機械を利用してもバランスと調整能力を改善することなく心臓血管を鍛えようとしています。高齢者の場合、バランスが乏しいことから転んだりその結果としての骨折リスクが高くなります。

歩いたり動き、平衡を維持する能力を当然のこととして受け入れることは容易です。しかし、人生のあらゆる物事と同様で、練習しなければ技能レベルはだんだん衰えていきます。階段の上り下り、椅子から立ち上がったり、床から何かをつまみ上げることはすべてバランスが要求される日常生活の活動です。

バランスのトレーニングを成功させるにはこれらの活動によく似ている動作やよく転びやすい活動が要求されます。新たな研究で太極拳の練習に取り組んだ参加者は転ぶリスクが大幅に低下し、バランスが改善しました。

太極拳で転びにくくなる可能性がある

65歳以上の3,800人以上の参加者に関する18件の異なる研究のメタ分析は、太極拳を一週間に少なくとも1回練習した人は太極拳を練習しなかった人より転ぶ確率が20%低いことを発見しました。

研究者らは好例の学習者が太極拳の練習に費やした時間、スタイル、転ぶリスクを個人別に比較しました。その結果太極拳を練習する限り、その分量に関わらず対照群より転ぶリスクが低いことに関連していることがわかりました。練習頻度が週1回から3回に増えるにともない、転ぶリスクの低下率が5%から64%へジャンプしました。

太極拳を練習すると参加者の膝拡張強度、柔軟性、バランスが改善し、転ぶリスクを低下させたものと研究者らは考えました。その研究はメタ分析だったので、以前の研究で使用した変数を計測するにとどまりました。ボストンにあるタフツ医療センターの補完的・統合的医学センター所長Dr.チェンチェン・ワンからその研究の結果についてコメントをちょうだいしました:

「多くの構成要素に含むものは:エクササイズ、呼吸テクニック、身体の意識、フォーカスを絞った注意力、心すること、バランス、機能、視覚化、リラックスです。

これらの構成要素は自身の有効性、心理的機能、抑うつ状態の改善によく、健康によいインパクトがあり、さらに、患者の場合は自信を増すのに役立ち、このためにバランスや調整力を助けて転びにくくなります。」

太極拳の効能

「心身のつながり」は太極拳で体験しうる効能の一部を記述したものです。太極拳は中国発祥でヨガに代わるものとしてしばしば考えられています。

身体をリラックスさせ、筋肉の調子をよくし、バランス、調整力、柔軟性によって心をリフレッシュするように考案された一種の流体エクササイズです。太極拳をしている人を見ると、流体ダンスに似た動作やポーズをしているように見えます。

太極拳の効能の1つは競争性がなく、攻撃性がないこと、はじめるための体力や敏捷性あるいは柔軟性が不要なマイペースのプログラムであることです。参加者は練習を通して体力と柔軟性がついていきます。

その本質的な原理のいくつかを挙げると動作の流体性、呼吸制御、気の集中です。太極拳の練習は心臓血管の健全性、柔軟性、強さをカバーします。

これらの要素の組み合わせで姿勢をよくするのも助けます。よい姿勢はよい太極拳の形の一環です。

姿勢よく座り立ち上がることで背中の下部と上部からストレスを解消し、背中の痛みを軽減し、さらに、緊張や首関連の頭痛に対する潜在性も削減することができます。よい姿勢は胸郭を広げ、呼吸能力をよくし、体幹を強くします。

週三回60分のクラスを6週間と12週間行うペースで行った60~80歳の成人による太極拳の実践は上体と下半身の筋肉強度、バランス、忍耐力、柔軟性の増大と関連することを研究が発見しています。高齢者の身体障害を軽減し、肉体の機能を増強するために太極拳を公衆衛生イニシアチブに含めるよう研究者らは推奨しました。

ピーター・ウェインPh.D.ハーバード大学医学部助教授はパーキンソン病やその他のバランス異常がある患者に及ぼす太極拳の臨床的効果を研究しました。同氏はこう説明しています:

「私たちの作業のフォーカスは心身が効率的に結びついていることが内在している伝統的エクササイズを活用することです。太極拳はバランスと精神的機能の両方に効能があるので、私たちがフォーカスしている一つのエクササイズです。心して行う動作を練習することでパーキンソン病や老化に共通する運動能力障害の一部を補うのを助ける可能性があります。」

New England Journal of Medicineに掲載されたある研究は、太極拳が軽度のパーキンソン病に罹った個人のバランスを改善し、転ばなくさせることを発見しました。太極拳を練習していた人が太極拳を練習しなかった人より転びにくく、疾患に関連する肉体的劣化を遅くすることを研究者らは発見しました。

太極拳を練習する高齢者の精神的改善

参加者が練習を続けるように動機付けた場合、太極拳の実践が高齢者の精神的注意力や執行制御能力を改善しうることも研究が実証しています。

加齢にともなう認知力衰退は増大の一途の公衆衛生の問題です。研究者らの推定によると540万人の高齢者は認知症にならなくても認知力の支障があり、さらに340万人が認知症を被っているそうです。こうした異常を被っている人が増え続けているので、ケア費用は増大の一途です。

しかし、数件の研究による結果は太極拳の実践が高齢者特に現在は大きな問題がない人の執行能力を改善しうることを示しています。その後の研究でも太極拳が話しの内容を記憶する力の改善と関連することを発見しました。認知障害は独立的生活力低下の大きなリスク要因であり、このため、うつ状態になるリスクが高まり、医療費増加につながります。

太極拳の参加者は脳容量も増大しました。この指標は加齢にともなってしばしば低下するのでこのことは重要です。同研究では参加者が太極拳を40週間行い、20週目と40週目に検査したところ、両方のテスト期間改善していることがわかりました。ハーバード医学校によるもう1つの研究もこれよりさらに短期でも同じような成果があることを示しました。

太極拳は精神的バランスを改善し、ストレスも軽減します。高齢者にはしばしばある慢性的肉体的問題はストレス、不安、気分沈着、うつと関連してます。太極拳は血圧や不安を抑えることが発見されています。一部の著者はストレス軽減の効能が特に太極拳によるものか楽しめる活動への参加に伴うものかについては不明でした。

しかしその著者らはメタ分析における太極拳に関係している全ての研究が参加者にプラスの成果があることを実証しました。太極拳の瞑想的な動作は神経細胞の可塑性改善または神経経路の再構成による学習能力改善に関連しています。こうした関連性はストレスを軽減するのを助けることを研究が実証しています。

その他のバランストレーニング

英語のみで利用可能

太極拳はバランス、体力、柔軟性の改善にとても効果がある一方、他の選択肢もあればバランストレーニングに変化をつけるのを助けます。バランススキルの改善を始めるのに人生のどの時期にあっても早すぎることも遅すぎることもありません。いつでも始められます。

バランスはほとんどの競技で欠かせず、記録を改善するのを助けます。以下にバランストレーニングのルーチンに含めるとよいと考えられるその他いくつかのエクササイズを挙げます。

迅速な動作をしない。その代わりに、姿勢と体重を足首に保持することに集中する一方、ゆっくりとよく配慮して動くことです。バランスを取っている間に目を閉じず、初めての場合は安定化のため椅子や壁を支えに利用しましょう。カーペットやフロアにつっかからない底がスムーズな靴を履きましょう。

覚えて頂きたいのは、誰かとレースしたり競争しているのではなく、自分自身の最後のパフォーマンスに向かっていることです。のんびりやって、動作を習得し、安全でいること。バランストレーニング中に平衡を失い転んだ場合、数週間または何か月か前からのさえも進捗を元に戻すことも可能です。

フラミンゴ

フラミンゴが片足でどれほど長時間立っていられるかに気づいたことがありますか? このエクササイズでは壁やしっかりした椅子を使ってバランスを取ると同時に片足で立ち、足首に体重を保持することに集中します。片足で最初は10秒立ち、次に同じ時間もう一方の足で立ち、次は一分立つようにしてだんだん伸ばしていきます。

このためには数週間かかることもあります。重要なことは練習を継続することで、最初から完璧に行う必要はありません。片足で一分立てるようになったら、片手だけで支えて安定のための支持を外し始め、次は指だけで支え、次は指一本だけ、最後に足だけで立つようにしていきます。この進捗には時間と練習が必要なことを覚えてください。

時計回し

このエクササイズは足首とヒップの筋肉を鍛え、バランスをよくします。最初は椅子の右側に立ちます。椅子に左手を乗せ、右脚を床から上げます。自分が時計の中心であるつもりになり、右手を頭上に真直ぐ伸ばして12時の位置にします。

次に肩の高さまたは3時の位置にし、次に体の脇まで降ろして6時の位置にします。次に椅子の反対側に移り、右手を椅子に乗せ、左脚を上げます。強くなるにつれて首に約435gの重りを付けることもできるでしょう。

足ずらし

このエクササイズはバランスをよくし、体重を足首に配分して保持する方法を認識するのを助けます。両足を揃えて立ち、手は体の脇に着けます。バランスを取るのに必要なら傍に椅子を置きます。右脚を足一つ分前に真直ぐ出し、体重は中心に維持してバランスを維持します。そのまま15秒維持し、最初の位置に戻ります。左足も同様にします。

行進バンド

このエクササイズは動作中のバランスを改善するのを助けます。最初の位置では両足を肩幅に開き、両腕は体の脇に降ろします。片膝を快適に感じる範囲で高く上げ、最初の位置に戻します。反対の脚も同様にします。前進せずにその場で行進します。

小幅歩き

最初に真っすぐ立ち、両足を肩幅にして立ちます。右足を左足の前にして、右踵が左のつま先に着くようにします。左脚で一歩真っすぐ前に進み、前に来た足のかかとを直接後ろになった足のつま先の前に降ろします。

一歩上げてまたぐ

このエクササイズは床に数個の柔らかい物を置いて行う一連のエクササイズです。これを試す前に、転んだときのために誰かにいてもらい、最初の5回を問題なく簡単にこなせるようにしてください。

床に3個の柔らかい物を30~40cm程度の間隔で直線に置きます。一つの物の頭に両足を肩幅に開いて立ちます。その物をまたいで両足を床に一緒に着けます。反対の足から進め、次の物をまたぎ、両足を床に一緒に着けます。最後の物をまたぐまでこれを反復します。

これを問題なくできるようになったら、物の間へ立つ位置を変えて、床に両足を一緒に着けずに物をまたぎ続けるようにして課題レベルを上げていきます。床に同じ物を3個置いて、物の周りを8の字形に歩くのを10回繰り返します。

着座姿勢トレーニング

このエクササイズは身体を正しい姿勢に支持するための体幹筋肉を鍛え、転ぶリスクを減らせます。適切なサイズのスイスボールに座り、背中下部に中立的な湾曲を維持しつつ、おへそをそっと引っこめ、よい姿勢で座ったままでいます。

このエクササイズの自信がつくにつれて、片足を床から上げ、重心をずらせ、必要なバランスの量を増やします。この一つのエクササイズだけでも姿勢、バランス、自信がよくなるはずです。結局、ボールによい姿勢で一分座り続け、両足が床に着かないようにしていられるようになります。