Dr. Mercolaより
注意欠陥多動障害(ADHD)と診断されている米国の子供の約3分の2が、治療のために処方箋医薬品を摂取しています。ADHDは、子供が集中したり、衝動行為を制御したりするのを困難にしますが、リタリンやアデラールのような強力な興奮剤を使って、集中力と自己制御を改善できるようにします。
この薬は、安価ではあるものの、その副作用の多くが、ADHDそのもの(脳の損傷、人格変化、突然死および自殺が考えられる)よりも 悪いのです。これは、これらの子供たちの多くに、症状を抑制できるようなより安全で自然な解決手段が提供され なかった 故の悲劇です。運動。
Pediatrics誌 に掲載された研究では、定期的な身体活動プログラムを行った子供たちは、認知パフォーマンスおよび脳の機能が向上したことが分かっています。
特に、この子供たちは、抑制(集中力を維持する能力)、ワーキングメモリー、および認識柔軟性(タスクからタスクへの切り替え)などの、エグゼクティブ・コントロールにおける改善が認められました。ADHDの子供では、大抵遂行機能に問題が起こりますので、運動が症状の改善につながる可能性があります。
ADHDの子供が、多くの場合、学業成績が良くないことにより、多くの親が薬物治療を受け入れてしまう大きな原因となっています。運動をする子供は、テストの点数や学業の成績も良くなることが知られていますが、このことは、ADHDの子供には特に当てはまります。
例えば、ある最近の研究によると、学校の始業前と放課後に身体活動を取り入れたプログラムを実施すると、ADHDの可能性の高い子供たちの中には、注意力散漫やむら気がなくなり、数学や読解テストの点数が上がったことがわかりました。
他の研究でも、毎日26分間の身体活動で、小中学生のADHDの症状が大幅に改善したことが発表されています。ハーバード大学精神科准教授のJohn Ratey氏は、2012年のTEDにおいて、運動はADHDの治療薬とされるべきだという意見を述べています。運動により、脳からドーパミンやセロトニンなどが放出されるためです。
これが気分を向上させ、認知パフォーマンスを高めます。以下の話をご覧になれますが、残念なことに、このようなシンプルな介在は、薬物治療がたどる道ではありません。
運動・ADHD研究をしていた研究者たちでさえ、身体活動をADHD治療方策に取り入れるという提案には保守的です。これが安価・安全でADHD薬物治療とは正反対に、唯一「副作用」がないものである故の皮肉です。
運動がこれほど機能する理由としては、人間にはすべて動きがあり、つまり非運動的活動要件は備えていないことが挙げられます。ほとんどの人は、一日に8~15時間座っていると健康によくありません。いくらなんでも、1時間の運動が、ここまで長時間座っていることを補うことはできないからです。子供も同様です。子供に一日中座っているように強制した場合、この子供たちが脳障害となってもまったく不思議ではないはずです。
これは、長時間座っているようには、子供の身体はできていないという事実と関連性があるでしょう。たしかに、このレポートと上記のTEDビデオからも、運動が治療に役立つことが明らかなように、運動は、有益で推奨される方策となるでしょう。もっといいのではないでしょうか?子供を机から立たせましょう。一日中座らせるようなことはしてはいけません。下記の改善された食事と組み合わせれば、ほとんどすべてのADHD薬物治療を本質的に排除することができるはずです。
もし、お子さんが行動面、感情面、あるいはメンタル面で問題を抱えている場合、薬物治療を試したい衝動に駆られるかもしれません。特にメンタルヘルスの「専門家」から勧められれば、その傾向は高まるでしょう。しかし、まず説明をきちんと受けているか確認してください。
薬物乱用および精神衛生管理局(Substance Abuse and Mental Health Services Administration、SAMHSA))が公開したデータによると、リタリン、ビバンセ、ストラテラ、アデラール(およびそのジェネリック同等医薬品も含む)などのADHD治療薬は、2011年の緊急治療室搬送のほぼ23,000件と関連があったそうです。ADHDの処方薬の効果は「おだやか」とは言えません。依存性が非常に高く、アメリカ麻薬取締局(Drug Enforcement Agency)の規制物質として、スケジュールII薬物に指定されています。ADHDの診断を受けた子供の多くが、こうした危険性のある薬剤の中でも代表的なリタリンを処方されています。
リタリンの作用は、中枢神経系の刺激であり、繊細で複雑な脳の機能や性格にまで影響を与えます。言うまでもなく、子供における、長期的な影響はよくわかっていません。それでも、すでに判明している副作用には、次のようなものがあります。
身体活動は大人がそうであるのと同じくらい、すべての子供にとっても必要ですが、もしお子
✓ 心臓に障害がある場合の突然死
✓ 脳卒中や心臓病
✓ 血圧の上昇
✓ 行動、思考面での新たな問題または悪化
✓ 双極性障害の発症または悪化
✓ 攻撃行動、怒りの発症または悪化
✓ 精神症状の発症(幻聴、盲信、疑り深いなど)
✓ 躁病の発症
✓ 心拍数の上昇
✓ 子供における発達の遅れ(伸長、体重)
✓ 発作
✓ 視力の変化、かすみ
さんがADHDのような症状で困っている場合は、お子さんの食事にも必ず細かな気配りをしてあげてください。今日、子供や大人が選ぶ食物は、多くの場合、信じられないほど貧弱で、健康な脳機能や心の健康に必要な基本的栄養素に欠けていることが、知られています。
加えて、食品添加物、農薬そして遺伝子組み換え食品が、一役買っている場合もあります。もしもお子さんに行動の問題がある場合、ADHDの診断を受けていてもいなくても、次の要因に取り組むことを強くお勧めします。
• 糖分の摂り過ぎ。糖分の多い食事、でんぷん質の炭水化物の摂りすぎは、インスリンの過剰な放出につながり、血糖値が下がって低血糖になります。低血糖により、脳でグルタミン酸が分泌され、焦燥、うつ、怒り、不安、パニック発作などを引き起こします。
その他、糖分は慢性炎症を進行させ、多くの研究が、糖分の多い食事によって 精神面の健康が悪化することが指摘されています。
• グルテン感受性。ADHDなどの神経系、精神系の病状の根本原因がグルテン感受性 であることは、その証拠からも有力な説です。
2011年の研究によると、ADHDの患者にセリアック病が非常に多く、グルテンフリーの食事によって、子供の行動の問題が大幅に改善されることがわかりました。この研究は、ADHDの症状のチェックリストにセリアック病を追加するべきであると示唆しています。
• 有益バクテリアが少なすぎる。Natasha Campbell-McBride博士(大学院にて神経学修了)によると、腸内の毒素は身体から脳に達し、自閉症、ADHD、失読症、統合運動障害、うつ、精神分裂症や様々な精神疾患の引き金となります。
精神の健康問題では、腸の炎症を改善することが必要です。子供の腸内フローラを整えることが欠かせません(詳細は以下をご覧ください)。
• 動物性オメガ-3脂肪酸の不足。研究によって、 オメガ-3 脂肪酸が不足すると、多動、学習障害、素行の問題が起こりやすくなることが示されています。オメガ-3脂肪酸の不足 により、失読症、暴力、うつが起こることもわかっています。
2007年に発表されたある臨床実験では、ADHDと診断された大人での オキアミ油の効果 について調査しています。その研究では、毎日500 mgのオキアミ油を半年間服用すると、平均して60%以上、集中力が向上したという結果が出ました。また、計画力が50%向上し、社交性は49%向上していました。
• 食品添加物と GMO 原料。数々の食品添加物 がADHDを悪化させると考えられ、ヨーロッパでは禁止されるようになりました。避けたほうがよい添加物は、 青色1号/2号、緑色3号、オレンジB、赤色3号/40号、黄色5号/6号、保存料の安息香酸ナトリウムです。
最近の研究ではまた、遺伝子工学ラウンドアップレディ穀物の大部分に使用されている、モンサント社のラウンドアップ(除草剤)の有効成分グリホサートが、身体の化学合成物の排毒をする身体の機能を制限することが示されています。その結果、化学物質や環境毒素による悪影響が強くなり、脳障害(行動に影響する)などの様々な病気に発展する可能性があります。
• 腸内で病原菌、酵母および真菌類の増加を促進してしまう、加工食品や精製した食品を控えましょう。加工食品の多くは、糖分も高く、 フルクトース、穀物類(グルテン)、人口食品添加物、および遺伝子組み換え材料(これは、グリホサートでより深刻に汚染されている可能性がある)など、すべてADHDの症状を悪化させる傾向があるものの上位に入ります。
また、フルーツジュースや殺菌処理した牛乳も含め、加糖清涼飲料水(カロリーオフでもそうでないものでも)を純脱フッ化水素酸処理水に置き換えましょう。
• 伝統的な製法でてつくられた低温殺菌されていない食品を食べましょう:伝統的な製法で低温殺菌されていないものを食べている限り、発酵食品は、消化器系を良好状態に導くための、最も良い方法の一つとなります。発酵食品に含まれる有益バクテリアの中には、毒性負荷をなくすことで有益な健康効果をもたらす、優れた 重金属と農薬のキレート化剤となるものもあります。
発酵食品の中でも食べやすいのは発酵野菜 です。子供の場合は、ケフィアなどの発酵食品をスムージーに入れたものも好むでしょう。
• 高品質プロバイオティクスサプリメントを摂りましょう。子供に定期的に発酵食品を食べさせるのが難しければ、良質なプロバイオティクスのサプリメントであれば、脳機能の障害の原因となる腸内フローラの乱れを調整する高い効果が得られます。
子供の栄養面に気を配るのに加えて、上記の2つの項目で取りあげたとおり、以下の方法もお勧めします。
• 家庭内に危険な殺虫剤 や市販の化学物質を置かないようにしましょう。
• EMF(電磁場)。無線周波電磁界、携帯電話などの電磁汚染をなるべく制限しましょう。休息と回復の場所である寝室の環境には、特に気をつけましょう。できるだけ電磁界を避けるようにしましょう。
• 市販の洗濯洗剤や掃除用製品を買わないようにしましょう。 洋服に使う製品は、香料や柔軟剤の含まれない天然成分由来の製品に替えましょう。
• 自然の中で過ごしましょう。研究によると、 ADHDの子供 を自然に触れさせると、費用がかけずに、健康的に症状をコントロールできます。
• 感覚統合療法や感情を健康にするツールを検討してみましょう。その場しのぎの解決法を探すのではなく、ADHD患者が相談できるように支援し、問題となっている感情を見つけ出せるようにしましょう。
感情解放テクニック (EFT) などのエネルギー心理学ツールも、感情面の葛藤や癒しの改善をする上で、検討してもよいと思います。
• その他の有害物質。アスパルテーム、歯の詰め物アマルガムに含まれる水銀、水道水中のフッ素、その他考えつく諸々を含め、MSGおよび人工甘味料のような既知の有害物質は、避けるようにしましょう。
ポイントは、楽しませることです。子供には、組織的なフィットネスクラスなどは必要ないですが、屋外で走ったり、友達と鬼ごっこしたり、原生林で駆けずり回ったり、例え裏庭(落ち葉を掻き集めたり、草を引っこ抜いたり、花を植えたりなど)であっても、役に立ちます。
うんてい、ローラーブレード、スケートボード、ダンス、友達とバスケットボールをする、犬を散歩させるなど、子供が自然に興味をもてる活動に参加できるようにしましょう。
組織的なスポーツも素晴らしいのですが、泥の水溜まりで跳ねまわったり、木に登ったり、雪だるまを作ったりする方が自然です。自分の子供を過度に構築された「運動の時間」へとせっつくのでなく、自然で活発的な遊びへ促しましょう。最終的には、ここでは鬼ごっこ遊び、あそこでは自転車乗り、と一日中運動で発散できるようになれば、プレッシャーを感じることも、罰せられているように思うこともないでしょう。
自らが 活発でいることで良いお手本となることも大切ですから、ウォーキングのように家族全員で一緒に楽しめるものもいいでしょう。ご自身がポジティブな方法で運動を取り入れれば、それを見た子供は自然とそれにならいます。
このウェブサイトの閲覧を続けとクッキーの使用、改訂個人情報保護方針、サービスの提供条件に同意したものとみなされます。
同意する