オメガ-3類が心臓発作後の回復を改善する可能性

オメガ3

早分かり -

  • 最近の研究で、オメガ-3脂肪酸EPAおよびDHAの高投与量(4グラム)が心臓発作後の回復を向上させる可能性を示唆しています
  • 別の研究では、3年間毎日動物性由来のオメガ-3脂肪酸を1グラム摂取した心臓発作生存者は、心臓死の確率が50パーセント低くなっていました
  • 海洋生物や植物源のオメガ-3脂肪酸は、互換性がないということを認識することが重要です。植物由来ALAは、エネルギー源ではありますが、DHAやRPAは体の細胞の重要な構成要素です
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Dr. Mercolaより

研究を積み重ねれば、動物由来のオメガ-3脂肪酸が心臓の健康にとって重要であると言うことが納得されていくでしょう。このトピックを注意深く調査した後、ドコサヘキサエン酸(DHA)の健康レベルを維持することが重要な食品優先順位の一つかもしれないと確信するに至りました。

DHAは、魚介類から取れた、22の炭素原子を持つオメガ-3脂肪酸です。オメガ-3脂肪酸は、海洋生物と植物源の両方から得られますが、一般に信じられているのとは反対にこれらは、互換性がありません。

炭素原子が18個のオメガ-3脂肪酸であるαリノレン酸 (ALA)は、アマやチアシードのような植物に含まれ、DHAに転換されますが、一般的にはこれは1から3パーセント未満であり、脳や心臓の健康に必要な量としてはほぼ役に立ちません。

植物性および動物性のオメガ-3脂肪酸は、健康にとって重要である一方、動物性由来のDHAは、心臓の健康やその他の重要な健康上の利益と最も深い関りがあります。

加えて、DHAは、自分の電子雲から光を直接DC電流に変える能力があり、これが特に体内時計や概日リズムを確立させる際に重要なのです。

DHAやEPAは、皆さんの健康を守ります

最近の研究では、特定の植物由来の摂取源など、脂肪の多い魚やその他のオメガ-3脂肪酸が豊富な食品を食べると致命的な心臓発作(心筋梗塞)のリスクが低くなる可能性を示唆しています。心臓発作の後に摂取すると、オメガ-3脂肪酸は有意に生存率も向上することができます。

ある大規模治験では、3年間毎日オメガ-3脂肪酸を1グラム摂取した心臓発作生存者は、心臓死の確率が50パーセント低くなっていました。別の近年のプラセボ対照試験では、オメガ-3脂肪酸サプリメントの高投与が心臓発作後の心臓の健康に役立つことが分かりました。

合計360名の心臓発作患者を2つのグループに分けました。治療グループには、Lovazaと呼ばれるオメガ-3脂肪酸魚油を処方して4グラム摂取してもらいました。プラセボグループには、コーン油を摂取してもらいました。6カ月後、治療グループの方は、心臓の傷害心筋の瘢痕化が5.6パーセント低くなっていることが確認されました。

被験者の心臓はコントロールグループと比較して、血液ポンプも良好でした。これはつまり、コーン油を使ったプラセボは非常によくないということに留意する必要があるということです。プラセボというのは、水のように完全に不活性でなければなりません。コーン油は、実際に工業的に加工された有害な遺伝子組換え汚染されたオメガ-6脂肪酸であり、心臓に悪い影響を及ぼすことが明らかです。

私がこれについて言及するのが結果を反故にするためではありませんが、処方オメガ-3脂肪酸は、エチルエステルと結合させた海洋生物由来のオメガ-3脂肪酸の半合成体であるため、天然のトリグリセライド形(魚油やオキアミ油のような)と比較して、吸収率が劣る傾向があることが分かっています。

よって、コーン油をプラセボに使うというのは、使用する薬剤を実際よりも強力に見せてしまうことがあるのです。ロイター通信は以下のように伝えています:

「人によっては、魚油を使っても吸収が良い場合がありますが、赤血球内のオメガ-3脂肪酸濃度が最も高かった人たちは、魚油を摂取したグループが6パーセントの低下であったのに比べ、左心室中に残った血液が13パーセント低くなっていました。」

動物由来のオメガ-3脂肪酸が心臓の健康に有効である数々の方法

動物由来のオメガ-3脂肪酸で、特にDHAは、様々な多数の方法で、循環器系の健康に有益となります:

血圧を下げる

トリグリセライドの濃度を下げる

内皮機能(新しい血管の成長促進を助ける)を向上

不整脈を相殺もしくは予防

血栓症(血管中の血液の詰まり)の予防を助ける

心室の内層の脂肪沈着物と線維症を予防

炎症を相殺

オメガ-3脂肪酸のその他の健康上の利点

皆さんの心臓 が最適な機能のためにオメガ-3脂肪酸が必要な唯一の内臓という訳ではありません。これらの健康的な脂肪は、消化、筋肉機能、血栓、視力、記憶や学習、そして基本的な細胞分裂や細胞受容体の機能にとっても重要です。例えば、研究ではオメガ-3脂肪酸が以下に重要であることを示唆しています:

健康的で強い骨

気持ちの安定

パーキンソン病のリスクを低減

ALLに起因した死亡のリスクを低減

細胞および内臓を炎症から守る

乳児の脳および目の発達, および、未発達な状態での出産の予防

アルツハイマー病のリスクを低減

精神分裂病のリスクが高い患者における精神病の進行を遅らせる

変形関節炎やリウマチ (RA)から保護

肥満症、脂肪肝、2型糖尿病を含むメタボリックシンドロームの予防(炎症を抑え血糖値を下げることにより)

月経前症候群 (PMS) および月経困難症を改善

記憶障害、脳の加齢、学習生涯やADHD、自閉症および失読症を含む、神経機能障害/認知機能障害のリスクを低減

クローン病のリスクを低減

大腸ガンのリスクを低減
毎日最低0.3グラムのオメガ-3脂肪酸を摂取した大腸ガン患者は、その後の10年間に死亡するリスクも41パーセント低下しました。

腎臓病のリスクを低減

ループスや腎障害などの自己免疫異常のリスクを低減

動物性と植物性のオメガ-3には極めて大きな違いがある

前述したように、海洋動物性と植物性のオメガ-3の間には重要な違いがあります。

海洋動物性オメガ-3

供給源脂肪分の多い魚(サケ、アンチョビ、イワシ、ニシンなど)、魚油およびオキアミ油。

主なオメガ-3含有物それぞれ22個および 20個の炭素で構成される長鎖の多価不飽和脂肪酸(PUFA)であるDHAとEPAで、これらは体内ですぐ利用可能です。

生物学的効果DHAおよびEPAは、多くの生物学的効果、とりわけ抗炎症活性および細胞内・細胞間の伝達に携わる構造要素です。DHAは、体内のすべての細胞の構成成分なので特に重要です。

脳組織に含まれるオメガ-3脂肪の90%以上がDHAであり、脳の健康にとって非常に重要なのです。他のすべてのオメガ-3脂肪は身体が消費するALAの量に関係なく、ALAを含んだ残滓 量しか見つかりません。

EPAとDHAは、身体が太陽光を適切に利用するのを補助する役割を果たしていると思われる節もあります。それらの物質はまた、ミトコンドリアの健康に深く重要な影響を与えます。

植物性オメガ-3

供給源アマチアシード、ナッツ類(特にクルミ)、葉物野菜など特定の植物。

主なオメガ-3含有物ALA:18個の炭素原子からなる短鎖PUFA。植物由来のオメガ-3は、EPA / DHAを含んでいません。

ALAは、EPAおよびDHAの前駆体です。しかし、より短い炭素18個のALAを長鎖オメガ-3に変換させるために酵素が必要となります。大半の人にとって、この酵素はあまりうまくは機能しないため、変換率は非常に小さいです。

一般的には、ALAの1 %未満しかDHAに変換されません。変換率は、他のビタミンやミネラルが十分なレベルかどうかにも依存しています。

したがって、摂取するALAのごく少量は身体内で長鎖オメガ-3に変換することができるとはいえ、これは非常に非効率的な方法であり、DHAとEPAを海洋性の供給源から供給するほどは役に立たないものです。

生物学的効果エネルギー源(脂肪)。

ご覧頂いたように、ALAは主にエネルギー源でありEPAとDHAは構造要素です。したがって、EPAとDHAは単なる「食品」ではありません。 それらは実際に身体の細胞を構成する要素であり、それらは全く異なる2つの別の機能です。EPAとDHAは、心臓や脳を含む身体全体に広く分布しています。そのため、両物質の欠乏症は脳や心臓機能に非常に有害です。

更に、研究の中で血液脳関門、胎盤(妊娠中の女性の場合)、肝臓にも特異的な輸送体があり、細胞内でEPAやDHA分子が非常に正確に細胞膜に輸送されていることが示されています。

魚油よりもオキアミ油を薦める理由

脂肪分の多い魚や魚油は、長い間、動物性オメガ-3脂肪の主たる供給源となっています。オキアミ油は更に最近の供給源であり、魚や魚油に比べてより多くの利点があることが研究によって示唆されています。最も重要な違いの1つは、魚油がトリグリセリドおよびメチルエステルに結合し、一方、オキアミ油はトリグリセリドおよびリン脂質に結合することです。

エステルは身体へ効率的に吸収されませんが、リン脂質は吸収されます。オキアミ油がリン脂質に結合するという事実が、EPAおよびDHAを魚油よりも生物学的に利用し易くします。リン脂質は実際に生命にとって非常に重要です。その理由はこの膜は細胞を構成するすべてに必要とされるからです。

リン脂質は、高密度リポタンパク質(HDL)の主要な化合物の1つであり、細胞に構造的な完全性を維持させ、リン脂質が細胞を適切に機能させるのに役立つため、より多くの摂取を必要とするものです。オキアミ油は、重要な脳構造に到達するために血液脳関門を効率的に通過していくこともできます。

魚油においては、オメガ-3はトリグリセリドとエステルに結合しています。トリグリセリドとエステルは、消化管内でDHAとEPAの基礎脂肪酸に分解されなければなりません。腸内では約80から85%が単純に排除されてしまいます。オキアミ油の優れた生体利用効率のもう一つの理由は、ホスファチジルコリン(重要な神経伝達物質であるアセチルコリンの前駆体)が含まれているという事実と関係しています。

魚油を摂取すると、これを身体が利用するため、肝臓において魚油をホスファチジルコリンに付着させなければなりません。肝臓は、ホスファチジルコリンが既に存在しているので、オキアミ油を摂取するときにこの段階を省くことができます。

オキアミ油が優れた選択肢となるその他の特徴

オキアミ油は魚油よりも強力です。これは、2011年の調査で確かめられたように、魚油よりもはるかに少ない量の摂取で充分であることを意味します。研究者たちはオキアミ油を摂取する被験者グループに、魚油を摂取したグループの63パーセント以下の量のオキアミ性EPA / DHAを投与したところ、両グループの被験者とも同等の血中濃度を示しました。

オキアミ油は代謝と遺伝的発現に優れた影響を与えます。遺伝子には、身体内のあらゆる生化学プロセスの実質的な制御を行ってオンとオフを切り替えることができる「スイッチ」があり、オメガ-3脂肪などの栄養素がこれらのスイッチを制御します。

また、脂肪酸は、グルコース産生、脂質合成、細胞エネルギー、酸化および他の多くの代謝過程を導く助けとなります。脂肪酸酸化、呼吸鎖複合体およびクレブス回路を含む特定のミトコンドリア代謝経路を刺激することにより、オキアミ油は健康なミトコンドリアのエネルギー代謝を回復させるのに役立ちます。

オメガ-3脂肪の様々なタイプと供給源が肝臓組織に異なる様式で影響します。これは、2011年の研究が調査の対象に掲げたものです。キリル油を与えられたマウスの肝臓と、魚油を与えられたマウスの肝臓を、それぞれが誘発した遺伝子発現を調べることによって比較しました。魚油とオキアミ油にはいずれもオメガ-3が含まれていますが、それらは代謝を制御する遺伝子にどのように影響するかは大きく異なります。オキアミ油

肝臓のグルコース代謝を強化しますが、魚油にはその効果はありません。

脂質代謝を促進しますが、 魚油にはその効果はありません。

ミトコンドリアの呼吸鎖を調節するのを補助しますが、 魚油はその機能を有しません。

コレステロール合成を減少させますが、魚油はそれを増加させます。

オキアミ油は酸化抵抗性を有しますが、魚油は酸化しやすいのでフリーラジカルの生成につながります。これはオメガ-3サプリメントを摂取しているときに必要なものではありません! 魚油には抗酸化物質の含有も少なく、オキアミ油にはアスタキサンチンが含まれています。アスタキサンチンは現在、自然界で最も強力な抗酸化物質の一つと考えられています。これらはその大部分がオキアミ油を非常に安定化し、酸化耐性を持たせるものです。

大事なことを言い忘れていましたが、魚はあらゆる種類の汚染、水質汚染の影響を受ける傾向にありますが、南極のオキアミはそのような汚染をさほど受ける傾向にありません。オキアミは綺麗な水中で収穫される、というだけではなく、オキアミは食物連鎖の底辺にある生物なので、汚染された他の魚たちとは対照的に、植物プランクトンを食べています。

オキアミが世界で最大のバイオマスであることから、オキアミは魚よりはるかに持続可能なものです。オキアミの収穫そのものも慎重に規制されており、毎年オキアミバイオマスの総量の1から 2%しか収穫されてはいません。