血流制限トレーニング

早分かり

  • 加圧トレーニング(又は血流制限トレーニングとも呼ぶ)は軽量ウェートを使って何回も反復運動し、リスク最小限で高集中ワークアウトを行うことができる
  • 血流制限トレーニングは標準のウェートトレーニングよりおよそ3分の1のウェートを使い、およそ半分の時間で筋肉の成長を刺激し筋力をつけられる
  • 静脈流を制限することで血液を普通より長く筋肉に留まらせ、筋肉の疲労を加速し、修復と再生プロセスを開始させるきっかけとなる筋肉の疲労が結局筋肉を速く成長させる
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血流制限トレーニングで筋肉をより安全に簡単に速くつける

2017年11月3日 | 1,178 ビュー |

Dr. Mercolaより

加圧トレーニングをまだ聞いたことがない方は温かく以下で癒してあげます。西洋ではまだ新しいことですが、加圧トレーニングは日本で半世紀前に開発されました。

文字通り加圧の加は追加、圧は圧力の圧です。英語で素人向けに言うときは「血流制限トレーニング」という用語を使用しますが、強化トレーニングを四肢末端への血流を制限しながら行うものです。

この方法のメリットとは最大限の効果を得るのに通常のウェートの30~50%だけを使って、強化運動を行うことができることです。

ある意味では重量を減らす代わりに回数が増える埋め合わせになります。軽量なウェートを使うのでその分通常行う10~12回ではなく20~30回反復するわけです。

この運動で使用するミニバンドや加圧ベルトは動脈流は普通に流すが静脈流は制限する程度に締めます。このため乳酸その他筋肉運動の老廃物が溜まっていき、重いウェートを使うときのリスクがなく重量上げと同じ効果が得られます。このためお年寄りや負傷から回復中の方に最適な戦略です。

静脈流制限により筋肉の成長と筋力が劇的に増加することは実証されています。これは成長ホルモン分泌が増加し、ミオスタチンが減少し、細胞を膨潤させることによって生じます。この効果すべてを従来式の高度集中ウェートトレーニングで発生し易い組織の損傷なく得られます。

加圧トレーニングの沿革

加圧トレーニングの起源についてはOutdoors Onlineに掲載された以前の記事に詳細があります:

「加圧は1966年に当時18歳だった佐藤義昭氏[博士] (現在は医師)が典型的な長時間の法事のときに日本式の正座のためにふくらはぎがひどく痛んだとき思いついたそうです。

その痛みは重量挙げをした後の痛みとほぼ同じものでした。これは血流が閉塞されることと関係していることに同氏が気が付いたのです。

見つけた!とばかり佐藤氏は自分自身を実験台にし、その後数年を費やして自転車のタイヤ、ロープ、ストラップを使用して血流緩和化システムを完成させました。後にタイヤを薄いコンピュータ制御式エア加圧ベルトで置き換えました。

このアイデアは腕と脚を加圧して同時に、軽量の加重を持ち上げるというもので、これで運動中の筋肉への血流を制限するのです。

血流が遅くなると四肢に血液が充満し始め、毛細血管が広がり、筋線維をより使うようになり、このため、乳酸濃度が高くなります。しかし— ここにこそ加圧法がユニークな点がある — この状態のとき脳は激しい運動をしている最中だと錯覚します。」

血流制限トレーニングは標準的ウェートトレーニングと比べると、重さ約3分の1で筋肉の成長や筋力を刺激することができると言われています。さらにもっと軽いウェートを使えば筋肉負傷のリスクは大幅に減少します。

近年では、加圧はプロのサッカー選手、滑降スキー選手、ダラスカウボーイズやニューイングランドパトリオッツ等アメリカンフットボールチームのプレイヤーの間で注目されています。

米国において、ジム・ストレイ-ガンダーセン博士は加圧法の先端的支持者であり教育者でもあります。加圧法はオリンピックやワールドカップスキー選手権の優勝者ボード・ミラー選手 — ストレイ-ガンダーセン氏とこのプログラムのおかげで背中の手術後たったの数カ月で世界トップクラスに返り咲いたと絶賛 — や負傷のために二軍落ちも寸前だったその他の選手たちといったスポーツ選手から尊敬と称賛を受けています。

血流制限で筋肉がつき、性能アップ

血流制限トレーニングの背後にある考え方は運動中の筋肉への静脈流を上腕や腿に巻いたミニバンドや加圧ベルトで制限するというものです。

このため筋肉中のホメオスタシスが阻害されるので、主に2つの効果が得られる新陳代謝の危機が発生します:

1. 局部効果 — 組織内の酸素分圧(Po2)とpHの減少がタンパク質合成を刺激する。細胞は運動中の筋肉内のホメオスタシスをよくするためにタンパク質の合成を盛んにします。

2. 全身的効果 — 中枢神経系もこの危機を検知し、補償するための信号を送り出します。自律神経系は交感神経系が強くなり、心臓の鼓動、換気、発汗を強めることで反応します(筋肉の平常時の機能とは見合わない状態))。修復プロセスに関与するホルモンやヒト成長ホルモンも出てタンパク質の合成を促します。

血流制限はmTORシグナル伝達も刺激し、ミオスタチン遺伝子発現を弱め、筋肉の形成を促します(mTORシグナルが細胞 に成長するようにと信号を送る一方、筋肉細胞が生産するタンパク質ミオスタチンは筋形成を阻害し、成長と分化を阻止)。

血流制限が高集中重量トレーニングに比肩しうる理由の1つは、おそらく血流制限でミオスタチンの減少が伝統的高度集中トレーニングより大幅に減少するからであると考えられます(しかも筋肉のダメージは最小限)。

興味深いことに、筋肉は筋肉帯の遠位側と近位側両方で成長すること、すなわち、上肢への血流を制限しているのに大胸筋にも影響し、質量を増やします。これは全身のホルモン放出によることが一部機能しています。

従って、まとめると、血流制限トレーニングはとても軽度な強化運動(1回で上がる最大重量の30~50%)に基づくと同時に、静脈流(筋肉から心臓へ戻る血流)が制限されるか遅くなっているので、あまり力を入れない運動でも「最大限の運動」になるわけです。

普通より長く血液が筋肉の中に残らせることで、筋肉疲労が早くなり、この筋肉疲労によりそのあとの修復と再生プロセスが始まります。

適正圧の特定

最適な結果を得るのにどれくらい制限するのかについては、明快な答えはありません。血流をあまり制限し過ぎるのは避けたいところで、こうすると重篤な 傷跡やめまいにつながることもあります。

血流が全く止まるほど度を過ぎて止血してうっ血が長くなると、神経や筋肉の損傷につながることもあります。

しかし、研究によるとこれほどのリスクは比較的低いそうです。単に締め過ぎは不快過ぎます。腕や脚がうずく、または赤、青や紫に変われば、感覚がなくなっているのに気が付きます。または自分の脈さえ感じなくなっているなら、加圧ベルトが締め過ぎなので緩める必要があります。言い換えると、動脈の閉塞の兆候や加圧ベルトがきつすぎるのを感じずにいることはほとんどありません。

ストレイ-ガンダーセン氏が説明している通りで、「本当の答えは運動中の筋肉の疲労や不全を感じる辺りがちょうどよい制限程度であるといえます。」

加圧ベルトは上のビデオでもご紹介しています。トレーニング中は軽いウェートをご使用下さい。普通のウェートトレーニングの30~50%の重さのものを使います。軽くした分、反復回数を増やします。

典型的なトレーニングプロトコル

ストレイ-ガンダーセン氏は加圧トレの元祖佐藤氏が開発したトレーニングプロトコルに従い、これを推奨しています。典型的な一回のトレーニングは3セットで行います。1セットの反復回数は20~30回で、通常使うウェートの半分以下の重さを使用します。セット間の休止は短く例えば30秒ほどにします。

その結果どの運動も90回をかなり超えることになります。これほど多く繰り返す必要がある理由はというと、筋肉を十分に長い時間働かせてあの「新陳代謝危機」状態を作り出すためです。このメタボリックな刺激こそ筋肉の適合と急増を促すものなのです。

この点をお断りしたうえで、相手によって異なる勧め方をします。American College of Sports Medicine(スポーツ医学アメリカン大学)によると、自分で1回に持ち上がる最大重量(1RM)の70%以上の重さのウェートを持ち上げないと筋肉肥大を実現できないそうで、これより軽度では筋肉はあまり目立って成長しないということです。

その反面、血流制限と組み合わせて行う低強度運動を評価した研究によると、筋肉肥大はトレーニング強度が1RMの20%しかなくても生じることが実証されました。このことはまったく驚かせる事実です。たいていの人ならこの程度はウォームアップで、ほぼ負傷はないといえます。

その他のごく稀だがありうる副作用と禁忌

ストレイ-ガンダーセン氏は横紋筋融解症の課題にも対応しています。この病気はダメージを受けた筋肉から細胞間成分が放出されることが原因の腎不全や不整脈を起こしうる障害です。

加圧トレーニングを重すぎるウェートで行うとごく稀にこうした副作用は考えれます。使用するウェートの重量を大幅に減らし、そして反復数を増やすことに集中するのが大切です。めったにありませんがあるとすれば以下のような禁忌が考えられます:

  • 放射線や腋窩リンパ節郭清の有無に関わらず乳房切除した女性。同氏によると「十分すぎるほどよく注意すべきなので」該当する腕には血流制限を行わないようにお勧めします。
  • 動脈静脈瘻がある血液透析中の人。該当する腕や脚には血流制限を避けること
  • 妊婦。以前は血流制限トレーニングをしたことがある女性が妊娠した場合でも、妊娠中にトレーニングを続けることは可能ですが、以前したことがない人は血流制限は妊娠中に始めないほうがよいです。

関連する注意として、血流制限トレーニングをしている間は、ベータアラニンサプリメントを避けるようにお勧めします。その理由は、ベータアラニンが組織内のホメオスタシスを改善し、このホメオスタシスを実際には崩さない方がよいからです。ベータアラニンの細胞間貯蔵量が急増すると、このトレーニングで目指すプロセスを阻害したり、プロセスのバッファとして機能してしまうからです。

血流制限トレーニングによる筋肉減弱症(サルコペニア)への対処

(加齢性)筋肉減弱症すなわち加齢に伴う筋肉の減少は現実には比較的若年から始まることがあります。30歳の頃までに筋肉減少に対して先取的な方策を取らなかった場合は、筋肉がすでに減少し始める場合があり、放っておくと10年で平均3キロは筋肉が落ちます。

筋肉の維持に関わる要因の1つは速筋繊維の活性化です。このためにこそ高強度のインターバル運動(HIIT)はとても有意義です。HIITと同じで、血流制限トレーニングも速筋繊維を活性化し、ヒト成長ホルモンの分泌を促し、特に老化が進んでいる方に役立つかもしれません。体が脆く高齢の方ならHIITより確かに楽です。

ストレイ-ガンダーセン氏によると血流制限でほとんど動き回れなくなったお年寄りでさえ、機能の回復へ向かわせるほどの効果があります。日本ではお年寄りを再生して移動能力と自律性を回復することにおおいに成功しています。

軽量ウェートを使うので筋肉を損傷するリスクはほとんどなく、体力のない方でも最大限に運動ができるようになります。佐藤氏は血流制限を「老化遅延医療」とさえ呼んでいます。

ストレイ-ガンダーセン氏が引用しているスカンジナビアの研究は血流制限トレーニングが幹細胞を活性化し、タイプ2X筋線維(速収縮性解糖線維)に作用して2A繊維(速収縮性酸化的解糖線維)に変換することを実証しました。これで骨代謝や修復も刺激されることも各種の研究が証明しています。

腱や靭帯も血流制限に応答して強くなるか否かについてはまだ解明されていません。重い荷重がないことからこの方式で筋肉や骨が改善されても、腱と靭帯は脆弱なままになるおそれがあると一部のトレーナーは懸念を表しています。

ストレイ-ガンダーセン氏はこの見解には反対しており、腱と靭帯は全身的に分泌される各種ホルモンによって、筋肉、骨、血管とともに調整されて強くなるはずであると説明します。しかし、以上の懸念を最終的に取り上げないことにするには研究がまだあまりにも少なすぎます。

加圧トレーニングを自分の運動プランに含めるように検討してください

まとめていうと、血流制限トレーニングはあなたの運動プランに追加する意義は大いにあるようで、特に、高齢者や筋肉量の減少に取り組んでいる方、又は負傷からのリハビリを試しているいる方には効果的です。

加圧トレーニングのよさはとても軽いウェートを使って反復回数を多めに行うことで、最小限のリスクでも高強度のワークアウトができることにあります。

弾力性膝バンドをお使いになると弾性に富むうえ表面を幅が広く覆い、加圧ベルトのずれ落ちのおそれが減るのでお勧めします。細いゴム管や狭いひも状ナイロンを使用すると筋肉は血液で飽和してしまうので、血行が過度に制限されるリスクが増大するおそれがあります。このため身体の柔軟性が落ちることもあります。

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