Dr. Mercolaより
視床下部–下垂体–副腎(HPA)軸はストレス管理という身体の最も重要な機能の1つを担うシステムです。
これには負傷、病気、仕事、人間関係の問題であるかに関わらず、考えうるどのストレス原因も含みます。
残業による慢性的ストレスや慢性的炎症、長引く病等が副腎疲労症候群とか副腎疲労症と一般的に(若干的外れな表現)言われるHPA軸機能障害につながります。
この問題についてはいまだに議論が多いです。従来式の医療の見地からは「副腎疲労症候群」は存在しません。一部のオルタナティブ医療従事者は副腎は残業により負荷を大きく受け、コルチゾール生産機能を失うという仮説を根拠にして反論します。
より近年の仮説によるといわゆる副腎疲労症候群のほぼすべての症例は副腎のコルチゾール生産機能障害に依るものでは実はないといいます。
このことが時々発生する場合がる一方では、たいていの場合、こうした異常がある人のHPA軸上の脳の信号部分に異常が発生しており、即ち、問題の出所は視床下部と下垂体(HとPであって、この軸の副腎部分を指すAではない)にあります。
運動は最適な健康のために欠かせない構成要素ですが、常時疲れ切っているなら運動がかえって現実的な問題につながります。また、運動自体は肉体的なストレス要因なので、注意しないとHPA軸機能障害を容易に悪化させます。
副腎は両側の腎臓の真上に各1個ずつ合計2個あります。内分泌系の一部として副腎は次を含む50種類以上のホルモンを分泌します:
これらのホルモンや副腎で生産されるその他のホルモンは以下のような身体機能を制御しています:
倦怠感、虚弱
うつ、恐怖感、不安
ホルモンのアンバランスや血糖濃度異常
免疫機能の阻害
筋肉減少、骨の損失、筋肉の虚弱や身体の痛み
塩、砂糖や脂肪の多い食物の渇望
アレルギーの増加
皮膚の異常
自己免疫障害
PMS(閉経後症候群)
座った状態や横になっていて立ち上がったときの立ちくらみ、血行不良
一晩よく寝ても寝起きが悪い
性欲減退
ストレス処置能力の低下
記憶力減退、もやもや感
運動すればその状況を悪化させるので、運動は大切とはいっても、今は無理してはいけません。HPA軸機能障害があれば、代謝予備能の再構築が主要目的になります。そのために必要なこと:
一日の内正しい時間帯に日光に当たることを心がけて概日リズムの障害に対処してくださいつまり、自然な明るい陽射しを朝や日中に浴びること、夜は人工照明や電子機器からの光を避けることを意味します。
さらに、十分寝ることを心がける。たいていは毎晩8時間ほどの睡眠が必要です。
運動自体は肉体的なストレス要因なので副腎に大きく負荷がかかります。重要なのはウォーキング、ヨガ、緩和なサイクリング、泳ぐ、気功、太極拳等の緩和な活動に焦点を当てることです。心地よく感じ始め、運動許容度が上がってきたら、ある程度の緩和な運動をだんだん加えていきます。
この段階では運動し過ぎの危険が大きく、自分の身体によく耳を傾け、辛抱強く取り組みましょう。結局代謝予備能が再構築され、副腎疲労症候群に罹る前に行っていたような運動を再開することができるようになります。
それでも再発はありうるので、自分のエネルギー備蓄に注意して、後退感があれば控えめにするか一時中断してください。
一部の普及している薬品がHPAによるコルチゾール生産を抑制することにたいていの人は気づいていません。「ステロイド」剤に分類されるプレドニゾン等の医薬品は本質的にこの経路を遮断するので、この薬剤を服用するときは用量がだんだん下がっていくのはコルチゾール生産欠如による障害の発生を防止するためです。
ステロイド投与による喘息とアレルギー対策もこうした効果があると思われます。ベクロメタゾンやトリアムシノロン、フルチカゾン、ブデソニド含有吸入具または鼻内噴霧が必要な方は、特に長期間投与によりこのリスクがあります。
Precision Analytical Laboratory(精密分析ラボ)の創設者、DUTCH Testの開発者であるマーク・ニューマン(Mark Newman)氏は2015年にブログでこの点について紹介しています。これらの薬剤投与によるホルモン生産阻害の頻度を実証したある系統的検討とメタ分析を同氏は参照しています。
これらの報告にはさらに、こうした影響が治療終了後もさらに6カ月以上継続することが頻繁にあることを示す驚くべきデータを示していました。
プレドニゾンを処方するたいていの医師はこれが副腎の生産機能を阻害することを承知しています。その他のこの部類の薬剤の多くにも共通していることですが、あなたのかかっている医院では以上の阻害効果を知らない可能性があります。
視床下部や下垂体に影響し、このためコルチゾールの生産に支障があることで知られるもう一つの薬品はニキビ(座瘡)の処置によく使われる、イソトレチノインです。2015年にDermatology(スキンクリニックの専門誌)が行った調査では、105人の尋常性座瘡患者について研究しました。
黄体形成ホルモン、テストステロン、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)、コルチゾール、成長ホルモン、甲状腺ホルモン遊離型T3を含むホルモンが使用開始から3カ月後に減少しました。
イソトレチノインはよく十代から20代初期に使用されますが、体力、体重、生理周期、生殖能力に長期的な健康上のインパクトを及ぼします。かなり多くの人に影響している可能性が高いもう1つの主要な薬剤がオピオイド鎮痛剤です。
検索語「副腎抑制」で特定の薬剤をネット検索してもこの薬剤の潜在的な抑制的影響について調べるための最も正確な方法ではないようです。しかし、開始点にはなりえるでしょう。
一例として、グーグルで「オピオイド」と「副腎」で検索すると、アヘン剤鎮痛薬がHPA軸を遮断する可能性についての科学ジャーナルの記事による警告文が返ります。そこでは「臨床用には必ずしも十分に評価されていない」とされています。
試験は、服用中の薬剤がホルモン生産を遮断する可能性を見るための最善の方法です。ニューマン氏によると、コルチゾール生産が阻害されているかを見極めるためには遊離コルチゾールと代謝産物ともに検査する必要があります。
最後に、頭部の重傷が視床下部や下垂体に影響する外傷性脳損傷(TBI)すなわり頭の重傷は副腎のコルチゾール生産能力に直接インパクトを与えることが研究でも実証されています。
自動車事故、スポーツでの事故、スリップや転倒、オートバイの衝突、ボクシング、軍事関連その他インパクトが強い動作であって脳内組織に外傷を及ぼす場合が最も一般的な原因です。残念ながら、TBIは男性と女性ホルモンともに変成させるので、倦怠感やうつにつながります。
よい知らせは自然療法がかなり効果的であり、時が経つにつれ、我慢し、以下の指示に従ううちに回復することができます。「副腎疲労症候群」すなわちHPA機能障害は全身アプローチが必要なことを念頭に置いてください。まず何よりストレス反応の障害の原因になった過剰なストレスや不健康なライフスタイルの習慣を治すことです。
時間生物学も重要な影響を持つので、特に朝10時前に屋外で日常的に日光に当たることが重要なことを銘記してください。これは太陽の青い光がメラトニンの生産を促し、その夜寝やすくなるからです。夜間のよい睡眠は副腎の健康をよくするために決定的に重要です。
過去そして現在の感情的外傷やストレスに対処してください。よく心がける瞑想や感情解放テクニック(EFT)等の戦略は極めて役立ちます。
同じことは屋外で過ごす時間をより多く持つことにも言えます。ストレス軽減と管理は副腎の健康を復活させるための鍵を握ります。
健康的で栄養価の高い食事を摂ること。健康的な脂肪を毎日食べ、清浄な純水をたくさん飲み身体を保湿すること。
食事に自家製骨汁スープや発酵食品を含め、腸の健康と栄養素の吸収力を改善すること。HPA機能障害があれば間歇的絶食はしないでください。
ホルモンシフトを実現して砂糖ではなく脂肪を燃やすモードに切り替えるには比較的健康であり、副腎が正常に機能する必要があります
身体に耳を傾け、疲れを感じたら休みましょう。これには短時間の昼寝や単に横たわるだけも含みます。必要ならよく寝てください
副腎を疲れ切らせる程のコーヒーや砂糖等の刺激剤を避ける
ウォーキング、サイクリング、水泳、ヨガ、気功、太極拳のような軽い運動を理想的には屋外で行うようにしてください。心地よく感じ始めたら、さらに軽度の運動をだんだん含めます。運動のし過ぎは避ける
特定の栄養補助食品も役立つ場合があり、これにはマグネシウム、ビタミンB群、ビタミンC、動物性オメガ3脂肪(オキアミ油)やウコンが含まれます。
(サプリメントを自分で処方するのはお避け下さい。必要な情報を全て集めないとすぐにバランスを崩します。)
ビタミンD濃度テストを受け、その値が40 ng/mL未満なら上げるような対策を開始してください。これには日光に適度に当たることやビタミンK2とビタミンD3サプリメントを飲むことがあります。
注意が一つ:副腎はビタミンC等特定のビタミンをかなり多く必要とするので、実際に「副腎疲労症候群」のある方はビタミンCを多めに摂ると効くかもしれません。
しかし、その問題の根本が脳の信号機能にある場合、ビタミンCを摂っても大した差はありません。
副腎機能を支持することが知られる他の栄養素についても同じことがいえます。この場合は、脳に作用する特定のアダプトゲンのほうがより役立つでしょう。
カンゾウ(甘草)根等のコルチゾール代謝に効くサプリメントを飲むのも一手です。
食卓塩の代わりにヒマラヤ塩を使いましょう。この塩はホルモン調節をはじめ最適な身体機能のために必要な微量ミネラルを数十種類も豊富に含みます。
短期間(6~12カ月)のホルモン補完療法が副腎機能の復元と正常化作用があることは証明されています。これには極微量のDHEAとプレグネノロンの服用も含みます。
DHEAは副腎が生産する自然なステロイドであり、ホルモン前駆体で、副腎疲労症候群の人では濃度が異常に低いです
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