筋力トレーニングをはしょらないこと

筋力トレーニング

早分かり -

  • 今や不安症と診断される人のほうがうつ状態の人より多くなりました
  • 過去の研究は有酸素運動で不安症やうつの症状を軽減することを証明しましたが、最新研究は高強度筋力トレーニングが情緒面の健康に同じ効果があることを実証しました
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Dr. Mercolaより

不安とうつは相互に関連する精神的健康上の課題です。

不安はストレスへの正常な応答なのですが、これが独り歩きを始めて全身や心を占有するようになると健康に害が出ます。

症状には動悸、筋肉痛、慢性的頭痛、筋肉の緊張が挙げられます。

過去には抑うつ状態の人のほうが他の精神的健康の問題を持つ人よりはるかに多かったのです。2012年の調査で米国国立精神衛生研究所(NIMH)は世界人口の5%がうつ状態であると推計しました。

今や、不安症と診断される人のほうがうつ状態の人よりはるかに多くなりました。大学生の半数以上が不安を感じており、不安ががんより800%も多いのが現状です。

研究者や臨床医は運動や肉体活動で肉体的、精神的健康、認知機能、人生の満足感が改善するとしています。

最近の研究も筋力トレーニングが健康に同じ改善効果を持つことを発見しており、さらにメリットがあることには筋力トレーニングで筋肉の調子、バランスの向上、老化防止効果があることがわかっています。

耐久トレーニングで不安が和らぐ

これまでに公表された16本の研究に関するあるメタ分析は、筋力トレーニングすなわち耐久トレーニングが不安を軽くする効果を評価しました。922人の参加者を耐久トレーニングを行う人と研究期間中何も運動しない人に分けて結果を得ました。

その分析結果によると、耐久トレーニングは参加者が精神的健康障害を持つと診断されたか否かに関わらず、不安症状を軽減したのです。

不安症状が最も減った人は不安関連の肉体的または心理的症状のない人に観察されました。

運動が精神的健康の症状に及ぼしたよい効果を確認した過去の研究はカーディオ運動に基づいていました。

不安障害には種類がある

不安は危険の察知、警戒心を高め、行動を取る心構えをするために欠かせない応答です。

状況しだいで誰でも不安や神経質になります。つまり(正常な)不安は現時点の出来事や状況に応じて生じます。

正常な不安であれば運動と筋力トレーニングで軽減できることは研究によりわかっています。しかし、心理学者は不安障害の人の治療にも運動を取り入れます。実際に薬剤より運動のほうが効果的で、症状は軽くなります。

不安障害は状況への応答としての普通の不安とは異なる、神経質や不安の程度が正常よりはるかに高いより大きなものです。

日常的に運動する人は不安を25%も少なく感じること、運動が沈鬱した気持ちを迅速に高揚させることがいくつもの研究によってわかっています。次の3種類の不安障害は日常的に運動すると和らぎます。.

  • 全般不安症(GAD)数か月間の過度な不安状態の後、筋肉の張り、疲れやすさ、集中力欠如、興奮し易さ、不眠症といったような肉体的症状が出た時にこの異常があると診断されます。
  • 恐慌症。不意にパニック発作が再発し、これには動悸、高度な不安、自制が効かなくなる、震撼、息切れなどの症状がでます。
  • 社会的不安障害。社交恐怖症とも呼ぶもので、人から評価されたり拒絶されるまたは他者を怒らせるのではないかといった自己のパフォーマンスによる不安が特徴です。

筋力トレーニングで若返る

筋力トレーニングのメリットは筋肉の他にも、不安を和らげる効果もあります。筋肉減少症と呼ぶ加齢による骨格筋の自然な減少は起きます。

これこそ高齢者の自立力喪失や機能的衰弱の重要な要因となっています。筋肉減少症は筋肉の強度や筋肉の質量の減退です。ホルモンの変化、神経系の衰弱、貧弱な食事、不活発化がこの老化現象に寄与します。

製薬会社は競って「若さの泉」式の錠剤開発により筋肉の減少を遅くし、健康を改善しようとしますが、加齢による衰弱を防止する標準的で最も安全な方法は運動とよい栄養です。

外出しなくても若返り、筋肉の萎縮を防止するだけの力が人間にはあります。イリーナ・コンボーイ(Irina Conboy) Ph.D.率いる研究者チームは70歳の参加者の筋肉萎縮を逆転できることを実証しました。

筋力トレーニングは重量に耐える運動であり、このため骨粗しょう症リスクも下がります。このトレーニングで加齢による骨盤損傷、手首の骨折、脊椎のカルシウム損失、骨の希薄化を防止できます。

骨盤骨折からの回復はとても大変ですが、骨折の翌年に死亡する確率は58%もあります。骨粗しょう症やその後の骨折治療に掛かる医療支出は2002年の人口統計標本調査によると160億ドルにものぼり、大きな金銭的負担につながります。

耐久トレーニングで筋肉質量と強度が増すに連れ、新陳代謝も促し、減量を維持でき、変形性関節症による関節の損傷を防止することもできます。不活発でいると筋肉が減退し、大きい関節の損傷リスクが高まり、関節炎による変性や疼痛につながります。

耐久トレーニングは心臓血管の健康を促進し、血圧を減らし、2型糖尿病の予防や管理を容易にします。

耐久トレーニングでさらに、脳の灰白質萎縮を軽減し、認知機能にもプラスの効果があります。12週間の運動プログラムを高齢の普段座ってばかりいる婦人について評価した研究では、上体の強度が58%、下肢の強度が68%、認知機能が19%改善されたことを実証しました。

研究者らは日常的筋力トレーニングが上体と下半身、認知能力の有意な改善につながるという結論を得ました。ある研究において、研究者らは高齢者が死に対するより自律性の喪失や老人ホームで終わることのほうにより大きなおそれがあることを発見しました。

耐久トレーニングは老化の兆候を減らし、高齢になっても自律性を維持できる能力を付けます。

高強度トレーニングで筋力トレーニングのメリットをさらに高める

この短編ビデオで私は筋力トレーニングを日常すると健康によいことを説明しています。

耐久トレーニングは運動の間を48時間おいて、筋肉が修復できる余裕を持つことで強くなれるようにすることを忘れないでください。この間を置かないと、筋力トレーニングしてもあまり効果が得られなくなり、むしろ疲れ切ってしまいます。

高強度筋力トレ―ニングは体力をつけ、新陳代謝を改善し、単に強くなるために何としてでも重量を持ち上げようとする普通の耐久トレーニングとは異なります。高強度筋力トレーニングは努力が必要で、筋肉をすぐに疲れさせ、体脂肪を余計燃やすといったよい変化につながります。

高強度耐久トレーニングでは1セット一連の動作をゆっくり行ったり、数分1セットの数セットを休まず一気に行います。鼓動は上がったままで筋肉が回復する隙を与えません。残念ながら高強度トレーニングのメリットは運動している人の90%がいやがります。

高強度筋力トレーニング専門家のDr. ダグ・マクガフ(Doug McGuff)はそのメリットの一つがサイトキン類のマイオキンを分泌させることだと説明します。サイトキン類は一概に脂肪組織から放出され炎症を促すのですが、マイオキンはインスリン感度を高め、グルコースを筋肉が利用しやすくする効果もある抗炎症特性があります。

脂肪細胞を解放して燃焼させるのでサイトキン類を減らします。

マクガフ氏は興味深いことに高強度耐久トレーニングが心臓血管の運動を使う高強度インターバルトレーニング(HIIT) のメリット同様に効果があり、ウェートも使うことから筋肉を発達させ強くする追加的なメリットもあることを発見しました。

HIITのメリットには瞬時にカロリーや脂肪を燃やし、新陳代謝を盛んにし、心筋によく、運動後もカロリーが燃えるのでエネルギーを効果的に消費する効能があるきつい肉体活動であることが含まれます。

高強度筋力トレーニングはさらに深く筋肉を疲れさせるので筋肉づくりのためになり、そのために必要なマイオキン等の新陳代謝成分も作り出す効果があります。マイオキンは抗炎症効果があり、慢性病を予防するためによい効果があります。

運動時間を縮めより多くのメリットを享受する

高強度筋力トレーニングのさらに別の効果はミトコンドリア内部に変化を起こすことです。このミニ発電所は体重をATP (アデノシン三リン酸)のかたちで日常生産しており、プログラムされた細胞死を作動させます。

従来は週に150分軽度の運動を行うことが勧められていました。残念ながらこれほどの時間を取れる人は多くいないのでたいてい運動しなくなります。しかし科学研究のおかげで週に数分の運動でも素晴らしく健康でいられることがわかっています。

週にたった3分の高強度運動が軽度の運動を週に150分するのと同じ効果があることが実証されており、インスリン感受性、心臓血管の健康、ミトコンドリアの内容が改善されます。高強度トレーニングは若返らせるミトコンドリアの生産も促します。加齢によりミトコンドリアの質量は減少し、機能減退につながるのです。

HIITでこのメリットを得るには、 30秒自分の限界で運動し、90秒の間を置き、4~6回行います。

実際に運動している時間は2、3分です。これを週に二回するだけつまり週に6分足らずの運動で150分の軽度な運動のメリットが得られます。健康と長寿のためなら週に6分くらい見つかるはずです。

高強度トレーニングなら最大VO2(筋肉が消費可能な最大酸素量の尺度)もよくなります。VO2 maxが高いほど、耐久力が増えます。一日に2、3回筋力と心臓血管の運動をするだけで同様のメリットを享受しましょう。

この日常お決まりの運動なら普段着のまま道具も要らずどこでもできます。この運動は開発者のDr.ザック・ブッシュ(Zach Bush)が酸化窒素ダンプと呼んでいます。

簡素な動きですが鼓動が増し、他の高強度運動による不安軽減と同じ効果があるうえ、筋肉が生産する酸化窒素も増えます。この穏やかな運動でも心臓血管の健康やミトコンドリア機能をよくし、血圧を下げ、血小板の粘度が下がるので異常な血液凝固のリスクを減らします。

不安を和らげる他の自然な方法

感情開放テクニック(EFT)には不安というかたちで発現する生体電気的短絡を修復する働きがあります。この方法を信じるかに関わらず、副作用もなく、体内回路を修正できます。その方法は5,000年以上の伝統的鍼が応用しているのと同じエネルギー経絡点に基づく一種の点加圧をするものです。

アロマセラピー。エッセンシャルオイルを使い、吸引したり、按摩、消費したりして花や植物エキスの生体活性物質によって肉体的、感情的健康を得ます。オレンジやラベンダーで不安が和らぎ、気分がよくなり、静寂な気質になります。

常時よく注意すること。不安セラピストのジョン・ムーア(John Moore, Ph.D)氏は不安を悪化させる10種類の無意識にする行為や思考があるとしています。これには魔的思考、安心するための魚釣り、薬物依存が含まれます。

感情の調節。体内の物理的変化に関しては、興奮と不安はあまり違いがありません。不安になったら、「興奮している!」と大きく声に出して言い、マイナスな感情をプラスの事に切り替えることをお試しください。ある研究シリーズでは、気持を落ち着けようとした人は、心配のエネルギーをもっとプラスの興奮として見直した人より結果がかんばしくありませんでした。

認知行動療法(CBT)この療法の目指すところは自分の気持ちや環境からの刺激に対する反応を和らげることです。この種の療法は過去の傷や痛みには触れず、現時点の状況と問題のみを対象にします。

このセラピーは一回30~60分のトレーニングにより生活上の問題がある状況や状態を識別し、自分の思考を意識できるようにし、マイナスや不正確な点を見極め、その思考を変えるものです。

+ 出典および参考資料