妊娠中に最適な食品

妊娠中の食事

早分かり -

  • 妊娠中または家族計画中の場合、野菜や健康的な脂肪、高品質なたんぱく源を増やし加工食品を止めましょう
  • ビタミンDは健康的な妊娠のために必須であり、最適な濃度があれば子供のアレルギー、糖尿病、心臓病その他の異常が起きるリスクを軽減します
  • 受精前までの父親の食事特に葉酸を豊富に摂るかどうかは出生時異常のリスク要因です
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Dr. Mercolaより

食品やサプリメントから摂る栄養が母体の維持と急速に成長する胎児への栄養供給と支持のために欠かせない妊娠中(や授乳期)ほど女性が栄養面でより多くの需要を持つ時期はほとんどありません。

胎児の発育全段階(受精以前も含む)において適正な栄養は必須であり、母親が正しく食べないと胎児も正しく栄養を摂ることができなくなります。

妊娠中の最適な食品10種類

ビタミンD

ビタミンDは食品ではありませんが日光に当たると身体の中で作られる栄養素です。しかし極めて重要な要素なのでこのトップ10のナンバー1に掲げるだけの価値があります。

妊娠中ビタミンD濃度を増やすことは必須です。これが不足すると妊娠中や分娩中の合併症リスクを高めるだけではなく、子供の健康に短期的にも長期的にも多くの悪影響がでてきます。

妊娠中のビタミンD不足には子供の一生に係る影響があることを研究がすでに実証しています。これには子供の頃のアレルギーから喘息、風邪やインフルエンザ、虫歯、糖尿病、さらに人生後期になってからの脳卒中や心臓血管病に及びます。

ビタミンDが豊富なら子癇前症、妊娠糖尿病、出産前感染症のリスクがおよそ50%下がります。ビタミンDスクリーニングは重要であり、これによってしか欠乏状態かどうかを判断できません。定期検査でこの濃度を測り、ビタミンDの臨床的に効果がありうる濃度まで十分確実に摂取するために欠かせません。

適度な日光に当たることによるビタミンDの最適化がもっともよいのですが、その機会がほぼない場合はDr. ブルース・ホリスの研究が女性の50%はビタミンD3を妊娠中に毎日4,000 IU、 授乳中に6,400 IU摂ることでその濃度に達することを示しています。

繰り返すとビタミンD濃度の検査をして最適な範囲にあることを確認することは欠かせません。

野放し飼育の鶏の有機玉子

玉子はコリンや抗酸化物質ルテイン、ゼアキサンチン等の栄養素、タンパク質や脂肪をとても摂りやすいです。コリンは妊娠中に脊椎破裂等特定の奇形予防、脳の発育のために必須の機能をしています。

コリンを妊娠中に摂取すると、子宮内にいる動物の脳の活動を「スーパーチャージ」して認知機能を高め、学習能力と記憶力を向上させ、人生の後半にまで脳の保護に寄与して、加齢に伴う記憶低下や、幼少期の毒素に対する脆弱性を低下させることが以前の研究から判明しています。

妊娠中に多くのコリンを摂る(妊娠中推奨用量の二倍)と、ストレス関連障害や新陳代謝障害を含め、おそらく成人期まで継続する胎児の有益な後成的変成と関連づけられています。

野生のアラスカ鮭や紅鮭、いわし

従来魚は動物性オメガ3脂肪EPAとDHAの最適な摂取源でしたが、妊娠中にどんな海産物を食べるかは厳選する必要があるほど汚染レベルが高くなりました。

この点に注意せずにいると魚の汚染物質による毒の影響はオメガ3脂肪のメリットより大きな害を与えます。汚染度が低く最も安全な部類の魚でオメガ3脂肪を最も豊富に含むのは野生のアラスカ鮭や紅鮭、いわしです。

そのどれも養殖品ではだめで、必ず野生のまま捕獲されたものでなければなりません。紅鮭に高濃度の水銀その他の毒素が蓄積されているリスクはこの魚のライフサイクルが3年と短期なので軽減されています。

さらに、この魚は他の汚染された魚を餌にしていないので毒素の生体蓄積も低いです。見つけるべき商品表示は次の通りです:「アラスカ産サケ」(または野生アラスカ鮭)、「紅鮭」。

「アラスカ鮭」と表示されている缶詰もよく、フィレよりは安価です。一般原則としては、食物連鎖の底辺に近い魚ほど蓄積した汚染物質の量が少なく、こうした魚には小型の種類、例えばいわし、アンチョビ、ニシンが挙げられます。

いわしは特に、オメガ3脂肪を最も多くに含みます。

いわしにはビタミンB12やセレニウム、タンパク質、カルシウム、コリンも豊富で、動物性オメガ3の最適な食品です。食事に加え動物性オメガ3のサプリメントはオキアミ油が摂りやすいです。

全脂肪含有の草飼育した乳製品

野草で育てた生ミルクから作る自然乳製品は健康的な脂肪、タンパク質、カルシウム、ビタミンB群、マグネシウム、亜鉛、リンその他栄養素が豊富です。有機牧草で育った牛の生ミルクから作るバター、牛乳、高品質原料で作るチーズはすべてよいです。

有機の生牛乳には免疫系を強くする善玉菌が豊富なほか、ビタミン(特にビタミンA)、亜鉛、酵素、健康的な脂肪の優れる摂取源でもあります。ヨーグルトに関して言うなら草で育てた牛の生牛乳と開始菌を使い自分で作って室温で一晩置いておくのが最もよいです。

朝起きるまでにケフィール(発酵乳)ができています。ヨーグルトの質感にまだなっていなければ、もう少し置いてから、冷蔵庫に入れておきます。自家製ヨーグルトを自然に甘く味付けするなら、天然のベリー類や乾燥(甘味のない)ココナッツを加えてみましょう。

さつまいも

オレンジ色のさつまいもはカロチノイドであるベータカロチンによる色です。抗酸化物質としてのベータカロチンは細胞を酸化させ損傷し老化を早め慢性病に罹りやすくするフリーラジカルから保護します。

この抗酸化物質は免疫系を支持するほか、心臓病やがんのリスクを下げます。ベータカロチンは体内でビタミンAに転換されるので妊娠中にともて重要です。

ビタミンAは胎児の健康と発育のために必須ですが、動物系ビタミンAは毒性があるので、ベータカロチンなら最適です。さつまいもは繊維質の優れる摂取源でもあり、繊維質は健康的な血糖濃度を維持し、消化をよくします。

ブロッコリーや緑の葉野菜

ブロッコリーやほうれん草、ケール等濃い緑の葉野菜には葉酸、繊維質、カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンC、K、A等の妊娠中に欠かせない栄養素が豊富です。抗酸化物質も豊富なので免疫系の健康によく、消化も助け、繊維質は妊娠中によくある便秘を予防します。

草で育った牛肉や放し飼いの鶏肉

草で育った牛肉は妊娠中に需要が多い鉄、コリン、ビタミンB等タンパク質その他の栄養素が摂りやすいです。鶏肉はタンパク質、ビタミンB群、セレニウム、リン、コリンを摂りやすいです。すべてのビタミンBを摂ることができるほか、想像以上にバラエティーに富む栄養素もあります。

ベリー類

ベリー類には、免疫力を高め、心臓を守り、季節的アレルギーを予防する植物化学物質が濃縮して含まれています。ベリーは多くのフルーツより糖分が少ないので、インスリン濃度を不安定にするリスクが低いです。ベリーは繊維質が多いのに加え、鉄分の吸収を助けるビタミンCも豊富です。

アボカド

アボカドは、カリウム、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB、葉酸など20種類の必須の健康増進栄養素を含みます。ビタミンCとEがとても豊富な数少ない食品の一つでもあり、健康によい一価不飽和脂肪も豊富に摂れます。

アボカドは繊維も多く含み、半個分でも繊維を4.6グラム摂ることができます。繊維質は体の消化器、心臓、および皮膚の健康に不可欠な役割を果たし、血糖値管理等のために重要な機能をしているので、アボカドを食べることは、体そしてお腹の赤ちゃんのためには包括的な栄養パッケージを提供することになるのです。

チアシード

チアシードは、たんぱく質、健康脂肪、食物繊維、ミネラル、ビタミン、および、抗酸化物質が素早く摂れる使いやすい食品です。全部が一つの上品なパケッージにまとめられています。チアシードは、亜麻シードと似たような健康上のメリットがありますが、すぐに亜麻シードを凌駕するでしょう。なぜなら、チアシードは、消費する前にすりつぶす必要がありませんし、すぐに腐ることもないからです。

新たに発見された妊娠中多量の繊維質を摂るといいこと

繊維質が豊富な食生活はほとんどの成人に勧められますが、妊娠中は特に有益です。オーストラリアのモナッシュ大学免疫学部の研究者らは繊維質が豊富な食事は妊娠中に腸内の細菌叢を変性させ、胎児の喘息関連の遺伝子を阻害する抗炎症性物質を生成することを発見しました。

ますます多くの研究も、繊維質の多い食事は、全原因による早死率を低下させることができると示しています。おそらく、慢性疾患のリスクの減少を助けるためでしょう。

慢性疾患には、2型糖尿病、心臓病、脳卒中、がんが含まれます。様々な研究も繊維質が豊富な食生活が血圧を下げるのに有用であるほか、インスリン感度を改善し、炎症を軽減することとの関連性を発見しました。これらはすべて胎児に有益です。

妊娠中に繊維質を多く摂るためにはもっと多くの野菜、ナッツ類や種子類を食べましょう。例えば以下の自然食品は溶解性と非溶解性の繊維質がともに豊富です。

オオバコの種子外皮、亜麻、チアシード。

ベリー類

野菜のなかでもブロッコリーや花キャベツ類

根菜や塊茎類:玉ねぎやさつまいも、ヒカマ

アーモンド

エンドウ豆

グリーンビーンズ(サヤエンドウ)

カリフラワー

妊娠中に肥り過ぎると子供の肥満につながる

妊娠中は健康的に肥ることは必要であり、肥るのが普通ですが、妊娠前から体重過剰の人や妊娠中に肥り過ぎる人の子供は幼児肥満リスクが高くなります。

妊娠中により多く体重が増えるほど、体脂肪率が高い子供を産む確率も高く、妊娠中に肥り過ぎると肥り過ぎなかった人より三倍も肥満児が生まれる確率が高いです。妊娠中の体重増加について医学研究所(The Institute of Medicine)の推奨値は11~16kg、体重過剰な人で7~11kg、肥満な女性の場合は5~11kgまでとなっています。

父親の食事も胎児の健康に影響する

母親の食事内容だけがその子孫の将来的健康に影響するわけではありません。受精前に父親がどんな食生活をしていたかも、特に葉酸をよく摂っていたかが作用します。

雄に葉酸が不足していると葉酸が豊富な餌を食べた雄より生まれた子供の出生時異常が高いことがある動物実験で判明しました。葉酸が不足していた雄が残した害悪のなかでも重度の頭蓋骨変形を含む奇形発生率がほぼ30%増加していました。The Epoch Times(参考:多言語オンライン新聞)は次のように報告しています:

「精子のエピゲノムには人生経験特に食生活に敏感な領域があることが研究からわかっている。しかもその情報がいわゆるエピゲノムマップという発育に影響する遺伝子に移転し、生まれた子孫の新陳代謝や病気にも長期的に影響する。エピゲノムはスイッチのようなもので、環境要因の影響を受け、がんや糖尿病を含む多くの病気と関連する。

エピゲノムは遺伝子のオン/オフに影響を及ぼすので、遺伝情報が伝わるモードを左右する。精子の生成過程ではエピゲノムの中で大量の消去や再構成が起きていることはすでに知られているが、この研究は発生マップに平行して精子が父親のいた環境やおそらく食生活及びライフスタイルの記憶情報も持っていることを示している。」

子供を産む計画中の方々は今から正しい食生活を

子供を産みやすい年代の女性(または男性)が間もなく子供を持つことを計画中なら、すぐ健康に良い食べ方を始めましょう。

2013年に公表されたある研究は、妊娠前に野菜が豊富な食生活をしていた女性は不健康な砂糖が多い食生活だった人より何らかの出生時異常を伴う子供を産むリスクがたいへん低いことを証明しました。不健康な食生活をした人に比べ健康的な食生活をした女性には以下のようなよいことがあります:

  • 脳の発生を阻害し流産に至る確率が高い神経管の異常である無脳症リスクの半減
  • 三口リスクは最大1/3低い
  • 口蓋裂リスクは1/4低い
  • 別の神経管異常である脊椎破裂リスクは1/5低い

最後になりましたが、妊娠中に食べるとよいものには発酵食品も挙げられます。

発酵野菜にいる善玉菌の効果は誰にもよいのですが、特に妊娠中や妊娠計画中ならこの食品は母体と赤ちゃんともにとても大切なものです。妊婦や新生児に発酵野菜に含まれるような善玉菌の用量を投与した研究が以下の効果を発見しました:

子供の自閉症や自閉症に似た異常の発現リスクが急減する

子供に湿疹ができにくくなる

子供時代のアレルギー予防

成人してから子供の体重を最適に維持する

疝痛の症状を改善し、平均的泣く回数の約75%減少

早産リスク軽減