エッセンシャルオイルが生活を豊かにする仕組み

エッセンシャルオイルのメリット

早分かり -

  • エッセンシャルオイルには高濃度の生物学的に活性化された揮発性化合物を含んでおり、微量でも治療的効果があります。
  • 黒コショウ、ウイキョウ、グレープフルーツオイルは交感神経系の活性を刺激し、一方、バラやパチューリオイルはそれを鎮める
  • ラベンダーオイルの経口投与が全般不安症の処置用である薬剤ロラゼパムと同様の効果があることが発見されたジャスミン オイルは気分を高揚させ、鬱を軽減する
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Dr. Mercolaより

香りは全身の健全な状態にパワフルな影響を及ぼします。アロマセラピーは多種多様な植物抽出物の濃縮エキスを利用して植物の持つ臭覚に及ぼす効果を生かし、いろいろなレベルで癒しが可能になります。

エッセンシャルオイルには高濃度の生物学的に活性化された揮発性化合物を含んでおり、微量でも治療的効果があります。

エキスの品質はここにあります。まず何より、ここで取り上げているのはピュア―な治療グレードの植物性エッセンシャルオイルです。香水の合成フラグランスオイルは対象外です。これは有毒で、典型的にアレルギー性化合物を含みます。

但し、エッセンシャルオイルの中でも品質は極めて様々異なり、所与のブランド製品の品質を評価することは困難です。植物の成長環境、収穫や蒸留、製造の方法をはじめ、保管方法のすべてが最終製品に影響してくるからです。

最も大切な注意点はピュアー、バージンとか純粋といった表示を探すことです。ここで取り上げるのは100%エッセンシャルオイルです。つまり希釈、変成、他の物質と混合していないものを意味します。価格を見ると判断できます。実に安いものなら、まず劣悪な品質のものです。

組合せを考慮するとエッセンシャルオイルには数百、数千種類もあります。そのそれぞれが潜在的な効能があります。油類は相乗的に作用する傾向があり、1種類だけよりも複数を組み合わせるとより効果があがる傾向があります。

健康と正常な体調のために精油を使うには多くの方法があります。次の特集記事をご覧ください25種類以上のエッセンシャルオイルの楽しみ方をご紹介しています。

芳香で神経系を変える

エッセンシャルオイル(精油)の芳香を嗅ぐと、アロマが肺を通して血流に入り、これがアロマセラピーのいう心理的効果の仕組みの1つと考えられます。エッセンシャルオイルは皮膚に局部的に塗ると容易に吸収されます。

芳香は脳内の辺縁系にも作用します。この辺縁系というのは記憶と感情の中枢です。多くのエッセンシャルオイルには抗菌性、抗真菌性や抗ウィルス性の特性があり、抗生物質とは異なり、エッセンシャルオイルは耐性を促進しません。

現代では科学者が香りと人間の行動の間の相関関係をかなり突き止めており、香りは神経系の生化学に実際に影響します。

この事実は2002年のある日本の研究に見られ、特定のオイルが交感神経系を刺激する一方、他のオイルがこれを鎮める働きがあります。

(交感神経系は心臓の鼓動、血管収縮、血圧などを制御しています。)

以下のような例があります。

  • 黒コショウ、ウイキョウやグレープフルーツオイルは1.5~2.5倍の交感神経系活性を増加させます(収縮期血圧の増加で計測)。
  • バラとパチューリオイルが交感神経系活性を40%減らす
  • 胡椒オイルは血清アドレナリン濃度を1.7倍増加させた
  • バラオイルでアドレナリンが30%下がる

ラベンダーとジャスミンは気分高揚によい

韓国のある研究ではラベンダーが女子学生の不眠症と鬱状態を軽減しました。

Phytomedicine(植物学の医療への応用専門誌)に2010年に発表されたある研究ではラベンダーオイル調剤(シレクサン)の経口投与には全般不安症の処置用である薬剤ロラゼパムと同様の効果があることが発見されました。著者によると:

「この研究ではラベンダーオイルは鎮静効果がなく、医薬品濫用の危険がないので、シレクサンは全般不安症の改善用薬剤ベンゾジアゼピンに代わり効果的で許容度が高い代替手段になりえる。」

ジャスミンのエッセンシャルオイルは情緒を高め、鬱の症状に対抗することも別の研究で判明しています。その筆者らは次のように説明しています:

「偽薬に対して、ジャスミン オイルは呼吸頻度、血中酸素飽和度、収縮期血圧・拡張期血圧ともに大幅に上げることから、自律的興奮を促すことが示された。

感情面では、ジャスミン オイルのテストを受けた参加者グループは、対照群より自分がより注意力がまし、活気が増え、リラックスは逆に減ったと自己評価した。この事実は主体的行動の覚醒を示す。

結論として、テスト結果からジャスミン オイルの刺激効果や活性化効果が明らかになり、アロマセラピーに応用して鬱の軽減や気分高揚に役立ちそうである。」

エッセンシャルオイルの成分であるテルペンが健康によいわけ

Healthy Holistic Livingのサイトではエッセンシャルオイルの治療上のメリットを構成する成分をいくつか紹介しています。例えば、エッセンシャルオイル(精油)には強力な抗酸化性があります。

この記事によると約28gのチョウジノキ オイルにはニンジン約20kg相当の抗酸化力があります。エッセンシャルオイルには3種類のテルペンも含まれ、それぞれに固有のメリットがあります:

フェニルプロパノイドには抗菌性、抗真菌性、抗ウィルス性の活性があります。その記事で説明されているように、「フェニルプロパノイドは細胞内の受容部位をきれいにする。

受容部位がきれいでないと、細胞は交信できず、身体機能が異常をおこし、疾患に至る。」この種のテルペンを含むオイルにはチョウジノキ、カシア属、バジル、シナモン、オレガノ、アニス、ペパーミントがあります。

モノテルペンはたいていのエッセンシャルオイルに含まれており、「細胞のメモリーに誤って書き込まれた情報をプログラムし直す」のに役立つと、その記事は紹介しています。

セスキテルペンは細胞への酸素供給を促し、ウィルス、バクテリアやがん細胞さえ生存しにくくします。セスキテルペンを含むエッセンシャルオイルにはシダーウッド(スギ材)、ベチバー、スパイクナード、サンダルウッド、黒コショウ、パチューリ、ミーラ、ショウガ、フランキンセンス(乳香)が挙げられます。

よくある病に効くエッセンシャルオイル

エッセンシャルオイルの数ほど多くのアロマセラピーの応用がおそらく存在するはずですが、ストレス解消、情緒安定化、睡眠の改善、痛みや吐き気の軽減、記憶力やスタミナレベルのアップには特に有望であることを研究が実証しています。

アロマセラピーの幅広く応用できることについてだいたい把握して頂くため、次表に現代最もよく見られる病いや健康上の問題のいくつかに対するエッセンシャルオイルの治療的応用の一部を一覧しました。

ご覧になるとわかるとおり、ラベンダーやペパーミントのように2つ以上の問題に対処できる「マルチワーカー」があります。

問題 エッセンシャルオイル

ストレス

ラベンダー、レモン、ベルガモット、ペパーミント、ベチバー、松、イランイランノキ

不眠症

ラベンダー、カモミール、ジャスミン、ベンゾイン(安息香)、ネロリ(橙花)、バラ、サンダルウッド、スイート・マジョラム、イランイランノキ(レモンは元気付けるので避ける)

不安

ラベンダー、ベルガモット、バラ、クラリー・セージ(シソ科)、レモン、ローマンカモミール、オレンジ、サンダルウッド、ローズゼラニウム、松

痛み

ラベンダー、カモミール、クラリー・セージ、ジュニパー、ユーカリ、ローズマリー、ペパーミント、ラベンダー、グリーンアップル(特に偏頭痛)

吐き気、嘔吐

ハッカ、ショウガ、レモン、オレンジ、ショウガ、ディル、ウイキョウ、カモミール、クラリー・セージ、ラベンダー

記憶と注意力

セージ、ペパーミント、シナモン

体力減退

黒コショウ、カルダモン、シナモン、チョウジノキ、アンゼリカ、ジャスミン、ティーツリー、ローズマリー、セージ、かんきつ類

エッセンシャルオイルの利用法

エッセンシャルオイルの最も普及している利用法:

  • 皮膚にマッサージして擦りこむ(担体となるオイルに混ぜる)
  • 風呂に入れる
  • 温湿布
  • 拡散器に入れて加熱
  • 香水の代わりに脈打つ部分に一滴落として擦りこむ

以上はほんのさわりでしかありません。エッセンシャルオイルには多くのクリエーティブな使い方があります。Epoch Timesに紹介されている方法からごく一部、25種類の使い方をご紹介します。全ての使い方についてはその記事をご覧ください。

クリーニング用スプレー、室内除臭剤

エッセンシャルオイルを使って自分だけのクリーニング用品や室内除臭剤を作れば、有害な化学物質をいくつも含む場合がある市販製品に代わる素晴らしい代替手段になります。

例えば、抗菌性活性を利用して自家製クリーニングスクラブを作るなら、数滴のラベンダーかティーツリー オイルを重曹に加えるだけです。

最上部が穴が開いているステンレススチールキャップで削る部分が付いているガラス製のチーズ容器(一般によくある胡椒容器と同類のもの)なら重曹を表面に散布するのに便利です。市販の室内デオドラントではなく、アロマセラピー用の拡散器(ディフューザー)を使うか、お気に入りのエッセンシャルオイルを数滴スプレーボトルの水に落とすだけでできます。

フレッシュな洗濯物の仕上げ

乾燥機で乾かしたシーツは悪名高い有毒物で、600種類以上の揮発性有機化合物(VOC)がドライヤーの排気口から放出されます。洗濯物は家族の健康リスクを与えることなく、ただ濡れた洗濯物に水と数滴のエッセンシャルオイルを噴霧するだけでこれを乾燥機に入れると洗濯物がフレッシュに仕上がります。

治療用のスチームバス

毛穴を奥深くまできれいにするには、頭にタオルを巻いて数滴のラベンダーかユーカリをシンクに入れた熱湯に落として、その上に前かがみになって、蒸気を捉えます。

こうすると風邪をひいているときに鼻詰まりを和らげるのにも役立ちます。または、シャワー室の排水口を塞ぎ、ユーカリ エッセンシャルオイルを数滴タブに溜まった水に落とし蒸気を発生させると、気分を休められます。

自分用ローション、石鹸

人工香料はアレルギーの原因ですが、手作りの石鹸やローションを数滴のお気に入りエッセンシャルオイルを香りがない製品に落とせばできあがりです。

にきび対策

抗菌活性に優れるティーツリーオイルはにきびを乾燥させて直すのに役立ちます。

フェイシャルトーナー

アトマイザーボトルに入れた蒸留水に数滴お気に入りのエッセンシャルオイルを落として自製のフェイシャルトーナーのできあがりです。

虫よけ

ペパーミント オイルに浸した綿の玉が虫や害獣を寄せ付けないそうです。以下のエッセンシャルオイルもDEETやその他の化学物質虫よけに代わって優れる効果があります:

  • シナモンの葉のオイル(ある研究ではDEETよるはるかに蚊を殺す効果があることが発見されました)
  • オリーブオイルに混ぜた透明液体バニラエキス
  • シトロネラ(コウスイガヤ)石鹸で体を洗ったら、100%バージンシトロネラエッセンシャルオイルを担体となるオイルに混ぜて皮膚に塗ります。ジャワシトロネラが市販では最高品質のシトロネラと見なされています
  • イヌハッカ(キャットニップ)オイル(ある研究によるとキャットニップオイルはDEETの10倍効果があるそうです)
  • レモン ユーカリは2014年にオーストラリアのある研究で、極めて効果があることが発見されました。32%のレモン ユーカリ オイル混合液は3時間の間95%の保護を発揮したのと比較して、濃度40%のDEET虫よけは7時間100%虫よけ効果がありました。

リソース

アロマセラピーはあなたの全体的なヘルスプランにメリットがある補助プログラムになると思います。賢く食べ、運動するライフスタイルに代わるものではありませんが、心身の健康を強くするのに確かに効果があります。

アロマセラピーは例えば日々のストレス管理、情緒のバランスを取り、睡眠を改善するなどのために自分の七つ道具バッグに加えるとよいツールの1つです。

エッセンシャルオイルは芳香や抗菌性特性が加わり、自家製のビューティーやクリーニング製品の多くに加えるにもすばらしいものです。プロのアロマセラピストに依頼するか自分なりのアプローチで行うかを問わず、以下にいつくか役立つかもしれない情報源をご紹介します。

  • National Association for Holistic Aromatherapy (NAHA)(米国のホーリスティックアロマセラピー団体):芳香植物の医療応用やアロマセラピーのホーリスティックな実践に関することすべて
  • Aroma Web:アロマセラピー情報、ヒント、レシピ、入手先のダイレクトリーで、地域別アロマセラピー店のダイレクトリーも含む
  • American Botanical Council(米国植物協議会):ハーブライブラリやハーブに関する臨床情報を記載した薬草情報を提供
  • Herb Med:対話型のオンラインハーブデータベース(一部の情報は無料、フルアクセスは有料)