膝が痛むとき運動してもいいのでしょうか?

膝の痛み

早分かり -

  • 関節炎のなかで最もよくある変形性関節症は膝の痛みの原因になりますが、休みたいと思う反面、活発でい続けると痛みを軽減でき、人工膝手術の必要性を低くします
  • 運動後と翌朝の痛む程度を評価するほか、痛みの種類を評価して予想していた不快さだけなのか、もっと重篤なことなのかを見極めてください
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

関節炎は関節や周囲の組織に発生する100種類以上の異常を総括した上位概念です。どの関節も異常になりうるのですが、最もよく起きるのは膝、臀部、手、手首です。

関節炎の中で最もよく起きる変形性関節症(OA)が世界中で増え続ける膝の痛みを増やしています。韓国に住む高齢者を対象にしたある研究では膝の痛みが男性の32%、女性の58%に発見されました。

別の研究は米国人口の代表的標本をフラミンハム研究から採取したもので、膝の痛みが20年間で大幅に増えたこと、しかしこの増加のうち肥満は僅かな部分しか占めていないことが判明しました。

この研究からは頻繁な膝の痛みが男女のおよそ25%に起きており、機能性や移動能力を制限し、生活の質に支障をきたしていました。OAによる膝の痛みを持つ人のうち痛みは人工膝手術を受ける最大の理由として挙げられていました。

膝の痛みを発生させるリスク要因は関節炎に限らず、捻挫や筋違え、膝蓋大腿疼痛症候群、酷使、濫用、臀部、大腿骨、脊柱からの痛みを含みます。膝が痛むときに運動を続けるべきかどうかの判断は症状や痛みの原因によって異なります。

痛みのルール

痛みは時としては休むべきときであることを身体が知らせていることも意味します。別の場合には、痛みはある期間不活発でいた後に活発になった結果である場合もあります。この違いをどのように見分けますか?

「痛み無しで、何も獲得できない」ということは運動プログラムを始めるときの必要悪であるとお聞きになったことがあるかもしれませんが、実際には活動に伴う痛みか不快感の二種類があります。

場合によっては痛くても活発でい続けたほうがよいことがある一方、他の場合には休むことが重要です。この違いを把握すると長期的には膝の痛みを軽くする助けになるでしょう。

活発でい続けるのが最適か否かの評価用に痛みの簡単な2つのルールがあります。感じる痛みの変化を追跡するため、暦か日記を記録し、運動直後と翌朝の痛みにランクを付けます。

これら2種類の痛みランクによって感じている痛みが運動し続けても安全であり実際には日々の痛みを減らすのによいか、または単に状況を悪化させるだけなのかを見極めるのに役立ちます。

0~10の尺度を使い、0~2を安全圏と見なし、2~5がひとまずよし、5~10は痛みを避けるべきとして、運動直後と翌朝に痛みをランク付けします。通常の痛みレベルが2で運動後に4へ上がる場合、2ポイントの増加は安全と見なしてよいでしょう。しかし、これが7まで上がれば、運動しすぎの感が強く、緩和すべきです。

同じ尺度を使って今度は、いつもの朝の痛みが2で翌朝も2のままなら、運動のしすぎということはないといってよいです。しかし、痛みが翌朝普通レベルより2ポイント以上上がれば、運動を和らげ、強度を下げるのが適切です。生じている痛みのタイプも吟味すべきです。

遅発性筋肉痛 (DOMS)は新しい運動プログラムを始めたときよく起きる異常です。よく運動後筋肉痛と呼ばれるこの凝りは通常の場合懸念すべきものではなく自宅で処置できます。

しかし位置を変えても軽減されない鋭い刺し込む痛みや深い所に定着したような鈍痛があれば、骨の痛みか神経痛の可能性が高いのでさらに評価する必要があります。

座る生活習慣が関節を損傷し痛みを増す

ボストンのベス・イスラエル助祭婦医療センターで整形外科専門のブリジェット・クイン医師に診てもらったNPRのジャーナリスト、リチャード・ノックス氏は膝の痛みが自分の好きな運動であるランニングにより持続的に発生していないという望みが得られました。むしろ、クイン医師は指摘しました:

あなたの既往症についてとてもはっきりわかることは全てが不活発な期間の後に生じていることです。活発ではないときに組織は硬くなり弱くなります。その習慣こそこうした膝蓋軟骨軟化症という異常になりやすい体質にした可能性があります。」

休むのではなく、クイン医師は同氏の膝、臀部、背中、腹部、大腿四頭筋に焦点を当てる物理療法を数か月処方し、これら全てが膝頭を適切に動かすために欠かせなかったのです。

ノックス氏を処置した物理療法士は体幹から足まで下肢全体の力学が膝の問題を矯正するためには必要であると判断しました。生体力学的問題により生じた痛みをそれ以上ひどくならないようするるにはよくストレッチと強化プログラムが処方されます。

この種の痛みは少々の痛みや何か月も座業後に運動プログラムを始めた後によく生じる痛みとは異なります。座ってばかりいるライフスタイルは膝の軽傷リスクを高めます。また、関節炎による痛みも悪化させます。

1905年~1940年に死亡した1,500人以上と1976年~2015年に死亡した別の819人を分析したある研究から、膝のOAが1800年代末期に出生した当時より脱工業化時代に生まれた人では2.5倍高いことがわかりました。

上席研究執筆者でハーバード大学古代人類学者ダニエル・リーバーマンPh.D.はその研究はOAにますます多くの人がなることが座ってばかりいるライフスタイルの習慣が増大した結果であることを実証したものだと信じています。リーバーマン氏はこれが軟骨と脚の筋肉の弱体化により発生し、関節が予想より速く損傷するようになったと信じています。

従って、研究データは膝の痛みの継続的増幅が膝を支える筋肉の強度減少と関わっていることを実証しており、膝の痛みのための回答はより休むのではなく、もっと運動することであるようです。

運動で人工関節について気持ちが変わる

どの程度痛みが和らぐかは運動量と生体力学の質に依存します。膝と臀部のOAに罹っている約10,000人に関するある研究では、六週間少なくとも週に二回運動した人の平均痛み軽減率が25%であったことが発見されました。このことは鎮痛剤服用を減らし、仕事の能率を上げるというインパクトがあります。

別の研究には人工膝関節置換術を受けるべき基準を満たしている重篤な関節炎患者が参加しました。

参加者らは8週間にわたり週2回の監督付き運動を行い、体重オーバーの人は食餌療法士に診てもらい、上記に取り上げたパラメータを使用する運動の間痛みが横ばいでした。参加者の半分を無作為化して人工膝関節置換術へ進ませました。

人工膝関節置換術を即時実施する予定ではなかった人の25%のみ、その後一年以内に人工膝にしました。残りの人は運動による痛み軽減がよかったので少なくとも手術を1年延期することにしました。肉体活動は多くの疾患の処置のためによく処方されますが、多くの人は運動すると、すでに痛んでいる関節に害があるのではないかと恐れるので忠告に従いません。

世界中の研究が運動は中年以降の関節痛によい処置であることを実証しましたが、患者にこの推奨を実行させるとなると課題が多いことが間々あります。最初のうち運動プログラムを始めると10%痛みが増大した人もいました。

しかしこれは医療処置が必要になるほどの兆候ではなく、慣れていないことを行っているだけのことです。

治療用の運動には 正式な処置の停止後、膝の痛みを最大6か月まで持続的に軽減するメリットがあることを示す極めて優れる証拠を研究が次々に示し続けています。

この効果の程度は非ステロイド系抗炎症剤の推定値に匹敵し、OAに罹った人が利用できる安全で健康的処置があることを実証しました。

関節炎でも活発でい続けることのメリットには痛みや腫れの制御、間接悪化の遅延、不安軽減、気分向上と睡眠改善も挙げられます。休むことは痛みが健康的な運動後の筋肉痛ではなく、関節炎の関節を痛めるために感じる急激な痛みの場合に検討すべきです。

しかし、よくなってきたと感じたら活動に戻り、痛む関節に応じた運動に変えることを検討してください。例えば数週間水中エアロビクスで膝へのストレスを軽減してみてください。

グループ運動の心理的肉体的効能

グループで運動すると肉体的、精神的、感情的健康がおおいにによくなることをある研究が示しています。

対照的に一人で運動する人は、研究によると取り組む傾向があるがストレスレベルはほとんど変わらないままかほとんどフィットネスレベルを実感できませんでした。グループ運動した人はストレスが平均26%とれました。

この研究は肉体的改善がグループか一人運動のどちらならより強いかについては示していませんが、ストレス軽減と感情的に快適な状態がレベルアップしたことからして、極めて動機付けになる結果です。

やる気を増すことで体力と能力もよくなります。以上はメリットについてでしたが、あまり無理して膝の痛みがひどくなるまでしないことが大切です。

グループ運動にはその他、社交的や娯楽的状況での運動なので、退屈なため落伍率が少なくなるというメリットがあります。グループは安全で効果なように組成され、一貫した運動予定表をこなし、クラスへの出席という説明責任が増え、まだ運動知識や経験がない人のための教室もよくあります。

グループでも一人でも運動すればエンドルフィンの分泌が改善され、幸福感や高揚感が生まれます。運動すると自信が強くなり、認知力低下を予防し、, 不安を軽減し、脳の全体的性能を高め、記憶力を研ぎ澄ませます。

自宅での痛み管理

運動で自分の普通の痛む程度を超すかなりの痛みや不快感は避けるべきです。運動すると体力や間節を支持している筋肉の柔軟性が増すことにより、普通の痛みの程度を下げ、このため軟骨、腱、骨への応力が減ります。

OAに罹っている方の場合、メチルスルフォニルメタン(MSM)を添加すると炎症を軽減し、身体に硫黄という体内で三番目に豊富な鉱物を総体重に占める%に基づいて供給してくれます。

MSMは特に関節炎と関連する痛みの処置用サプリメントとして利用されてきました。膝のOAを持つ患者について研究が偽薬対照群より肉体機能が大幅に改善することを実証済みです。

しかしMSMはOA関連の痛みを和らげる一方、一回の用量でも運動後に酸化ストレスを軽減し、DOMSによる痛みをよくします。MSMに関する研究の結果が経口サプリメントで酸化ストレス、筋肉の損傷や痛みが軽くなることを示しています。