一番良く眠れる姿勢とは

一番良く眠れる姿勢

早分かり -

  • 睡眠中に頻繁に寝返りを打つ人は、横向きに寝ているかうつ伏せになっている可能性がある。健全、健康な睡眠をとるためには、仰向け姿勢で枕を頭の下ではなく首の下に置き、脊柱曲線を適切に保持する
  • 睡眠時の姿勢が悪いと痛みを生じることがよくある。また、関節炎状態を引き起こすかまたは悪化させるおそれがある
  • 横向きに眠るのが習慣になっている人は、快適な睡眠姿勢に変えるために4ヶ月程度かかることがあるうつ伏せで眠ることが習慣になっている人は、睡眠姿勢の矯正にさらに時間がかかることがある
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Peter Martone博士より

私はPeter Martone博士です。カイロプラクター兼運動生理学者です。これから話すのは私の「夢物語」です。

幼い頃の記憶に戻って考えると、私は眠りにつく時は横向きになって、部屋の壁にかかった十字架像を見ていました。

安全で護られているように感じられて眠れましたが、朝になるとベッドの端まで動いていたり、床に落ちていたりしました。寝る前と同じ位置にいたことは全くありませんでした。

大きくなっても、横向きで寝ていました。それが人の基本的な睡眠時の姿勢だと思っていたからです、医者からは「広告では人は横向きで眠っている姿が描かれている」と言われ、両親にも横向きで寝る用の枕を買ってもらいました。

私は何も知らずに横向きで眠っていました。他の人がやっているように横向きに眠っていただけです。痛みを覚えるまでは。苦痛を感じるようになってから、原因を考えるようになり、私の人生は変わりました。

睡眠の姿勢について考え始めた時のことは今も思い出せます。すべてが変わったのです。話を続ける前に、この点を明確にしたいと思います。一度の思考ですべてを理解することは不可能です。パラダイム(思考の方法)を変えるためには、特定のトピックを意識するような出来事を何度か体験しましょう。この記事を読んで睡眠時の姿勢をより知ることがきっかけの1つとなるでしょう。

私からのアドバイスを疑わないで実践していただければ幸いですが、読者の皆さんには現状に疑問を持ってもらうことが私の目標です。矛盾しているようですが。私は患者に対して次のように言います。「心を解き放てば、健康はそれに続く」

私が思考し始めた日

2000年に私が映画「グリーン・デスティニー」を見ていた時のことです。劇中で2人のキャラクターが一晩中「抱き締め合って」から部屋から出てきました。その部屋から出るシーンはほんのワンカットに過ぎませんでした。

そのシーンから2人のキャラクターが部屋で眠ったことが分かりましたが、部屋には体を置く薄い板と、枕の代わりに木のブロックしかなかったことに私は驚きました。(これについては後ほど説明します)。当時はこう考えていました。「寝心地は悪そうだけど、映画は19世紀ではこれが当たり前だったのだろう」と。

現在の私は身体の生体力学、つまり身体の動きと機能を学ぶことに情熱を注いでいます。私は体が丈夫で健康なことに誇りを持っていましたが、ある夜、パーティーに参加してお酒をたくさん飲んでから帰宅し、ベッドで横になってテレビを見ながら眠りに落ちました。結論から言うと、起きた時に腕が動きませんでした。

腕に頭をのせて眠ったことで、肩関節周囲炎を発症しました。それは私が経験した中でも最悪の痛みでした。痛みが私の首の内側まで広がりました。それからは、なぜ朝起きるときに、肩の痛みや首の痛みを感じたのかを考えるようになりました。

お酒を飲みすぎたのか?睡眠時の姿勢が悪いのか?枕が原因なのか?今では少しずつ答えが見えてきました。何年も睡眠時の姿勢について疑問を持ちました。

ベッドと枕はどのように人体のメカニズムに影響するか

映画のシーンと間違った姿勢で眠りについたことから学んだレッスンをまとめてみましょう。

ベッドは、昔よりも快適で、体重を吸収して圧点に加わる力を下げるように作られています。今のベッドは横向きに眠る人にも対応していますが、19世紀の寝具はどうでしょうか。一片の木にタオルが巻いてあるだけでは、横向きで眠ることはできません。

現代のベッドでは、体重が小さな表面積に分散し、圧力点に力を加えるので、一晩中寝返りを打ちます。昔のベッドの睡眠姿勢は仰向け以外考えられず、体重を最大の表面積に分配します。これは、映画のシーンで見られた方法です。

試しに、横向きで2時間の映画を見てみてください。姿勢を変えずに映画を見終えることはできないでしょう(私は試してみました。信じてください)。体の半身がしびれるか不快感を感じるまでそう時間はかかりません。

そして、これこそが一晩中寝返りを打つ理由の1つです。痛みを感じる脳の領域と睡眠を制御する脳の領域は非常に近いです。体が痛むときは目を覚ますか体を動かします(寝返ったり転がる)。

アルコールや、睡眠薬、鎮痛剤などの医薬品を服用するか、ひどく疲れている場合は、この反応が妨げられます。そのため、異常な体勢(横向きまたはうつぶせ)を長時間とることになり、肉離れや靭帯捻挫を起こします。

たった一晩でこのような症状を引き起こします。ここで、この記事を書く主な理由についてお話させていただきます。睡眠は健康と幸福を定義する習慣です。

体はライフスタイルに適応することを意識してください。習慣が現在の健康状態を定義します。何年も横向きまたはうつ伏せで眠ると背骨が損傷します。

構造は機能に影響を及ぼす

カイロプラクターである私は、身体構造が身体機能に直接影響を及ぼすと信じています。背骨の構造は神経系機能と関係しており、最終的には健康と幸福に影響を与えます。このコンセプトには一般の方が扱うにはあまりに多くの物事が含まれますが、本記事では基本的な事項を紹介します。

以下では、10歳から90歳までの数千人の患者に共通するバイオメカニクスと症状についてお話ししたいと思います。それは脊髄変性症、すなわち医療従事者が関節炎と呼ぶものです。

私は「なぜ非常に多くの患者が背頚部の痛みや、最終的に健康に関連した状態につながる脊髄退化を起こすのか」という疑問を持ち始めました。患者の症例パターンを見ていくなかで、自分の考えに デイビスの法則(Davis Law)と呼ばれる法則を適用し始めました。これは、体組織は課される要求に従って組織を再構築するというものです。

背骨の適切な曲線を維持することは、歩くときや運動するときに体が負荷を分散するために非常に重要です。また、背骨の形は大きなバネのように機能し、衝撃を吸収する働きがあります。

背骨の曲線がいびつだと、背骨の中に負荷が加わりやすい点ができ、「デイビスの法則」の記載によれば、背骨の曲線が損なわれた箇所の組織が瘢痕化します。これにより関節の動きが制限され、その箇所で変性(関節炎)が起こります。

現代生活では、パソコンを使う作業、運転、携帯電話操作などに多くの時間が費やされます。こうした行動は全て、頭部前方位姿勢で行われます。人が1日に頭部前方位姿勢でいられる時間は平均して8時間までだと私は思います。ですが、頸椎の自然な曲線を維持したい場合には、この時間を減らす必要があります。

睡眠時の姿勢の重要性

1日の中で1つの場所で8時間も過ごし続けるのは就寝時だけです。日中の頭部前方位姿勢の弊害を相殺するためにも、睡眠中の姿勢は大事です。睡眠時は体が回復したり成長します。睡眠は日中のストレスを相殺または解消するチャンスです。

これを行う唯一の方法は、首の下に枕を置いて仰向けになって寝ることです。繰り返し言いますが、頚椎を支えるために、枕は頭の下ではなく首の下に置きましょう。仰向けになって背中をベッドに付け、そのままの状態でいやすいような枕を買ってください。

頭ではなく首を支えることが重要です。頭を支えたり、誤った位置で良くない枕を使用すると、背骨の曲線が歪になります。

睡眠姿勢について患者と話すとき、私が患者から聞く最も一般的なことは「最初は________の姿勢で眠るのですが朝には _________になっています」です。空欄を埋めてみてください。先述のように、患者の皆さんは自然な姿勢で眠らないので脳が痛みを感じているので寝返りを打ちます。

痛みは2つの理由で寝ることによって引き起こされることを忘れないでください。

  1. 自然な睡眠姿勢と比較して接地表面積が小さいため、体重が大きくかかる
  2. 横向きで眠ることで脊柱に異常な負荷が加わる

自然な睡眠姿勢とは?

自然な睡眠姿勢で体を支えることができれば、一晩中同じ体勢で眠ることができます。自然な睡眠姿勢であれば体重が最大表面積に分散され、脊髄の曲線が支えられます。脊椎の自然な姿勢を保つには、首の下に枕を置いて仰向けになって寝ます。

仰向けになって眠りにつく方法

最初に仰向けで寝る時はきっと寝心地は良いとは思えず、一晩中仰向けではいられないことでしょう。初めのうちはトレーニングだと思うか、体を慣らすための新しいアクティビティだと考えましょう。フラストレーションが溜まっても、すぐに成功することを期待しないでください。

私と患者の経験では、横向きの姿勢を仰向けに直すまで3〜4ヶ月、うつ伏せから直すにはさらに時間がかかります。

Dr. Mercolaのコメント

Peter博士とは数年来の仲であり、彼はいつも楽しそうにしています。彼の睡眠時の姿勢についての理論的根拠に非常に感銘を受け、私自身も数ヶ月間実践して効果を実感しました。

私は仰向けで寝ることが唯一の方法だとは主張していませんが、読者の皆さんにはこれ検討し、効果を確認していただくことをお勧めします。

また、私からは睡眠に関して3点ほどコメントしたいと思います。第一に、睡眠時に無呼吸状態になる人が多くいることを認識し、仰向けで寝ること、これが悪化する可能性があります。私は無呼吸状態を解決するため、紙テープを口の上に置いて眠ります。こうすれば鼻呼吸するのでいびきを止めることができます。

第二に、これはおそらく睡眠で最も重要なことですが、寝る前にブレーカーボックスを操作して寝室のすべての電源を切りましょう。私の場合は、電気工事士に依頼してブレーカーをリモートコントロール操作できるようにしています。これにより、事実上、寝室のほとんどの電界を排除します。

睡眠中に電場や磁場にさらされると、メラトニンの分泌や深い睡眠が著しく損なわれる可能性があるので、これは重要です。私は高価なギガヘルツの電気メーターおよび磁気メーターを使って、電気を遮断したときに寝室の電界が1,000倍低下することを確認しました。

時刻を確認するためにバッテリー駆動式のおしゃべり時計を置くとよいでしょう。私はボタンが大きめの時計を使っていますが、大いに役に立っています。

最後に、日没後はブルーライトを浴びないようにしましょう。これには自宅の照明だけでなく、各種デバイス、電話、タブレット、コンピュータ、テレビが発する光が含まれます。

+ 出典および参考資料