Dr. Mercolaより
耐久エクササイズトレーニング、一般的にはウェートトレーニングや筋力トレーニングとも呼ばれますが、筋肉をつけることを目指す運動とよく見なされています。
これは確かに筋肉の質量と強度をつけますが、効能はそれだけではなく、筋力トレーニングは心臓から脳まで全身にメリットがあります。JAMA Psychiatryに近年掲載されたある研究によると、エクササイズは気分にもよく作用し、うつ病の症状を和らげるようです。
約2,000人を対象にした33件の検査についてのあるメタ分析によると、筋力トレーニングがうつの症状を大幅に軽減し、このことは参加者の健康状態、体力の改善や筋力トレーニングの量に関わりなく当てはまることがわかりました。
アイルランドのリメリック大学体育学・スポーツ科学部修士コースの研究者でその研究の主任執筆者ブレット・ゴードン氏によると、最も改善したのは、軽度から中度のうつ病症状がある人がエクササイズを行った場合であり、これはうつではない人より効果がありました。つまり筋力トレーニングはうつの症状が重い人にもっともよい効果があるようです。
筋力トレーニングではうつ病を完全に治すことはできませんが、うつの症状や抗うつ剤、行動療法をよくするようであると、ゴードン氏がTime紙へのメールの中で述べています。
様々な筋力トレーニングプログラムにおいてその効果があることが判明したので、ゴードン氏は一週間に二日の筋力トレーニングを勧め、その内容は8~10回の筋力トレーニングエクアドルを12回反復して精神衛生をよくするというもので、この内容はアメリカンスポーツ医学大学の推奨しているガイドラインに相当します。
18~64歳の成人を対象とした世界保健機関(WHO)の肉体活動ガイドラインも毎週少なくとも二日の筋力エクササイズを勧めています。
脳卒中の生存者に関する研究を含むある過去の研究も筋力トレーニングの心理学的効果に光を当て、筋力改善がうつの重度軽減と関連していることを実証しました。さらにもう一つのレビューが成人の筋力トレーニングが成人の精神衛生に印象的な効能があることを発見しました。これには次のようなメリットが挙がっています:
さらに、うつ状態の高齢者に関するある研究では筋力トレーニングを10週間行った後、80%の人でうつの症状が大幅に軽減されたことから、「PRT [進行筋力トレ―ニング]はうつ状態の高齢者のために効果的な抗うつ効果があり、さらに体力、士気、生活の質も改善した」という結論に研究者らは至りました。」
うつ病の高齢者に関する別の研究でも高強度筋力トレーニングを週に3日8週間行ったら、うつの症状が50%軽減し、さらに他の研究は筋力トレーニングエクササイズがヒスパニック/ラテン系高齢者のうつの症状も改善することを示しました(忍耐力、平衡感覚、柔軟性エクササイズも気分にプラスの効果があった)。
本稿で取り上げたJAMA Psychiatryに掲載された記事は筋力トレーニングと有酸素エクササイズがうつ病に対して効果があることを示しています。
ではこうした活動が脳や気分のためにそれほどよい力理由に関しては、脳への血流増加またはエンドルフィン、ノレピネフリン、ドーパミン等気分をよくする化学物質の放出によりストレスの影響を一部緩衝してくれることに関連しているのかもしれません。
あるいはエクササイズすると生活の質の向上や一貫性の感覚 - 研究参加者の生活がいかに意味あり管理可能なものかという実感を得られるからかもしれません。
うつ状態にあるとうつではない人より生活の質の劣化や一貫性不足の感覚を持つ傾向があり、これらの尺度は研究参加者が一週間に2回の忍耐トレーニングに3か月参加した後は改善しました。
エクササイズによってGABA神経伝達物質を放出する新たなニューロンも生成され、これが過度なニューロンの反応を阻止するので、自然な静穏さの誘因にもなります。これは抗不安薬の効能と同じ効果ですが、違う点はエクササイズによる気分増進効果は運動直後にも長期的にも継続して起きることです。
さらに、エクササイズ中とその後にアナンダミド濃度が増えることが知られています。アナンダミドは神経伝達物質であり、脳内で生成される内在性カンナビノイドです。これが一時的に痛みやうつ病の感覚を阻止します。筋力トレーニングは睡眠の質も改善しますが、これは不眠症がうつにつながるリスクを倍増させることから、重要な要因です。
そのほか脳由来の神経栄養因子(BDNF)というたんぱく質が存在し、その濃度はうつ病の人では重篤に低い傾向があります。エクササイズは最初にFNDC5と呼ばれる蛋白質の生産を刺激します。次にBDNFの生産を引き起こします。
BDNFは脳内で既存の脳細胞を維持し、脳幹細胞を活性化して新しいニューロンに転換させ、脳を効果的に大きく育てるものです。しかし、肉体活動とうつ病及びBDNFの間には強い連関が存在することが研究からわかっています。
筋力トレーニングすれば気分がきっとよくなりますが、このトレーニングは精神衛生によい肉体活動の1つでしかありません。最適なのは、高強度インターバルトレーニング、筋力トレーニング、さらにヨガやストレッチ等の柔軟運動を含め様々なタイプのエクササイズを取り入れることが必要です。
幸いにも、これらのそれぞれには心身に対して固有の効能があります。たとえ一週間に1時間等ごくわずかなエクササイズでさえ、うつ病と闘うのに十分な人も存在します。
ある大規模研究が研究開始時に精神的異常の症状がない健常な成人約34,000人に参加してもらいました。
その参加者らを11年にわたって追跡調査し、その間に一週間に1時間定期的に余暇時間のエクササイズをしていた人はうつ状態になりにくいことが判明しました。その反面、運動しなかった人は一週間に1~2時間でも運動した人より44%余計にうつ鬱状態になりやすかったのです。
「この保護的効果の大半は運動量が低いときに発生しており、強度に関わりなく観察された」として、研究者らはさらに、「うつ病の再発症例の12%は全ての参加者が毎週1時間でも肉体的運動を行っていたら発症しなかったはずだ」と報告しています。」
さらに、2013年にCochrane Database of Systematic Reviewsに掲載されたあるメタ分析は、エクササイズは対照群より若干は効果があることを発見しており、ここで場合によっては対照群にうつ病症状の軽減用薬剤を使用していました。
American Journal of Preventive Medicineに掲載された別の研究が、「公衆衛生の推奨に従う分量の」有酸素エクササイズが軽度から中度のうつ病を効果的に処置できることを発見しました。
心身エクササイズに関していうと、イェンガーヨガは深呼吸を組み合わせて詳細かつ精確な姿勢の調和に焦点を当てるもので、薬剤を服用していない患者や3カ月以上薬剤を投与されてきた患者の鬱病症状を軽減します。
結局のところ、ほぼすべてのタイプの肉体活動は気分をよくするためによく、うつ病を治しやすくさえするようです。現在座っていることが多い方は、普段行う決まりきったことの中に少し活動を取り入れだけでも、精神的に快適になることを実感できるはずで、活動量をだんだんと増やしていくことができます。
筋力トレーニングに関する限り、有酸素エクササイズより注目されない傾向がありますが、これも最適な健康のためにはより優れていなくても同じ程度の効能がありますのでご安心ください。
異なるタイプのエクササイズを利用して死亡率を比較したある大規模研究で、筋力トレーニングを取り入れた人は全死因による死亡率が23%減少し、がん関連の死亡率は31%減少することを発見しました。
さらに、自宅やどんなときでも行える簡単な自重エクササイズが重量器具を使ってジムで行うのと同じように健康への効能があることも実証されています。すなわちほぼ誰でも筋力トレーニングの効能を享受することができ、しかもジム会員や特殊機器も不要です。
単に大部分のアメリカ人は十分な筋力トレーニングエクササイズをしていないか全くしていません。その一方、BCBSという健康保険会社のレポートによると2013年以来うつ病は33%と顕著に増加しています。しかしこの発生率は20代や思春期男子では47%、思春期女子では驚くべき65%も急増しました。
筋力トレーニングは簡単でしやすい副作用がない対策になり、うつ病率を下げ、無数の人の生活の質をよくします。
筋力トレーニングについて素晴らしい点の一つには、簡単なエクササイズを自宅で自重を使ってするだけでも筋力強化プログラムの効能を享受するために足ります。登山家、全身エクササイズ(バーピー)や無数の種類がある腕立て伏せやプルアップ、スクワットは行いうるなかでも最もきつい自重エクササイズですが、これを一日のうちの最も多忙な時でさえ取り入れることは可能です。
肉体的運動は「運動」そのものばかりではなく、多くの運動以外の日常動作も含めることが重要です。これには(寝ていないときは)もっと動くように心がけることが挙げられます。
エクササイズ以外の動作は最適な心身の健康の基本的要素であり — おそらく特定の規則に従うフィットネスルーチンよりさらに重要ですが、最適なのは両方とも行うことです。筋力トレーニングが初めての方は多くの方法から選んで行うことができます。
以下にお試しになれそうないくつかの例を挙げます。より多くのバラエティーを試すほど、飽きが来ないでしょう(しかも運動が包括的になるほどこれがいえます)。
しかし、うつ病で苦しんでいる場合は一貫して行うことが大切です。誰か心の支えになり継続できるための相棒を見つけるかパーソナルトレーナーとともにエクササイズして動機付けして、同時に自分でやりたいと思う筋力トレーニングの正しい形とテクニックを習うのがよいでしょう。
自重エクササイズ
腕立て伏せ、プランク、スクワットを含む自重エクササイズは便利で、特別な機器、場所、スケジュールも必要ありません
ハンドウェート
ハンドウェートは高価ではなく持ち運びが便利で、TVを視ながらや他の座って行う活動をしている間にバイセップカールやトライセッププレスを数セット行うためにも活用できます
ケトルベル
ケトルベルなら従来のウェートではできない弾道動作やスウィングモーションができます。臀筋、ヒップ、脚を鍛えたり、腕や背中、肩、手首の安定性や強度をつけるのに役立ちます
メディシンボール (エクササイズボール)
メディシンボールにはサイズと重量が各種あり投げ、捕らえる、上げる、振り回す動作が可能で、このため異なる筋肉群を多く使うのでよいです
フィットネスセンターやジムの筋力マシン
フィットネスセンターやジムに通える方は品質のよい筋力用器具を試せば各動作の力学に対して心をそのときの取り組みに集中させることができるでしょう
ロープクライミングやロックウォールクライミング
クライミングは何千年もの間戦闘フィットネスや軍事訓練では定番のエクササイズですが、これは腹筋、腕、背中、手、肩を鍛え、敏捷性が増し、調整能力をつけるのに役立ちます
フィットネスセンターやジムでの筋力教室
フィットネスセンターやジムではBOSUボール、フォルツァ、ピラテス、スマートベル、アーバンリバウンディング、水利用エクササイズ、ヨガ等各種の筋力トレーニング教室を提供しており、何種類か試して自分に合うエクササイズを見つけてください
筋力トレーニングが健康と長生きの秘けつ
うつがどのように脳に影響を与えるか
食事内容の偏り、日光浴の不足および精神的な不足要素- 抑うつと不安を悪化させる3つの要因
うつ病は過去5年で33%急増した
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