Dr. Mercolaより
日光は他の天候現象よりメンタル・ヘルスに大きな影響を及ぼします。これが天候と憂鬱の間の関係を調査した最近の研究の結論でした。
16,000人以上のブリガム・ヤング大学の学生から集めたメンタル・ヘルスデータを使用したものです。6年間にわたり各自によって評価が数回記入されました。各評価内容を次に現地の天気データに合わせました。
日射(地球に到達する日光の量)、曇天率、雨天、風の強い寒さ、大気圧、スモッグの濃さを含む19種類の環境要因を考察の対象に含めたものです。
結局、本当に有意だった唯一の要因は日の出から日持つまでの時間の長さでした。他の要因はどれも感情面の落ち込みと何ら有意な関連性はありませんでした。但し、日光が十分ある限りそれがいえていました。
実際に、秋から冬に日中が短くなるにつれて鬱状態の自己報告が増加しました。これは学生にSAD(季節性感情障害)の診断がされたか否かを問いません。
研究者らは、ビタミンD摂取量、屋外で実際に過ごした時間やサンベッドの使用等の関連要因を評価するための研究がさらに必要であると注意しています。ビタミンD3と相反する作用を及ぼし合う可能性があるビタミンDという必須の栄養素欠乏は実際に憂鬱のハイリスクと強く関連しています。
例えば、研究では、ビタミンDレベルが血中で1ml当たり20ng/mL未満の人は、血中ビタミンDレベルが30ng/mLを超える人と比較して、抑うつのリスクが85パーセントも高いことが判明しました。
さらに多くの研究では、ビタミンDサプリが抑うつの症状を緩和できることも確認されました。
2015年に公表された研究では、秋、冬、春に米国太平洋岸北西部で暮らしていた、18~25歳の健康な女性を調査し、ビタミンD不全症(血中で30ンg/ml以下)の人には臨床的に著しい鬱病症状の発現が予測されました。
季節、ボディマスインデックス(BMI)、人種、食事内容、運動および戸外で過ごすす時間などの要因の影響が同じになるように制御した後でも因果関係が認められました。
この研究の最後の週である第4週までに46%の女性はビタミンDレベルが欠乏しており、研究期間中に42%までの女性が臨床的に顕著な憂鬱症状を示していました。これは疫学研究センターの憂鬱尺度に基づいたものです。
ビタミンD生産の最適化のために日光に当たることについて話すとき、日光のうちごく小さいスペクトルの範囲しか実際には見ていません。なぜなら、紫外線Bの放射しか皮膚でビタミンDを光合成できないからです。
日光の健康への効果やメリットは紫外線Bに限られていません。スイスの専門家オーギュスト・ロリエ博士は日光療法の教科書を書いた人ですが、この方が光スペクトルの異なる部分の組成こそ太陽から得ることができるメリットのすべてを達成するために不可欠で、重要であると強調しています。
ドイツの物理学者で世界をリードする光線生物学の専門家、アレクサンダー・ブンシュ博士によると、人は複雑な刺激としての日光に適合しており、この刺激(日光)を除くと人は多くの問題に直面することになります。
ミトコンドリア電子伝達系には近赤外線に応答する別の発色団があります。この日光からの複雑な刺激は、病気の予防という体の健康への効果だけでなく、気分とメンタル・ヘルスにも強い影響を与えます。以下のような例があります。
• 体は、ミトコンドリアでエネルギーを生み出し、かつ全身の平衡を維持するために、近赤外線スペクトルを利用しています。
近赤外線は網膜細胞の修復や再生のために下地を作るもので、これこそ発光ダイオード(LED)の照明 — 赤外線がない - が目に有害な理由を説明しています。
近赤外線が身体のエネルギー生産でこれほど重要な役目を演じているのであれば、日光に当たる量が不足してアデノシン三リン酸(ATP)(細胞のエネルギー)が欠乏すると、不活発になり、疲れを感じ始め、憂鬱状態になると結論しても理に適っているようです。
• さらに日光は概日リズムを制御しています。また光線療法は、SADにも季節的でないより深刻な鬱を含む憂鬱状態に対して有効なことが示されました。
日暮れには、メラトニン・レベルが増加し、太陽が沈み始めると、なぜか疲れを感じはじめたということがあるかもしれません。冬のさ中ではこれは早くも午後4時からはじまることがあります。
• 紫外線(UV)はさらに角化細胞として知られる表皮細胞を刺激しベータエンドルフィンの生産を促します。これには、気分を高揚させる効果があります。
• 日光に反応してセロトニンも分泌されます。これは、気分を安定させ、高揚させエネルギーを上げてくれます。
• UVAは皮膚中で酸化窒素(NO)を生成します。これは、体にまざまな有益な効果があります。酸化窒素は最大60%まで血流を刺激し、皮膚毛細血管を流れる血液を増加させます。毛細血管はUVエネルギーと赤外線を吸収する所です。
UVAは、血液中で感染菌を殺すのに役立つ一方、赤外線が細胞のバッテリーを充電します。
NOも血管をリラックスさせ、血圧を下げることによって心臓を保護し、脳を刺激し、自然な抗酸化剤として機能します。酸化窒素(NO)は炎症を低下させ、憂鬱が慢性的な低レベルの炎症に強く関連するので、メンタル・ヘルスに有益な影響を及ぼす可能性があります。
ビタミンDが憂鬱改善に役立つことの理由の一つはこのビタミンが強力な抗炎症性物質であるということと関連しています。
ビタミンDに話しを戻しますと、ビタミンDがメンタル・ヘルスに重要な役割を演じることを示す豊富な根拠があります。従って秋冬の月に気が沈む場合は、この濃度を検査してもらうとよいかもしれません。ビタミンD濃度が40 ng/mLならビタミンDサプリメントが推奨できると思われます。
自然な日にたっぷり当たっている健康な人々の評価に基づくと、全般的な身体の健康とメンタル・ヘルスのために最適なビタミンDの濃度範囲は40~70 ng/mlであるようです。そこで、もし憂鬱に陥っている方は、ビタミンD濃度を検査してもらって、不足や欠乏対処する必要があります。
ビタミンDサプリを取ることに決めた場合は、ビタミンK2とマグネシムも摂る必要があります。これらは二人三脚で効果を発揮するために不可欠な要素です。さらに、ビタミンDは油溶性なので、健康な脂肪の形で摂取すると最適な吸収を助けます。ビタミンA、亜鉛、ホウ素もビタミンDと相互に作用する重要な補因子です。
光はSADと憂鬱を克服するための主な要因です。しかし、暗く寒い冬の間にも自然に気分を高揚するのを助ける方法があります:
1. 運動:規則的な肉体活動は抗うつ剤より効くことが発見されています。実際に、運動こそ憂鬱を予防して処置し、気分を高揚させるために利用可能な最も強力な戦略の一つです。
運動はインスリン濃度を正常化するのを助けると同時に、脳内の「いい気持」ホルモンを飛躍的に増大します。研究者らは運動すると身体が、憂鬱と関連する有害なタンパク質、キヌレニンを解消することができることも発見しました。
2. 早寝して、さらに/または不眠症に対処する。憂鬱と睡眠不足の相関性はすでに確立した事実です。約1800万人の鬱病患者の半分以上は不眠症に悩んでいます。
長い間不眠症が鬱病の症状であると考えられていましたが、今や一部の症例では不眠症のほうが鬱病より先に来るようです。
ある研究では、不眠症が解消された鬱病患者の87%は、鬱状態に大きな回復が見られ、8週間後には症状がなくなりました。他の研究でも、睡眠療法がうつ病患者の顕著な回復に帰結しました。
個人差はあるにしても、一般的に言えば約8時間は一晩に寝ることを目指してください。睡眠を記録できるフィットネストラッカーをお持ちでなければ、取得することをお勧めします。
監視されずに自分で習慣を変更するのは困難ですが、いい機会となり、思ったほど眠っていないものです。スリープトラッカーを使用すれば早く就寝するようになり、8時間の睡眠を取る動機が持てます。
3. 加工食品は避けてください。見過ごしてはならない要因は食事です。食物は気分や対処能力に莫大なインパクトを与えるので、新鮮な生鮮食品を食べるようにしてください。
加工食品は大部分が精製糖や精製果糖、合成薬品をふんだんに使用しており、脳機能やメンタル・ヘルス全般に極めて有害な影響があることは周知です。人工甘味料を減らすこともその有害な影響を被る確率をゼロにします。
4. 身体の腸内フローラを最適化しましょう:漬物等の発酵食品も腸の健康を最適化するための鍵となるので、最適なメンタル・ヘルスのためにも重要です。腸が文字通り第二の脳であって、心、気分、行動に大きく影響することを多くの人が気づいていません。
実際には腸のほうが脳より、気分を調整するセロトニンをより多く生産します。
5. 高品質の動物性オメガ3脂肪をもっと摂るこれは最適な脳機能のための唯一の最も重要な栄養素で、鬱の症状を和らげます。2009年のある研究では、オメガ3の血中濃度が低い人ほど鬱病症状が出やすく、より否定的な外見になりやすい一方、この濃度が高い人ほど正反対の情感的状態を示すことが判明しました。
ビタミンB12欠乏も鬱病に寄与するもので、4人に1人がこの欠乏症になっています。
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