研究:ヨガでうつ病を治す

うつ病にはヨガが効く

早分かり -

  • 抗うつ剤は患者の40%を完治することはできず、危険な副作用(低血圧、凶暴性、視力低下等)が発生するおそれがあります
  • アイアンガーヨガが薬を飲まない人や3か月以上同じ薬を服用してきた患者の症状を軽減することを研究が実証しました
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Dr. Mercolaより

重篤なうつ病は単なる悲しさを超えた異常です。診断には医療的評価が必須であり、症状には肉体的や認知機能低下を含みます。しかしこの数値は任意の形態のうつ状態にある人の数にともない深刻化します。

効果的な処置を行わないとうつ状態は慢性疾患に移行します。抗うつ剤は一般的に処方されていますが、低血圧、筋肉のけいれん、凶暴性、混乱、視力低下等の危険な副作用がずらっと並びます。

うつ病を直しておかないと健康も害します。処方された抗うつ剤を止める前に医師に相談してください。

近年の研究がヨガを応用したうつ病治療でのプラスの効果を実証しています。ヨガと服用中の薬を組み合わせることも可能です。これでうつ病治療用の薬を減らすのに助かります。

ヨガの介入で軽減できるうつ病

残念なことに、抗うつ剤は多くの副作用を伴いますが、抗うつ剤で処置した重篤なうつ病を持つ患者の40%は完治しません。

臨床検査の評価の中で研究者らは抗うつ剤を変更しても参加者の34%は完治しないことを発見しました。

ある近年の研究で研究者らはアイアンガーヨガ教室のうつ病参加者への効果を分析しました。この研究では18~64歳の30人を2つのグループに分けました。

両方のグループに重篤なうつ病患者で薬剤を服用しない人か3か月間同じ薬剤を使用していた人を含めました。

1つのグループを1回90分のヨガ教室に週3回通わせ、さらに週4回自宅で30分行わせました。2番目のグループは自宅で30分、ヨガ教室に週2回90分ずつ参加しました。

3か月後このヨガを一定して継続したところ両方のグループで症状が50%以上軽くなりました。

想像がつく通り、週7日参加したグループで症状が最も軽くなりました。参加者の多くがより長い時間取り組むのは無理があると言っていたので、研究者らは毎週2回の教室を勧めました。

ボストン大学医学部精神医学・神経学でこの研究をまとめた筆者であるDr.クリス・ストリーター助教授によるとヨガには薬剤処置による副作用を回避できるメリットがあるそうです。

うつ病治療におけるヨガの効能

この研究の研究者らは参加者に深呼吸と組み合わせた詳細かつ精確な姿勢の調整に集中させる特殊な形態のヨガを行うように指示しました。

うつ病の治療に別の形態のヨガを使用した以前の研究はプラスの結果がありました。ニューヨークシティーのレノックスヒル病院臨床精神科Dr. アラン・マネヴィッツ医師がその実験結果を検討して次のように注釈しています:

「この行動のメカニズムは『いい気持ち』脳内化学物質の放出を活性化させる別の運動テクニックと同様で、さらにうつ病を悪化させる免疫系化学物質を削減する。

「心する」動作 - 意識した注意 -が中枢神経系にさらによい効果を持つことが実証された。」

ここで取り上げている研究の結果は2016年にペンシルベニア大学で行われたある研究で研究者らがうつ病の参加者がヨガで同様の症状軽減を体験したという事実と一致します。この以前の研究への参加者らは抗うつ剤に対して適切に反応しませんでした。

ボストン大学の研究の目的の1つは「用量と応答性の相関性」を見極め、今後の研究をそれに基づいて行う基準を確立し、ヨガと他の呼吸制御運動をうつ病治療実施手順に採用することを目指していました。

重篤なうつ病はコスト高になる

うつ病の人は医者に相談しないことが多いか病気であることを確認して治療を受けようとしません。この点は精神異常を否定する社会的圧力の結果であるかケアをろくに受けられないことの帰結であるようです。うつ病を処置しないでおくと、虚弱させ生命への脅威になります。

うつ病は人間関係や仕事上の関係に干渉し、仕事や学業に悪影響があり、肉体的健康も悪化させます。

うつ病は自分で自分のことを正しく面倒みれなくなり、栄養や睡眠を含む自分の健康について適切な判断をできなくします。バランスの崩れた栄養、体重変動、睡眠不足が免疫系を弱めます。

がん、心臓病、糖尿病、脳卒中等特定の病気は重篤なうつ病のリスクを高めます。うつ状態は薬物濫用や飲みすぎににもつながります。

自殺者の70%までは臨床的にいってうつ病患者であり、自殺を考える人の推定90%以上ははうつ状態と薬物濫用を経験しています。ヨガは心身の調和を目指します。

ヨガの起源は多くの宗教が生まれるよりはるか前に存在していたものと考えられています。今日では健康改善や心身の健全な状態をさらに強くするための療法や運動の一形態としてよく応用されています。ヨガはアイアンガーヨガを含むヨガのマスターや著名な指導者の教えによって世界に普及しました。

米国だけでも毎年1600万人がヨガを練習しています。ヨガに共通する原理はリラックス、呼吸、食事、運動、瞑想を含めストレスを軽減して健全な状態をさらによくして明晰になるために応用することです。

ヨガには数種類あり、それぞれのタイプで指導者がスタイル、伝統、系列に属します。

うつ病の処置に欠かせないストレスの軽減

ストレスは精神的、肉体的健康に悪影響を与えます。例えば、マサチューセッツ州ゼネラルズ工科大学が主導した研究では日常的にリラックスを心掛けてリラックス応答を達成した患者の43%は社会保険制度の利用率が下がりました。

その研究者らは胃腸障害、神経病、心臓血管障害や筋骨格障害のある患者が最も劇的に社会保険制度の利用率が下がることがわかりました。

その研究者らは2年間追跡した4,400人以上の患者グループを対象にしました。この人たちとこのリラックス応答忍耐力評価プログラムに参加しなかった13,000人について比較研究しました。リラックスとストレス軽減応答は参加者の健康をよくしました。

慢性的ストレスは一部の人ではうつ病、他者には忍耐力を出す契機になっていました。ある研究はストレスに継続して晒したマウスの20%がうつ状態になることを発見しました。より大きいうつ状態を被ったマウスは前頭皮質中央部も活性化していました。うつ症候群のないマウスでは脳に変化はありませんでした。

その研究は以前ストレスがうつ病に関連していることを実証した研究をもとにして行われました。当初は、ストレスが気分や睡眠習慣に直接影響し、これが集中力減退等の認知力変化につながります。しかし、うつ状態にさせるのは間接的影響のほうです。

こうした間接的影響には健康対策戦略の中断、支援を申し出たはずの人との断絶、アルコールや麻薬等不健康な対策戦略の開始、習慣の中断が含まれます。

深呼吸運動とヨガによるストレス軽減はうつ症状を予防するために有意なインパクトがあります。

ヨガは精神的、肉体的健康をよくする実績がある

ヨガを行うと肉体的と精神的健康が改善されます。過去の研究がすでにヨガで背中の痛みが減ること、柔軟性、体幹の強さを改善し、副作用や医薬どうしの相互作用もないことを実証していました。ヨガはさらにがん関連症状の管理にもある程度は効果がありました。

体幹強度と柔軟性以外に、ヨガで最も改善されたことはストレスや不安の軽減、気分がよくなったことが確認されています。

研究はこうした改善がγ-アミノ酪酸(GABA、中枢神経系の神経伝達物質アミノ酸)の変化と関連していることを発見しました。GABAは神経パルスを阻害し、隣接する神経細胞にパルスを「発射」ないし送らせないようにします。

GABAが欠如すると神経細胞は頻繁かつ容易に不安異常、発作、薬物等の依存症、頭痛、認知障害などの異常を発生させます。研究はヨガを実践すると視床のGABA濃度が高まることを発見しました。

研究によってヨガで取る姿勢がGABAの増加と気分の改善、不安軽減の正の相関性につながることを発見しました。

ストレス応答の改善、気分や機能の改善、外傷後ストレス障害治療における回復機能も科学研究によってヨガの姿勢や呼吸に関連することがわかっています。ヨガはリハビリ中の依存症患者のうつ状態も大幅に改善しました。

ヨガや他の心身調整テクニックでうつ状態を解消するためのヒント

心身の関連性に対処して精神的健康の改善を目指せるいくつかの方法を以下にご紹介します:

ヨガ

ボストン大学の研究による推奨に従い、週に2~3回ヨガを自宅で行います。制御呼吸法に焦点を当てたヨガ教室に通い、練習の最後にリラックスと深呼吸の時間を設けてください。

運動

気分がよくなると有酸素容量もよくなるという強い相関性があることは研究でわかっています。心(マインド)と肉体が極めて現実的に連関していることは一般に理解されてきており、このために健全な肉体を維持することはまずうつ発症リスクを大幅に下げます。

運動するとGABAを生む新たなニューロンが増え、これが自然な落ち着きの誘因になります。運動はセロトニン、ドーパミン、ノレピネフリンの濃度も上げ、これがストレスの影響に対する緩衝材として機能します。

感情解放テクニック(EFT)

EFTは一種の心理学的鍼治療です。指先でそっとたたきながら自分の問題について思い肯定的な文言を口に出して言うと運動エネルギーが脳内と胸の特定経絡点まで届きます。

これが身体のバイオエネルギーシステムからの感情ブロック状態である「短絡」の解消に役立ちます。このようにして、精神と身体のバランスが回復します。それは、最適な健康と肉体的疾患を治すために不可欠です。

心する音楽

ヨガの実践には心する呼吸の統合すなわち今この時に留まることが肝心です。音楽を聴きながら心する能力を使う研究の参加者は自己覚醒度や感情的調節能力が高まりました。この実践により依頼者とセラピストの絆が強くなりました。

認知行動療法(CBT)

CBTでうつ状態を治すのに成功してきており、カルチャーショックのストレスで発生するうつ状態に推奨されています。この場合セラピストは気分が思考パターンに関連しているものと前提します。CBTは思考パターンを変えることで気分転換させうつ状態を逆転させます。

プロバイオティクス

心身の結合は両方向に作用します。言い換えると、腸内細菌叢を健康に維持すると気分、情緒や脳に重要な効果を生みます。

バイオフィードバックと進行的筋肉弛緩

バイオフィードバックと進行性の筋肉弛緩もストレスを軽減するのに役立ち、うつ状態を治すために主要な周囲環境からの起爆剤になります。

バイオフィードバックを見るには電気センサーを皮膚に取り付け心拍数などの生体パラメータをモニタリングし、このフィードバックに基づいてより深いリラックス状態を達成させます。これは心拍数、血圧、筋肉の緊張を意識によって制御することも教えることができます。

バイオフィードバックはよく、偏頭痛や緊張による頭痛、線維筋痛症、抑うつ状態、不安等のストレス関連の異常を処置するために応用されています。進行的筋肉弛緩では頭からつま先まで全ての主要筋肉群を緊張させては弛緩させることで同じ程度のストレス軽減が可能で、筋肉の緊張を実感させます。

視覚化

視覚化と誘導ビジュアライゼーションはすでに数十年以来試合前にトップ選手、成功している事業家、がん患者によって応用されており、目的は自分がすでに成功した実績を持つという意識(イメージ)を心に刻んでおくことで、よりよい結果を生み出そうとするものです。 同様の成功事例もうつ状態の人の間ですでに見られます。

神経構造的統合テクニック(NST)

これはオーストラリアのマイケル・ニクソン・レビ博士が開発した革新的手法で、精確な点で特定の筋肉に一連の穏やかな動作を適用してエネルギーの流れと振動を刺激した点間に発生させるテクニックです。理論上は、自律神経系を活性化して、身体自体の通信機能を高め、組織、筋肉、器官のバランスを取ります。

主な目的は身体の構造的統合性を回復することで痛みや機能障害のある生理的状態を解消することです。NSTは本質的には身体に多くのレベルで再統合する余裕を持たせて、日常的に正常なホメオスタシスの限界値へ戻してやり、維持します。

NSTは衣服の上から軽くタップします。一セットの動きの間で一時停止し、身体にエネルギーと振動を同化させる余裕を与えます。

+ 出典および参考資料