Dr. Mercolaより
あなたは座っていることが多いですか? 特に学生、座業の方や長時間通勤の方にとって、最大10時間まで座っているこの習慣は正常であり日常生活の基幹的部分を占めていると考えられています。
しかしこの座るということ自体が身体に何らよいことがなく、むしろ体重過剰や肥満、慢性病、果ては早死にに寄与していることがすでに明らかになっています。
スタンフォード大学の行動科学部門、オランダのライデン大学の神経内分泌学部門で働く研究者のダン・パルディ氏がケリーとジュリエット・スターレット夫妻にインタビューしました。
ケリーさんは物理療法のPh.D.で、「Deskbound: Standing Up to a Sitting World(座業に拘束:座業の世界に対して立ちあがれ)」の著者です。同氏はCrossFit運動のリーダーの一人でジム内外での適正な身体の動きが大切なことについて強調します。
同氏の最初の著作「Becoming a Supple Leopard」(しなやかなヒョウになる)は負傷リスクを増大する可能性を秘めている生体力学的不備について論じています。ジュリエットさんは元競技選手で、CrossFitの権威であり、Mobility WODというヘルシーな動作についてのウェブサイトの発起人の一人です。
要するにこのご夫妻は体の動きに関して、それにより健康になるか健康を悪くするかについての真のエキスパートです。しかし最新のベンチャーStandUpKids.orgはお二人が両親としては初の成果物であり、子供の健康をよくするのを助けようとしています。
袋競争は多くの学校の運動の日では最も競技的イベントのひとつであり、子供たちは黄麻布の大袋に入ったままゴールまで飛び跳ねる競走です。
袋競争の運動の日にお嬢さんのためにボランティアで手伝ったご夫妻は子供たちがそのイベントでつらい思いをしているのを見て「本当に不快な思い」をしたそうです。ジュリエットが次のようにいっています:
「子供たちは肉体的に袋に入ることからして問題があり、ジャンプがひどかったのです。袋に入ったまま簡単なジャンプをしながら転び、子供たちは黄麻布の大袋に入って運動場をジャンプして進むスキルすらないのです。
私は物理療法士ではありませんけれども、自分のアマチュアの目にも子供たちがまったく困難に陥っているのがわかりました。私たちは子供たちが常に90°の姿勢で座ることにはまり、動けなかったのだという結論に達しました。」
ケリーがさらに詳しく説明していました:子供の半分は走り方が根本的に変化し、つま先で蹴らず、踵で蹴るようになっていました。これは一年生のほぼ中間つまり終日学校でデスクに座らされている影響が出始める時期から生じていました。
「幼い子供、幼稚園児、一年生を見ると踵では蹴っていません。何を履いているかに関わらず、裸足でもどんな種類のシューズでも、同じように走ります。
一年生の中間時期に文字通りこの年代の人口には分化が発生し、子供の半数は踵蹴りを始めます。すなわち、基本的運動パターンを根本的に変えています。
見回してみると、『基本動作パターンがなぜ変わったのか』と問わざるをえません。
唯一の原因として見当がつくことは座ることしかありません。ある時点には子供の身体が緩衝できなくなる座っている姿勢から受ける負荷のために組織が適合し始め、ヒップの前面で脚を曲げ前を向いているままで、ふくらはぎが収縮している姿勢で過ごすので、子供たちは基本的な走るメカニクスを変えざるを得なくなります。」
怪我した子供はいませんでしたが、スターレット夫妻は子供たちが座り過ぎているために機能性が低下したものととらえました。ご夫妻によるとこれが座ることと立つことの問題というより動作と不動の問題といったほうがよいと指摘されています。
座ることは着座行動で、立つことはこれとは全く異なります。お二人は校長に歩み寄り、スタンドデスクを四年生の教室に導入することに成功しました。
今日までに、お二人のNPO法人が発展して、35,000人の生徒はスタンドデスクを教室で使用しています。
動いたりそわそわできることが学校でより学習しやすくなること、仕事では能率が上がることと関連しているので、この変化の性質が肉体的なものであるだけではありません。「ADHDをずっと研究している人ならだれでも動作と認知の相関性を把握しています。
「認知に係る脳細胞を運動細胞から分離することは間違っており、座っていない人のほうが取り組み、能率、テストの点、行動障害かに関わらず、全てのメトリクスを計測すると軽減されるかよくなっています。座ったままの動作は文字通り人間の機能の灯のスイッチをオフにし、悪化させます。」
パルディさんも筋肉活動が脳を機敏に保つ刺激として機能することを指摘しました。座って筋肉を使わないでいると頭の回転も鈍くなります。スタレット夫妻はいくつかの印象的な統計データを示しました。例えば、あるコールセンターでは従業員が立つワークステーションに(しかも一日に1.5時間だけ立つ)切り替えたら売上高が6か月間で$4000万増加しました。
Journal of Science and Medicine in Sportに掲載されたある研究は、小学一年生の男子生徒について、肉体的動作が少なく座る時間が長いと読解力が劣ることを発見しました。
椅子を諦めることを考えるのは無理だと感じるでしょうが、これは二者択一の問題ではありません。座らないということに意識を向けるより、もっと動くににはどうすればいいかと考えるほうがよいです。例えばスタンドデスクを使用している教室では生徒が疲れたら床に座れます。
床に座ることさえ椅子に座るより有利で、あぐらをかいて座る余地ができるので柔軟性や動作範囲が広がります。
さらに、この選択ができること、つまり立ちたければ立つ、座りたければ座ること自体が重要です。これは子供たちは自分の体がいかに感じているかに注意を向けられ、それに応じて反応することを身に着けられるからです(成人は改めて再習得する)。ケリーさんがパルディさんに次のように言いました:
「私たちが試していることとは子供が疲れたら座ればいいという意識と注意をはぐくむことです。教室にはスツール(背もたれと肘掛けのない簡単な椅子)もあり、子供が気分が悪いとか怪我したときこれにもたれかかれるようになっています。私たちが行ったことは子供は選択肢を得て、自分の体内で生じていることに耳を傾けることが認められこと、つまりこれは体育の一環です。
人々に行っていただきたいことは、動ける環境にいれば動きのオプションが持て、へたり込むときに今より多くの動く選択肢が得られます。」
立つだけでも着座モードから解放されるのでよいことを念頭に置いてください。また、立っているときは、少なくとも長時間は直立不動でいることは普通はありえません。立っていると体を延ばしたり、寄りかかったり、曲げる、さらにペースを取る可能性が高いです。足乗せステップつまり足台から足を外したりまた乗せる動作も可能です。
このことは多くのアメリカ人の生活で欠如している活動であり、日々の活動のためにためになるこれだけでも行うべき動作です。席を捨てて、立つようにするとほぼ常時動けるようになります。
一日に8~10時間の着座が当たり前になっている場合、スタンドデスクに一日で切り替える必要ありません。ジュリエットによると:
「20年間座ってきたとすると、スタンドデスクに突如切り替えてオフィスで一日12時間座るのを止め、 9時間立つことにできると考えられがちですが、これはたいしたメリットを生みません。段階的に行うように勧めています。」
スターレット夫妻は立ち座り椅子を使って座る時間を20~30分にして、スタンドデスクで段々と立っている時間を長くすることを勧めています。また、お使いのスタンドデスクが自分の身長に合う高さであるようにし、ステップ台等片足を乗せるものがあると多くの方には快適になるでしょう。
スタンドデスクのない方は、普通のデスクに自分で工夫を凝らすことはできます。コンピュータを箱に乗せるかゴミ箱を逆さまに置いて台にする方法が考えられます。立作業は無理な場合、20分おきに立上り、2分歩くだけでも多くの同様な効果が得られます。
スターレットご夫妻の推奨する「スキルを使って座る」ことで座る時間への対策を取ってください。そのお勧めは、着座に使う骨が当たるように座り、両脚を使い、椅子に座ったままで前方を見るような姿勢を取るようにします。初めて立作業にする場合は、一日を座業時間と立作業時間に分割するとよいです。座るべき時間に心配せず、むしろ「無駄な着座」時間を記録して、これを下げていくように試みてください。
現状では平均的生徒は学校で一日に4.5時間座り、さらに7時間を画面の前で過ごします。通学時間、自宅で学習して食事時間も合わせると子供たちは起きている時間の85%を座って過ごしています。
ケリーのイニチアチブ「スタンドアップキッズ」は多くの企業と提携し、フィジェットバー付きスタンドデスクを設置して、約35,000人の子供たちに学校でもっと動くという必須の機会を提供しています。
カリフォルニア大学バークレー校と地元の郡の公衆衛生局と提携してさらに研究を深めようとしました。子供たちを慢性的機能障害から救う望みがあるなら、全国的に山火事のように広がる必要があるほど重要なことです。
子供を終日「立たせる」ことに懸念を持つ人もいますが、実はそれ自体に問題がある長時間じっと立つことではなく、健康的動作ができる豊富な選択肢のある動作が可能な環境を生み出すことを意味しています。子供たちは必要ならスツールも使用できるのですが、先生たちはほとんど使われていないと言っています。
同ご夫妻のミッションは全米の公立学校にスタンドデスクを導入することです。北カリフォルニアにあるヴァジェシト(Vallecito)小学校では世界初の全校生徒がすでにスタンドデスクを使用しています。
2016年にケリーさんの初の著作「Deskbound: Standing Up to a Sitting World」に関してインタビューしましたが、それをもとにほとんどの人がこの本で得るものがあると私は信じています。私個人の見解ですが、この本は真にそうだったのかと確信させてくれる著作で、私も自分の動作上の課題を解消するのに役立ちました。
立つことは健康を根底的によくできる簡単な方法です。あなたが納得できないなら、ケリーさんが、喫煙者のオフィスワーカーは30分おきに立上り、外へ吸いに出るというだけのことで、たばこを吸わない人より健康なことを発見したある研究を取り上げて説明してくれました。
「その活動だけでも人体機能と健康に大きな変化を生むために十分だったのです」と、同氏は言っています。ケリーさんのユーチューブチャネルMobilityWOD(Workout of the Dayの略)にさらに詳しい説明があります。
同氏が示唆している方法はパワフルなだけではなく、たいていコストがかからず安価にできます。これなら長時間座ることによる慢性病や整形学的問題を予防できます。整形学的問題の例:
首の障害
顎関節機能障害(TMJD)
手根管症候群
膝の問題
下肢末端の障害
肩の機能障害
横隔膜の機能低下
背中下部の痛み
ヘルニア
骨盤底機能障害
臀部機能障害
これらの問題は成人ばかりではなく子供にも起きることを念頭に置いてください。多くの子供たちは着座により多くの動作障害を被っており、これに対処しないでいると、怪我のリスクが高まり、長期的運動及び動作能力を弱くします。
こうした問題は部分的には動く機会を増やすことによって解決できますが、まず問題が発生したかどうかを検出することです。
StandUp Kidsからの下記ビデオリンクが、座り過ぎ等着座行動によって容易にダメージを受ける姿勢を使って子供の一連の動作をテストする方法を見せています。
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