トランス脂肪は身体を変性する

トランス脂肪食品

早分かり -

  • トランス脂肪が記憶力障害の高いリスクと結びついていることが初期研究結果として判明しています
  • トランス脂肪は細胞損傷の原因となる酸化性のストレスに寄与する酸化促進剤として機能しています
  • サラダオイルは加熱により酸化し、酸化されたコレステロールとトランス脂肪がLDL粒子に入り、これが破壊的な血管内のプラークを脳内に発生させます
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Dr. Mercolaより

食事による認知症と心臓病の結び付き方には様々あります。

過剰な砂糖/加工果糖、穀物、トランス脂肪消費がこれらの両者を促進します。

驚くべきことではなく、最近の研究から心臓病も認知症の一形態として重篤な不治の病であるアルツハイマー病になる確率を高めます。

その研究の筆者らによると、血管の損傷が脳に脳萎縮疾患の特徴であるアミロイドのプラークが形成しやすい体質に変えます。プラーク形成は動脈が狭く硬くなるにともない悪化します。従って動脈プラーク形成を予防することが認知症予防の重要な要因になります。

数十年間、飽和脂肪は心臓病の原因として魔女狩りに会ってきました。食品業界はこうした健康上の懸念に応じたかのうように飽和脂肪をトランス脂肪に置き換え、低脂肪(だが高糖分)食品が開発されました。

事態を悪化させたことは、遺伝子操作大豆油(トランス脂肪の主な摂取源)は体内を酸化し、心臓と脳をともに損傷することです。

飽和脂肪ではなくトランス脂肪こそ動脈閉塞の原因

判明した事実として、飽和脂肪が心臓病の共犯者であったことは決してありません。その想定は不正研究に基づいており、結論は全く誤謬そのものでした。

Cholesterol Is Not the Culprit(コレステロールは共犯者ではない)という著作の筆者であるフレッド・クメロフ(Fred Kummerow)博士は脂肪と心臓病を80年間研究し、どの脂肪こそ動脈閉塞の原因かを特定した最初の研究者です。

The New York Times は2013年12月に、トランス脂肪 (部分的に水素処理したサラダオイルに含まれる)が心臓病発生率の増加の原因であることを示したクメロフ博士の脂肪に関する研究を特集したことがあります。クメロフ博士は1957年にすでにこの関連性についての科学論叢を出版した最初の方でした。

2014年のアメリカ心臓学協会の科学研究会で発表された予備研究の発見事実も、トランス脂肪が記憶力障害の高リスクと結びつきがあることを暴露しました。認知症と心臓病の結びつきを考えればこの事実は驚くことではありません。

筆者の一人であるベアトリス・ゴルーム博士は、正しく思い出せた平均単語数が86個であったので、約1ダース分の単語が喪失したことは「記憶機能のかなりの損害」を表すことを説明しました。

その研究は因果関係まで実証するには至っていませんが、トランス脂肪が 細胞損傷.の原因である酸化性ストレスに寄与する酸化促進剤として機能することを示しています。これはクメロフ博士の初期研究結果から明らかになった事実と同じで、当時の結論は、サラダオイルは加熱されると酸化し、酸化されたコレステロールとトランス脂肪がLDL粒子に入り、これが破壊的になることをすでに示していました。 

トランス脂肪101

(2017年他界の)クメロフ博士は101歳まで生きた活発な研究家でありライターでした。晩年だけでも4本の論叢を出版しました。そのうち最近の研究では、心臓病の原因である2種類の脂肪が食事の中に存在することを指摘しています:

1. 部分水素化オイルに含まれるトランス脂肪.構造からして、トランス脂肪は合成脂肪酸で、そのうち14種類は水素処理中に生産されています。(トランス脂肪はすべて動物の脂肪にも植物の脂肪にも含まれていません。)

トランス脂肪は血液をさらさらにするために必要なプロスタサイクリンの合成を阻害します。動脈がプロスタサイクリンを生産できなくなると、血液が凝固し始め、突然死に至ります。

2. 酸化コレステロールは多価不飽和サラダ油(大豆、コーン、サンフラワー等のサラダオイル)を加熱すると発生します。この酸化コレステロール(食事で普通に摂るコレステロールでは本質的に全くない別物)が血液を凝固させる要因であるトロンボキサンを増加させます。

健全な脳の機能のためには飽和脂肪酸が必要

人類の祖先は飽和脂肪酸が極めて高く、ほぼ糖分がなく、野菜以外の炭水化物しか食べていませんでした。今日では、私たちの多くは、大量の炭水化物を食べるだけではなく、これらの炭水化物は精製され、高度に処理されています。

過去十年間を振り返ると、遺伝子操作(GE)穀物と糖分(GEテンサイやトウモロコシ)にますます切り替わってきており、これらの長期的な健康への影響は全く判明していません。

脳は脂肪なしでは正常に機能できないので、こうした誤解に基づく脂肪忌避が認知障害その他の神経系異常の劇的増大に重要な役割を疑いなく演じています! 実際に、大部分の人はインスリン抵抗性を解消することを目指す限り、毎日摂るカロリーのうち50~85%までは脂肪から取れば最適な健康のメリットを受けられます(健康な脂肪のリストは末尾に掲載)。

トランス脂肪消費は1980~2009年までに約3分の1だけ減少しましたが、多くの人はいまだにトランス脂肪を食事であまりに多く摂っています。問題はトランス脂肪は頻繁に隠されていることです。ラベルには「トランス脂肪ゼロ」とある製品でも、実際にはトランス脂肪を含みます。食品メーカーは一単位の供給量のうちトランス脂肪の割合が一定量より少なければ掲載する義務がないからです。

常識外れの一単位量にして法の穴をつくり、食品メーカーに製品中のトランス脂肪を隠し易くしているわけです。基本的なルールとして、トランス脂肪を避けるには、部分的に水素処理されたサラダオイルを含むかこれで調理された食品をすべて摂らないことが賢明です。成分リストをよく確認するようにしましょう。

追加的な2つの懸念事項: 環状アルデヒドとアクリルアミド

トランス脂肪によるダメージに加え、ピーナッツ、コーン、大豆等由来のサラダオイルを加熱すると、毒性の高い環状アルデヒドという酸化剤に分解し、これらの副産物が実際にはトランス脂肪よりはるかに有害です。この事実はまだ新しいので、ほとんどの人はこの問題を知りません。

動物の場合、低濃度の環状アルデヒドでもLDLコレステロールを酸化し、心臓病と関連する高いレベルの炎症を引き起こします。環状アルデヒドも胃の損傷を通して動物に対して毒によるショックを引き起こすことが判明しています。このことは人間の免疫系の問題や胃腸関連疾患の増加原因を説明しています。

アクリルアミドはじゃがいもや穀物等でんぶん系または炭水化物系の多い食品をフライや高温で調理すると発生するもう一つの毒性が高い副産物です。フレンチフライ、チップ、クッキー、クラッカー、穀類はその加工処理を通して発生したアクリルアミドを最も多く含んでいる傾向があります。

アクリルアミドは神経毒素として既知であり、動物実験では発癌物質であることが実証されています。どの調理用油ならアクリルアミドの発生に寄与するか阻止するかについて公式データはありませんが、私の考えでは、加工サラダオイルは加工食品や高温調理された食品による健康への危害を増加させます。

トランス脂肪と環状アルデヒドの問題は、バター、ココナッツオイル、ラード等の飽和脂肪を使うように切り替えれば大部分は解決できます。このうち後の二つがとても安定性がよく、高温調理に向いています。アクリルアミドの問題は低温で調理することで解決できます。

当然この点は加工食品業界には手痛いことです。そこで、食品体系におおいに必要とされているこれ程の変革を行わなくても(加工食品を全く止めて生鮮食品をもっと促進する等)、遺伝子操作じゃがいもならそれほど多くのアクリルアミドを発生させません。

こうすれば食品業界はチップやフレンチフライを心臓、脳、腸をだめにするサラダオイルで揚げ続けることができます。但し、これらのオイルの大部分遺伝子操作品(コーン、大豆)であり、「食品をより安全にするために何等かの手は打っている」というふりをして、おそらく大言壮語しているわけです。

健康保護の最善策は加工食品を避けること

クメロフ博士によると、トランス脂肪は体内では約一か月以内に分解されなくなります。このことは希望が持てる点です。

健康を守りたい限り、特に心臓と脳、腸を保護するなら、多くの加工食品(大部分の外食)をできる限り摂らないことです。新鮮な生鮮食品とだめになっていない成分を使って自宅で料理を始めましょう。要約すると次のことをお勧めします:

1. インスリンおよびレプチン抵抗性のある方は、糖分や加工処理された果糖液糖(フルクトース)、穀類をすべて止めてください。これは事実上ほとんどの加工食品を避けることを意味します。

2. 理想的なのは有機栽培の生鮮食品を使った健康的な食事を摂り、穀物や炭水化物ではなく次のものに替えてください:

  • 多くの野菜

  • 低量から中量の高品質たんぱく質(有機農法で放牧された畜産品)

  • 高品質の健康的な脂肪を好きなだけ食べる(動物および熱帯植物由来の飽和脂肪および一価不飽和脂肪)。繰り返すと、たいていの人は一日に摂るカロリーのうち50~85%を脂肪として摂ることです。これならインスリン抵抗性が解決するまで最適な健康を目指して続けられるはずです。食事に加えるべき健康的な脂肪源は、以下のとおりです。

アボカド

牧草で育てた牛から絞った、グラスフェッドの生乳から作ったバター

生の乳製品

有機的放牧で育った鶏の卵黄

ココナッツおよびココナッツオイル

非加熱の有機ナッツオイル

アーモンド、ピカン、マカダミアおよびシードのような生のナッツ

牧草で育てた畜肉

健康な脳の機能維持のための追加的食餌ガイドライン

砂糖や精製果糖を避ける。理想的には砂糖の消費量を最小限にし、果糖の一日合計摂取量を25グラム以下にし、インスリン/レプチン抵抗性や関連障害があれば一日15グラム以下に抑えてください。

グルテンとカゼインを回避する(主として麦や滅菌処理乳製品。バターなど乳製品の脂肪を除く)。研究によると血液脳関門はグルテンにより悪影響を受けることが判明しています。グルテンは腸の浸透性を高め、タンパク質が本来ない血行に入り易くなります。

これが次に免疫系を敏感にし、炎症や自己免疫性を発症させます。これらは両者ともアルツハイマー病の発現に一役買っています。

発酵食品を日常食べたり、効能が高い高品質プロバイオティクスサプリメントを定期的に取ることで腸内細菌叢を最適にしてください

動物性オメガ3を含む健康なすべての脂肪をもっと消費すること。最適な機能のために脳が必要としている健康な脂肪には有機で育った牧草を食べた家畜の肉、ココナッツオイル、オリーブ、オリーブオイル、アボカド、ナッツ類、有機飼育の草を食べさせた鶏の玉子の黄身、生の草を食べさせた牛のミルクから作ったバターが含まれます。

オメガ3脂肪EPAやDHAを多く摂るとアルツハイマー病に起因する細胞破壊を防止でき、病気の進行を遅延させ、障害発生リスクを下げるのに効果があります。大部分のマーガリンやバター代替製品は健康な脂肪のための最適な摂取源ではありません。

インスリン抵抗性が解決するまでは、全体的なカロリー摂取量を下げ、さらに/またはときどき断食してください。ケトンは炭水化物をココナッツオイルやその他健康な脂肪源に置き換えると活性化されます。間歇的断食は脂肪をいかに燃やせばよいか、さらにアルツハイマー病の主な寄与要因でもあるインスリン/レプチン抵抗性を修復する方法を肉体が覚え始める、強力な起爆剤になります。

マグネシムをもっと取る。アルツハイマー病の症状軽減が脳内のマグネシウム濃度増加と深く関連することを示唆する説得力ある初期研究が存在します。

葉酸が豊富な高栄養価の食事をする。野菜は疑いもなく葉酸の最適な形態であり、毎日多くの新鮮野菜を誰でも食べなければなりません。葉酸の劣等合成品バージョンの葉酸サプリを避けてください。

定期的に運動しましょう。運動によるアミロイド前駆タンパク質の代謝に変化が生じ、アルツハイマー病の発病や進行の遅延につながる可能性があることが示されています。運動するとBDNF(脳由来神経栄養因子)とタンパク質PGC-1αの濃度が増えます。

研究によると、アルツハイマー病患者は脳内のPGC-1αが低下していること、このタンパク質をより多く含む細胞がアルツハイマー病に関連する毒性アミロイドタンパク質をより少なく生産することもわかっています。ピークフィットネスを私は強くお勧めします。

水銀を避け解消する。重量比で50%が水銀の歯の詰め物アマルガムは主要な重金属毒性源の一つです。しかしこれを取外す前にまず健康状態であることが必要です。私の最適な栄養摂取計画に説明されている食事を続けられるようになったら、水銀解毒処置要領を開始して、次に歯科医にアマルガムを取外してもらいましょう。

アルミニウムを避け体から解消する:アルミニウムの摂取源には発汗抑制剤、焦げ付かないフライパン等の調理器具、ワクチン免疫賦活剤等があります。アルミニウム解毒方法について私のヒントは次の記事をご覧ください。「First Case Study to Show Direct Link between Alzheimer's and Aluminum Toxicity」(アルツハイマー病とアルミニウム毒性の直接的因果関係を実証した最優秀ともいうべき研究。

インフルエンザワクチンを回避する:大部分のワクチンには神経毒性、免疫毒性物質である水銀とアルミニウムが含有されています。

抗コリン薬やスタチン薬を回避する。神経系伝達物質であるアセチルコリン阻害薬は痴呆リスクを高めることが証明されています。こうした医薬品には一部の睡眠中鎮痛剤、アンチヒスタミン、睡眠薬、一部の抗うつ薬、失禁予防薬、一部の麻薬系鎮痛剤が含まれます。

スタチン薬はコレステロール合成を阻止し、脳から補酵素Q10や神経伝達前駆物質を枯渇させ、脳が必要な適量の必須アミノ酸と油溶性抗酸化物質が供給されなくします。これは不可欠な低密度リポタンパク質という担体である生体分子の生産を阻止するからです。