運動してから数時間後でも確実にカロリーを燃やす方法

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規則正しい運動はあとからすればよかったと思ったり「時間を作る」ことができたときに「やるようする」ものであってはなりません。真に健康でいたくないなら話は別です。運動は省略するには大切すぎ不可欠すぎるほどのものです。

日常的に運動していない方は、根本的な健康改善のために知られている最も効果的手段の一つを逃しているのです。高齢になってから始めても運動で老化を遅くでき慢性病や身体障害になる確率が下がり、より健康でスマートかつ敏捷で行動的になり幸せでいられるようになります。

新研究が実証した集中運動の重要性

当然運動はきつい仕事です。ウォーキングなどのマイルドな運動にもある程度のメリットがあることはすでにわかっていますが、大部分の改善は限界まで挑戦することによって得られます。これは運動の「魔法」が真に起きるときなのです。この限界までプッシュすることの美学はマイルドな運動をするよりはるかに僅かな時間で運動すればじゅうぶんである点です。

外へ出て歩くだけ、近所を1~2回歩き回ってその日の運動はおしまいとか僅かなウェートを数回行って動きだけを行って終わりでは、何もしないよりまし以上のものにはなりません。しかしこれでは運動から本来身体が収穫できるメリットがありません(ただし、あまりにも太り過ぎている場合でまず歩き始めるという場合は別です) 。

例えば Medicine & Science in Sports & Exercise誌に掲載された新研究をとりあげてご説明します。その研究の参加者が45分間集中的に運動したところ、運動を通して420カロリー燃えたのに加え、運動後14時間以内にさらに190カロリーすなわち燃やしたカロリー合計に占める割合が37%だったことが発見されました。

さて、本番はこれからです:その研究の参加者である男性は最大VO2(運動中に吸収できる最大酸素量)の70%で運動しました。この程度の運動だとスプリント8運動の強度よりはるかに少ないです。これについては下記に説明しています。その程度の運動でも会話することができないほどの激しい呼吸になります。

このレベルはとてもよい目安になり、運動中に普通に会話できるようでは(高強度運動の間に)、強度が不足している証拠です。

New York Timesが報じたように、 別のしかし同様な研究で最大VO2の50%で運動した参加者の場合は、会話を続けられる程度の強度であり -- 運動後にカロリーはさらに燃えませんでした。つまり運動後にボーナスカロリーを燃やしたいなら、 それだけ十分に集中運動をする必要があり -- 自分の最大限度の70%の後半レベルといった強度で運動するべきなのです。

運動をよりつらくするほど、運動後に燃えるカロリーも多くなるようです。

ヒト成長ホルモンが増える運動の種類は一つしかない

スプリント8等の激しい高強度集中運動は運動後もカロリーが燃え続けるためだけではなく、HGHを多く生産する唯一のタイプの運動でもあります。

上記の研究で行った運動では最大VO2の70%を使用しましたが、スプリント8は最大VO2の100%に近づくほどでも30秒しか行いません。ここに運動の魔法が潜んでいます。45分の運動とは異なりスプリント8はその半分未満の長さしか行わなくても、正しく行えば2倍のメリットがあるようです。

フィル・キャンプベル氏は Ready Set Go(位置についてよーいドン)の著者です。この本は超高速筋線維を使用する運動でHGH濃度を高める方法を説明します。

メキシコのカンクンで私はフィルさんに光栄にも会うことができましたが、そのときこの高強度集中運動テクニックの応用方法を説明して頂きました。文字通りこのおかげで私の体つきと肉体的健康は他の形態の運動では得られないほどよくなり、きっとあなたにもよいはずだと思っています。

ヒト成長ホルモン(HGH)はこのアプローチがそれ程効果的な理由の説明要因です。多くのスポーツ選手は記録を伸ばすためにHGHを毎月注射するため数千ドルも費やしていることを念頭においてください。これは不要なだけではなく、HGH用量を適正に得られないので健康の異常もきたします。体だけ必要なものが何かを知っており、あなたなりのレベルを最適化するフィードバックループを持っています。

さらにこれなら無料です。唯一のコストはそのための時間です。HGHの注射剤を買わなければ年間1万ドル以上を節約できます。

あなたが30歳以上であり特に、ますます座ったライフスタイルになっている方の場合、身体休止状態(加齢に伴う成長ホルモン欠乏)として知られる段階に入っている確率が高いです。HGHレベルが減るにともない、インスリン状の成長因子1 (IGF-1)も減少します。これが加齢をさらに進めます。

スプリント8運動を正しく行えばHGHが増え、このため筋肉がつき、余分な脂肪を効果的に燃やします。この運動はさらに全体的な健康や寿命を伸ばすのにも一役演じています。

HGH生産のために必要な高強度集中運動

HGHを増やすには超高速筋線維を鍛えることが必要で、これは超高速筋にHGH生産への主なインパクトがあるからです。従来の有酸素カーディオや典型的な筋肉トレーニングでは遅筋のみしか鍛えられないことを覚えておいて下さい。

ある 2003年に公表された研究が次のことを発見しました:

「乳酸塩の閾値を超す集中強度運動を10分以上行うとHGHの分泌を最も多く促すようである。」

スプリント8運動を行うとまさにこのことが起きることを後半にご説明します。正しく行った場合、つまりじゅうぶんに集中的に強く行うと、筋肉が「熱くなる」のを感じるはずで、これこそ乳酸が生産されている証です。

もう1本の 2002年に公表されたある研究も「成長ホルモン分泌量の急増と運動の集中強度に比例関係があること」を発見しました。

若い女性の場合、「乳酸閾値を超す強度の集中有酸素トレーニングを日常的に行うと24時間以内に分泌される成長ホルモンの量が2倍増える」そうです。

成長ホルモン(GH)生産に関する最新情報

以前私は超高速筋線維(タイプII B)しか成長ホルモンを分泌させないものと思っていました。これはどうやら間違っていたようです。実際にはタイプ II Aのほうが特に耐久性に優れるので成長ホルモン分泌に最も強く影響します。この筋線維のみが一度に一分の集中運動に 持ち堪えます

オリ・ホフメクラー氏がいかにGHが筋線維によって生産されるかについてのこうした新たな理解をわかりやすく説明した更新情報を次の通り提供しています。

以下の項目を含む短時間の集中強度運動には追加的メリットがあります:

  • 筋線維の質を高める
  • ミトコンドリアの密度を高める
  • グリコジン負荷用量の増加
  • 筋肉による仕事の産出量増加
  • 加齢にともなう神経運動能力減退の逆転
  • 加齢にともなう高速筋線維の損失防止
  • 筋肉量の増加

要点はこれです:この短時間トレーニングなら筋肉のエネルギー利用と消費が改善されます。これは筋肉量の増加と筋線維の質の改善に効果があるからです。筋肉組織が脂肪組織の3~5倍多くエネルギーを燃やすことにご注目ください。つまり筋肉量が増えると身体の代謝率が高まります。

さらに高速筋線維は遅筋線維の2~3倍多いエネルギーを燃やします。この意味は、筋線維の質がよくなると自然と代謝率が高まることです。

しかし但し書きがあります:

超高速筋線維タイプII Bは炭水化物燃料に限られるのです。脂肪をエネルギーに利用することはほとんどできません。また、研究によるとタイプII B筋線維が大きな比率を占める人ほど肥満、糖尿病、心臓血管病のリスクが高いことがわかっています。

その通りで、超高速筋線維が脂肪を利用できないこと自体はデメリットです!

その反面タイプII A筋線維は炭水化物と脂肪ともに効果的に代謝することができます。つまり高速タイプII A筋線維(超高速タイプII B線維ではない)こそ脂肪を燃やすことができ、スマートで強く耐久性のある肉体を作るのに役立っています。

動物実験とHGH/IGF-1インスリン軸に関して重大な混同が存在ます。明らかに動物において高IGF-1は寿命を縮めることがわかっています。ところが人間の場合は高IGF-1が寿命を伸ばすことがわかっています。従ってこの混同は修正しなければなりません。

スプリント8:ほぼ誰でもできる簡素だが集中的強度運動

高強度集中運動は第一印象ほどには引き下がるほどたいへんなものではありません。スプリント8運動はどんなタイプの運動でも -- ウォーキング、ジョギング、バイキング、エリプティカルマシン等諸々の種類 -- 20分で足ります。

その通りです。

私は当初スプリント8にはリカンベントバイクを勧めていましたが、最近私が気に入っているのは腕も使うエリプティカルマシンです。私の場合通常は抵抗レベルを休止区間ではゼロにし、スピード1~2で行いますが、スプリント8のときは強度を半分より若干低めにセットし、30秒間約時速26 kmで走ります。

1時間もカーディオに費やさずに20分程度で限界に達します。

このうち実際の高強度時間は合計4分にしかなりません!さらに、実際にはスプリント8運動を週に3回以上は行わないのがよく、これを超して頻繁に行うと百害あって一利なしになります。

フィル・キャンプベル氏もこれには同感で、過度の運動に対して警告しています。私たちのチームは、週に4回以上これを行っている人はスプリント8運動を十分に限界まで行っていないことがわかりました。

この運動に関してはもっと多くがよりよいことではないのです。過度になりやすいので注意しましょう。

実際に自分のフィットネス目標を達成後はスプリント8を7~10日毎に行うだけでじゅうぶんスマートな身体の質量を最適化し続けられるはずです。しかしそのためのカギを握るのはスプリント8をするときは実際に自分の限界までプッシュすることです。

スプリント8運動を正しく行うコツは鼓動を無酸素閾値まで上げることです。30秒精一杯ふりしぼって取り組み90秒休みます。このサイクルを合計8回繰り返します。別の言い方をするとこうなります:

  1. 3分間はウォームアップを行うこと。
  2. 30秒間できるだけ激しくかつ速く運動を行う。息が切れて、もう数秒も続けられないと感じるはずです。
  3. ペダルをこぎ続けて、リカバーに90秒使います。ただし、ゆっくりとしたペースで抵抗を少なくして行います。
  4. 高強度運動および回復を7回繰り返します

覚えておきたい点として、スプリント8がフィットネスの全体的計画の一部にすぎないことで、この部分を逃してはならないということです。ありきたりのカーディオでは運動を止めるとカロリーも燃えなくなり、HGHの増加という恩恵に恵まれることはありません。

スプリント8なら運動後数時間経ってもさらにカロリーが燃え、HGH濃度も上がります。

スプリント8運動は週に2回、多くて3回まで、毎回20分でじゅうぶんなことを覚えておいてください。フィットネスレベルが改善するにつれ頻度を下げることはできますが、強度は下げないことです。強度を下げると次のようなせっかくの効果が得られなくなります:

  • 体脂肪の減少
  • 筋肉の調子改善
  • 肌にハリを与え、しわを少なくする
  • 活力を与え性欲が増す
  • 運動競技の速度やパフォーマンスが向上
  • 加齢を遅くしテロメアの短縮を遅延する

これだけ効果があるのですから、時間は見つけられるはずです!

+ 出典および参考資料