Dr. Mercolaより
鉱物であり電解質のカリウムは細胞、組織や器官の正常な機能に欠かせません。心臓の健康、消化や筋肉の機能, 骨の健康その他多くのことのために不可欠な機能をもっています。
カリウムはごく普通に多くの食品– フルーツ、野菜、乳製品、鮭、イワシ、ナッツ類を含む – にありますが、米国の成人のうち2%しか推奨日量の4,700 mgを摂取していません。
カリウムは血中でナトリウムとよくバランスが取れていなければならないのでこの事実は特に問題です。加工食品をたくさん食べる人はナトリウムを摂り過ぎているので、カリウムをもっと摂らなければなりません。
特に低カリウムリスクや低カリウム血症のリスクが高い他の人は慢性的吸収不良症候群(クローン病等)や心臓のお薬(特にヘンレループに作用する利尿薬)を飲んでいる人が該当します。
しかし不適切な食生活をしている人 – 加工食品が多すぎ新鮮な自然食品が不足している – はカリウム低濃度リスクに晒されています。
米国の疾病管理予防センター(CDC)によるある新しい報告書によると、高血圧で死ぬ人の数は2000年から2013年までにほぼ62%増加しました。現在、米国の成人7000万人、つまり成人の3人に1人がこの状態になっています。
診断した人の52%しか血圧を正常レベルに抑えられず、さらに米国の成人の3人に1人が高血圧寸前状態にあります、つまり血圧が常時高いので完全に高血圧になってしまうリスクが高いです。
カリウム濃度が高いと余計な塩による血圧への悪影響を緩和する働きがあるのでナトリウムとカリウムの比が不均衡であると高血圧につながることに多くの人は気づいていません。
ある最近のメタ分析から毎日カリウムを補完すると高血圧患者の血圧が下がることが判明しています。その研究の研究者らが次のようにまとめています:
「血圧が低がると日常の尿中ナトリウム対カリウム比が下がり、尿中カリウムが増える。高血圧患者はカリウムを増やしてナトリウムを減らすとメリットを得られる。」
同様に、ある4年に渡る観察研究(都市村落部の予測疫学調査[PURE])で17カ国の100,000人を対象にして研究した結果、高ナトリウム濃度が高血圧リスクの高まりと関連している一方、カリウムがナトリウムの重篤な影響を相殺することを発見しました。
その研究では、心臓の異常や任意の原因による死亡率が最も低い人は1日に3~6gのナトリウムを摂っていました — これは米国の毎日推奨限度値よりはるかに高い値です。ナトリウムと血圧の間には関係があるとしても、この関係は線形的でなく、カリウムが役割を演じているのです。
その研究の筆者らは全面的にナトリウムを大幅に削減することを推奨するより、カリウムが豊富な高品質の食事のほうが賢いであろうと提案しています。
これは研究者らが想定するところでは、高血圧を下げることを含め、より多くの人にメリットがありそうなのです。研究者の一人マクマスター大学のDr. マーティン・オドネルが次のようにコメントしています:
「じゃがいも、バナナ、アボカド、緑葉野菜、杏子、鮭、キノコ類はカリウムが豊富で、塩を食べなくするよりもこうした食品を取り入れるほうがずっと簡単です。」
比較までに、1985年にThe New England Journal of Medicineに掲載された記事「旧石器時代の栄養」によると、私たちの祖先は1日にカリウムを11,000 mg、ナトリウムを700 mg食べていました。つまりカリウムがナトリウムの約16倍に匹敵していたのです。
対照的に標準的アメリカの食生活では毎日のカリウム摂取量が約2,500 mg、ナトリウムは3,600 mgに及んでいます。
研究者らはカリウムの平均摂取量を1日推奨値4,700 mgまで引き上げれば全人口で見て血圧を約1.7~3.2 mm Hg下げられそうだということも見極めています。
研究者らが示唆するところでは、こうした減少はアメリカ人が1日の塩分を4 g減らすと達成できそうだそうです。だからといって当然のことながら加工塩なら特に、塩なら何でもよいといっているのではありません。
日常的に低カリウムで精製塩を多く含むことがよく知られる加工食品を食べていればナトリウム対カリウム比は簡単にアンバランスします。
カリウムをじゅうぶんに摂ることは単に健康な血圧を維持するだけのためではなく、脳卒中のリスクも下げます(このことは高血圧こそ心臓発作の主な原因なので当然です)。
高血圧がなく最も多くのカリウム (約3,200 mg/日)を摂っている女性が脳卒中リスクが21%低いことが研究からわかっています。
また、最も多くカリウムを摂っている女性が最も少なくしか摂っていない女性より、脳卒中に12%罹りにく、その研究期間に12%死亡率が下がっていることもわかりました。 その研究主任によると次のように説明されています:
「カリウムは脳内の血管機能を改善する役割を演じている。このため脳細胞の酸素供給が促進され、脳への酸素欠乏による組織の死を阻止できる。… カリウム消費が脳卒中リスク低減に及ぼす効果はこの研究では追跡しなかったが食生活の改善によるものとみられる。」
別の研究でもカリウム摂取を1000mg/日だけ増やすと、脳卒中リスクが11%下がっています。「食事で摂るカリウムは脳卒中でも特に虚血性脳梗塞のリスクと逆比例関係にある」
と研究者らは説明しています。(最もよく起きるタイプの卒中である虚血性脳梗塞は脳に血液を送る血管の閉塞によって起きます。)
栄養素は通常はサプリメントではなく食品から摂るようにするほうがよく、カリウムの場合特にこのことはいえています。フルーツや野菜に含まれるカリウムはクエン酸カリウムかリンゴ酸カリウムですが、サプリのほうは塩化カリウムです。
食品特に農産物に含まれるカリウムのクエン酸塩、リンゴ酸塩その他の化合物は体内のアルカリ生産を促し、骨の健康を促進し、老化に従って無駄のない筋肉質量を維持するのにもよいのです。タフト大学の研究者Dr.ベス・ドーソン・ヒューズ氏がNutrition Actionで次のように説明しています:
「平均的なアメリカの食事で摂る穀類やたんぱく質による酸による負荷を相殺するための適量なアルカリがないとカルシウムが尿へ出てしまい骨を減らします…
容易に排泄可能な量を超す酸が体内にあると、細胞が酸をアルカリで中和する必要があるという信号を受け、… 大量のアルカリを備蓄している骨が体内にアルカリを供給して減るわけです。」
この骨損失が脆い骨やそのうち骨粗鬆症にまで及びます。フルーツや野菜のカリウムは骨の健康を増進しますが、サプリメントの塩化カリウムではこうした効果が得られません。
ドーソン・ヒューズ氏の研究対象の人は正味酸排泄量に関して中性的領域にあることが判明しました。すなわち、骨と筋肉の健康のためにとても健康的なバランスが維持されており、穀類5.5に対してフルーツと野菜を8の割合だけ食べていることがわかりました。
これを総括したところ、穀類はフルーツと野菜の約半分摂っていたことがわかりました。多くのアメリカ人によって酸を減らしてアルカリ(つまりカリウム)を増やすための簡素な推奨として野菜をもっと食べ穀類を減らすことです。
カリウムは高血圧も脳卒中リスクも下げる心臓の健康にとってのスーパースターです。心臓病リスクを下げるためにも有用です。メリーランド大学のメディカルセンターによると:
「ナトリウム/カリウム比が高いと心臓病リスクやあらゆる原因による死亡率が高いことが研究からわかっています。他の研究でも適度なカリウム濃度がある心臓発作患者のほうが死亡する確率が低いことがわかっています。」
すでにご説明した通り、カリウムが豊富な食事は特に高齢の女性にとっては骨の健康によく、骨粗鬆症リスクがおそらくさがります。
低カリウムの症状には虚弱体質、体力欠如、筋肉痙攣、胃の不調、不整脈、心電図の異常が含まれます。カリウム濃度がどれくらいあるか知りたければ医者に血液検査を依頼するとよいです。
加工食品を多く食べ、野菜が少ない人はナトリウム/カリウム比が不均衡になっている可能性が高いです。よくわからなければ、My Fitness Palといった無料のアプリをお試しください。このアプリには食べる食品を入力すると比率が自動的に計算されます。
カリウムはナトリウムの5倍は摂るのが概して薦められますが、大部分のアメリカ人はナトリウムをカリウムの2倍は摂っています。もしあなたの比率が不均衡に陥っていれば…
カリウムサプリメントをナトリウム/カリウムのアンバランスを補正するために摂ることはお勧めしません。そうではなく、単に食生活を変えるだけでより多くのカリウムが豊富な自然食品を取り入れるのが最適です。
緑野菜のジュースは一杯に300~400 mgのカリウムを含み、最適な健康のために十分な栄養素が得られます。その他のカリウム豊富な食品:
その他のカリウム豊富なフルーツと野菜:
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