Dr. Mercolaより
ご想像つく通りで私は揚げ物ファンではありません。そのためエアフライヤーブームにあまり注意したことがありませんでした。こうした器具は長年販売されてきましたが、最近急激に人気が伸びています。
エアフライヤーが揚げ物の味を好むが従来式の揚げ物にともなうカロリーは欲しくない人の人気を博していることは明らかです。
エアフライヤーの主なマーケティングメッセージの一部には、キッチンで迅速にでき健康的で面倒のない揚げ物体験がすぐできるといううたい文句です。
急いで買いにお出かけになる前に、少々時間を取ってこのキッチン器具の批判者とファンが抱いているはずの重要な疑問について検討しましょう:エアフライヤーは健康的でしょうか?
エアフライヤー(近年着実に揚げ物ファンの想像力を掻き立てているキッチン用品)はとてもおいしいパリっとした料理が素早くでき、伝統的方法の揚げ物よりカロリーも脂肪も確実に半分になるといわれています。主なセールスポイントは何カップも油を使用せず熱風と少々の油だけで素早くさくっとした揚げ物ができるというものです。
同様の空気循環方式なのでエアフライヤーを小型対流式オーブンと並べて考える人もいます。
ほとんどの従来式健康専門家はエアフライは旧来の揚げ物より若干健康的であるという考えで一致していますが、現実は、揚げ物は揚げ物なので、健康的な食事を選択しているとは思わないほうがよいです。
Women’s Healthで特集されているようにニューヨークを本拠にしている認定栄養士N(RD)のナタリー・リッツォ氏はエアフライがカロリーと脂肪を節約するけれども、健康の点で真に問題なのはカロリーや脂肪をカットすることではなく、カロリーと脂肪が自然食品由来のものであることです(しかも揚げ物のように高温まで加熱された自然食品を含みません)。
リッツォ氏は「エアフライヤーを使用するとほぼ従来式の揚げ物でも少しだけ健康的なバージョンを作ることはできそうです。
これを利用してフライドポテトやチキンフィンガー、さらに野菜でさえ、通常は揚げ物にできるはずの物なら何でもさくっとした衣を作ることができます。」リッツォ氏の説明によると、エアフライヤーでの調理は簡単です:揚げたい物にオイルを塗り、エアフライヤーを望みの温度まで上げます。
調理する物によって温度の変化に注意しつつも、「通常は150 ~200℃が平均的に使用されます」とリッツォ氏は説明しています。私にとってその高温では即禁止記号で、高温こそエアフライヤーについて私が最初に注意したい点なのです。この記事の後半でご説明しますが、121℃以上に特定の種類の食品を加熱すると神経毒素化合物のアクリルアミドが生成されます。
リッツォ氏が説明している通り、当然、揚げ物は — エアフライヤーか脂肪たっぷりの揚げ鍋で作るかに関わらず — 生の食品や揚げない方法で調製した食品と同じように健康的であることを期待しないほうがよいです。ほとんどの食品を生の自然な丸ごとの状態(または可能な限り原型に近い状態)で食べることはほぼいつでも最も健康的な選択であると私は信じています。
調理済みの食品に関しては、ブランチング、ソテー、蒸し物がはるかに揚げ物より優れています。アスパラガス、ほうれん草やトマトなど軽く調理した食品は実際には栄養素の生体利用能が高くなります。
例えばトマトの抗酸化物質リコペンは加熱すると生体利用能が高くなります。揚げ物は100%いつでも健康食品とはいえないものなので、リッツォ氏がライフスタイルの選択としてエアフライ調理法を採用することに注意を促していることは賢いことであり、励まされます。
エアフライヤーを日常的に使用するのは「健康的食事」という誤った感覚を与える可能性が高いため勧められないという点で私はリッツォ氏に同感です。従って、エアフライヤーを所有する根拠はなく、単に特定の不健康な食品を過剰に消費したくなるだけのことです。こうした不健康な食品の大部分は高度に加工されています。
すでに説明しましたが、揚げ物について最大の懸念は揚げると特定の食品が発がん物質になるおそれがあることです。揚げ物が日常的に好きな方、特に表面が茶色または焦げるまで加熱された物をよく食べる方は、アクリルアミドという毒性化合物について把握しておく必要があります。
2002年に研究者らはこの発がん性で潜在的に神経毒性化学物質を発見しました。この物質は炭水化物が豊富な食品を高温で調理すると発生します。この炭水化物には焼き物、揚げ物、グリル、あぶり焼き、パン焼きされた物を含みます。アクリルアミドは砂糖とアミノ酸のアスパラギンが高温で反応して生成される副産物です。
この有毒化学物質は約121℃を超す温度で処理された多くの食品で発生しますが、炭水化物が多い食品は最もこの影響を受けやすいです。アクリルアミドが存在することは植物系食品が茶色になったり焦げるまで加熱されるとき特に注目に値します。
炭水化物が多いものならどの食品もアクリルアミドを発生するとは限りませんが、以下の食品グループは最も発生するリスクが高いです:
2013年以来、米国の食品および医薬品局(FDA)は消費者にアクリルアミド含有食品の摂取を削減するよう呼びかけてきました。平均的アメリカ人の食事の約40%の摂取カロリーにはこの有毒な副産物が絡んでいます。アクリルアミドを食事からカットするには、同局が次のことを推奨しています:
冷蔵庫ではなく、暗い乾燥した引き出しや食料棚に保管するじゃがいもを料理する前に15~30分水に浸しておくとアクリルアミドの発生量をさらに抑えられる
FDAはクッキー、クラッカー、ポテトチップ、炒ったナッツ類(ナッツバターを含む)やスナックミックスなど「茶色」になった加工食品を避けるようにとは言及していませんが、高温で処理されているのでアクリルアミドを含むことを念頭に置くべきです。
アクリルアミドが多い食事には様々な潜在的健康リスクがあります。動物実験によるとアクリルアミドは「検体において遺伝子毒性、発がん性、成長や生殖への影響がある」そうです。アクリルアミドの潜在的な有害性に関して、米国国立がん研究所が次のように説明しています:
「齧歯類モデルを使った研究からアクリルアミドに接触すると数種類のがんリスクが増大することが発見された。体内でアクリルアミド はグリシドアミドというDNAの突然変異や損害を起こす化合物に変換される。
しかし、人間を対象にした大多数の疫病学的研究(症例管理とコーホート研究ともに)からは食事のアクリルアミドによってがんリスクと関連していることを示す整合的な証拠は発見されていない。
人間の研究から得られる発見事実が非整合的であることの1つの理由は、報告された食生活に基づくアクリルアミドの摂取量を特定し難い点にある。国家毒物学プログラムの発がん物質に関する報告書はアクリルアミドがアクリルアミドを飲料水に混ぜて与えた実験室の動物研究によると、人間に対する発がん物質であると合理的に予測しうると見なしている。」
実験動物を使用した今日までの研究に基づいて言うと、米国がん学会は以下の各機関に注意を呼び掛けました。各機関とも人間に対するアクリルアミドに関する潜在的懸念について述べています:
たとえあまり使用しない方でも、一部のエアフライヤーは伝統的な揚げ方より使用するオイルを最大75%少なくて済むことには応えていますが、調理油のすべてが等しく作られているわけではないことを把握することが大切です。
ほとんどの調理油は実際には極めて加工度が高く、一部の製品は水素化または部分的に水素化され、トランス脂肪が大量に含まれています。米国心臓学会によるとトランス脂肪を日常的に消費すると:
また、カノーラオイル、コーン オイル、コットンシードオイル、大豆油、これらを含むか使用して調理されたいかなる食品をも避けるように私は常に勧めています。
すでにご存知でしょうが、これらのオイルこそ、たいていの揚げ物や加工食品さらにほぼすべてのファストフードの調理に主に使用されているオイルです。これらのオイルにはトランス脂肪は含まれていないとはいえ、加熱されると環状アルデヒドを含むさらに危険な毒性酸化物に分解します。
これらのオイルを避けるべき一つの理由は遺伝子操作(GE)商品であることです。GE食品は健康に損害を与え、地球上で最悪の食品の一部です。
健康なオイルにはココナッツオイル、オリーブオイル、有機の草で育てた牛の生バター、ギー(浄化バター)、ごま油が含まれます。ココナッツオイルのみ揚げ物を含む高温調理に使えること、ギーも調理に使えることを覚えておいてください。
オリーブオイルを調理や揚げ物に使用したい誘惑にかられることがあるかもしれませんが、その化学組成と大量の不飽和脂肪酸のため酸化損害に対して極めて弱いです。このためオリーブオイル(およびごま油も)は冷えたままで、例えばサラダに振り掛ける程度の用途にしてください。
エアフライヤーを使用する場合はたとえ少量の油からでもフリーラジカルが増加することを念頭におくべきです。エアフライが大好きな方なら、ココナッツオイルなど少なくとも酸化しにくいオイルのみご使用ください。
揚げ物は健康によくないので、エアフライヤー はキッチンに必須の器具ではないと思います。特にあなたの目標の1つが健康の最適化であればなおさらです。しばしば毒性オイルを使用して加工食品の揚げ物を作ることがある場合は、健康なライフスタイルの一環とはとても見なすことは無理な食べ方に陥ることになります。
また、これまでに述べたことがありませんが、一部のエアフライヤーに使用されている種類のプラスチックや焦げ付かないコート品にも懸念を持っています。お選びになる機種によって異なりますが、ビスフェノールA (BPA) や焦げ付かないコートと接触すると毒物リスクがあるので、私は強く反対します。
今回のテーマについて私の考えをまとめると、エアフライヤーのオンラインレビューの1つで私が読んだコメントをもって締めます。頭の片隅にまだ疑惑が浮かぶなら、エアフライヤーを購入しようとするならご自分で決定するときの一助にすべき最後の一言になるでしょう。
そのレビューによると「エアフライヤーは揚げ物をさらに健康的にするというメリットが加わりますが、揚げ物がお食事の定番でない場合、エアフライヤーを所有することでおそらく何ら得るものはありません。」
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