背痛の簡単な予防と処置戦略

背痛

早分かり -

  • 座業のライフスタイルが他のどんな独立的要因よりも大きな背痛の原因です。適正な平衡を取る運動をせずに座り過ぎでいると寿命を縮め、加齢にともなう生活の質を劣らせます。
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Dr. Mercolaより

推定75~85%の人は生きているうちにいつかは背痛を経験しており、その大部分は機械的な原因によるものです。つまり、痛みが関節炎や骨折等の重篤な疾患によるものではないのです。

全成人勤労者の50%は背痛を訴え、これが仕事をし損なう最大の原因の1つです。

驚くことなかれ、背痛は大製薬会社の病気商売に好都合の標的になりました。その商売化の最近の事例には、脊柱を含む体の軸系骨格の慢性炎症のひとつ、強直性脊椎症に関する宣伝の出現です。

宣伝されている薬品はHumiraといい、年間価格が約$20,000という値札が付いています。背中下部の痛みの極めて稀にしかない原因を取り上げてこうした高価で危険な薬品の販促を行うことは製薬会社のふらちな行為です。その原因は背中下部の痛みの1%の百分の一にも満たないものといえるほど稀です。

その薬品の副作用には結核、重篤な感染症、リンパ腫その他がんのリスクの増大、ウィルス潜伏者のB型肝炎感染、アレルギー反応、神経障害、血液障害、心不全、ループス(狼瘡)症候群を含む特定の免疫反応、肝臓障害、乾癬の発生や乾癬悪化が挙げられ、これらはごく一部でしかありません!まだ他に多くの副作用があります。

背中下部の痛みの大部分の症例は炎症によるものではなく、この薬品は普通なら不要です。- 医師に頼めば受け取るのに問題はないとしてもです。

依存症につながる危険な鎮痛剤以外にも、鎮痛剤の注射にもリスクは伴います。2012年頃に、慢性の背痛のためにステロイド注射を受けたほぼ20~30人の人が髄膜炎に罹りました。その発生原因は注入用ステロイドのバッチが汚染されていたことでした。

悪い姿勢や不適切な動きは大部分の背痛の原因なので、背痛を予防し管理するための最適な方法の1つは、規則的な運動をして背中と腹筋を強く維持することです。

ファウンデーション・トレーニングはこうしたよくある背痛の問題に対処できる容易な方策です。このプログラムはあまり高価ではなく、驚くほどの効果があります。このプログラムで行う運動は全身を芯から真っ直ぐにし、自然な動作に改善してくれます。

痛みの原因は?

悪い姿勢

不活発なことによりますます進行する不利な肉体条件

腎臓結石、感染症、血液凝固等の体内疾患

肥満

心理的/感情的ストレス

骨粗しょう症(骨の減損)

背痛の予防と対策用のツール

疼痛処置の医療や手術に訴えるまでになる前に侵撃的処置にできるだけ頼らないことを強くお勧めします。初心者の場合、多くの方が痛みを感じる箇所から全く離れた部位の緊張やアンバランスが原因で背痛が発生することが実際には頻繁にあることに気づいていません。

例えば、長時間着座姿勢でいること自体は、腰部から大腿骨と骨盤の上部につながっている腸骨筋、腰筋および腰方形筋が縮んだままになってしまいます。

これらの筋肉が慢性的に縮んでいると、立ち上がった時に事実上腰(腰椎)を前に引っ張るため、鋭い痛みを引き起こすことになります。身体の前面と背面の筋肉群のアンバランスが毎日感じることもある多くの身体の痛みにつながっているのが現実です。

こうした筋肉群のバランスを回復することでこうした痛みや不快感の多くを一貫して治癒することができるようになります。多くの方はこの種の痛みを「修理」するための急激な医療処置を受けるしかなくなるか、結局は長期間鎮痛剤に依存するようになっています。

背痛があれば整体術の有資格プロに診てもらうのは確かに賢い選択肢です。身体の内生的治癒能力に注目し、薬剤や手術といった絆創膏を貼るような処置へにほとんど依存しないという整体述の理念を私は深く信じています。

Dr. Eric Goodman(エリック・グッドマン)が開発した革新的方法、ファウンデーション・トレーニングは同氏が自分の背中下部の慢性痛対策として開発したものです。これなら多くの方が頼る対症療法的な処置に代わる優れる方策です。ファウンデーション・トレーニング運動は自分で痛めている動きのパターンから身体を段階的に解放してくれます。

その焦点は全身の芯を強化することで、この芯とは骨盤から上下の身体ともに直結している全ての構造を意味します。ファウンデーション・トレーニングはこれらの筋肉が統合された動きの連鎖により一緒に動き、この動きをするように身体が本来は設計されていることを教えてくれます。

骨盤と直結するどの筋肉も体の芯の一部と見てください。これには臀部を形成し腿部を動かす3つの大きな骨格筋、内転筋(内腿の筋肉)、背中下部の筋肉群、臀部の屈筋、ひざの後ろの腱、全ての腹筋を含みます。

強くバランスのとれたコアの筋肉群を持つことは腸をしかるべき状態に収めるほかにも、脊柱、脊椎、椎間板、最も重要な骨盤をも安定化するコルセットを内蔵しているようなものです。

最も深奥のレベルで身体に自分で自然に支えるようにティーチするほうが、経時的に筋肉構造全体を弱体化することにつながる場合もある支持具を背中に装着するよりはるかに効果的です。ファウンデーション・トレーニングはヒトの身体の深い部分にある姿勢を司る筋肉のためのオリンピック重量挙げに似ています。

エゴスキューと呼ばれる別の運動も座り過ぎによるダメージを軽減するのに便利です。さらに、痛みがすでにある方は、神経構造的統合テクニック(NST)も薬品を使用しない鎮痛手段です。NSTは身体の反射を刺激する無理のない非侵撃的手法です。

単純な動きを筋肉、神経、結合組織群全体について行うもので、神経筋肉系統が関連する全ての緊張からリセットされ、自然な癒しを促します。これは、高度に訓練されたスポーツ選手から新生児、妊婦、高齢者や虚弱な方等誰にも全く安全で適切です。

ファウンデーション・トレーニングの基本:

私はファウンデーション・トレーニングの大ファンで、その中核を成すファウンダーという運動は誰もが身に付けるのが賢いといってよいでしょう。この運動は背面の筋肉群連鎖全体を引き締め、これにより、背中を強化すると同時に前面を伸ばす統合的動作です。

この動作やその他のファウンデーション・トレーニングの運動は力を全身に分散し、関節から摩擦を解消し、関節の緊張を筋肉へ移行させます。

私はこの運動を毎日行い、より強く痛みのない安定した背中下部を作るためにすばらしい手段です。ファウンデーション・トレーニングなら座り過ぎのマイナスな影響を打ち消す効果があります。座り過ぎは慢性的背痛の原因であるばかりではなく、原因を問わず死亡確率を高めます。

座っていると、頭と肩が前かがみになり、股関節屈筋と腹部が縮みます。ファウンデーション・トレーニングのどの動きも過度に縮んだ身体前面を伸ばし、背面を強化します。これで背筋が伸びた立ち方ができ、力強く柔軟に動けるようになります。

姿勢の是正と痛みの軽減にもよい構造的圧迫解消呼吸法

呼吸は残念ながら多くの人が目を向けないもう1つの重要なツールです。下記にご紹介しているTED Talkでグッドマン博士は構造的呼吸法を実演しており、これで姿勢、特に着座姿勢がよくなります。以下その要約です:

  • 着座していても立っていても、左右それぞれの親指を肋骨のいちばん下に当て、小指はウェストで骨盤の出た部分に当てます。ものさしとして親指と小指の距離に意識を向けてください。
  • 顎を引いて胸が上向きに張るようにし、次のようにして3回深呼吸してください。
  • 息を吸うときは、親指と小指の間が広がるはずです。
  • 息を吐く時は腹筋を引き締め、上体が後ろへ返って下がらないようにします。ここが大切なポイントで、息を吐くに連れて上体が骨盤のほうへ下がらないようにします。これは息を吐く時に腹筋を使うのを感じるはずで、少々頑張るのが必要かもしれません。

この呼吸は正しく行うと、呼吸で股関節屈筋を強化し、脊柱を安定化し、体の芯を支持するのを助けます。これは体の前面と背面に渡る腹筋を使うからです。

これで背中を強化し、胸を高く開がった状態に維持するに役立ちます。この運動は30秒程行い、普通の着座姿勢に戻ります。時が経つにつれ、これらの筋肉は強くなり、着座姿勢がだんだんよくなっていきます。ファウンデーション・トレーニングで日々の姿勢が劇的によくなるのが速やかに感じられるはずです。

その他の背痛解消ヒント

背痛防止はその処置よりは確かに簡単です。整体術による調整、ファウンデーション・トレーニング、エゴスキュー運動、NSTも含むすでにご紹介したもの加え、背痛を解消するには以下にご紹介するいくつかの方法もあります。

この方法には多くの代替的方法があります。痛みの根本原因を処置するために何ら行わず、その過程でかえって有害にもなりうる医薬品や外科手術といった対症療法に頼ることに正当な根拠はほぼありません:

運動と肉体的活動は脊柱の筋肉を強化するのに役立ちます。運動時間を高強度セッションを含めて計ってください。このセッションは多くても週に一回か二回だけで十分でしょう。筋肉の強度を高め、均衡力と柔軟性を促進する運動を取り込んだ、体を集中的に動かす本当に力の要る運動も含めるとよいでしょう。

背痛を予防するなら全身の芯を強くすることを念頭に置いてください。努力の要る肉体活動に取り組む前に少々のストレッチやウォームアップを欠かさず、力強く、バランスのとれた姿勢に焦点を当てるようにしてください。

ビタミンDとK2の濃度を最適化して背中下部の痛みによくつながる骨の軟化を予防してください。

私と同様、毎日長時間椅子に座って過ごす方は、腹部を意識してへこませ、骨盤を若干回して浮かせる動きを行うようによくご注意ください。同時に、耳が肩の上に来て頭が後ろへ、そして両肩が張った姿勢に心がけます。こうすると脊柱が適正な揃い方になります。座っている間1時間ごとにこれらの筋肉を数分間引き締めたままにします。

心理的要因への対処。痛みが心理的または感情的なものであることを受け入れられる人はほとんどいませんが、この見解を支持する多くの証拠が存在します。

根底にある情緒の問題や未解決の精神的外傷は特に肉体的痛みに関連している場合、健康に大きく影響します。例えば、ジョン・サルノ医師は重篤な背中下部の痛みを持つ患者を処置するために心身テクニックを使用し、このテーマについて数作の著書を著しています。同氏の得意分野は背中下部の痛みのために手術を受けたのに回復しない人々の処置です。

規則的にマッサージ療法を受けてください。マッサージはエンドルフィンを放出させ、これがリラグゼーションを促しし、痛みを和らげます。

立っているときは体重を両脚に均等に掛けてください。立っていても座っていても前かがみにならないようにしましょう。こうすると背中の筋肉へのストレスを防止できます。

背中を常時支持し、ぎこちなく前かがみになるのを回避してください。物を持ち上げるときは、背中を保護してください。持ち上げ動作は運ぶのと同様に背中にほとんどのストレスを掛けます。

堅めのベッドで寝ましょう。脊柱の湾曲を軽減するには横寝をし、起き上がる前にストレッチするのも役立ちます。

椅子や自動車のシートは腰部の支持がよいものをご使用下さい。座っている間は位置を頻繁に変え、少しは歩きまわり、軽くストレッチして緊張を解します。

靴は快適なものを履きましょう。女性はほとんどヒールを履かないようにするのが理想的です。

椎間板の高さを増強するためには水を多く飲んでください。身体の大部分は水から成るので、保湿状態を維持することで流動状態を維持して硬さを減らすことになります。

喫煙は脊柱下部への血流を減少させ、椎間板の萎縮を促すので止めましょう。

+ 出典および参考資料