マイクロプラスチックで汚染されているほとんどのボトル入り水

プラスチック水ボトル

早分かり -

  • テストによるとボトル入り水には水道水のほぼ2倍のマイクロプラスチック粒子が含まれます。この汚染はボトルやキャップの製造工程によるものと考えられます
  • 11品目のよく売れているボトル入り水ブランド259本を研究者らがマイクロプラスチック含有に関して分析しました。平均すると、試験対象のボトル入り水1L当たりマイクロプラスチック325片が含まれていました
  • ボトル259本のうち17本だけがマイクロプラスチック粒子がなかったのですが、,プラスチック汚染物質が一貫して皆無という試験対象のブランドはありませんでした。最悪なのはネスレ(Nestlé)のPure Lifeで、ほとんどの汚染試料に1L当たり10,390個の粒子で汚染されています
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Dr. Mercolaより

プラスチックは想像を絶するほど有害な便利品になり、現在、環境と人間の健康を一種類だけではなく多くのしかたで脅かしています。

廃棄物処理場には大量のプラスチック廃品の問題が山積みされており、 ほとんどのプラスチックが生物分解されないので永久に残存し、マイクロプラスチック — 劣化したプラスチックから出る顕微レベルの粒子 — が世界中の水系を窒息させ、飲料水や海洋生物を汚染しています。

それに輪をかけて、プラスチック生産に投入される化学物質の多くはホルモンに似た活性を示し、生殖機能を含めむ動物や人間の健康を脅かしています。近年のテストからほとんどのボトル入り水はマイクロプラスチックで汚染されている — この汚染はボトルやキャップの製造工程によるものと考えられます。

CBCのボトル入り水マーケットプレース調査によるとレーヨンやポリエチレンを含むプラスチック汚染は50種類の試験対象ボトル水のうち30種類に検出されました。プラスチックはガラス容器で販売されている瓶入り水からも検出されました。

ニューヨーク州立大学の研究者らも、非営利目的のジャーナリズム団体であるOrb Mediaからの委託によって、よく売れている11ブランドのボトル入り水259本をマイクロプラスチックについて分析しました。

これらのブランドにはAquafina、Nestle Pure Life、Evian、Dasani、San Pelligerinoを含みます。平均すると、試験対象ボトル入り水は1Lに325片のマイクロプラスチックを含有しており、発見されたプラスチック粒子のうち10個+は100μmはありましたが、残りはさらに微小なものでした。

ほとんどの断片は裸眼では見えないほど小さいです。検出にはプラスチックに結合する特殊染料を使用して赤外レーザーと青光を組み合わせて使用しました。オレンジ色グラスを使用して水試料を顕微鏡で見ると粒子が夜空の星のように光って見えます。

ボトル入り水はマイクロプラスチックで汚染されている

全体的にはボトル259本のうち17本だけがマイクロプラスチック粒子が皆無で、プラスチック汚染物質が一貫して皆無という試験対象のブランドはありませんでした。

Nestlé Pure Lifeが最悪ブランドで、ほとんどの汚染試料に1L当たり10,390個のプラスチック粒子が発見された一方、最も汚染度の低いブランドSan Pellegrinoでさえ1Lに74個粒子が検出されました。汚染度の最も多いおよび最も少ないブランド:

最も汚染されていたブランド 最も汚染度の低いブランド

Nestlé Pure Life

San Pellegrino

Bisleri

Evian

Gerolsteiner

Dasani

Aqua

Wahaha

Epura

Minalba

世界保健機関(WHO)が健康見直し調査開始

Orb Mediaのレポートを受けて世界保健機関(WHO)は安全性検査を開始することにし、水中のマイクロプラスチックが体内で短期的、長期的にどのように健康にリスクを及ぼすかを評価しました。WHOの世界水・衛生コーディネータのブルース・ゴードン氏はBBC Newsに次のように語っていました:

「プラスチックの組成、毒素含有の可能性、有害成分含有率、体内で微粒子が及ぼす影響について考えると、—判明した研究がまだありません。

通常は「安全な」汚染限度がありますが、汚染限度を定義するには、こうした物質が危険なものかどうか、危険なレベルで水中に含まれるのかいなかを把握しておく必要があります。一般公衆はそのことが短期的、長期的に病気につながるのかいなかについて懸念を持つのは当然です。」

2025年までに3倍増になる世界のプラスチック海洋汚染

これと関連するニュースで、イギリス政府科学局の報告書プラスチック残骸物の海洋への投棄量は抜本的な対策なしのままでは— 70%は生物非分解性 — 2025年までに3倍になると警告しています。

すでに推定1憶5000万トンのプラスチックが海洋を汚染しており、, 約800万トンが毎年これに加わります。オンタリオ州のみでも推定12,000本のプラスチック水ボトルを4分おきに投棄しています。この率で行くと、世界経済フォーラムの推定では2050年までに海洋は重量で見ると魚よりプラスチックのほうが多くなります。すでに一部の海洋水中のプラスチック量はプランクトンの6倍を超過しています。

「新プラスチック経済: プラスチックの今後を見直す」 — 2016年の世界経済フォーラムとエレン・マッカーサー基金が行った共同報告書で、2014年に開始された業界横断的なグローバルイニシアチブProject MainStreamによる — が「プラスチックを廃棄物にせず、必須の全体的な変化を達成するための具体的方策を持つ世界経済ビジョン」を提言しました。

問題の核心は毎年1200憶ドル分のプラスチックを人類が破棄していることです。プラスチック汚染を抑えるため、プラスチック廃棄を解消する必要があります。

これを行うにはその報告書は新たな「循環経済」を提案しており、そこでは、可能な限り、たとえ永久にではなくても材料を再使用し、用途を変えて再利用することとしています。ほとんどのプラスチック包装は使い捨てされており、そのプラスチックの価値の95%は一回使用されただけで直ちに損失します。

太平洋「ごみパッチ」には想像するよりはるかに多量のプラスチックを含む

太平洋ごみパッチ — 160万平方kmの面積があるこの大洋のうちハワイとカリフォルニアの間だけでもかつての研究による推計より4~16倍多いプラスチックが含まれているという気持ち悪くなるような研究結果が出ています。

この結論は航空測地と正味の回収データに基づいてコンピュータモデルを作成して得られたものです。

その推計値によるとプラスチックごみは対象海域周辺では1平方km辺り1kgのプラスチックとなっており、渦中の中心では1平方km当たり100kgに及びます。

まとめると、このごみパッチだけでプラスチックごみ78,082重量トン(79,000 MT)と推計され、142,198トン(129,000 MT)に及ぶことも可能とみられます。このごみの3/4以上は5cmを超す断片です。その全質量の8%以上はマイクロプラスチックと考えられます。

マイクロビーズやマイクロファイバーも深刻な環境への害悪

この大規模海洋プラスチックごみに加え、マイクロファイバーとマイクロビーズにも対策が必要になっています。ボトル入り水に含まれるマイクロプラスチックは製造工程の副産物と考えられている一方、世界的な水系にも含まれ、マイクロプラスチック — 主に衣類やパーソナルケア製品由来 — このために生態系全体を脅かしています。

ボディーウォッシュ、フェーシャルスクラブ、歯磨きの小さいプラスチックペレットは廃水処理場へ直接流れ込み、プラスチックが海洋動物の腸内に充満して他の毒素を含むスポンジとして機能します。

2016年のNational Geographicに掲載されたあるレポートによると2012年に欧州連合(EU)で販売されたパーソナルケア製品に含まれる推定4,360トンのマイクロビーズが全て排水に流されていたそうです。また2015年のある研究が236,000トンのマイクロビーズが海洋の水柱に充満していると推計していました。

環境汚染に寄与するアクリル繊維

衣類から放出されるマイクロファイバーについてみると、アクリル繊維がこれを最も多く放出します。合成繊維フリースジャケットを毎回洗うたびに1.7gのマイクロファイバーが放出され、ジャケットが古いほどさらに多くのマイクロファイバーが放出されます。

洗濯機の機種が異なると衣類から放出されるファイバーや化学物質の量が異なります。上から入れる式の洗濯機が前から入れる式のものより530%多くマイクロファイバーを放出します。

こうして放出されるマイクロファイバーの最大40%は廃水処理施設に流れ込み、周囲の湖沼、河川、海洋に流れ去ります。こうした問題に対処するため、科学者らはメーカーにマイクロファイバーをろ過するフィルターを機械に搭載するように求めています。

Wexcoが当面は、非生物分解性ファイバーを洗濯機の排水からろ過するFiltrol 160フィルターの総代理店です。

しかしファイバーは廃棄物処理場に行き着くことになるので、問題が長期的に解決されるわけではありません。

洗濯の間に放出されるマイクロファイバーはミジンコの致死率を高め、カニやミミズ、ロブスター(ノルウェーイセエビ)の全体的な食餌摂取率が下がり、成長率や生存率が下がっていきます。想像つく通りで、マイクロプラスチックやマイクロファイバーは魚類のプラスチック汚染とも関係しています。

これらは両方とも魚やその他海洋生物が容易に吸収し、研究によるとプラスチック粒子が体内に蓄積して、食物連鎖の上にいくほど動物体内の濃度が高くなります。また、こうした毒素の多くは脂肪に結合するので、体内に毒素が速く蓄積しやすくなり、食物連鎖の上のほうの生物ほどさらに多くの量が蓄積していきます。

これらの化学物質は魚やその他の海洋生物の肝障害、肝腫瘍、繁殖率低下や免疫機能劣化を含む内分泌障害ともつながっています。

いかに自分が解決に貢献できるか

使い捨ての物がよいとする文化的愛着が破壊の証跡を遺しただけでした。では、いかにすれば私たちは解決のために貢献できるでしょうか?

端的に言うと、より意識ある消費者になることです。自分の買うものがいかに製造されているか、使用中に自分にいかに影響を及ぼすものなのかとか廃棄した後はどうなるのかといったことをよく考えてください。

現状では廃棄物ゼロのライフスタイル実現は無理ですが、あらゆる形態のプラスチックごみを削減するという目的に向けて小さいながら定まった手順を一人一人が取ることは可能です。以下に検討することをお勧めする、いくつかの基本的な事柄を纏めましたのでご覧ください:

ボトル入り水を買わない。その代わり、良質の水ろ過システムに投資し、再利用可能なボトルに水道水を入れてご使用ください。その以前の試験ではボトル入り水は結局水道水を追加的にろ過したかしないかの違いがある程度のものでしかないことが判明しています。267種類の毒素が水道水の中にはあるので高品質のフィルターにお金を掛けてでも設置し、どこへ行くにもご自分の水を持ち運ぶようにしましょう。

プラスチックのみの製品使用を減らす: プラスチック製でないものやプラスチックに包装されていない製品を買いましょう。関連品目はほぼ無限にあるので、いくつかの方策を挙げてみます:

食料品店には再使用できる買い物袋を使う

コーヒードリンクを飲みに行くときは自分のマグカップを持っていき、フタやストローを断る

食品はプラスチック容器やバッグではなくガラス製容器やメーソンジャーに入れておく

レストランには残り物を入れる容器を自分で用意しておく

ドライクリーニングの際はプラスチックのラップを断る

マイクロビーズを含むパーソナルケア商品を買わない.マイクロビーズを含む多くの製品はそうラベルに宣伝が表示されていますが、実際には成分表示の方には「ポリエチレン」や「ポリプロピレン」として載っている場合もあります。米国とカナダではすでに禁止されているのでマイクロビーズを含む製品には目を光らせよく注意することです。EUにお住まいの方はこうした製品を避けてください

フリースなどのマイクロファイバー衣類を買わず、またあってもできる限り稀にしか洗わないようにしましょう。100%有機の衣類であり天然の無毒色素で染めた製品を求めること

自分でできるものはリサイクル: できる限り製品を再利用し別の使い方をするようにし、集めた重量で現金を支払う地元の学校向け「プラスチック回収活動」に参加しましょう。