Dr. Mercolaより
ナンキンムシは人間の血を好む血液のみを餌にしている寄生虫です。リンゴの種ほどの大きさですが、血を吸った後は膨らみ赤っぽくなります。
不愉快なもので繁殖率が高くアレルギー反応につながりますが、病気を媒介する確率は低いです。
ナンキンムシは夜行性であるほうが多く、吸血鬼のように夜活動し、睡眠中の人間や動物の血液を餌にしています。刺すと最初に鎮痛剤を注入するので刺されても気づきません。「食事」が済むとコロニーへ戻って休憩する虫です。
ナンキンムシは現在北米に蔓延しており、米国全州で検出され、汚れた洗濯物の臭いに引きつけられますが、この虫に汚染されているからといって自宅が不潔だとは限りません。5スターリゾートからクルーズ船、図書館、学校、日中介護・保育施設等至る所で見つかっています。
ナンキンムシは数か月も栄養を採らずに生き残りますが、数日に一回は食餌を摂ることを好みます。興味をそそる事実としては人や動物の睡眠範囲から約1.8m以内に隠れており血を吸います。日中は隠れていて、ふとんの縫い目、ベッドフレーム、ベッドノヘッドボード、壁紙の裏によく潜んでおり、この小さい虫はベッドの中で頻繁に刺し、フンを残す習性があります。
ナンキンムシは個人別に影響が異なります。かまれたときの応答が出るにはアレルギー反応が出ることが必要なので、アレルギーがなければ自宅にナンキンムシがいることさえ気づきません。アレルギーの人はときどき掻きむしってしまい、二次的皮膚感染にまで至ります。
刺された跡は大きくなるまで14日もかかることがあるので、他の兆候を探すとよいです。これには脱皮後の抜け殻、ふとんやシーツの折り目、縫い目にいる成虫やフン、マットレスや近辺の家具にあるさび色をした血液の染みが挙げられます。
刺された跡は蚊や虱等他の虫とは異なります。領域が若干腫れ、赤く、かゆみや炎症をともなうこともあります。刺された跡は無作為で、直線になって表れることもあります。
通年この虫に汚染されたことを発見できますが、夏季は多くの人が旅行に出るのでこの時期にピークに達する傾向があります。
ナンキンムシは危険というより不愉快の元ですが、深い心理的苦痛も残すことがあります。あるケーススタディーでアパートの自宅がナンキンムシに巣くわれたのを理由に自殺した女性さえいます。研究者たちは、次のように結論しました。「ナンキンムシの汚染は結局人を自殺にまで追い込んだマイナスの心理的状態をもたらしたものと考えられる。」
ナンキンムシが自宅にいる他の人々の場合、不安、睡眠妨害、金銭的貧窮、情緒不安定、妄想的行動等の問題を報告するケースも余計に増える傾向がありました。ナンキンムシが巣くったた後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)も報告されたことがあります。
心理的問題に折り重なるものがナンキンムシは不潔にしている証拠という誤った汚名です。
現在ではナンキンムシが皮膚や呼吸系の症状を引き起こすほど大量のヒスタミンを分泌することが研究でわかっています。ナンキンムシが巣くうことの長期的影響にはフンに含まれるヒスタミンと関連しているようです。ヒスタミンはアレルギーに反応して分泌される体内で自然に発生する化学物質です。
しかし、体外にあるヒスタミンと接触すると発疹から呼吸障害まで様々な健康の異常につながります。ヒスタミンが過度に多いと不安障害やうつ状態とも関連しています。
害虫や害獣がいないがナンキンムシに汚染された家を調査した研究者らは、ヒスタミン濃度がナンキンムシに汚染された家では顕著に高いことを報告しています。
ナンキンムシを退治した後も大量のヒスタミンは数か月も残留していました。研究者らはナンキンムシを駆除するために熱処理した家を分析しましたが、ヒスタミンが高温にも耐える物質であることを発見し、アパートから害虫が駆除されてから何か月もヒスタミンの量が多いままだったそうです。
その処置は虫を殺すためには効果的な手段ですが、研究者の考えでは熱風が吹き込まれたためにフンが舞い上がり、汚染されたマットレスからヒスタミンが分散したようです。
カナダの研究者が行った初期研究では、ヒスタミンはナンキンムシが他の仲間に知らせるために分泌しており、特に餌食の近辺の隙間に痕跡を残すことに注目しました。この事実を把握したうえで昆虫学者ザシャリー・デヴリースPh.D.が健康の異常は体外のヒスタミンに接触することで生じるのかどうか検討しました。
同氏のチームは汚染されたアパートでは平均して埃100 mgにヒスタミンが54 mgあることを発見しました。比較した家の中の埃の量が同じだった一方、汚染された家ではヒスタミンの量が著しく高かったのです。健康への影響は現在まで不明です。デヴリースのチームは次の結論に達しました:
「注目すべきこととしては、ナンキンムシに汚染された家で回収した埃の中のヒスタミン濃度は農地の藁の中より50倍も高かった。
その高濃度であること、長期残留すること、睡眠中の人間の近辺に存在することからして、ナンキンムシが残すヒスタミンは新興の汚染物質であり、屋内環境では重大な健康リスクである。ヒスタミンは気管支や皮膚の刺激剤として利用されるが、アレルギー疾患での環境リスク要因とはほとんど考えられていない。」
メスのナンキンムシは生涯に数百の卵を産みます。平均寿命は10か月から1年で、この間異なる成長段階を経て成虫になります。
寄生できる人間や動物に着くと、速く成長して1か月で成虫になることもあります。適切な宿主を嗅ぎつけるため、ナンキンムシは様々な周囲状況、臭い、温度変化を検知します。ナンキンムシは自宅やホテルの部屋の中で外気温の変動から守られているので通年生存できますが、夏に最も活発になります。
夏は多くの人が旅行しホテルに泊まるので、この虫による汚染件数は多くなります。イギリスのシェフィールド大学の研究者は適切な宿主がいないときナンキンムシがどんな行動をするのかについて研究しました。
ある小規模研究では、研究者らは清潔な衣服を入れたバッグと数時間着た衣類を入れたバッグに近づけたときのナンキンムシの動きを分析しました。人の呼吸を刺激するために部屋のうち一室に二酸化炭素を常に送り込みました。
研究者は二酸化炭素を入れた部屋のナンキンムシはより活発に宿主を探す動きを示すことを発見しました。驚くべきことに、一回着た衣類を入れたバッグのある部屋の虫も活発になり、衣類に引きつけられているようでした。研究者はこの寄生虫の人間の体臭を検知する能力が蔓延に一役買っていると推量し、人間に着いたまま旅行先へ移動しなくなるようにするためのカギが潜んでいるの葉ではないかとかんがえました。
ナンキンムシが世界に蔓延した経路の一つは汚れた洗濯物のバッグに乗ってホテルからホテルへ移動してついに家に至ったものです。この研究は汚れた洗濯物を気密な容器にいれておくとこの寄生ヒッチハイカーがあなたといっしょに自宅までついていかなくなることを証明しました。不幸なことに2~3匹のナンキンムシだけで数か月のうちに自宅に蔓延するには十分であることです。
この短編ビデオでナンキンムシを自宅やホテルで検出する簡単な方法をご紹介しています。旅行中はこの小さい生き物を自宅へ持ち帰らないように気をよく配ることが大切です。
到着したらまずかばんを開かないことです。きれいなバスタブか客室にあるはずの荷物置き佣のラックに置きます。クレジットカードかフラッシュライトでその部屋に住み着いたナンキンムシがいれば探せられます。フラッシュライトを持参していなければ、スマホにランプアプリをインストールします。まず枕から始め、枕カバーをめくり、縫い目に小さい玉子、虫、フンがないか探します。
シーツとベッドカバーを剥がし、それとわかるほどの染みとか生きた虫がふとんの折り目や縫い目にいないか探します。ふとんやボックススプリング(ベッドの下にあるばね入りの台(あれば))にある小さい通気口の辺りを探し、一か所だけではなく、4コーナー全てをよく見てください。
家具の下も探すことをお忘れなく — シート部分を加工した椅子や、ボックススプリング、ナイトスタンド — を調べ、ヘッドボードそしてカーテンもよく探します。こういった所に虫が次の餌にありつくのを待ち構えて隠れていることがあります。ナンキンムシを見つけたら、荷物を持ってその部屋を直ちに出てください。
翌朝にもお決まりの基本的点検を行うのはよい考えです。ナンキンムシが刺した後は必ずと言っていいほどあるシーツに着いた小さい赤い血液の染みを探します。その前夜見つからなかった場合でも、翌朝よく注意し、虫が自分といっしょに帰宅することのないようにご注意ください。
ナンキンムシは訪問客のコートや衣服、機器類の修理スタッフの衣服に着いて自宅に入ることもあります。旅行に出なかったときでも、定期的に自宅を検査するのはよい習慣です。
虫はすぐにいなくなって欲しいものですが、自宅で標準的な殺虫剤を使用する前に注意すべきことがあります。米国の国立殺虫剤情報センター(NPIC)によるナンキンムシの殺虫剤により軽度から重篤な副作用が激増しているという報告があります。
毎年問い合わせが増え続けており、そのうち7%は殺虫剤との接触、漏れや使用ミスについてでした。多くの症例において副作用はベッドリネン類の長期使用や換気の不備と関連していました。
米国の国立殺虫剤情報センター(NPIC)は、ナンキンムシがよく使用されている殺虫剤に抗力をつけたので、虫退治剤や噴霧器が効かなくなったと報告しています。毎年、自宅や商業施設の管理のためにナンキンムシの処置や殺虫剤による副作用に関して何百件もの電話による問い合わせが来ているとも報告しています。
殺虫剤による日々のスポット処理も虫が抵抗力をつけ有毒薬品と人が接触しやすくなります。
殺虫剤を使用すると、神経系や心臓肺系の症状その他の長期的及び慢性的異常さらに身の回りの環境汚染というリスクを自分で大きくすることになります。殺虫剤を使用せずに巣くったナンキンムシを処置する効果的で安全な方法はあります。
自宅にいるナンキンムシを殺すには熱処理が効果的で安全な方法です。自宅全体や一部を45℃に一時間維持すると成長段階に関わらず全滅します。
熱処理は個々のアイテム別に行うことができ、高温設定のドライヤーで30分衣類を加熱したり、住宅の熱処理専門会社に頼んで部屋全体を処理したりすることができます。
この記事で取り上げた研究の場合、熱処理がナンキンムシと幼虫を殺す効果的方法である一方では、ヒスタミンや抜け殻、フンまでは除去できないのでアレルギー反応につながるおそれがあることを指摘しています。
熱処理すると家具やフロアリングに堆積したヒスタミンとフンを巻き上げ拡散させることにつながります。このため自宅の熱処理が完了してから、 ヒスタミン、抜け殻、フンを可能な限り除去するための大掃除と埃の除去を行ってください。
小さいアイテムの場合は-18℃で4日間低温処理する方法もあります。小さいアイテムはバッグに入れて冷凍室に入れておくこともできます。
冷凍室の温度を温度計で測るのを忘れないでください。どんな冷凍室でも-18℃まで下がるとは限らないからです。ナンキンムシ罠ももう一つの方法です。市販されてはいますが、自分で作れる程度のものです。
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