淋病はもう治りません

淋病

早分かり -

  • 淋病は利用可能な薬剤処置では効かなくなってきました。現在2種類の抗生物質セフトリアキソンとアジトロマイシンで行う複合処置が推奨されています
  • イギリスではセフトリアキソンとアジトロマイシンが効かない淋病の初症例が報告されています
  • その男性は2018年初めに診断を受け、今年3月に東南アジアである人との性行為から感染したものと考えられています
  • その患者はエルタペネム(セフトリアキソンと関連する薬)という抗生物質の点滴を受けました。この感染症に新たな処置が効いているようですが、当局が実際に効いたのかを見極めるために患者を再検査中です
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Dr. Mercolaより

淋病は毎年世界で7800万人が感染している性病 (STD)です。

バクテリアNeisseria gonorrhoeaeが引き起こす淋病は性的接触、出産中の母子感染により移ります。この細菌感染病は過去は抗生物質で容易に治せましたが、淋病は利用可能な薬にますます抵抗力がついてきました。

現在では緊急の公衆衛生上の課題になりました。世界保健機関(WHO)のヒト生殖医療担当官Dr.テオドラ・ウィー氏によると「淋病を引き起こす細菌は特に賢いです。

新種の抗生物質を使ってこの病気を治そうとすると細菌は抵抗力をつける。」そうです。抗生物質耐性淋病は私が1970年代に医療学校に通っていた頃に初めて出現しました。

1980年代までに抗生物質ペニシリンとテトラシクリンではもはや効かなくなっていました。その後、フルオロキノロン抗生物質耐性がある淋病が出現し、セファロスポリン系の抗生物質しか治療に使えなくなりました。さて、すでに見当がつくでしょうが、淋病がセファロスポリン系 — 最後に残った淋病対策の抗生物質にも耐性がつきはじめています。

超耐性淋病の初症例が報告された

2013年に米国の疾病管理予防センター(CDC)は淋病症例の約1/3はすでにくなくとも一つの抗生物質に耐性があると推定していました。

その頃同センターは抗生物質セフトリアキソンを第二の抗生物質と合わせて投与するように処置ガイドラインを更新しました。2018年にCDCはいまだに淋病処置にこの二重処方を勧めていますが、その内容は250mgの筋肉内セフトリアキソンと1gの経口アジトロマイシンを投与します。

この二本立て処置は耐性率が2011年の1.4%から2013年の0.4%まで下がり、当初効能があるように見えました。しかしJAMAに掲載されたCDCのデータによると「薬剤は短い間しか効かない」ことが示されています。」

その後、イギリスではセフトリアキソンとアジトロマイシンが効かない淋病の初症例が報告されています。その男性は2018年初めに診断を受け、三月に東南アジアである人との性行為から感染したものと考えられています。

イギリス厚生省(PHE)の性病部コンサルタント科学者・部長のグウェンダ・ヒューズ氏はある声明の中で、「この感染症は推奨されている第一線の処置に対し極めて耐性があります。この初症例は薬剤が両方とも効かず、さらによく使われるその他の抗生物質への耐性があることを示すものです。」

その患者はセフトリアキソン系のエルタペネムと呼ばれる抗生物質の点滴を受けました。新たな療法はこの患者に効いているように見えますが、当局の役人は4月にその効き目を再検査しました。

ヒューズ氏は「この症例をフォローアップ中であり、感染はエルタペネムで効果的に治り、その後の伝染リスクはほぼなくなった,」そうです。

淋病の健康上のリスクは何?

淋病はよく症状が出ないこともありますが、排尿中の焼けつくような感覚または痛み、ペニスから白や緑、黄色い排液、膣からの排液増加、睾丸の痛みや腫れ、月経以外の時期の膣出血につながることもあります。

淋病が直腸に感染すると排液、痒み、痛み、出血、腸の動くときの痛みにつながります。

処置しないままにしておく(または治療しても効かないために病気が進行する)と、淋病は女性の場合骨盤感染症(PID)に至り、これが次のような害を発生します:

  • 卵管組織の損傷
  • 異所性妊娠
  • 不妊症
  • 慢性骨盤通や腹腔痛

男性の場合、淋病は睾丸に付属する管の痛みにつながり、これが不妊症にもつながります。さらに、淋病が血流や関節に拡大すると、死ぬこともあり、HIV感染リスクも高まります。

妊娠中で淋病が分娩中に子供に感染すると視力喪失、関節感染、生命を脅かす血液感染につながります。

薬剤耐性淋病が増加している

2013~2014年の間に抗生物質耐性淋病の奨励は倍増しており、0.8%になりました。WHOの認識では、薬剤耐性淋病は「緊急事態」 であり、オーストラリア、フランス、ノルウェー、スウェーデン、イギリスを含む数カ国で感染が拡大しています。

さらに、WHOによるある77カ国についての研究ではシプロフロキサシン耐性が薬剤耐性菌種を報告した国のうち97%に拡大し、アジトロマイシン耐性が増大しており、これらの国の81%がその耐性を報告しています。

さらに、世界の66%の国では基質特異性拡張型セファロスポリン(ESCs)、経口セフィキサイムや注入式セフトリアキソンという現在残された最後の手段にも耐性のある淋病の菌種が報告されています。

WHOによると、「現在ほとんどの国で、ESCsは淋病処置に効く最後に残された抗生物質である。セフィキサイム — また稀にセフトリアキソン — への耐性が50カ国以上で報告された。」

さらに、WHOのウィー氏によると、「これらの症例は淋病が実際に頻繁に発生する低所得国では診断や不治の感染症報告システムがないことから氷山の一角でしかない」そうです。」

この問題をさらに深刻化する事実は、薬剤耐性淋病の処置用薬剤開発がほとんど行われていないことです。たったの3種類の新薬しか開発されていません。WHOのウィー氏がさらに説明してくれました:

「新しい抗生物質の開発は民間製薬会社にはあまりおいしいビジネスではないのです。(慢性病の薬剤とは異なり)処置は短期間しか行われず、耐性が出始めるので効果が劣っていき、新薬供給を継続的に行う必要があるからです。」

性病として淋病は淋病のない相手と相互に一夫一婦の関係のみ持つのをはじめコンドームを使用する等安全な性行為によって予防できます。

「淋病を最初から罹病しないようにしたり移さないようにするほうがよく、誰でも新しいまたは一過性の相手とはコンドームを常に正しく使えばこのリスクを大幅に低下させられます,」と、PHEのヒューズ氏は説明しています。

しかし、世界的な抗生物質耐性疾患を低下させるのははるかに困難な取り組みです。

多くの種類の抗生物質耐性疾患が増え続ける

毎年世界で抗生物質耐性スーパー細菌に200万人以上が感染し、23,000人が死亡しています。細菌は本質的に抗生物質等の処置に適合するような回路があり、あらゆる抗生物質に耐性ができる頃にはかつては容易に処置できた感染病は間違いなくさらに猛威を振るって再発します。

至るところで農業が抗生物質を使用しており農業が抗生物質消費の80%ほどを占めることからして重要な役割を果たしています。特にCAFO (高密度家畜飼養経営体)は低用量の抗生物質を家畜試料に入れて継続的に使用するので、病原菌が生き残り、適合して結局は繁栄することになり、抗生物質耐性細菌の温床です。

欧州疾病管理予防センター(ECDC)は抗生物質耐性は世界的な公衆衛生に対する大きな脅威であり、この人工疫病の主な原因は抗生物質がどこでも濫用されていることです。

2000~2015年の間に人間が消費する抗生物質は65%増加し、毎年420億用量に当たると、米国科学アカデミー紀要に掲載されたある研究が報告しています。

この増加は中低所得国主導であり、政策が変更されない限り、世界の抗生物質消費量は2030,年までに最大200%増加し問題を悪化すると推定されます。

世界では毎年700,000人が抗生物質耐性疾患で死んでおり、2050年までにがんより多い人が影響を受けると推定されています。

CDCが緊急の脅威として分類した薬剤耐性淋病以外にも、最も緊急な抗生物質耐性がある健康への脅威はカルバペネム系抗生物質に耐性を持つカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)です。

薬剤耐性クロストリジウム-ディフィシル(C. difficile)は生命を脅かす下痢を起こすもう一つの緊急な脅威です。C.ディフィシルは現在米国で毎年50万人ほどが感染しており、そのうち15,000の死亡症例があります。

薬剤耐性疾患の予防方法

免疫力が強いほど — 抗生物質耐性菌であるかないかを問わず — 微生物は体内のどの部位にも巣くうリスクがなくなります。

以下に免疫系を強くするための基本戦略を挙げます。さらに、すでにわかっているとおり、抗生物質がおそらく効かない時代が到来しているさ中、抗生物質がCAFOにより無謀に過剰使用されていることに対して声を上げ、こうした問題を悪化させていない農場を支持することが重要です。

食生活の最適化。合成トランス脂肪、揚げ物、加工食品、砂糖、穀類等免疫系に負荷が掛かる食品を避ける。正味炭水化物の量(糖分、穀類、果糖)、タンパク質を減らし、高品質の脂肪で置き換える。

食事は大部分を有機野菜や草で放し飼いにして肉や乳製品等新鮮な自然食品、生の草で育てたバターや草で放し飼いにして飼育した家畜から取れる発酵乳製品、チーズ、卵黄、アボカド等から得られる健康な脂肪を食べる。免疫系の大部分は消化管に存在しており、これは健康なバランスのとれた腸内細菌叢に依存しています。

腸内細菌叢を支持する最適な方法の一つは自然発酵食品を食事に取り入れ一日に113~170g取ることです。100g程度の発酵食品を一回たっぷりいただくだけでも約10兆個の有益な細菌を得られ、これは腸内細菌叢の約10%に相当します。高品質のプロバイオティクサプリメントを摂ることもできますが、本物の発酵食品のほうが最適な効果を得られます。

定期的に運動しましょう。運動すると血液内の免疫細胞の循環をよくします。これらの細胞がよく循環するほど、免疫系はよりよく体内の病原菌を見つけて退治してくれるようになります。フィットネス計画にウェートトレーニング、高強度インターバルトレーニング、ストレッチ、体幹運動を必ず取り合わせ、毎日くまなく動き回ることです(一日に座っている時間を3時間未満にするよう取り組む等)。

元気を回復できる睡眠をたっぷりとりましょう睡眠不足は肉体的ストレスや病気と同じ悪影響を免疫系に及ぼし、 寝ずの夜明けに気分がさえないのはこのためです。

ストレス解消できるよいはけ口を持つ。ストレスホルモンが上がると免疫力が下がるので、何らかのストレス管理を行うように取り組んでください。瞑想、祈り、ヨガ、感情解放テクニック(EFT)はストレス管理にとても役立つ戦略ですが、個人別に最適な方法をご自分で見つけてください。

ビタミンDレベルを最適化してくださいビタミンD不足がMRSAその他の感染症リスクを増加させることを研究が実証しています。ビタミンDの最適な取得源は皮膚を日光に当てることです。

ビタミンD濃度を追跡し、治療効果がある範囲60-80 ng/mlであることを確認してください。毎日日光に当たれない場合は、ビタミンD3サプリメントを検討してください。ただし、ビタミンDをたくさん摂るなら、カルシウム、マグネシウム、ビタミンK2も増やして正しくバランスを取ることをお忘れなく。