Dr. Mercolaより
感情が病気の蔓延と同様に人々の間に移るという考えは昔からありました。200年以上前、欧州では自殺が流行しました。
犠牲者の大部分は主人公が自殺するゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読んだことがあります。
The Journal of Memeticsに掲載されたある研究によると、自殺の流行を止めるためその本は数地域では発禁本になりました。同誌によると:
「その本の出版から200年間及びゲーテのこの小説が検閲に引っ掛かって以来、社会科学的研究が、情動、態度、信条、行動は伝染病のように人々の間に広がる場合があるという仮説を大部分確認しました。」
幸いにも、野火のように広がるのはマイナスの感情だけではなく、ポジティブな感情も人に移ります。
誰とつながり、時間を共に過ごすかを選ぶ際は注意すべきです。自分の周りに幸せな人がいると自分が幸せに感じるための鍵だからかもしれないからです。
2,000人を超す中高生を対象にしたある研究で、研究者らは鬱病のスクリーニングとアンケートに基づくデータを分析して社会的変化や気分の変化を見定めました。
予想されている通り、悪いムードの友人がいる学生ほどやはり悪いムードを持つ傾向があり、その反対も言えていました — より幸せな友達がいる学生は彼ら自身も幸せだったのです。
食欲、倦怠感、睡眠等気分の様々な構成要素を評価して、研究者らは結論づけました:
「より悪いムードを持つ友人を持つ思春期の子供ほどムードが悪化する確率が高く、改善の余地がほとんどないこと、よりよいムードを持つ友達がいる人はその逆でした。圧倒的多数のムードの構成要素に関してこのことがあてはまります。」
即ち、あなたが幸せな気分を持っていると友達の気分にメリットがあり、気分が落ち込んでいるときに自分のムードを高めようとすると友達にも伝わり、より快活に感じるということです。
この伝染効果はネガティブな方向へは、鬱病発生率を高めるほどには十分に強くなかったのですが、このことは、過去の研究が、社会的伝染理論は鬱病にまでは及ばないことを発見した理由であるようです。それでも、特定のうつ状態の症状リスクは増加しました。
この点を念頭に置いて、その研究は世界で約3憶人と推定される閾値以下の落ち込みとして知られる状態のティーンズや成人にも関連性が深いです。この研究は、ある人が不満その他落ち込む症状を被っているが、臨床的な鬱病とは通常診断されない程度のときの多くの症例を説明しています。
その研究は閾値以下の落ち込み症状はティーンズの間で社会的に広まることを発見しました:
「思春期の人たちの閾値以下の落ち込み症状のレベルは極めて一般的であることが発見されたので現代の大きな懸念事項になっており、生活の質を下げ、現在の鬱症状には全くなくても後の成人になってからの人生でより大きな鬱病のリスクにつながる。
こうした気分の構成要素が社会的に広がることを把握すると、社会的介入の主な標的は、鬱病リスクを下げるメリットがあるという点で友人関係を増やすようにすることに重点を置いていますが、二義的目的としてはネガティブな気分が広がるのを抑えることとも言えます。」
感情は直接人と合ってもオンラインでも広がることが明らかになっています。一月に推定16憶5000万人が積極的に利用するといわれるソーシャルメディアサイトのフェースブックでは平均50分をユーザーが毎日過ごし、これは公衆衛生のために大きなインパクトがあります。
この場合、ポジティブな気分が人に直接会って伝わるのとは異なり、フェースブックでうろつきまわっているうちに他の人の完璧で幸福な書き込みを見ると落ち込むというものです。
この問題は社会的比較であるようで、自分の人生を他人の人生と比較すると、自分の現状で満足できず、「うちも隣のようにならなくては」という気持ちを起こさせる点にあります。
しかし、ヒューストン大学の研究者らは、上向き、下向き、または中立的等あらゆるタイプの社会的比較がうつ症状につながっている可能性が高いことを発見しました。
デンマークで1,000人を超す対象について行われたある研究からは、「フェースブックが私たちの健全なあり方にネガティブに影響する」ことの因果関係を発見しました。一週間フェースブックサイトから離れたユーザーは遥かに高い人生の満足感と情緒面の改善を報告しました。
こうした改善傾向はフェースブックをしょっちゅう利用していた人や、フェースブックを受動的に利用していた人(このサイトをブラウズするほか特に他者と交流しない)とフェースブックで他者への羨望を表現していた人の間で顕著でした。
イギリスのランカスター大学の研究者らによる別の研究は14カ国からの研究を評価し、フェースブックの利用度と落ちこみ度の関連性を調査しました。フェースブックで他人より自分が劣るという沈思黙考が増大したので、落ち込みは当然の成行であることが発見されました。
同様に、フェースブックへの頻繁な書き込みは沈思黙考や落ち込みの増大に関連していました。精神病的な人格の人と同様、女性のほうがフェースブックを利用したがために男性より落ち込む傾向が強かったのです。さらに、フェースブックのユーザーは次のことを表現していた場合より落ち込みリスクに晒されていました:
2008年に研究者らは幸福な友人から約2km以内に居住する友人が、この20年の研究期間中により幸せになる確率は25%高かったことを発見しました。
幸福な人の隣人は34%という印象的な確率で幸福感が増し、幸せな本人の(8%しか幸福感が増さなかった)配偶者よりも高かったのです。
同様に印象的な事実は、幸福感は社会的つながりを通して3レベルまで、つまり、友達の友達の友達は一人のバラ色の気質から皆がいい影響を受けることです。研究者によると:
「多くの幸せな人に囲まれている人、社会的つながりの中心にいる人物は将来幸せになる可能性が高い。縦断的統計モデルによると、幸福のクラスターは幸福の広がりから生じており、単なる類は友を呼ぶ式の関連を超えたものであることが示されています。
人の幸せは、つながっている他者の幸福度に依存します。この事実は幸福を健康と同じく集合的現象としてとらえることを正当化できます。」
同じことはスポーツチームの選手やオフィスの同僚グループ等の群れの間にも該当します。グループリーダーの気分が残りのメンバーの気分に影響することは実証されています。
リーダーがいいムードだと、グループは調整し合うのを楽しみ、努力しなくてもできる傾向がある研究で明らかとなっており、ネガティブなムードのリーダーを持つグループとは対照的でした。他の同僚の間の不愉快な関係を目撃するだけでも、被雇用者が感情的にやる気なくなるのに十分なこともわかっています。
Psychoneuroendocrinology(精神神経内分泌学の専門誌)に掲載されたある研究は誰かがストレスを受けている状況にあるのを見るだけで、観察者に同情的ストレス応答が発生することが発見されました。
ハーフミラーを通してストレスを受けている参加者(算術の難問を解き、インタビューに応じるよう依頼された)を観察したら、観察者の30%はコルチゾール(ストレスホルモン)の増加というかたちでストレス応答を体験しました。
観察者がストレスを受けている参加者と恋愛関係にある場合、同情ストレス応答はさらに強くなり、40%に達しました。
しかしストレス下にある見知らぬ人を観察した場合でも、観察者の10%が同様にストレス応答を示しました。ストレス応答はハーフミラーを通してその場で観察した場合ばかりではなく、ビデオ転送による場合も同様でした。
ストレスを受けている出来事を伝送して見せた場合でも観察者の約24%にコルチゾールが増加しました。話し手が大きなストレス下にあるまたはストレス状況から回復中であるのをビデオで見た場合でも、観察者の心臓に変化がありました。
「これらのデータは既存の感情的伝染に関する文献を裏付けるものであり、ストレスは精神心理面で伝わるという考え方を支持する」と研究者らは説明しています。さらに、「これらの特定の事実は個人が他者のストレスを検知できることを実証した点で重要であって、明白な文脈依存的ストレスのキュー(すなわち、ストレスを生むような内容の話)が無い場合でもこれが該当しています。さらに、話し手の心臓応答に類似する心臓応答が診られました。」
他人の感情を受け止めることは極めて自然な性質だが、精神的問題のリスク特に精神病質に晒されている人には欠落している性質であることも興味深い点です。例えばある研究では、精神病質のリスクがある少年は誘い笑いが無い傾向があることが判明しています。
ここで有用なメッセージは建設的な幸せな人をより多く自分の周囲に持つほど、感情面の健康も改善する傾向があることです。この事実は子供たちやティーンズにも該当するので、子供の友達がどんな子かによく注意してください。
建設的な人につながることは一見よりそう難しいことではなく、特に、コミュニティーを楽しませたり資する活動に関与すると簡単です。
誰でも最初は赤の他人としてつながりが始まるけれども、身の回りの人と意思疎通をすることに胸襟を開くようにすると人生により有意義な関係を加えることができます — まだ知らない人にもこれは当てはまります。
中立的な第三の事物 - 自分の犬、通勤、天気等 - について会話を始めるとさらに有意義な会話に発展させる必要がある際の導入的な経路になります。
他者を助けるために自分の時間や技能を使う活動にボランティア参加したり取り組むことを検討してみるのも一手です。他者に与えることは幸せに直結しており、グループ活動で寛大に参加することでこの効果を何倍にも強くすると同時に、他者の幸福の喜びを引出しつつ新たな関係を作る機会にもなります。それでも、自分のムードを高め、幸福感を楽しむために他者にのみ依存する必要はありません。
自分たちの周囲により多くの幸福を生み出すことをミッションにしているAction for Happinessは最新の研究に基づいて、人生をより幸せかつより充実にしやすい10個の鍵をまとめました。この団体は「GREAT DREAM(偉大な夢)」という略語を強調して、幸福へのジャーニーを開始するための素晴らしい場を作っています:
あげる(Giving): 他人にしてあげる
つながる(Relating): 人とつながる
運動(Excercise):身体を大切にする
意識する(Awareness): 人生を注意して生きる
新たなトライアル(Trying Out): 新しいことを学ぶ
方向性(Direction): 目標をしっかりと持つ
粘り強さ(Resilience): 立ち直る方法を見つける
情緒(Emotions): いいものごとを探す
受け入れること(Acceptance): 自分が自分であることを受け入れる
意義(Meaning): 何かより大きなものの一部となる
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