Dr. Mercolaより
セリアック病は自己免疫性疾患です。セリアック病患者は小麦その他穀物に含まれるグルテンに反応して、重篤な胃腸(GI)反応や栄養素の吸収不良を被ります。この人たちには100%グルテンフリーの食事は不可欠です。
セリアック病はセリアック病に対する最も敏感なマーカーと見られるトランスグルタミナーゼ2 (TG2)等の自己抗体を測定することで通常診断されています。
その他多くの人は小麦アレルギーやある程度のグルテン不耐性または感受性があり、セリアック病でなくてもグルテンフリーの食事を摂ったほうがよいのです。小麦アレルギーの方はこれを食べると免疫反応が出ます。その診断はIgEその他免疫系マーカーで抗体反応を見ます。
一方、食物不耐症は特定の食物を分解するための特異酵素が欠乏していることに通常関連しています。食物不耐症は発症が緩慢で僅な症状しか出ないので、診断が困難です。
下痢または便秘、お腹の張り、頭痛、不安、倦怠は食物不耐症の一般的な症状ですが、数時間または数日してからでないと発症しない傾向があります。研究者の説明によると、それでもグルテン感受性は実際にあり、人口の最大6%までがこれです。
グルテンはグルテニンとグリアジン分子から成るタンパク質で、水に混ざると弾力性のある結合を形成します。グルテンは小麦以外にも、ライムギ、大麦、エンバク、スペルト小麦 に含まれています。
グルテンは多種多様な名前で加工食品にも隠れています。これには、次の項目に限定するわけではなく、麦芽、デンプン、植物タンパク質加水分解物(HVP)、ダイズ系食品(TVP)、天然香料等で呼ばれています。
米国国立医学図書館で検索すれば、グルテン含有穀物は数十種類の重篤な健康への影響や重篤な毒性に関連づけられてきたことが見つかります。この毒性のうち最大のものは神経毒性です。これについては、『「いつものパン」があなたを殺す』(原題:Grain Brain)の著書パールマター氏がその著作で特に、グルテン(小麦)とカゼイン(乳製品)が脳疾患や自己免疫性疾患に及ぼす神経学的影響を説明しています。
同氏はグルテン感受性がグルテンの免疫系に与える影響のメカニズムが原因で、大半の慢性疾患に関与している可能背いがあると考えています。
セリアック研究所所長兼マサチューセッツ一般病院小児胃腸科主任医師アレッシオ・ファザーノ博士によると、グルテン感受性はこれまで疑われていたよりはるかに蔓延している可能性があります。パールマター氏の推定によると、グルテンに反応して誰の小腸でもゾヌリンという物質を生産するので、ほぼすべての人がある程度は影響を受けているようです。
小麦、大麦やライムギに含まれるこのタンパク質が腸の透過性を促進し、タンパク質が容易に血流に侵入するようになります。このようにして免疫系が増感され、炎症と自己免疫を促進します。ファザーノ氏は新著「グルテンフリーダム」出版の発表プレスリリースで次のように説明しています:
「今やグルテン感受性が実際に存在することを突き止めました。セリアック病とはかなり異なるが明確に区別して識別できる疾患であるのに、医師がこれまで発見できなかった曖昧な状態から、今や白日の下に晒されました。グルテン感受性はセリアック病より6、7倍多くの人々に影響しています。」
• 雑種人工交配は小麦に含まれるグルテンタンパク質の比率を増大させました。19世紀まで、小麦は通常他の穀物と混合されてもいました。例えば、豆、ナッツ類がそれです。純然たる小麦粉はこの200年足らずの間に初めて精製小麦粉にまで粉砕されてきました。その結果高グルテンとなり、大半の人が乳児の頃から食べてきた精製穀物は、昔の世代の食習慣には含まれていませんでした。
• グリホサート汚染もセリアック病、小麦アレルギー、小麦感受性の発病に明らかに一役買っています。ほぼすべての草類を抹消するラウンドアップの活性成分であるグリホサートはここ15年間に劇的に急増してきました。
マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究教授ステファニー・セネフ博士によると、グリホサートが遺伝子操作(GE)トウモロコシ、大豆や従来の小麦に使用されていることはセリアック病の増加と強い相関性があると言います。
博士の初期研究結果はEntropy誌に2013年に出版されました。二番目のペーパーはグリホサートとセリアック病の相関性を特に指摘しています。グリホサートは腸の絨毛を破壊するので、ビタミンやミネラルを吸収する能力を衰えさせます。また、小麦にも分解しにくいグリアジンが含まれています。
通常は、小麦にある異なるタンパク質を結合させる反応が発生しますが、グリホサートがこの反応過程の最中に妨害し、小麦を極めて消化しにくくします。その結末は腸内菌共生バランス失調(小腸内の微生物バランスが崩れた状態で、炎症や腸の漏れにつながる)や病原菌の異常繁殖です。
さらに、腸はトリプトファンに反応してセロトニンを生産します。小麦はトリプトファンのよい摂取源ですが、グリホサートで汚染した麦が入ると、腸細胞は過敏に反応して過剰なセロトニンを生産し始めます。これが下痢などセリアック病の症状につながります。
• 腸の漏れや関連の健康上の問題につながる小麦タンパクプロラミンという膠質のタンパク質は小腸の透過性を高め、免疫系を刺激します。
小腸内壁を成す細胞の隙間が広がるに伴って、細菌や代謝老廃物が血流に侵入します。このため「腸の漏れ」と呼びます。こうした異物が免疫系に負荷を掛け、体内の炎症を促進します。
グルテンも、ニキビ、アトピー性皮膚炎、再発性アフタ性口内炎(RAS — 一種の口の痛み) や色素損失に及ぶ皮膚病の白斑等、腸機能失調にはすぐに結び付け難い健康上の問題にも寄与しています。
多くの関連する細胞障害の原因をなす小麦に含まれる2つの物質が、グリアジンとレクチンです。グリアジンはグルテンに含まれる主要な免疫毒性があるタンパク質で、最も損害を与える物質の一つです。セリアック病の場合、グリアジンは遺伝性の免疫プロセスを刺激し、最終的には小腸の絨毛を破壊する炎症反応を起こします。
グリアジンは小麦から作るパンのこね粉の木目を与え、小腸タンパク質ゾヌリンの生産を増やします。これが正常なら緊密な小腸細胞(腸細胞)間接合部の隙間を広げます。
グリアジン抗体濃度が高くなると分裂病等の精神病と関連しています。精神病患者のある研究では、950人の分裂病患者の血液分析結果を健常な1,000人の対照区と比較しました。抗グリアジン IgG 抗体の発生確率は分裂病患者では2.13倍高かったのです。
セリアック病患者と分裂病患者両方の血中グリアジン抗体の発見は、未消化のグリアジンが抗原となり、抗体反応による免疫系の感作を促すことを意味します。
血中のグリアジンは小腸の透過性をも示唆しており、セリアック病患者であるかないかを問わず健常人でも、グリアジンが腸内ゾヌリンを増やすことが証明されています。
グリアジンはさらに、免疫系をも刺激し、神経系を攻撃し、このため、神経障害、脳卒中、神経行動学的変化等の神経学的問題に寄与します。分裂病のほかにも、グリアジンは自閉症にも一役買っている可能性があります。2004年のある研究は、自閉症の子供に抗グリアジン抗体濃度が高い傾向があることが発見しました。
多くの注意欠陥多動障害(ADHD)を持つ子供は大半の穀物、特に小麦によく反応しません。ADHDの心理的及び行動学的症状はセリアック病やグルテン感受性の症状と大変よく似ており、セリアック病をADHD症状のチェックリストに含めるべきであると考えている研究者もいます。
この意見は2011年のある研究で提唱されたもので、それによると、セリアック病陽性と出たADHD患者が6カ月間グルテンフリーの食事を摂ったところ、大幅に回復しました。
乾癬もグリアジンに関連しています。British Journal of Dermatology(イギリスの皮膚科学専門誌)に出版されたある研究では、グリアジン抗体反応が出た乾癬症患者参加者はグルテンフリーの食事で回復しました。National Psoriasis Foundation(米国国立乾癬基金)はセリアック病やグルテン感受性を持つ人にグルテンフリーの食事をして症状を軽減するか解消するように勧めています。
✓ 炎症促進剤: WGA(コムギ胚芽凝集素)は小腸や免疫細胞内で炎症促進性の化学的伝達物質(サイトキン)の合成を促進します。また、慢性腸炎の原因でもあることが発見されました。
✓ 免疫毒性: WGAはラットの胸腺を萎縮し、人体の血液中の抗WGA抗体が他のタンパク質と交差反応を起こすことが発見されています。すなわち、自己免疫性に寄与する可能性が高いです。
✓ 神経毒性: WGAは血液脳関門を通過します。これは「吸着性エンドサイトーシス」という他の物質を一緒に運んでしまうプロセスによっています。
WGAは髄鞘に付着し、神経成長因子を阻害します。この因子は特定の標的ニューロンの成長、維持、生存に欠かせません。
✓ 興奮毒性: 小麦、乳製品、大豆には特に高濃度のグルタミン酸とアスパラギン酸が含まれており、これらすべてが潜在的に興奮毒性を促してています。
興奮毒性はグルタミン酸とアスパラギン酸が線形細胞受容体の過剰な活性化を促し、このため、カルシウム誘発性の神経や脳の損傷につながります。
これら二種類のアミノ酸は多発性硬化症、アルツハイマー病、ハンティントン病その他てんかん、ADD/ADHD、片頭痛等神経系障害等、神経萎縮疾患に寄与する可能性があります。
✓ 細胞毒性: WGAは正常細胞とガン細胞ともに細胞毒性があることが実証されており、細胞分裂周期の停止または期限付きの細胞死(アポトーシス)を誘発する原因になっています。
✓ 内分泌障害: WGAは海馬内のレプチン受容体を阻害して、体重増加、インスリン抵抗、レプチン抵抗に寄与する可能性が高いです
✓ 心臓毒性: WGAは血小板内皮細胞接着分子-1に強力な障害を与える影響があります。この分子は組織再生や血管から好中球を安全に除去するために欠かせません。
✓ 胃腸機能への重篤な影響。腸刷子縁被膜の剥離を促し、被膜表面積を削減し、細胞損失の加速、絨毛の切断につながります。
さらに、小腸細胞の細胞骨格分解を促します。これによって細胞死、細胞交替の増加、腸内上皮細胞の熱ショックタンパク質量を削減し、これらの細胞を破損し易くします。
セリアック病とグルテン不耐性の処置はグルテンフリーの食事です。即ちグルテンを含むあらゆる食物を摂らないことです。2013年8月、米国食糧医薬品曲(FDA)はグルテンフリー表示のための規格を制定しました。この規則では、商品に「グルテンフリー」のラベルを添付するには次の条件を満たさなければなりません:
セリアック病に実際罹っているかどうかは血液検査でわかります。.もしこの病気に罹病している場合は極めて注意すべきです。グルテンは重篤な疾患につながるほか、長期的な健康と寿命の脅威だからです。
グルテン不耐性の場合、食事について厳格になる必要はなく、自分なりのグルテン耐性レベルを見極めることもできるでしょう。
例えば、パン一切れでは気分が悪くはならないでしょうが、二切れや二日連続でパンを食べると気分が悪くなるかもしれません。通常はグルテンを一、二週間摂らなければじゅうぶんで、かなり回復するはずです。
交配麦、グルテン、その他麦系タンパク質、FODMAP(発酵性のオリゴ糖、2糖類、単糖類、ポリオール)、グリホサート汚染等多くの共犯者がいることを考慮して、小麦その他の穀物が多くの人にここでご紹介したような多くの問題の原因であることは驚くに値しません。
私の経験から言うと、グルテン不耐性の有無を問わず、ほぼ誰もが穀物を避けるメリットを受けられと思います。その理由は穀物には正味の炭水化物量が多く、これを回避するとミトコンドリア機能を改善するのに役立つからです。
ミトコンドリア機能障害は肥満や高血圧、2型糖尿病、さらに重篤な心臓病やガン等のインスリン抵抗に関連した健康上の問題を悪化させます。
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