「シャンプー無用」の健康への効果性

ヘアケア

早分かり -

  • シャンプーし過ぎは自然の油分を剥ぎ取り、多くのシャンプー商品に有害な化学物質が含有まれる
  • シャンプー間隔を開けるに従い、頭皮は油分の生産を控えるように学習する
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Dr. Mercolaより

「ノー シャンプー」の略語「ノープー」トレンドが席巻している今日この頃です。受けに入るといとも簡単で、シャンプー(少なくとも典型的な洗剤の種類)を捨て去り、毎日とか一日おきではなく5日に一回など、「洗」髪(または単に濯ぐだけ)を稀に行うというものです。頭髪を過度にシャンプーすると自然の油分を完全に落としてしまいます。

社会があまりにも清潔になりすぎたのではないかという認識が広がっています。皮膚には有用な細菌その他の微生物が多くあります。洗髪がこの微生物のバランス崩している可能性があります。言わずもがなですが、頭皮に泡立てるシャンプーは化学物質を多く含み、それ自体が問題なのです。

毎日の洗髪は新たな現象

洗髪をあまり頻繁にしない「流行り」は比較的新しくはありません。100年前、毎日のシャワーという考えが事実上前代未聞でした。20世紀初頭初めて、宣伝の普及に合わせて人々は個人の衛生に極めて気を遣うようになりました。

当初、大半の人々は身体を洗うのに使い慣れていたのと同じ汎用の石鹸で洗髪していました。北米では初のシャンプーが1930年代半ばに出始め、その頃マーケティングと宣伝が増大し始めました。

その時から始まり、それ以降の数十年間、頻繁なシャンプーが日常的なことになります。それ以前(1900年代)は、平均的な人で2週間から6週間おきしかシャンプーで洗髪していませんでした。

今日でも、大半の人々はシャワーのたびには洗髪しません。米国では例えば大半の人がほぼ週に7日シャワーを浴びても、シャンプーは週に4回程度しかしません。

シャンプーを一切止める頭髪への効果

「ノープー」運動の多くのメンバーはシャンプーを止めたことで頭髪がより健康で、艶がよくなり、縮れが減ったと主張します。シャンプーが必要なとき(そしてもし必要な場合)、非洗剤系磨き粉か天然油含有の製品のみを使用しています。

メリットの大部分は逸話的な一方、シャンプー間隔をだんだん長くすることで油分をあまり出さないように頭皮を「訓練」することができるということはよく知られています。現在は毎日洗髪組の方でも、一日おきに切り替え、次は2日おき、さらに3日おきと3カ月かけて切り替えていくことはできるはずです。

これは誰にでも効き目があるわけではない(特に繊細な髪の方や油気の強い頭皮の場合)でしょうが、多くの人が頭皮の油分が減り、シャンプー間隔を容易に数日開けることができます。

その他のノープー支持派は重曹と水の次にアップルサイダービネガーリンスを使い、シャンプーを一切止めます。一部の人はこれで自分の髪にちょうどよいと思う一方では、この組合せが潜在的には髪のpHに障害を与え、脆くする可能性があります。

お酢を髪に使う場合は、薄めて(1/3カップのお酢を4カップの水で希釈)使うのが最適です。これは髪をしっかりさせ、艶をよくするほか頭皮のpHレベルも平衡させる働きがあるコツです。

重曹とお酢に切り替えることをご検討中でしたら、多くの人が最初数日間は髪がひどくなった(すすで汚れたようで汚っぽい感じ)が、結局はよくなったと言っていることを覚えておいてください。髪は一人一人違うので、シャンプーを全く止めるのが自分に効き目があるのかを見るため、試してみることをお勧めします。

頭皮をきれいにしないと痒み、炎症、フケにつながる可能性があると警告する皮膚科医もいますが、これには(数日間だけ髪が悪くなった気がすることを除いて)リスクはありません。しかし、「ノープー」を試す気があれば、人生の中でまだ経験したことがなかったほど、最も健康な髪が得られる可能性はあります。

シャンプー頻度の減少で化学物質への暴露も減少

市販のシャンプー商品を使用すると、毎回洗うたびに頭皮を化学物質で泡立てていることになります。数年前、Johnson & Johnsonのベビーシャンプーにフォルムアルデヒドや1,4-ジオキサン等の有毒化学物質が含まれていたことを知った多くの人がショックを受けました。

消費者の要望に応え、2012年にJohnson & Johnsonは製品の一部から有毒化学物質を除去することに同意しました(報じられる限り、フォルムアルデヒドと1,4-ジオキサンに関しては2015年時点にパーソナルケア製品から除去したそうです)。しかし、一般に流通するシャンプーにはまだ多くの怪しい化学物質が含まれています。

例えば、シャンプーには共通して内分泌かく乱物質が含まれます。これは、発育や生殖を妨げることが分かっている化学物質で、神経系や免疫系に深刻な影響を引き起こす可能性があります。シャンプーにまだ潜んでいそうな物質

ラウリル硫酸ナトリウム。工業用クリーナーをはじめ数千点の化粧品に使用されている界面活性剤、洗剤であり、乳化剤です。

ほぼどのシャンプー、頭皮取―メント、ヘアダイ、漂白剤、歯磨き、ボディーウォッシュやクレンザー、メークアップ用ファウンデーション、液状ハンドソープ、洗濯洗剤、入浴オイル/入浴用塩にも含有されています。

SLES/SLSの本来の問題はその製造工程で(エトキシ化反応)のためにSLES/SLSが発癌物質である副産物の1,4ジオキサンで汚染されることです。

フタレート。多くの問題の中でも特に、男児の出生時生殖器欠陥や成人男子の精子活動力低下に関係があるとされてきた可塑化剤です。フタレートはよく、「香料」という一般用語でシャンプー ラベルに記載されて、カムフラージュされています。

メチルイソチアゾリンオン (MIT)。シャンプーに使用される化学物質で細菌増殖を阻止する薬品ですが、神経系に有害な影響がある可能性があります。

パラベン。シャンプー、デオドラントその他の化粧品に含まれる化学物質で、女性ホルモンのエストロゲンに似た作用があることが発見されました。これは人の乳腫瘍増殖を推進する可能性があります。

2012年に発表されたある研究は、発汗抑制剤やその他の化粧品に含まれるパラベンが乳癌リスクを増大させる可能性があると説明しています。その研究は乳腫瘍の発生部位に着目した結果、高濃度のパラベンが乳房や脇の下にかかる上部四角領域に発見されることを突き止めました。この領域こそ発汗抑制剤をよく着ける場所です。

シャンプーを完全に諦めきれない場合

ノープー運動が自分の髪に合うか否かを見極めたいが「禁断」までは覚悟できないという方には、シャンプー間隔を伸ばしていくことをお勧めします。こうすると頭髪内の自然な油分を保持し、洗剤その他化学物質への暴露を減少するために効果があります。

さらによいことには、髪を実際にシャンプーする場合でも、石鹸系ではなく自然系のシャンプーを探すことです。石鹸系磨き粉のpHはとても塩基性で、約8~9あります。これは毛表皮を浮かせ、反応を起こして髪にダメージを及ぼし、頭髪内の二硫化物結合に影響を与えます。

ケイ酸ナトリウムやホウ砂等の成分は上皮の形成や髪の活気を失くす影響を軽減するために添加されます。有害な化学物質のない、植物抽出物も添加した自然系シャンプーをお探しください。植物抽出物には艶を出したり力を補強したり(枝毛や折れの防止に役立つ)するカモミール等が挙げられます。

その他メリットがある成分には髪の保湿効果があるTriticum Vulgare (コムギの一種)タンパクやアカツメクサが挙げられます。アカツメクサは髪をより健康的に見せます。

「シャンプー」をヘアコンディショナーでしようとする人もいます。これは髪の自然油分を落とさないようにするのに役立つもう一つの方法です。しかし、無害なコンディショナーを選ぶようにしてください。もう一つの方法には髪にココナッツオイルを着けることです。

ココナッツオイルは卓越した自然のヘアトリートメント

頭髪への栄養とコンディショニング用に使えそうな製品として、鉱油、サンフラワーオイル、ココナッツオイルを比較したある研究によると、ダメ―ジを受けた髪でもダメージを受けていない髪でもココナッツオイルだけがタンパク質損失を軽減しました。Journal of Cosmetic Scienceで研究者らはこう説明しています:

「ココナッツオイルはラウリン酸(その主要成分である脂肪酸)のトリグリセリドとして、髪のタンパク質と強い親和性があり、分子量が低い直鎖構造のため、毛髄質の中に浸透することができます。」

ココナッツオイルが頭髪にこれほどメリットがある理由の一部は疎水性であること、つまり、水を弾くことです。洗髪前のコンディショナーとして着けた場合、どの毛筋にも水の浸透を阻害します。水が浸透した場合、毛表皮(髪の毛の索の表面)が浮き、ダメージを受けやすく、折れやすくなります。

さらに、洗髪前にトリートメントとして着けた場合、洗髪中に髪の毛の繊維が少し膨潤すると、少量のココナッツオイルでも髪の毛の中深くに浸透することができます。この事実は、ココナッツオイルがじめじめした天気のときに「縮れ毛」を防止する効果があると夢中で話す人が多い理由の説明でもあります。この点もココナッツオイルの疎水性活性が持つもう一つの特長です。

「ノープー」を検討中なら全体的に洗髪頻度を下げることを検討してください

増大し続ける少数派の人々は毎日のシャンプーを全く止めるだけにとどまらず、毎日のシャワーも止めます。身体を洗う頻度を下げることが時代の先端を行くものだとさえ言う人もいるほどです。この運動の一部は、細菌を含む微生物が敵ではなく、実際には、生き延び繁栄するためには適正な平衡を微生物と維持して生きる必要がある、という認識が普及しつつあることに関連しています。

他の人々は特に水の消費という観点で、シャワー頻度を下げる理由として環境への懸念を挙げます。シャワーを1回7分浴びると一回のお風呂より多くの水を消費し、2021年までにシャワーの水消費量が5倍になることが予測されています。さらに他の人々は化学物質でいっぱいのボディーウォッシュ(およびシャンプー)の使用を減らすようにしており、この人々が多くのシャワーを減らして以来、いまだかつてなかったほど頭髪同様に肌が生き生きしたことにご注目ください。

皮膚科医さえ毎日のシャワー、特に熱いお湯と粗い石鹸を使うことに眉をしかめる傾向にあります。その理由は肌にダメージを与えるからです。クィーン・マリー医科歯科大学ウィルス学のジョン・オクスフォード教授はこう説明しています:

「毎日盛んにシャワーを浴びると皮膚の自然な微小植物相や皮膚の油分を阻害します。...手を頻繁にじゅうぶん洗い、ベルトより下の身体領域に注意を払い、一日おきにシャワーかお風呂を使えば、決してためにならないということはありません

… 毎日ビデを使う限り、一週間に2回でさえ問題ないほどです。これは最も感染性の細菌が下半身に滞留しているからです。 … 私たちは身づくろいのためというよりは、交差感染を停止するために洗うべきです。」

毎日(またはそれ以上頻繁に)体を洗うことは比較的最近の現象です。科学によって、身体の微生物叢が健康、皮膚病促進または防御のために大切な役割を演じるばかりではなく、体臭等の問題も劇的に変えることもできることが実証済みです。対抗するのではなく、微生物叢とともに取り組むことが最もためになることは真実です。

皮肉なことに、身体が皮膚を防衛するために使用する有益な脂肪をいっぱい含む保護的皮脂を石鹸は除去する傾向があります。それでも多くの人は石鹸で規則的に全身の皮膚を洗い流し、この保護層を除去しています。さらにお金を払ってローションを着け、除去した物を復元しようとするのです。

同じことは頭髪についても真実です。シャンプーで自然な油分を洗い落とし、次に高価な化学物質のコンディショナーを着けて保湿性を取り戻そうとします。すでに説明した通り、シャンプーを諦めて「禁断状態」までにする必要はありません。

そうではなく、必要なときのみ洗髪し、石鹸(または自然のシャンプー)は、本当に洗浄が必要な領域に使用するのです。この領域は脇の下や股のほか、髪について言えば、速く油分が貯まりやすい頭髪の生え際です。