レジスタンスバンド運動をマスターするには

レジスタンスバンド運動

早分かり -

  • レジスタンスバンドはウェートやレジスタンス機器を使わずに全身の運動になるので人気があり、自宅でも旅行中でも職場でさえ使えます
  • 強度トレーニングは新陳代謝率を高め、転びにくくなり、自律性を維持し、気落ちや不安のリスクを軽くするので大切です
  • レジスタンスバンドは柔軟で、ウォームアップにも、また強度トレーニングとしても、さらに関節を圧縮せずに活性化できる大小の筋肉数が増えるので有用です
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Dr. Mercolaより

よくジムに行ったり物理療法士を訪れるとレジスタンスバンドというのをご覧になったことがあると思います。レジスタンスバンドでウェートやレジスタンス機器を使わない全身運動ができます。

特に負傷から回復中にはとても有用です。しかしメリットはリハビリのほかにもっとあります。レジスタンスバンドならほぼどんな種類の強度トレーニング — チェストプレス、ローリング、ショルダープレス、フレンチプレス、スクワット — も行え、簡素な弾力性バンドがあればできます。

レジスタンスバンドは安価で保管し易く旅行中でも運動するのに最適なツールです。強力な薄手のゴム製で形やサイズは様々あり、異なる抵抗から選べるので力がつくに連れきつくしていくことができます。

バンドはフィットネスやスポーツ競技業界では新しいものではありませんが、効果を上げるにはこの器具は計画性をもって開始してください。実績を出し怪我を予防するためのトレーニング実施計画書を開発したジョン・ルーシン氏によるお勧めをご紹介します。

効果が上がるトレーニングや強度トレーニングに全面的応用が効くバンド

強度トレーニングは筋肉と骨の強度をつけ転びにくくなり骨折を予防できるので、全体的に健全な状態や健康のために欠かせないものです。

また、細胞の成長、拡散、分化を促す成長因子の分泌もよくします。筋肉を鍛えると頭にもよい理由がここにもあることを理解しやすい事実として、成長因子の中にもニューロンを長生きさせるものがあります。

強度トレーニングは体脂肪の減少、インスリン感受性の改善、メタボリックシンドロームのリスク軽減、さらに心臓血管の健康改善によいです。

こうれらの要因が生活の質をよくし、日常活動を行う能力を改善します。加齢にともなって自律性を維持し続けられるようになり、背痛、関節炎や気分の落ち込みといったような慢性的異常の症状を軽減します。

こうした簡単なバンドでも多くの動作や筋肉を鍛えられるので結果がよくなり、強度や全身の健康もよくなるので、自分でできることの範囲が広まります。バンドは柔軟性を増し、体力と強度をつけ、体幹筋肉を個別に機能させるのに役立ちます。こうした要因のそれぞれが行動範囲やバランス感覚、敏捷性、調整能力を高めます。

単純で便利なものですがレジスタンスバンドなら固定的ウェートとは違うトレーニングの刺激を筋肉に与えられます。

バンドが伸びると抵抗力が増すので効果的です。結局各動作の終点に着く頃は抵抗力がさらに増しているのに対抗してがんばらなければならないので、力をつけ、異なるしかたで筋肉に照準を絞り、機能的筋肉の動作をよくするのにも役立ちます。

レジスタンスバンドを正しく使えば動作の終点で動きを遅くしていくことができ、このため負傷から関節を保護できます。

この方法だと動作を一貫して一定の抵抗力が掛る従来のダンベルやバーベルで運動するのとは全く違う運動が可能です。レジスタンスバンドは動作の速さを変えやすく、筋肉の適合能力がさらによくなります。

筋肉以外にも作用するバンド

バンドなら重力のままにしか落下しないウェートでは起きそうな負傷のリスクがなく、機能的強度をよくするのに役立ちます。レジスタンスバンドは4つの平面で動かすことが可能なので、活性化させる筋肉やニューロンの数が増えます。

レジスタンスバンド 運動の際に使用する筋力の方向と量が異なるため、関節や筋肉の同じ動作パターンや方向で反復応力が掛かりません。このことは頻繁に運動する際は留意すべきことですが、関節炎などの関節の既往症がある場合には重要なことです。

レジスタンスバンドなら予定や場所を柔軟に選べるので、フィットネスの日常的内容を創造的に自分で構成することができます。ランチタイムに10分しか時間をとれなくてもレジスタンスバンドを使って数分の上体や下半身の運動をすることはできます。

ほぼどの瞬間でもバンドで筋肉へのテンションを高めるように再現でき、自分のニーズに応じて無数の運動のしかたが可能で、強度と行動能力がよくなります。

レジスタンスバンドは感覚間統合や筋肉運動の計画能力に問題がある子供を処置するために作業療法セラピストがよく使っています。学習障害、注意力欠如、行動上の問題さらに感情や感覚の過負荷を受けている子供はよく筋肉の動きを必要としています。

レジスタンスバンドは持ち運びが便利なので子供は神経連絡、体幹強化、感覚間統合、筋肉運動の計画性を養うために応用できます。こうしたツールは以上の問題を持つ子供のための作業療法には定番の要素になりました。

バンドで運動の初めから終わりまで拡充できる

どんな運動を始めようとしているのかを問わず、レジスタンスバンドは 筋肉のウォームアップのために優れるツールです。バンドを大きい球関節(股関節、肩関節)のダイナミックなウォームアップに使用すると、軽い抵抗力に対して作用させつつ筋肉もウォームアップできるという一石二鳥の効果があります。

臀部のウォームアップにはルーシン氏がレジスタンスバンドを膝のすぐ上かくるぶしのそばに当てて横ステップを行うのが効果があると勧めています。ヒップを少し後ろへ曲げて膝は少し前へ出た状態でカニ歩きするとバンドの抵抗力を受けます。

肩のウォームアップにはルーシン氏が3種類の動作を1種類の動作当たり8~12回反復して行う方法を勧めています。最初の動作は、体の前に両手でバンドを肩幅より少し広めに持ち、両脚の前でバンドを伸ばします。両手を頭上へ上げて後ろまで伸ばし、逆方向に動かし、両腕を上げて体の前へ戻します。

2番目は、バンドをほぼ肩の高さの固定された物に引っ掛けます。バンドが伸びるように十分そこから離れて立ち、肩の高さで両手で自分の方へ引き寄せ、両腕をゆっくり前へ伸ばしながら張りを緩めます。

最後に肩のウォームアップですが、これは肩幅よりわずかに広く両手でバンドを持ち、両腕を前に伸ばします。両腕をそれぞれの方向へ開いて体の少し後ろまでバンドを伸ばし、このときバンドの抵抗力に対抗しながら動かします。

以上は臀部と肩のウォームアップですが、仕事の休憩時間に5~10分だけでも行うと循環も動作も終日よくなります。レジスタンスバンドを使って強度と体力をつけるもう一つのよく使われている方法です。バンドを伸ばせば伸ばすほど、筋肉にさらに大きい抵抗力が掛ります。運動の実演は下のビデオをご覧ください。

その他、レジスタンスバンドなら戻すときつまり偏心段階(身体が元の位置に戻る動作)も加速させることができます。ただこの動作は潜在的に関節への応力が増えるので怪我しないように気を着けましょう。ルーシン氏のお勧めによると2~3週間バンドでリフトしたら2~3週間休むと効果が最大化されリスクを最小化します。

(英語版のみ)

異なる種類のバンドで異なる機能

フラットバンド

フラットバンドには2種類あります。治療用は通常の場合物理療法士や作業療法士がリハビリ運動に使用します。これらのバンドは幅が広く、一本の平ら、端にハンドルがなく、長さ約1.2mなので両手でつかんで利用します。

フィットループバンドは平らで幅約12cm長さ約66cmほどなので治療用に似ていますが、輪になっています。この手のレジスタンスバンドはルーシン氏の説明によるダイナミックウォームアップで使用するのと同じカニ歩き等の下肢の動作に最適です。

チューブバンド

チューブバンドには数種類あるので異なる運動方法が可能です。コンパクトバンドは管状で長さが約1.2mあり、普通は両端にハンドルが取り付けられています。8の字バンドはプラスチックチューブが中央にあり、両端に2つの硬いハンドルがあります。

リングバンドは円周が約30cmで輪の両端にそれぞれ一個ずつ柔らかいハンドルが取り付けられている連続したチューブバンドです。ラテラルレジスタンスバンドはチューブになった弾力性のある素材からなる一本物で両端合わせて2個のベルクロカフスがありこれを足首に止め、下腿の運動をします。目的はヒップと腿の筋肉です。

日常の運動に取り込む価値がある動作

上腕三頭筋サーキット

バンドを脚の下に通して手のひらを上にしてハンドルを握り、座った姿勢から始めます。両肩を後ろに引いたままハンドルを胸へ引き上げます。この動作は動きを中央で上下させたり、ハンドルを両手で胸か中央に保持した状態にして変化をつけられます。バンドを両足の下に掛けて肩を引き膝を少し曲げ、二頭筋カールを行うこともできます。

バンドを胸まで引き上げ開始位置へ戻ります。等尺で保持し上下させる変化も立ちながらつけることができます。もう一つのやり方として、立ってお尻を少し曲げた状態から始め、手を反対側の肩まで引き上げ、胸の上で交差するようにします。上達につれ両方のハンドルを片手で握り、片腕二頭筋カールを行うこともできます。

バンド抵抗式腕立て伏せ

チューブバンドを肩の後ろから背中を回しわきの下に通します。膝を曲げた格好で腕立て伏せの姿勢になりバンドを両手の下に通します。腕立て伏せする間バンドの抵抗力を感じます。力がついてきたらこれを普通の腕立て伏せで行います。

リバースフライ

立った姿勢でバンド(ハンドルではなく)を掌が下向きの状態で持ち、バンドを肩の高さで両側へ引きます。力が付くにつれて抵抗力を増やす場合、バンドを手に巻いて両手の間隔を狭くしていきます。この運動は中央で動作を左右に反復するとか伸ばしきったときに10秒そのまま持ちこたえるようにするとつらい運動ができます。

バックエクステンション

これは起立筋の運動で姿勢をよくするため体幹筋肉を鍛えます。足の下にバンドを通し掌を上に向けてハンドルを握り、ハンドルを肩まで上げます。肩を引いたまま背筋を伸ばし、おじぎし、腹筋を引き締めたまま体を起こします。この過程で背中と体幹に抵抗を感じます。

ショルダーサーキット

足の下に通したバンドを持って立ちます。肩を引いた状態で掌は下向きで持ち、膝を軽く曲げ、肘は伸ばしておきます。量てを肩の高さまでまっすぐなまま体の前へ上げてゆっくりと下げます。頭上プレスでは同じ姿勢から始めますが両手は体の側面にします。両手を頭上へまっすぐ上げます。

片腕ショルダーサーキット

バンドを肩の高さの固定された物に引っ掛けて始めます。ハンドルを右手で握り、掌を下向きにし、体を腕の半分の長さだけバンドのアンカーの左に寄せ、肘が90°曲がるまでハンドルを自分の方へ引きます。次に腕の「L」位置のまま回して手を上げ下げし、体の前位置に戻しますが、このとき腕を体の側面に着けたままにします。これで1回反復分に当たります。

次に、ハンドルを右手に持ったまま右脚を後ろへ引き、ハンドルを肩へ引き、掌が下を向いた状態で高い位置で漕ぐ位置にし、手を肩の高さに維持します。次に手を回し親指が立つ格好にし、掌が体側へ向くようにします。ここから手を体へ向かって引くと低い位置で漕ぐ姿勢になります。肘を曲げた状態です。肘は手を腰へ引くに従い体の後ろへ回ります。

レッグサーキット

バンドを使ったルンゲをするため、膝を軽く曲げてバンドを左足の下へ引き寄せ、肩を引き、腹筋を引き締めます。バンドのハンドルを掌が体に向くかたちで顎へ引き、右足を後ろへ引き、両膝を90°曲げます。ここから開始位置へ戻り、反復します。右足下へバンドを替えて反対側も同じように反復します。

次にバンドを肩幅に開いた両足の下に通してスクワットを準備します。ハンドルを掌を体側へ向けて握り、両手を肩まで上げます。スクワット位置まで下げ、 椅子に座るような恰好にヒップを後ろへ回します。膝はつま先より後ろの位置に維持します。これを上げ下げすると1回の反復に当たります。

フレンチプレス

椅子かベンチに腰掛け、バンドの中央を大臀筋の下に合わせます。両手でハンドルを持ち、両腕を上へ伸ばし、肘を曲げ、両手が首の後ろへ来るようにします。両手の掌を上へ向けたまま、両腕を完全に伸びるまで真っすぐ伸ばします。両腕を下げて反復します。