石油会社が玩具の有害物質の除去に反対

玩具に含まれるフタル酸

早分かり -

  • お子様の毎日の生活の中で、大事な遊び相手となる単純なプラスチックの玩具が、お子様の健康を危険にさらすかもしれません
  • ガスおよび石油企業を所有する最大の公開会社が、お子様の玩具や日常の家庭用品について、安全であると主張して、フタル酸の除去を拒否しています
  • フタル酸は、内分泌かく乱物質であることが証明されており、がん、ぜんそく、精神発達障害、低IQ、行動問題やその他の原因となります
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Dr. Mercolaより

あなたは、お子様の栄養、安全そして教育について慎重に考えていらっしゃるでしょう。

しかし、お子様が毎日遊ぶ単純なプラスチックの玩具が、健康や幸福を危険にさらすかもしれないことはご存知でしたか?

残念ながら、お子様の玩具に含まれる化学物質は、床、キッチン収納、シャワーカーテンや洗濯用洗剤にも存在している可能性があるのです。

化学物質の中には、危険性があるので消費者保護のために禁止されているものもありますが、そのほかには、お子様用の製品にも使用されています。

子供用玩具で使用が禁止されている化学物質は、お子様が寝転がる床に使用されている可能性があります。そして、それらは手から吸収されたり、埃により口に入ったり吸い込んだりしているかもしれません。

世界最大の化学企業の1つが、現在フタル酸の使用継続のために係争しています。フタル酸とは、内分泌かく乱効果を持つことで知られている化学物質です。神経系および内分泌系が発達途中である子供は、特に、フタル酸の有害な作用に対して脆弱です。

ExxonMobilはフタル酸の安全性の証明に躍起

ExxonMobilは、ガスおよび石油会社を持つ世界最大の公開会社です。CEOのRex Tillerson氏は、長年にわたって消費者および環境よりも、企業の利益を優先させています。

Tillerson氏は、1975年に入社しました。最近の報告によると、石油会社は、化石燃料と温暖化の関連性について、少なくとも1977年には理解していたことが示されています。

その後数年間、企業は何とかその考えを論破して、石油産業における自身の利益を守ろうとしました。最近になってようやく、公にその関連性について認め、解決法の発見を指示しているように見えました。

しかし、ExxonMobilは、自動車および製造向けの燃料を生成するために化石燃料を製造することで大きな利益を得ており、他の製品も製造しています。

2015年には、160億ドルの純利益の25%以上は、プラスチック、電池、合成繊維、家庭用洗剤およびタイヤを含む他のガソリンを使用した製品のの販売から得られました。ExxonMobilにより製造された化学物質の1つは、フタル酸であり、プラスチックを柔らかくするために使用されています。

Exxonは、消費者製品安全委員会に圧力をかけて危険なフタル酸を許可させているのか?

フタル酸に触れることによる健康リスクが重大であるため、2008年、議会は様々なフタル酸の使用を制限または禁止しました。消費者製品安全委員会(CPSP)も、子供用製品からもっと多くの物質を除去する必要があるかを調べるように指示しました。

2014年の最終報告書では、CPSCは、8種類のフタル酸の子供用玩具への使用禁止を推奨しました。しかし、2014年の180日間という義務付けられた期間にもかかわらず、CPSCはまだ最終的に禁止していません。

その代り、ExxonMobilは、製品には有害性はないと主張し続け、委員会の決定を覆すために奔走しています。アースジャスティスの弁護士であるEve Gartner氏によると:

ExxonMobilは、繰り返し書簡を送り、会合を持ち、継続してある意味CPCSに対峙し、この件について間違った方向へ進めば、提訴することを示唆してきました。」

フタル酸接触源

フタル酸は、プラスチックをより柔らかくするために添加されるため、可逆剤とも呼ばれています。フタル酸には約12の異なる種類があり、これらの多くは、体内に入る経路や健康への影響が異なります。

フタル酸の大半は、原子量(分子内の原子の重さ)によって、低または高分子量に分けられます。

ほとんどのフタル酸の半減期は24~48時間ですが、最近の研究では、尿、血液、母乳中のフタル酸の毒性負荷が検出されています。食品のパッケージがプラスチックまたは焦げ付き防止の包み紙を使用しているため、ファーストフード店で食事をとる人は顕著に高レベルを示します。

呼吸するために吸い込む空気、食品および飲料水、コスメ、パーソナルケアおよび掃除用具によって、フタル酸に接触する可能性があります。ビニール製品および他のプラスチック素材も、フタル酸を環境中に漏出し、接触の機会を増やします。

子供は、おしゃぶり、プラスチックの玩具、家庭内の埃の吸い込みmたは医療機器の使用により接触しています。

化学物質は分解され、96時間以内に排出されますが、フタル酸でできた製品に常に接触していると、実際には、その化学物質が体内に残ることは確実です。

化学物質は、脂溶性であるため、脂肪細胞に蓄えられ、放出されると、尿中で検出されるフタル酸のレベルに影響します。

低分子量カテゴリーに入るフタル酸は、皮膚からも吸収される可能性があります。このようなタイプのフタル酸は、パーソナルケア製品によく見られます。残念なことに、これらの化学物質により、あなたの身体は他の化学物質も吸収しやすくなっています。

2015年の研究によると、空気中のフタル酸も皮膚を通して吸収されることが示されました。

フタル酸は、すべての良く知られた内分泌かく乱物質中でも、最も一般的な物質の1つです。米国環境保護庁(EPA)による推定によると、4億7000万ポンド以上のフタル酸が毎年生産されています。

フタル酸は、パーソナルケア製品においてあまりにも一般的であるため、女性は、男性よりも高レベルが検出される傾向があります。

内分泌かく乱物質は全身に影響する

フタル酸は、良く知られた内分泌かく乱物質であり、それは、これらの化学物質が、体内の内分泌系の機能を邪魔することを意味しています。全体として、内分泌系は、成長、発達、代謝、性的機能、生殖、組織機能および精神を調整する器官です。

動物実験では、内分泌系をかく乱する化学物質が使用する多くのメカニズムが発見され、それらがホルモンの機能をどのように変化させるかがわかっています。これらの発見の多くは、過去20年のものです。

一般的規則として、化学物質は自然のホルモンを真似して、身体をだまし、過剰反応を誘発します。例えば、エストロゲンを真似する化学物質は、エストロゲンに依存する乳がん細胞の増殖を誘発します。

また、ホルモンが受容体に到達するのを阻害し、正常な発達に必要な成長ホルモンを阻害するなどして、刺激への反応性を減退させます。

他の例では、化学物質の内分泌かく乱物質が、直接的にホルモン系を阻害または刺激し、甲状腺の機能低下や機能更新といった、低生成または過生成を引き起こすこともあります。また、化学物質は、肝代謝の変化といった、自然のホルモンまたは受容体の生成またはコントロールを阻害することもあります。

動物実験では、内分泌かく乱物質は、生殖にも影響することがわかっています。いくつかは、すぐになくなってしまいますが、存在し続けるものもあります。水生生物、特に肉食動物は、化学物質汚染の影響を極めて受けやすく、食物連鎖の頂上にいるため、時間の経過とともに高レベルの化学物質が形成されています。

内分泌かく乱物質の化学物質に起因する野生生物の変化には、以下が含まれます。

バルト海の人口減少

猛禽類の卵の殻の薄化

汚染された湖のワニの減少

カエルの減少

バイ貝や巻貝といったメスの海洋生物にオス性器

魚の繁殖および成長への負の影響

フタル酸は男性の生殖問題につながる

環境衛生科学者のRichard Pilsner博士がマサチューセッツ大学で行った研究では、父親の受精前のフタル酸への接触が、胚盤胞の質の顕著な減少につながることを断定しました。

卵子の肥沃化が達成されると、受精卵は分割または分裂を始めます。これは、最初の3~5日に繰り返し起こります。この時点で、胎児は胚盤胞と呼ばれる細胞の中空のボールになります。この段階で、体外での肥沃化が試みられます。

研究では、体外肥沃化を行っている50組の夫婦の未成熟な卵子を評価しました。試験では、卵母細胞つまり未成熟の卵子761個のうち、母体に移行するのに十分に発達したのはたった184個でした。

研究者は、尿中のフタル酸レベルの高い男性と高質な胚盤胞の発達の間に、逆関係があることを明らかにしました。

他の研究では、女性のフタル酸への接触が、男の赤ちゃんの性器形成の変化に関連を見出しました。より具体的に言うと、生まれてくる男児は、肛門性器間距離が短く、陰茎が小さいということです。前者は、内分泌かく乱および潜在的不妊のマーカーとなっています。

肛門性器間距離が長い場合、それは父親の能力の改善と関連付けられ、生殖能力が予測できます。マウントサイナイ病院のミンディッヒ小児健康および発達研究所のShanna Swan博士は、全身のフタル酸レベル高値の母親は、肛門性器間距離の短い男児を生むリスクが高まることを示した研究の指導的立案者であり、以下のように述べています。

「私たちの所見では、低レベルであっても、これらの偏在する化学物質への環境接触が、男性の生殖器の発達に有害な影響を与える可能性があり、それは、その後の人生において、男性の生殖の健康に影響を与えかねないということを示しています。

大半の妊娠女性がフタル酸に接触しているため、私たちの所見は公衆衛生に深刻な影響を与えるだけでなく、女性と一般の人々を保護するための公的指針にも影響するものです。」

フタル酸に誘発される健康状態

研究者たちは、しばしば毒性に対する高レベルの接触と、発生するであろう最終的な健康への影響に集中します。

しかし、低レベルの接触でも、身体の機能の様式に負の影響を与える可能性を持つ健康への影響が現れる可能性があります。生まれる前、小児時代そして青年期の低量の接触でも、長期的健康状態に影響することがあります。

例えば、過去10年の研究では、フタル酸の吸引による接触と喘息や呼吸器系アレルギー反応の間に関連性を見出しています。このタイプの反応は、DEHPやBBPといった高分子量のフタル酸と関連があります。

コロンビア大学の研究は、小児期の喘息と、フタル酸への出生前接触の間の関連性を始めて示しました。

妊娠中に母親が、高レベルでフタル酸ブチルベンジル(BBzP)およびフタル酸ジ‐n‐ブチル(DnBP)に接触した場合に生まれてきた子供は、5歳~11歳の間に喘息を発症するリスクが70%以上上昇しました。

また、研究では、早期幼児期のフタル酸への接触と、女児の遅発思春期を関連付けました。以前の研究は、フタル酸接触と甲状腺機能障害および成長ホルモンの不均衡が関連付けられました。

環境調査における最近の研究では、成人および小児の両方を評価したところ、フタル酸への接触が、甲状腺ホルモンおよび成長ホルモンの均衡性に負の影響を与えていることがわかりました。過去数年で、科学者たちは、フタル酸接触と以下の関連性も見出しました。

注意欠陥障害(ADD)

乳癌

肥満

2型糖尿病

低IQ

自閉スペクトラム症

精神発達の問題

行動の問題

男性妊性の減少

喘息

免疫機能の異変

成長ホルモンの不均衡

肝がん

流産

疑いのある発がん性物質

フタル酸接触を減らす

毒性化学物質へのあなたおよびお子様の接触を減らすためにできることは何でも、正しい方向への進むことになります。すべての潜在的に危険な化学物質を取り去ることは事実上不可能ではありますが、いくつかの重要な原則を念頭に置くことで、接触を確実に最小化することができます。

プラスチックの食品容器およびプラスチックの包み紙を避ける食品や飲料水は、ガラス製の容器に入れて保存する。

プラスチックの子供用玩具を避ける。木やオーガニック素材のような自然の物質でできた玩具を使用する。

コスメのラベルをよく読み、フタル酸が含まれたものは避ける。

「香料」とラベルに書いてある製品は、香料の安定や製品寿命の延長のために一般的に使用される隠れたフタル酸が含まれる可能性のある包括的な用語なので避ける。消臭剤は避ける。

パーソナルケア製品は、ガラス容器に入ったものを使用する

ラベルを読んで、お子様のお弁当箱、バッグパックおよび保存容器を含むPVC不使用製品を探す

プラスチックの容器やプラスチックのラップを電子レンジにかけない。

化学物質は、床の埃を集め、子供の口に入りやすいため、フタル酸を含む可能性のあるビニールブラインド、壁紙、床材および家具の埃を落とす。

処方薬が、フタル酸を含むコーティングである可能性があるため、溶解時のコントロールのためにコーティングされているかどうかを薬剤師に確認する。

新鮮な自然食品を食べる。パッケージはフタル酸を含むことが多い。

プラスチックまたは缶ではなく、ガラス瓶に入った製品を購入し、プラスチックではなく、ガラスの哺乳瓶を使用する。プラスチックの吸い口やボトルを完全に避けることができるなら、最初の1年は母乳を与える。

買い物から帰ったらすぐに果物や野菜をプラスチックバッグから取り出し、補完する前に洗う。

レジのレシートは、感熱印刷であるため、BPAを含むことが多い。レシートは最小限しか手にせず、BPA不使用のレシートに変えるよう、店に求める。

自然な素材の洗浄剤を使用するか、あるいは自前で洗浄剤を作っておきましょう。

女性用衛生用品をより安全なものに変える。

柔軟剤やドライヤーシートを避ける。静電気のまとわりを軽減するため、自作する。

家庭の水道水に汚染物質が含まれていないかを確認して、必要ならば水道水をろ過してください。

ホースの多くがフタル酸などの可逆剤を使用しているため、お子様には庭のホースから水を飲まないことを教える。