Dr. Mercolaより
グルテンとは何?
グルテンはグルテニンとグリアジン分子から成るタンパク質で、水に混ざると弾力性のある結合を形成します。グルテンが最も含まれるものは小麦、ライムギ、大麦です。
グルテンは表示されないまま無数の加工食品に含まれています。グルテンは次の表示を含む無数のラベルの背後に潜んでいます:
Celiac.comはグルテンが通常潜んでいるラベルの成分表示の長いリストを掲載しています。
「グルテン」という用語はラテン語の糊を意味する単語が由来で、その粘着性によりパンやケーキは形を維持しています。パンメーカーはふっくら感を出すためにさらにグルテンを添加します。
しかしこの同じ「結合」特性が、いっしょに食べた他の食品の栄養素も含め栄養素の分解と吸収に干渉します。そのため、腸内で凝集する便秘性の塊が形成され、正常な消化を阻害します。
未消化のグルテンによって免疫系は小腸の内壁を攻撃し始め、下痢や便秘、吐き気、腹痛等の症状が出ます。
そのうち小腸は益々損傷を受け、炎症していきます。これが栄養素の吸収不良さらに栄養失調、貧血症、骨粗しょう症その他の健康の問題につながります。
この状態は胃腸以外にも多くの症状を発生させ、これには精神的問題、皮膚、肝臓、関節、神経系その他の問題を含みます。
セリアック病は自己免疫疾患にも関わっています。20歳を過ぎてからセリアック病と診断されたら、自己免疫疾患に至る確率は平均値の3.5%から34%へ急増します。セリアック病が発見されないままでいると早死にのリスクは4倍高まります。
麦は西洋で最も普及している穀物です。しかし現代の麦は先祖が栽培して食べていた麦とは全く異なります。これこそセリアック病やグルテン不耐性が1950年代以来4倍以上増加したことを説明する1つの要因です。
この急増は診断方法が改善されたからだと主張する人もいますが、食事が劇的に変化したからこそこれほど普及率が増大したことは研究により明白です。
麦に含まれるグルテンタンパク質の比率は交配の結果膨大に増加しました。19世紀まで、通常は、小麦は他の穀物と混合されてもいました。例えば、豆、ナッツ類がそれです。純然たる小麦粉はこの200年足らずの間に初めて精製小麦粉にまで粉砕されてきました。
その結果高グルテンとなり、大半の人が乳児の頃から食べてきた精製穀物は、昔の世代の食習慣には含まれていませんでした。
マサチューセッツ州セリアック病センター所長アレッシオ・ファザーノ医師(Dr. Alessio Fasano)によると、人類はグルテンを食べるようには進化しておらず、従って正常に消化できません。
人の腸はグルテンを異物として検出するのでこれが免疫反応を起こすことを研究が実証しており、ファザーノ氏はこの事実は誰にも該当すると考えています。
しかしこのために皆がグルテンを避けなければいけないということにはなりません。同氏によるとたいていの人の体は臨床的な問題に至らずにグルテンを処理できるそうです。しかし中には不運にも処理できない人がいます。特に自己免疫性疾患の人は合併症のリスクが高いです。
今から16年ほど前、ファザーノ氏のチームはグルテンがゾヌリンという腸内の分子を刺激することを発見しました — これは腸壁の細胞間の隙間を広げるタンパク質です。
一言で言うと、このために腸は浸透性が増し、食品の微粒子が血流に入り込み、炎症、免疫反応を起こしたり、多くの自己免疫性障害リスクを高めます。これは腸管壁浸漏症候群(LGS)として知られ、セリアック病でなくても腸壁の漏れによる害を受けます。
グルテンを誰も避けるべきか否かという問題は議論が多いところですが、現代の麦は昔の麦よりはるかにリスクが高く、多くの人に問題を起こすことは明白です。
マサチューセッツ工科大学(MIT)の上席研究科学者ステファニー・セネフ博士(Stephanie Seneff, Ph.D.)によるとセリアック病の蔓延はグリホサートに関連しています。アンソニー・サムセル(Anthony Samsel, Ph.D.)博士とともに、セネフ氏はこれとの関連で素晴らしい研究成果を公表しました。
グリホサート — モンサント社の除草剤ラウンドアップに含まれる有効成分で普及しており、腸内細菌叢をひどく損傷し、腸の機能障害により慢性病を引き起こすことが証明されています。この物質は実際には抗生物質として特許を取得しています。
2015年3月、World Health Organization (WHO、世界保健機関)の研究機関であるhe International Agency for Research on Cancer (IARC、国際がん研究機関)はグリホサート が「発癌性の疑いがある物質」(クラス2A)でもあると指定しました。彼らの結論は人に非ホジキン性リンパ腫と肺がんを発生させることを示す「数少ない根拠」に基づいているそうですが、動物では発がんする「決定的証拠」があります。
麦作物に対するグリホサートの使用とセリアック病の増加に相関性があります。実際に、サムセル氏とセネフ氏によると、とうもろこしや大豆へのグリホサート投入よりはるかに相関性が高いそうです。
収穫直前のグリホサートを投入した乾燥非有機麦が今から15年ほど前に人気を博したことは読者の方はおそらくご存知ないでしょう。この成熟した麦が有毒化学物質グリホサートに暴露されると、より多くの種を発生します。このため収穫高が若干上がるので、ほとんどの生産者が行っています。
しかし同時にたいていの非有機麦 — 及びそれを含む加工食品はすべて — グリホサートで汚染されています。今やこれがいかにひどい健康への悪影響を持つかは周知となりました。
グリホサートは腸内細菌叢に重篤なダメージを与えるだけではなく、麦タンパク質を消化する身体機能をも阻害します。グルテンに含まれるグリアジンという物質は分解が極めてされにくく、消化されにくいです。普通なら、麦に含まれる異なるタンパク質の間の連関性を生む反応が起きます。
グリホサートは化学反応の結果グリアジンに結合し、タンパク質連関性に干渉し、グリホサートが麦を極めて消化しにくいものにしてしまし — これがない麦が消化されにくいのをはるかに超して消化しにくくする —、免疫反応や腸内毒素症を引き起こします。
研究者らは麦のその他の成分も分析した結果、感受性を発生させるその他のタンパク質や化合物が見つかりました。セリアック病がないとしても、グルテンフリーの食事のほうが気分がよく感じるなら、麦のその他の成分にも感受性があるかもしれません。
これらの物質はアルブミン、ゴルブリン、アミラーゼトリプシン阻害因子、さらに発酵可能なオリゴジモノサッカライド・ポリオール(FODMAP)の一種である炭水化物のフルクタンがあります。
FODMAP(果糖、ラクトーズ、ガラクタン、ポリオールも含む)は小腸からの吸収性が悪いか全く消化されません。これらの物質はグルテン感受性のものと極めて似た症状を引き起こし、FODMAPはグルテン含有の食品にはたいてい入っています。
FODMAPは通常の場合は腸内細菌には有用ですが、炎症性腸疾患(IBS)等を持つ これに対して感受性がある人の場合FODMAPは重篤な胃腸障害につながります。パレオダイエットはFODMAPがほとんどないので、この種の食事に切り替えた人の多くが気分がよくなる傾向にある理由の1つです。
グリホサート汚染の他、セリアック病やグルテン不耐性の増加のその他2つの説明要因は麦の精製工程とパンの製造工程に関連しています。先端食品加工技術の登場にともない麦の精製工程ががらりと変わりました。
胚乳とデンプンはローラーで粉砕されますが、その他の全成分はまず抽出後に、最終製品仕様に応じて異なる比率で戻し添加されます。その結果胃腸障害につながる高度に精製された麦粉が出来上がります。
有機の小麦粉は収穫された麦を石で砕いて作られます。何も除去されず何も添加されません。最終製品はその穀物全体従って「自然穀物」となります。この工程は簡素であり、穀物の栄養素を破壊しません。
自然穀物から作ったパンにもグルテンは含まれますが、セリアック病がない限り重篤な問題には至りません。グルテンが原因とされている問題はグルテンではなく小麦粉精製工程に投入される化学物質に本来関係していると信じる人もなかにはいます。
パン製造工程も近年劇的に変わりました。以前は、小麦粉に水と酵母菌を混ぜてパン地を作り、一晩寝かせておいたものです。この過程で酵母の酵素がグルテンを分解します。人体にはこの酵素がないので、この分解プロセスを複製することはできません。
今日ではパンメーカーは18時間もパン地を膨らませません。多くの化学物質を添加するのでこの工程は2時間まで短縮されており、これではグルテンが分解しません。このため今どきのパンには以前より多く消化されないグルテンが含まれています。
セリアック病とグルテン不耐性の処置はグルテンフリーの食事です。即ちグルテンを含むあらゆる食物を摂らないことです。2013年8月、米国食糧医薬品局(FDA)はグルテンフリー表示のための規格を制定しました。この規則では、商品に「グルテンフリー」のラベルを添付するには次の条件を満たさなければなりません:
セリアック病に実際罹っているかどうかは血液検査でわかります。もしこの病気に罹病している場合は極めて注意すべきです。グルテンは重篤な疾患につながるほか、長期的な健康と寿命の脅威だからです。グルテン不耐性の場合、食事について厳格になる必要はなく、自分なりのグルテン耐性レベルを見極めることもできるでしょう。
例えば、パン一切れでは気分が悪くはならないでしょうが、二切れや二日連続でパンを食べると気分が悪くなるかもしれません。通常はグルテンを一、二週間摂らなければじゅうぶんで、かなり回復するはずです。
交配麦、グルテン、その他麦系タンパク質、フルクタン、粉砕やパン焼き工程、グリホサート汚染等多くの共犯者がいることを考慮すると、小麦(その他の穀物)が多くの人にここでご紹介したような多くの問題の原因であることは驚くに値しません。
私の経験から言うと、グルテン不耐性の有無を問わず、ほぼ誰もが穀物を避けるメリットを受けられと思います。その理由は穀物には正味の炭水化物量が多く、これを回避するとミトコンドリア機能を改善するのに役立つからです。
ミトコンドリア機能障害は肥満や高血圧、2型糖尿病、さらに重篤な心臓病やガン等のインスリン抵抗に関連した健康上の問題を悪化させます。
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