Dr. Mercolaより
米国の疾病管理予防センター(CDC)によると1~5歳の子供535,000人は健康に有害な血中鉛濃度があり、24百万の家には鉛系塗料が使われており、家の粉塵汚染レベルが高くなっています。
子供の鉛中毒によるコミュニティーの費用は追加的な医療費$530憶、税収逸失$350憶、最大$146百万に及ぶ特別教育費用、さらに犯罪による直接費は推定$17憶というデータがあります。
CDCによると子供にも成人にも特定しうる安全な血中鉛濃度というのはありません。鉛に暴露される子供たちは神経系、脳や認知力成長に損傷をきたし、成長鈍化、発達遅延、聴覚や発話能力障害の高リスクに晒されています。
鉛は周知の神経毒素であるにもかかわらず、米国では長年その暴露に対する注意が不足してきました。1923年に米国は有鉛ガソリンを導入し、これが世界共同体に対して計り知れない影響を及ぼしました。
Lancet Public Health Journalに近年掲載されたある研究では、成人体内の鉛濃度は心臓血管系の合併症による死亡率を高めていることが報告されています。
研究者らは1988~1994年に実施された全米健康栄養試験調査に参加した14,000人以上の成人から得た全国の代表的試料を使い、20年分のデータを分析しました。
参加者は血中鉛濃度の数値把握を含む医療検査を受けました。そのデータを分析した結果、研究者らは低濃度鉛への暴露と早死にリスク増大に相関性があることを発見しました。
過去に鉛への暴露は高血圧、冠状動脈疾患、 アテローム性動脈硬化と関連することはわかっていました。研究者らは歴史的に鉛に暴露されてきたことは有鉛ガソリン、塗料、配管の使用によることを指摘しました。
食品、産業からの排出物質、水系の毒素が幼い子供の血中鉛濃度に影響し続けています。
何世紀にもわたり鉛の毒性は知られてきましたが、心臓血管異常をきたした人数は研究者らでさえ驚くほど多かったのです。初期の回答者14,000人のうち4,400人は2011年までに死亡しました。
この統計に基づいて研究者らは死亡者の約18%は血中鉛濃度を1.0μg/dLまで削減していたならば助かったはずだという計算を得ました。
毎年米国で死亡する400,000人から得たデータをもとに研究者らはあらゆる接触源からの鉛が原因であろうと推定しました。死亡者のうち約250,000人は心臓血管病が死因で、185,000人が冠状動脈疾患によるものでした。この数値は現時点での成人の鉛関連死亡推定数よりほぼ10倍高かったのです。
科学者らは心臓病だけではなく多くの死因も含めて検討しました。鉛の血中濃度が高いと年間410,000人以上の死亡に関連していたこと、これが以前の推定値より10倍高く、毎年ほぼ480,000人という喫煙者の死亡数にも及ぶ値です。
喫煙、運動不足、不健康な食生活は心臓血管病に寄与しますが、環境要因も心臓の問題リスクを高める悪影響があります。
鉛中毒や心臓血管の変化に予想外の多くの人が影響を受けていることを最新研究が発見したのですが、それ以前の研究ではすでに鉛の内皮細胞への影響や血液脳関門通過性については実証されていました。
脳内での鉛の細胞レベルの影響は血液脳関門の破壊、小脳を中心とした脳症や浮腫を引き起こします。
幼児は認知障害になる最大のリスクに晒されており、成人でも血中濃度が上がれば鉛中毒リスクが高くなります。鉛で発生する高血圧や心臓血管病は内皮系統に数種類の破損が生じる結果です。慢性的な鉛との接触は酸化性ストレスを増し、酸化窒素(NO)の可用性が下がり、このため内皮壁の柔軟性が劣化します。
以下の要因のどれも高血圧、内皮機能障害、動脈硬化、心臓血管病のリスクを高めます。こうした変性は脳内の内皮にも発生するので、認知力へのインパクトや高齢者の痴呆リスクも高めます。他の研究が発見した鉛の危険:
過酸化物や過酸化水素を発生さえるので、酸化窒素と反応して過酸化亜硝酸を生成します。
血管平滑筋の拡散や血管の形質転換を促進する
血管平滑筋のカルシウム信号伝達の阻害
血管作動性拮抗物質に対する血管の応答性変質
プラスミノーゲン活性化因子阻害物質1の生成促進
プロテオグリカンの生成阻害
内皮損傷
内皮修復の阻害
血管新生の阻害
炎症促進
30年以上のデータを集めた研究でアメリカ人のほぼ8%が衛生基準違反の飲料水を飲んでいることが発見されました。
その研究は飲料水質について全国の違反状況を評価した初の研究で、17,900地区の給水系統に違反があることが発見されました。1982~2015年までの期間についてのデータを取得し、影響を受けた人口は900~4500万人に上ることが判明しました。
研究期間中600,000件以上の観察を実施し、公共水道を使用する低所得層で最も多くみられる傾向がありました。1974年の飲料水安全管理法で環境保護庁(EPA)は水質を規制していますが、州別に異なる報告義務が課されています。
天然資源保護委員会健康計画の座長エリック・オルソン氏はその報告書で使用したEPAのデータを解析して報告書の効果について説明しています:
「巡査が座ったままで、赤信号違反や小さいコミュニティーで時速140kmを超す猛スピードの運転を目撃し、何もしない状況、つまり法律違反を把握しているのに見逃している状況です。しかも何も対策をとらない状況です。残念ながらこれが実情です。」
その報告書によると、5,300件の給水設備は鉛と銅の基準を大幅に上回っており、州が対策を講じたのは817件だけでEPAが対策を取ったのがたったの88件でした。
さらに悪しき事として、その報告書はEPAが多くの都市当局が法の抜け穴を利用し高濃度の鉛をわざと検出しないままでいました。つまりさらに多くのコミュニティーは居住者を危険な鉛濃度に暴露したままなのです。
血中の鉛の計測単位は通常の場合、1デシリットル(100cc)当たりのマイクログラム(mcg/dL)すなわちppb(パーツパービリオン)です。過去に、CDCは濃度40 mcg/dLを許容限界としていました。
1990年代初頭にこれが10 mcg/dL、2010年代中ごろに5 mcg/dLまで引き下げられました。しかし、閾値を設定したにも関わらず、CDCは安全な鉛濃度はそれ以来全く検出されたことがないと注意を促しています。ランフィア氏は鉛汚染を完全に解消する必要性を次のようにコメントしています:
「私たちが行った研究は鉛のような特定毒素に『安全基準』などないということを示しています。低濃度の環境中鉛との接触が心臓血管病による早死にの主なリスク要因であることを示しています。」
鉛中毒防止という課題は解決が急務であって、これは幼い子供がご家庭にいるかいないかに関わらない必要性です。鉛汚染による神経機能障害や心臓血管損傷等成人も重篤な影響を被っています。ハーバード医学部は鉛と接触しないようにするために以下のようなヒントを示しています:
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