Dr. Mercolaより
ビートとその生ジュースは糖分が多いので普通は量を制限するように推奨されます。
しかし発酵するとビートは最も健康的な野菜の一つということができます。大部分の砂糖は発酵中に善玉菌によって分解されてしまい、その他の健康を増進する成分は無事なままだからです。
発酵食品にはたくさんのプロバイオティックス(善玉菌)が含まれます。極めて多くの研究が腸内常在菌の最適バランスと多様性が肉体的、精神的、情緒的に健全な状態のための基礎を成し、発酵ビートジュースはプロバイオティックスを超えるはるかに多くのメリットがあります。
例えば、生のビートが数時間のうちに4~5ポイントも血圧を下げることは実証済みです。この効果は体内で一酸化窒素に変換されるビート(甜菜)の天然の硝酸塩によるものです。
酸化窒素は血管をリラックスさせて拡張します。このため血行がよくなり、血圧が下がります。実際には、医学的に硝酸塩は狭心症やうっ血性心不全の処置に使用されており、研究によるとグラス1杯のビートの根が処方薬硝酸塩と同じ効果があることが示されています。
スポーツ競技選手も硝酸塩の瞬発力を出すメリットのためにビートジュースを利用しています。生のビートは運動中にスタミナを16%も急増させますが、これは硝酸塩の増加による効果でることが研究からわかっています。
もう一つ別の研究では、筋力損失や運動能力低下を訴えていた、心不全と診断された9人の患者にビートジュースが効くことが発見されました。
患者に140 ミリリットル(mL) — コップの2/3程度 — の濃縮ビートジュースを飲ませて検査した結果、筋容量が平均で13%もほぼ直後に増加したことが発見されました。
一つ重要な注意:マウスウォッシュやチューインガムは避けてください。これらは硝酸塩の変換を阻害します。その理由は硝酸塩が善玉バクテリアによって唾液内で亜硝酸塩に変換されるからです。この亜硝酸塩が次に体内で硝酸塩に変換されます。
ビートの自然成分であるベタインも炎症を軽減し、心臓病である種の役割を担っている環境的ストレス要因からも保護します。
ビートに深紅色を与えている植物性栄養素は、強力な抗ガン特性も有しています。飲料水に混ぜて投与したビートの根エキスが多くの動物モデルで多数の器官における腫瘍形成を軽減したことが研究で証明されています。
ビートの根のエキスはヒトの膵臓がん、乳がん、前立腺がんの処置への応用に関して研究が進行中です。
さらに、生のビートは高濃度のビタミンC、繊維質、カリウム、マンガンのおかげで免疫機能を一気に強化する一方、ビートのベタリン色素や硫黄を含むアミノ酸は身体によるデトックス(解毒)プロセスの第二段階を補助します。伝統的に、ビートは血をサラサラにし、肝臓をきれいにすることで価値が認められてきました。
ビタミンBや葉酸が豊富なビートは脳卒中リスクも下げる可能性があり、妊婦のための最適な食物でもあります。葉酸は多くの体内プロセスのために必須なものであり、妊娠中の葉酸欠乏により先天的欠損症のリスクを高めます。ビート・クヴァスの血液浄化作用もつわりを和らげるのに役立ちます。
ビートを食べずに発酵させると生のビートが持つ健康増進メリットをすべて得られる — 発酵させるとさらに生物学的利用能がさらに高まる — ほかにも発酵による善玉バクテリアや酵素のメリットが加わります。
ビートのピクルスやビートで煎じたザウアークラウトのほかにも、ビート・クヴァスで知られる発酵ビートジュースは西洋で人気が高まっています。
ビート・クヴァスはロシア、ウクライナその他東欧諸国で一般的な健康増進用の気付薬として治療用に使用されてきた長い伝統があります。また、スープやソース、ビネグレットソースにもよく混ぜて使用されます。
伝統的に、ビート・クヴァスは免疫機能の強化、血液の浄化、疲労対策、腎臓結石、薬品感受性、アレルギーや消化不良の処置に利用されてきました。ビート・クヴァスが加齢に伴う皮膚の斑点出現を改善し、髪を太くし、白髪になるのを軽減するといった逸話的な報告もあります。
近年行われた動物実験から乳酸発酵させたビートの根ジュースの胃腸へのメリットが確認されており、腸内常在菌および代謝活性を改善するのに役立つことが実証されています。
デトックス特性があるので飲み始めの頃は飲み過ぎなように注意しましょう。飲み過ぎると放出された毒素で過負荷を受けて、お腹の張り、便秘や風邪またはインフルエンザに似た症状さえ出ます。
基本的にお勧めできることとして、最初は1日に28g程度から始めて、だんだん増やしていき、1日に230g程度にしていきます。体内毒素が極めて多い場合は、テーブルスプーン一口から始めるのがよいでしょう。
ビート・クヴァス レシピはウェブで各種見つかります。ここにはBeetsandBones.comのものをご紹介します:
成分:
• 大きい生の有機ビート2個を2.5cmくらいの立方体に切り刻む。削ると砂糖が多く出過ぎるので削らないでください。
有機のビートなら本当に皮を剥きたい場合を除き、皮を剥く必要がありません。その皮には発酵を促進する多くの善玉菌が含まれています。もし従来方式で生産されたビートを使用するなら、残留農薬を避けるために皮を剥いたほうがよいでしょう。
• ザウアークラウトの汁かピクルスの汁をテーブルスプーンに3杯
• ろ過水、湧き水か蒸留水、絞りたてのビートジュースか純水とビートジュースのミックス。
塩素その他の薬剤で汚れた水道水ではだめです。薬剤が発酵を阻害し、むしろ腐らせます。水道水を使うなら、沸騰させて冷めてから使用します
• オプション:ティースプーン1/2の天然非精製塩。海の塩や私の個人的なお気に入りとしてはヒマラヤ塩。塩は悪玉バクテリアの発生を防止します。しかし、多すぎると飲むときの味を台無しにします
ビートを広口瓶(メイソンジャー)に入れ、1/3くらいまでビートを入れます。ザウアークラウトかピクルスの汁、塩、水/ビートジュースを加え、液面と蓋の間に約5cmほどの隙間を残してください。蓋を締め付け、よくシェークして塩をまんべんなく溶かします。
3~5日室温のまま置いておきます。冬は室温が下がっているので発酵に7日くらいはかかるかもしれません。蓋を締付けますが、毎日圧力を抜くのもお忘れなく。
あぶく、アクやカビが出ていれば、スプーンで液面からぬぐい取るだけです。毎日味見をしてクヴァスのほどよい心地よい味になったら、冷蔵庫にいれて発酵を停止させます。上まで発泡してきたら出来上がった印です。
お好きなら、液だけきれいなジャーに分けて絞り、ビートからクヴァスを分離することもできます。保管については、研究によると、冷蔵した場合には乳酸発酵ビート・クヴァスは30日間も抗酸化力を維持します。
当然のことながら、ビートも食べることができ、次のクヴァス作りに再使用することもできます。
ビートは伝統的なボルシチスープ(ビートスープ)に素晴らしい追加メニューになるし、クヴァスは固ゆで卵を漬物にするのにも使用できます。ビート・クヴァス レシピによってはホェイ(乳清)を添加するものがありますが、これは実は不要で、かえって手間が増えます。
レーズン、イチゴ、搾りたてのオレンジジュース、リンゴ、ニンジン、ラベンダー、もぎたてのまたは乾燥したミントの葉、シナモン、ショウガ等を加えて味付けもできます。
ビートジュースを作るか、生で食べるか、発酵するにしても、常に有機のビートを買うほうが断然よいです。多くのその他の作物と同様に、米国で栽培されているサトウダイコンは遺伝子操作型(GE)品種です。
テーブルビート(火焔菜)は現状ではGEではありませんが、サトウダイコンの傍でしばしば栽培されており、交配が起きることが知られています。食べるためにビートを選ぶなら、できる限り有機の品種を選び、GE汚染のおそれを避けるべきです。
ビート類は育てやすいのでエアルームビートの種を自分で購入するのも一手です。栄養素が多く、実際に健康によいので試す価値はあります。ビートの根の他、ビートの葉は種類豊富なビタミンやミネラルも含みます。
これらは繊維質の素晴らしい摂取源で、 — ワンカップだけで1日必要量の17%を供給する — さらにビタミンB6、マグネシウム、カリウム、銅、マンガン、抗酸化物資も含みます。
ビートの葉に豊富なビタミンKは凝血作用があり、加齢を遅くし、DNAを支持し、骨粗しょう症の防止、カルシウムと共に作用して骨を強化するほか、アルツハイマー病と闘うために役立つようです。
ビートの葉にはほうれん草より多くの鉄が含まれ、ビート本体より栄養価が高いです。若いビートの葉をサラダやソテーに使う以外にも、ビートの葉はこれらの栄養素をすべて取得するためのもう一つの優れる手段です。
以上からおわかりのとおり、ビートには多くの健康へのメリットがあります。高血圧や心不全でお悩みの方は生ビートジュースかビート・クヴァスを試して見て、どれほど効くかを確認されるとよいと思います。ビートジュースを飲むと血圧が下がる、スタミナが増すといった方なら、これはとても合う飲み物です。
糖尿病やインスリン抵抗性のある方は生のビートジュースが全身の健康状態への影響を注意してフォローし、それを飲む頻度を決めるために考慮するのがよいです。通常は、ほどほどにすべきです。
砂糖の大部分が発酵によって分解されるので、ビート・クヴァスを使うほうがはるかによいことのようです。
善玉バクテリアを供給してくれるこのドリンクは糖尿病その他の多くの健康異常に有益な効果もあるほか、特に、腸機能不全に根本原因がある疾患によく効きます。腸内細菌叢が健康でなければ最適な健康状態であることが困難になるので、こうした効果の一覧はさらに長くなります。
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