ヒカマ(ヤム豆)は何のためによいのか?

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ヒカマ(クズイモ)

メキシコ半島が原産の丸い電球型の根菜、ヒカマ (スペイン語でjicama)は蔓状植物なので蔓で育ちます。

このあまり知られていない塊茎は中米、カリブ海諸国、アンデス山系、さらに南アジアの亜熱帯で育ち、これらの地域では重宝されているだけではなくとても柔軟に使える食材です。

質感はカブ、味はリンゴに似ているヒカマは確かにそのしゃきっとした白く質量感豊かな肉からして「メキシコ水栗」とか「メキシコヤム豆」というあだ名もついているのは納得できます。

ヤムの表皮は食べれますが、ヒカマの表皮は分厚く硬く、食べる気しない外観なのに加え、蔓や葉と同様に ロテノンという自然毒素とも考えられています。

スーパーマーケットにヒカマがあれば、硬くころっとした塊茎を選び、4週間涼しい暗い場所に保管してから冷蔵庫に入れ、切ります。

しかしあまり長く保管しているとでんぷんが砂糖に替わります。じゃがいもと同じように洗います。頭と底をスライスして取り去り、平らな面にし、表皮はじょうぶな皮むきナイフで面ごとに切るようにすぱすぱとさばきます。

ヒカマはぶつ切り、角切り、スライス、細い千切り、生でも料理しても柔軟に食べれるもので、炒め物、サラダ、スロー、スープに他の野菜やオレンジ、リンゴ、ニンジン、玉ねぎさらに肉や魚介類と混ぜて食べるととてもおいしいです。

メキシコ料理ではヒカマの薄切りにチリの粉(日本なら七味唐辛子でいい)、塩やライムジュースをかけて食べるそうです。

ヒカマの健康メリット

低カロリーでも数種類の必須栄養素が豊富なヒカマはでんぷん成分に注意すべきです。

1回の食事分で繊維質の一日必須量の1/4を得られます。繊維質といっても単なる普通のものではなく - ヒカマの繊維質にはカロリー0であり体内で代謝されるオリゴ糖イヌリンがふんだんに含まれています。フルクタンの一種であるイヌリンは食品からカルシウムの吸収を促すので骨の健康によく、骨粗鬆症を防止します。

イヌリンには小腸内でプレバイオティックな機能すなわち「善玉」菌の増殖を促すので、健康的な大腸とバランスのとれた免疫力を維持できます。血糖インデックスがとても低いヒカマは糖尿病患者のためにとてもよく、低カロリーなので減量したい人のために最適です。

ヒカマは繊維質とビタミンCの豊富な摂取源でもあり - 44%の一日必要量を1回の食事でカバー - さらに強力な抗酸化剤なのでフリーラジカルを中和してがんや炎症、ウィルス性の咳、風邪や感染から守ります。

このミニパワーハウスには健康によいほど豊富なカリウムがあるほか、心臓の健康を促します。これはカリウムが豊富な野菜や果物は心臓病のリスクを下げるからです。

 ヒカマには葉酸、リボフラビン、ピリドキシン、パントテン酸、チアミンなどの必須ビタミンやマグネシウム、銅、鉄、マンガンといったミネラルを含みます。但し炭水化物が多いのでじゃがいも同様に節度を考えて食べてください。

ヒカマの栄養成分

分量:100g、生
  量1回の食事相当分 充足度(%)*

カロリー

38
 

     脂肪によるカロリー

1
 

総脂質

0 g
0%

    飽和脂肪酸

0 g
0%

    トランス脂肪酸

 
 

コレステロール

0 mg
0%

ナトリウム

4 mg
0%

総炭水化物

9 g
3%

    食物繊維

5 g
20%

    糖分

2 g
 

タンパク質

1 g
 
 

ビタミンA

0%

ビタミンC

34%

カルシウム

1%

鉄分

3%
*一日2,000カロリーの食事に対する充足度(%)。摂取カロリーによって一日必要量の充足度は上下する場合があります。

ヒカマに関する研究

2005年にBritish Journal of Nutritionに掲載されたある研究によると、ヒカマ等のイヌリンが豊富な食材は数種類の経路によって大腸がんリスクを下げるそうです。この経路とは腸内での発がん物質による毒性の影響や毒素との接触を削減することのほか、大腸がんの増殖と転移を阻害することがあります。

研究によるとイヌリン型のフルクタンはがん発生初期に投与すると直腸結腸がんの発生確率を下げるそうです。

ヒカマのヘルシーなレシピ:

ヒカマ スロー

ヒカマ スロー

材料 :

  • 搾りたてのライムジューステーブルスプーン3杯
  • テーブルスプーン2杯のココナッツオイル
  • 砂糖ティースプーン2杯
  • ¾ ティースプーン 塩
  • ¼ ティースプーン 黒コショウ
  • 約1kgのヒカマ、皮をむいて細く千切り(8カップ)
  • 中玉紫タマネギ1個、みじん切り
  • 1/3カップ 新鮮なシラントロのみじん切り

手順:

  1. ライムジュース、オイル、砂糖、塩、コショウを大きいボウルに入れてよく混ぜます。ヒカマ、タマネギ、シラントロを加えてよく振ります。簡単に手早くできて高栄養価!

ヒカマのおもしろい事実

ヒカマの種を24時間水でふやかしてから最初はお望みなら室内で植え、次に霜が降りなくなったら屋外に移します。良質の根を作るにはとても水はけがいい土壌、豊富な光、少なくとも温暖な気温が9か月必要です。

若い草が約8cmになる頃までは土壌を湿らせておき、(豆科なので)巻きついて這い上がれるようにトレリスを立ててやります。根を育て直径も太くしたいので花がつきはじめたら摘みます。

ヒカマのなかには9-10kgほどにも育つものがありますが、2.5kgくらいのものを収穫するのが最適です。

まとめ

多くの野菜や果物は知られている反面、あまり知られていないものもありますが、それは優れる食材ではないからということではなく、単に身近でないだけのことです。その典型的な点として、ヒカマの場合熱帯でよく育ちます。

その他の食材と同じようにヒカマはとても調理しやすく、薄切りでも、焼いても、細く千切りにしてサラダにしたり、 いため物、スープさらに他の野菜や果物と混ぜたり、甘味やでんぷんの質感を添えることもできます。表皮などは毒があるので、根だけ食べてください。

ヒカマはでんぷんが多いです。ヒカマに関わる最もおもしろい健康へのメリットはイヌリンを含むことで、これは研究が示す通り変形性関節症を予防し、直腸結腸がんの特に初期に摂取するとよい効果があることはわかています。これまで見過ごされてきましたが最近ではこの根についての研究が増え続けています。

まだヒカマを食べたことがない方は、両得の野菜ですから、減量を本気で考えているならこれがお気に入りになるかもしれません。