未確定睡眠時無呼吸の危険

睡眠時無呼吸

早分かり -

  • 中度から重篤な睡眠時無呼吸の症例のうち推定80%は診断未確定なままで、アルツハイマー病、糖尿病、心臓病、肥満等重篤な健康上の問題につながるリスクが高くなる
  • 典型的に成人に見られる睡眠時無呼吸だが、子供や幼児にも発生し、注意力欠如、行動的問題、情緒不安定、おねしょ(寝小便)、夢遊病等の潜在的な根本原因になる可能性がある
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Dr. Mercolaより

睡眠不足と睡眠の品質劣化により物忘れがちになったり、事故に合いやすくなるほか、アルツハイマー病、糖尿病、心臓病、肥満等の重篤な健康リスクにもつながると言われています。

睡眠不足になる多くの原因のうち最も危険なのは睡眠時無呼吸です。

あなたが軽度から中度の睡眠時無呼吸を被っている数百万人の中の一人なら、睡眠は呼吸が周期的に阻害されることによる大きな鼾、荒い鼻息、咽喉を締められたような音で中断されます。

この症状の重度に応じて、こうした呼吸の中断が一時間に数回から何百回も起きることがあります。この間は呼吸が停止しているので、脳や身体には文字通り酸素が欠乏しています。

通常は、空気を求めて口が大きく開くと正常な呼吸に戻り、これがよく共に寝ているパートナーに言われるような大きな鼾や詰まった音を発生します。

大きな鼻息は普通の現象やこれに伴う変なノイズによって愉快なことぐらいにたいてい思われていますが、睡眠時無呼吸は笑っていられるほど軽いことではありません。

これは危険になりうる、さらには放置しておくと生命を脅かすこともある重篤な健康障害です。中度から重篤な閉塞性睡眠時無呼吸症例のうち推定80%が診断未確定なままであることは注目に値します。

睡眠時無呼吸にあなた本人や愛する人が掛かっていると思ったら、今すぐ行動を取り、診断と処置を受けてください。こうすることで睡眠と健康の大幅な改善に向かっていくことでしょう。

睡眠の重要性

米国疾病管理予防センター(CDC)によると、睡眠不足は大きな公衆衛生の問題であり、睡眠不足は様々な健康上の問題に関連づけられています。

ほとんどの人が健康を維持するために何時間の睡眠が必要かを見極めるために300件の研究を検討した結果、これを行った専門家委員会は大部分の成人は正常に機能するために一晩で約8時間睡眠が必要だそうです。子供や十代の若者はさらに長く寝る必要があります。

長時間働く、睡眠障害がある、コンピュータ、電話、テレビなどに長時間向かう方の場合、おそらく一晩に5時間以下しか寝ていないはずです。

これほどの睡眠不足ではかなりの種類の健康への悪影響を及ぼし始める可能性が高いです。事故確率の増大、体重増加、慢性病、性欲減退、性的満足の減少が挙げられます。

ベッドにいる時間が実際の睡眠時間とはまず等しいことがない点に注意することは重要です。自分の睡眠時間と質をよりよく把握するための追跡装置を使用するとよいかもしれません。

これを実際に行うと、順調な晩で30分そこそこ寝ない時間がある一方、悪い夜にはその2~3倍かそれ以上寝ていないことがあるかもしれません。

睡眠は記憶の定着に重要な役割を演じており、睡眠時無呼吸等の睡眠障害が記憶損失を加速することは実証されています。私が以前睡眠の価値を無視していた頃、毎晩5~6時間寝たことはほとんどありませんでしたが、今は平均して通常8時間以上は寝ています。

自分の習慣を変えてからというもの、全体的な健康や寿命を支持する睡眠の価値を貴重に思うようになりました。

ハーバード医学校(HMS)の神経学者で神経学助教授のポール・マシュー博士(Dr. Paul Mathew、HMSの姉妹施設でも臨床分野で勤務している)も睡眠が全身の健全な状態のために不可欠であると考えています。

3種類の睡眠時無呼吸と身体への影響

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は舌が軟口蓋に下がって 軟口蓋と口蓋垂(のどちんこ)が咽喉の背面まで落ち込んで、睡眠中に気道を塞ぐことから発生します。睡眠中に気道が頻繁に閉塞すると、10秒間も呼吸が困難になります。

息切れ、反射運動、鼻息がOSA患者や一緒に寝ているパートナーの睡眠を邪魔することで通常は呼吸が再開します。OSAはまた、重要な器官への酸素の流れを減少させ、鼓動のリズムを不規則にすることもあります。

中枢性睡眠時無呼吸 (CSA)は気道の閉鎖や脳が筋肉に呼吸するよう信号を発信できなくなることを特徴とする機械的支障を超えた問題です。具体的には、横隔膜と胸は空気を吸い込んで呼吸を調節するための適正な信号を受信しなくなります。CSAは心不全や心臓発作等の疾患、高地での睡眠中に発生することがあります。

混合性睡眠時無呼吸は上記二者が合併して起きるもので、無呼吸期間ごとに脳が自分を興奮させ、通常は部分的のみですが、呼吸を再開し始めるようになります。

重度の睡眠時無呼吸症状がある場合、一晩に文字通り数百回目が覚めることもあります。この短時間の興奮を最も集中的に起こす時間帯は急速眼球運動(REM、レム)期間です。

睡眠時無呼吸の見分け方は?

マヨクリニック(Mayo Clinic)によると睡眠時無呼吸に共通する兆候や症状には次のようなものがあります:

睡眠中の異常な呼吸パターン

息切れがして突然目が覚める

夜間の胸痛

集中力低下

過眠症(過度の日中の眠気)

不眠症

気分不安定

朝方の頭痛

体を起こして座る姿勢を取ると治る息切れ

荒い鼻息

睡眠中の呼吸停止

あなたご自身か他の知っている人がこれらの症状のうち2つかそれ以上をお持ちなら、睡眠時無呼吸が根本原因であることが考えるのかを見極めるために医師に相談してください。正しく呼吸しているか否かを確認するための簡単な自分でできるテストを次にご紹介します:

  • 立ったまま背中を壁に当てます
  • お尻、頭、踵、肩甲骨が全て壁に着いていることを確認してください
  • 「ハロー」と言って、息を吸い、それから吐きます

容易に声が出て、息を吸って吐くことができ、この姿勢が苦しくない場合、あなたの口とのどに支障はありません。

これら3つの機能を楽にできなければ、呼吸が邪魔されている可能性があります。立っている間に呼吸する支障があれば、寝るために横になったときにその状況が悪化することを覚悟してください。

睡眠時無呼吸がいかに健康をリスクに晒すか

  • 血中の酸素量が減ると、体内器官の機能に支障が発生したり、その他すでにお持ちの健康上の問題を悪化させたりします
  • 脳の老廃物排出系(脳内のリンパ系システム(グリンパティックシステム)として知られる)は深い睡眠中しか機能しないので、脳組織からの不可欠なデトックスを減速又は阻害します
  • 概日リズムの障害によりメラトニン生産が減り、その他体内化学的プロセスの障害をきたします

睡眠時無呼吸に関連する健康リスクを数多くの研究が焦点を当てて取り上げています。睡眠時無呼吸が促進する悪いことの例:

  • アルツハイマー病その他記憶関連の問題
  • 痛風
  • 心臓病
  • 初期糖尿病や糖尿病
  • 腫瘍の増大

さらに睡眠時無呼吸は意気消沈の気分に寄与します。睡眠時無呼吸はときとしては鬱病と誤診されることがあります。睡眠時無呼吸が重篤なほど、質の高い睡眠が欠如していることが主な原因で、意気消沈する確率が上がります。

身体への悪い影響にも拘わらず、睡眠時無呼吸に罹っている多くの人はひどい健康リスクに気づいていなく、フルチェックしてもらおうとも思いません。

子供たちの睡眠時無呼吸:知っておくべきこと

睡眠時無呼吸は通常は大人に関連していますが、睡眠時無呼吸とそれに伴う健康の問題リスクに子供たちはますます晒されています。

これは主に母乳で育つ子供の減少と加工食品だらけの食事が原因です。睡眠時無呼吸が閉塞性でも中枢性でも乳幼児を含め、子供にもよくあることを知れば驚かれるかもしれません。

これは2~8歳の子供では特に広がっています。放置しておくと、小児睡眠時無呼吸から帰結する異常:

  • 運動亢進や衝動制御障害等の行動の異常
  • 認知機能障害や不注意(迂闊さ)
  • 子供が肥満であるか肥満のまま成人したときの心臓病
  • 情緒不安定

子供が慢性的に睡眠障害を被っている、口で息したり荒い鼻息をする場合、睡眠時無呼吸に罹っているのかどうかを医師/医療専門家に評価を頼んでください。また、口腔顔面筋肉機能セラピーを検討する方法もあります。

口腔顔面筋肉機能セラピーでは口と顔の筋肉の神経筋再ティーチあるいは再パターン設定を行います。顔面運動や舌の運動、行動修正テクニックを利用して正しい舌の位置を促し、呼吸、咀嚼(そしゃく、物を噛む動作)、嚥下(飲み込む動作)を改善していきます。

正しい頭と首の姿勢も対象にします。私は舌のもつれ克服にこの療法を使い軽度から中度の睡眠時無呼吸を被るお子様や成人のための潜在的な解決策として心を込めてお勧めしています。

睡眠時無呼吸の処置法

考えうる処置には次の各種あります:

  • ビューテイコ呼吸法:この療法を開発したロシアの医師の名前を取ったもので、ビューテイコテクニックを使って睡眠時無呼吸を含む呼吸障害が原因の健康問題を治癒します
  • 持続的気道陽圧法 (Continuous Positive Airway Pressure、CPAP):CPAPは重篤な睡眠時無呼吸用に処方される特殊なスリープマスクを使い、気道を開くように気圧を活用して機械的に呼吸を矯正します
  • 口腔顔面筋肉機能セラピー:上記の通りです
  • 口内器具:軽度から中度の睡眠時無呼吸が顎や舌の障害と関連していれば、特殊研修を受けた歯科医が患者専用の口内器具を設計できます。これはマウスプロテクターに似たもので睡眠中の正常な呼吸をしやすくするために口内に装着できる器具です
  • 体重減少:肥満の方は睡眠時無呼吸の影響を減量によって劇的に改善できます。痩せれば腹腔や胸への圧迫が減り、呼吸筋がより正常に機能するようになります

呼吸に関してさえ食事が想像以上に重要な役割を持つことに驚かれるかもしれません加工食品を食べると、体が正常なpHを維持しようとして血液を酸性にする傾向がありますが、その結果、呼吸が深くなり、慢性的な過呼吸になることもあります。

この理由は、血中の二酸化炭素の役割の一つがpHを調整することだからです。水が最も呼吸への影響が少なく、次が生の果物や野菜、その次に料理した野菜です。

高タンパクで穀物の多い加工食品は呼吸のし方に最悪の影響を与えます。

睡眠不足による身体への5種類の影響と方策

睡眠時無呼吸の問題がない方でも睡眠の質や時間が乏しいことで最適とはいえない健康状態になる場合があります。Authority Nutrition(ウェブページ)によると日常身体が必要とするより少なくしか寝ないと以下の影響の中の一部か全てにつながります:

  • 安静時代謝量の減少
  • 肉体活動への興味減退
  • 食欲が増進して渇望と闘う能力の阻害
  • カロリー摂取量の増加、このため体重増加や肥満リスクが増大
  • インスリン抵抗性リスクが増加

以上に挙げたような症状があれば今すぐ睡眠を正常にするために行動開始してください。日常の習慣的行為や寝ることに関してのごく僅かな調整でも大きな違いにつながります。以下に私が推奨していることを一部ご紹介します。

  • 睡眠の妨害になりそうな心の状態と向かい合う:感情解放テクニックを利用して健康や人間関係の問題を含む、睡眠の妨害になりそうな感情的、肉体的問題に対処してください。
  • アルコール類、カフェイン、ニコチンを含むその他の薬剤を避けてください:これらの物質を特に就寝時間前に毎日摂取した場合に睡眠に及ぼす可能性が最も高い影響について注意してください
  • 睡眠前のリラックス習慣を作る:瞑想、音楽、読書、ストレッチ、お風呂で温まる等一貫した睡眠前の慣例を生み出すと眠くなっていくように身体を癒すのに役立ちます
  • 日中は最適に光に当たり、日没後は光に当たることを最小限にします:日中は30~60分の屋外光に当たるようにし、夜は人工灯に当たるのを最小限にしましょう。寝る時は睡眠用マスクやブラインドを使って暗闇にする
  • TVその他の電子機器を就寝の一時間前までに切る:電子機器は青い光を放ち脳がまだ日中だと錯覚をおこし、潜在的に脳のメラトニン分泌を邪魔します