もっとよく寝て減量とは?

睡眠

早分かり -

  • 最近の研究から睡眠時間が長いほど、ウェストが小さく、BMIが低くなる傾向にあるこ とが証明された
  • 夜間に平均6時間寝た人は9時間寝た人よりウェストサイズが3cm以上多かった
  • 睡眠が短いことは有益なHDLコレステロール濃度が下がり、甲状腺ホルモン障害、炎症マーカーの増加にも関連していた
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Dr. Mercolaより

20歳以上の成人の内71%程度は太り過ぎか肥満です。

子供に関しては12~19歳の21%、6~11歳の17%、2~5歳の9%は肥満と見られます。 

運動と、特に食事がこの流行性異常で明らかに一役演じています。しかし余分な努力をほとんどせずに体重を管理し続けるのに役立つ、しばしば見過ごされている要因が存在します。実際にそれはもっとよく寝ることにほかなりません。

太り過ぎや肥満と同様、睡眠不足は公衆衛生上の問題です。これら二者が相関している可能性が高いです。米国疾病管理予防センター(CDC)の報告を見ると、成人の5~7千万人は睡眠障害または覚醒状態障害を持ち、35%を超す人が通常の24時間以内に7時間未満しか寝ていないことを報告しています。

その一方、こうした睡眠不足は深刻な影響を生んでいます。これには日中不意に居眠りする(アンケート回答者のうち38%がこれ)または運転中にこっくりする(5%くらいが報告)そうです。それだけではなく体重にも悪影響が出てきます。

ウェストが細くなり、減量と関連するよい眠り

1,600人を超す成人について睡眠時間(持続睡眠時間)、食事、新陳代謝の健全度の関連性を調べたイギリスの研究者らがいます。過去の研究では睡眠不足と、肥満を含む代謝不全疾患のリスク増大の関連性をじゅうぶんに解明したことがありません。この研究は同じような結果を発見しました。

睡眠時間は肥満度指数(ボディマスインデックス、BMI)とウェストサイズ胴回りとは逆比例していました。即ち、よく寝る人ほどBMIとウェストサイズが減る傾向がありました。

具体的に言うと、平均夜間に6時間だけ寝た人は9時間寝た人よりウェストサイズが3cm以上多かったのです。

睡眠が短いことは有益なHDLコレステロール濃度が低い傾向にも関連しており、「研究結果から、睡眠が短いイギリスの成人ほど肥満になる傾向が強い、これは多くの併存症を伴う疾患です」と研究らは説明しています。

この線上で、ある研究が睡眠専門誌Sleepに公開され、週末に長く睡眠すると―「反跳睡眠」ともいわれる―体重にいい影響があることも発見しました。

平均的に週末に平日より2時間長く寝た調査参加者群は反跳睡眠なしの群よりはるかにBMIが低かったのです。睡眠不足はホルモン濃度に影響します。これには「空腹ホルモン」のグレリン増加、満腹に関わっているホルモンレプチンの減少を含みます。

食欲と食物摂取量を変調することに関与している内在性カンナビノイド系統を活性化すると、睡眠不足がマリファナを吸った場合と同様の空腹感も刺激します。取り上げたその研究では、睡眠が短いと不健康な食べ方につながりうるという研究者の仮説は、この場合には関連性がありませんでした。

睡眠がいかにウェストラインに影響するか

睡眠は身体が正しく機能する能力に複雑に関与しています。睡眠が不足すると、健康的な食べ方をしようとする意志の弱まりに伴い、自己制御が悪影響を受けます。

しかし、生物学的レベルでは、睡眠不足が重要なホルモンにも支障をきたします。既述のグレリンやレプチンがそれに含まれるし、代謝機能にも障害が出てきます。毎晩30分でも睡眠が減るとメタボリズムに支障をきたし、体重増加につながります。

実際に、平日中に30分ずつ睡眠の借りが増えるに従い、1年後、その研究参加者の一人の肥満とインスリン抵抗性リスクはそれぞれ、17%と39%増加していました。 

その意味することは、毎晩8時間睡眠が必要なときに、理論的には、肥満になるリスクが34%増加し、同時にインスリン抵抗性の発生リスクも78%増加しました。インスリン抵抗性は2型糖尿病を含む大半の慢性病の典型的な兆候です。

もう一つの研究が解明したこととして、一晩に5時間しか寝なかった人は特に、深夜余計にカロリーを取ることで一週間に約1kgずつ体重が増加しました。

その反面、9時間寝た人は体重が維持され、炭水化物や健康によくない脂肪.が少ない食物を取る傾向がありました。その結果は子供についても真実です。研究が解明したことは、睡眠時間が最も短い子供ほど4.2倍余計に肥満確率が増えていました。

減量しようとしている方は、適切な睡眠を取ることで結果を生み出す以上の効果があるでしょう。シカゴ大学のある研究が示したように、8.5時間寝たダイエット中の人は5.5時間寝た人より55%多く体脂肪が減りました。

「じゅうぶんな睡眠がとれないと減量のための典型的な食事管理や関連する代謝系リスクの削減効果ともに支障をきたすようである」と研究者らは報告しています。そしてさらに:

「神経内分泌の変性はカロリー制限を伴うときに睡眠が減ることと関連性があったが、じゅうぶんな睡眠が取れないとよく利用される食事管理の効果がこうした人では上がらなくなるようだ。

例えば、グレリン濃度が上がると脂肪保持を促し、空腹感増加でカロリー制限を守れなくなるようだ。」

睡眠不足の健康リスク度を測る方法

世界平均平日睡眠時間は過去10年間に37分減少しました。また、3人に1人は一晩に7時間に満たない睡眠時間であり、推計8360万人の成人は睡眠欠如状態にあります。

体重増加に加え、あまりにも睡眠が少ないと2型糖尿病と代謝異常症候群に関連していました。取り上げた研究はさらに、睡眠が短いと甲状腺ホルモンにも影響し始め、C反応性タンパク質(CRP)濃度を高め、これが炎症を促し、2型糖尿病リスクを高めるおそれがあるそうです。

慢性病とは別に、睡眠欠如は肉体的ストレスや病気と同じ免疫系へのインパクトがあり、このことは、睡眠不足が多くの慢性病や、風邪と流感等急性疾患のリスク増大に結びついている原因の説明に役立つようです。

実際に、研究によると一晩に6時間未満しか寝ない成人は、7時間以上寝る人よりも、風邪ウィルスに直接晒されると、風邪をひきやすい高いリスクがあることが判明しています。

1晩に5時間未満しか寝ないとこのリスクが4.5倍高いことがわかりました。その研究からは、ストレスの程度、年齢、喫煙を含む、風邪ウィルスからの保護という点では、睡眠こそ他のどの要因よりも重要なことが発見されました。

自分が睡眠不足だということはおそらく自分でわかっているはずです。最近お亡くなりになった生理学者であり睡眠研究家名誉教授ナタニール・クレイトマン(Nathaniel Kleitman)氏は睡眠不足であることを判別するための簡素なテストを発明しました。睡眠研究のパイオニアとしてそのことをよく知る立場にもありました。

その仕組みはこうです: 午後早い時間帯にスプーンをつかみ、暗めの心室へ行き、ひと眠りします。ベッド横の床に金属製のお盆を置き、寝付こうとしながらそのスプーンをお盆の真上になるように持っています。

時刻も確認することをお忘れなく。次に、必然的に寝付くとスプーンがお盆に落ちます。音で目が覚めたらすぐに時刻を確認し、どれだけ時間が経過したかをメモします。

クレイトマン氏によると5分以内に寝付いた場合、かなりの睡眠不足です。10分で寝付いた場合は、まだもっとよく寝たほうが良い兆候です。

寝付くまで15分またはそれ以上かかった場合、おそらくよく休眠できています。スプーンと金属製のお盆がすぐになければ、このテストは15分の目覚ましタイマーをセットして鳴る前に寝付くかどうかを見ることでもわかります。

たいていの成人は夜間8時間の睡眠が必要

睡眠は年齢、活動レベル、健康状態によりさまざまですが、研究は明確に示しています。そして大部分の専門家の意見は一致しており、8時間の夜間睡眠が理想的だそうです。しかし睡眠8時間というのはベッドの中に8時間いることではないことを念頭においてください。

10 p.m.に床に就き、6 a.m.に起床したら、8時間寝たと言えるのでしょうか。実際にはおそらく15~30分は寝付くのに時間がかかっており、夜のうちに1回かそれ以上目が覚めたことがあるかもしれません。

健康追跡装置が市販されているおかげで実際の睡眠データ(それ以外も)を腕時計からも知ることができます。自分のためだけならそのデータはかなり有用で、正味8時間の睡眠を実現するには何時に就寝すべきかが見極められるようになります。

睡眠の問題が就寝時間にあるのではなく、就寝後なかなか寝付けないことなら、睡眠の衛生に注意を向けてください。

睡眠改善のためのおそらくいちばん大切な自然な「コツ」は、日中に十分明るい光に正しく当たるように注意し、夜間は青い光に当たらないようにすることです。

朝、明るいブルーライトが豊富な日光は、あなたの身体に起きる時間であるという信号を送ります。夜、太陽が沈み暗くなると、あなたの身体は寝る時間だという信号を受け取ります。

理想的には、あなたの24時間周期がリセットするのを助けるため、朝一番の自然光を少なくとも10〜15分浴びてください。それにより、「その日が始まった」という強いメッセージが体内時計に送信され、後で弱い光信号で混乱する可能性が低くなります。

それから、正午ごろ、日光を少なくとも30分浴びましょう。たっぷり1時間かそれ以上がずっと良いのです。あなたのスケジュール上、日の出前に起床して、職場に到着しなければならないならば、明るい日光を昼間の内にいつか30分以上は浴びるようにしてください。

太陽が沈む夕方、ブルーライトを遮る琥珀色のサングラスを掛けましょう。照明を絞ったり、電子機器を切ったりして、メラトニンの生成を妨げる明かりを減らすことも可能です。

LEDを止めて普通の電球か低電圧のハロゲンランプに代えるのが最適です。日没後、どうしても照明が必要ならば、黄色、オレンジ、赤系統の低ワット電球に変えることもできます。

5ワットの電球が照らす塩ランプは、メラトニンの生成を妨害しない理想的な解決策です。ろうそくの明かりも効き目があります。