Dr. Mercolaより
身体の運動は、脳が加齢により萎縮しないようになるだけでなく、認知能力もまた向上させるのに有効であることが立証されています。
運動は神経細胞を増やし、細胞同士の相互連結を強化し、細胞を損傷から保護することで、脳が最適な能力で機能できるよう促進しています。ここでは多様なメカニズムが効果を発揮していますが、いくつかは他のメカニズムよりも理解が進んでいます。
その一つが、脳由来神経栄養因子(BDNF)による活性化です。BDNFは脳の幹細胞を活性化させ、新しいニューロンに変換します。また、BDNFは多数の他の化学物質を活性化させ神経系の健康を促進します。更に、運動が脳に以下のような、保護効果をもたらします:
運動することにより、エンドルフィン、セロトニン、ドーパミン、グルタメート、γ-アミノ酪酸のような多くの神経伝達物質もまた活性化されます。これらの物質には、気分を支配する働きがあることで良く知られているものがあります。実際に、運動はうつ病の最も効果的な予防と治療方法の一つなのです。
BDNFとエンドルフィンは運動により活性化される主要な二つの因子で、気分をアップさせて、気分をよくしたり、認識力を鋭くするのに役立ちます。では、快活な気質や長期的に記憶を良好に維持するには、どれ位の運動が必要となるのでしょうか?
Journal of Neuroscienceに掲載された2012年の研究によると、ある特定の日に生産性と幸福度を上げる「秘訣」は、定期的な運動を長期的に行うことだそうです。そして、毎日少し運動することで、1週間に1度か2度たくさん運動するよりずっとうまくいくようです。
その理由は、おそらく見て理解してもらうのが一番でしょう。これらの画像をご覧ください。20分間静かに座っていた場合と比べて、同じ時間歩いた後は脳の活動が劇的に増大するのが分かります。
運動することでデメリットがあるというのは考えにくいですが、もし、一つあるとすれば、運動によるメリットの多くが恒久的ではないということでしょう。
数10年運動をした人は晩年に得た筋力と健康を感じることがあると立証されている一方、運動を止めると苦労して得たメリットを失う場合があることも立証されています。
ジムに行かなくなったと身体が「気づく」にはどれ位の時間がかかるでしょうか?専門家は、わずが2週間程度としており、分野によってはそれより少なくなることが示唆されていたりもします。
おそらく一度トレーニングを止めると筋緊張が衰えると予想できそうですが、身体の至る所で変化が起きることはあまりないでしょう。その影響を最初に受ける場所の一つに、実は脳が挙げられます。
雑誌Frontiers in Aging Neuroscienceで発表された研究により、10日間、運動を休んだ耐久力ランナーでは、記憶と感情に関連する領域ある、脳の海馬への血流に減少があったことが分かりました。
一方、2週間程度後には、持久力に衰えがある可能性があります。つまり、一気に階段をたくさん、早く登らないといけないときに、以前よりも若干息切れしている自分に気が付くかもしれないということです。これはVO2 max(最大酸素摂取量)の変化によるものです。
VO2 maxは、1分間の最大または消耗運動時に使用可能な最大酸素量として定義されており、3 持久力の尺度として用いられています。
更に、運動することにより血圧と血糖値によい効果がもたらされることは良く知られていますが、これらのよい効果が多数のトレーニングをサボると一番最初になくなってしまうのです。
例えば、8カ月間定期的に運動をし続けている一つのグループの人が2週間活動をしなくなった場合に、運動することで得られた血糖値の改善の約半分を失うことになるのです。 (その一方で、彼らは依然としてメリットの52%を維持しており、運動に強力なメリットがあることを証明しています。)
トレーニングをこれより長期に渡って中断する場合、肉体的にも審美的にも身体に顕著な変化が広がることが予想できます。活動を止めて2週間、あるいは4週間程度すれば、筋力の低下に気づき始めるかもしれません。そして、約6週間から8週間後には、体重が増加し始める可能性があります。例として:
えり抜きのテコンドー選手の場合、トレーニングの中断は肉体的ストレスを軽減し、トレーニング(特に高強度なトレーニング)から回復するために身体が必要としている休息を与えることと、運動の主要なメリットのいくつかを打ち消すあまりに長すぎる休息を取ることの間には微妙なバランスがあることが示されています。
数十年間運動を続けている人は、運動を始めたばかりの人に比べて、筋力が低下するまでに長くかかるであろうことは、理に適っています。一方で、この分野には相反する研究がいくつかあるのです。例を挙げると、同様に、耐久サイクリストを対象とした調査では、4週間運動をしない場合、VO2maxが20パーセント減少しました。これは普段トレーンニングを行っているスポーツ選手での調査です。運動を始めたばかりの人の場合、VOmaxの増加分は、運動を止めてから4週間後に完全に消失しました。
その一方で、新たに得た筋力は数カ月運動しなかった後でさえ維持される傾向にあることが研究により分かっています。例えば、以前はトレーニングを行っておらず、15週間の強化トレーニングプログラムに参加した男性のうち、間で3週間の休息を取った男性の研究終了時の筋力レベルには影響が見られませんでした。
長期的な運動をする人は運動の中断後に回復する間に、新しく運動を始めた人に比べてメリットがあります。生涯に渡り運動する人の場合は、最近運動を始めたばかりの人に比べて、体型を元通りにするのは楽でしょう。年齢も影響を及ぼします。適度な運動を定期的に行っていない場合、年を取るほど、筋肉の萎縮が速まります。さらに、それを取り戻すには長く時間がかかることになります。
20から30歳の人と65から75歳の人を比較した場合、6か月運動をしない期間中に、老年のグループの筋肉は、ほぼ2倍多く喪失されていました。高齢者グループでさえ、定期的なトレーニングによるメリットを実感するまでに長い時間はかかりません。高齢者はたった3、4カ月のウェイトトレーニングで、2倍から3倍の筋力増加を得られます。
必要な休息時間は、年齢、筋力レベル、目的、活動の種類などの多くの要因に左右されます。集中的かつ/または頻繁に運動することは避けるように注意してください。一般的なルールとしては、運動が集中的になればなるほど、週に運動する回数を減らさなければなりません。
例えば、体力のない初心者の場合は、高強度の運動は週に3回とし、身体に大きなストレスをかけないようにして下さい。しかし、一度筋力と持久力が向上したら、(限界まで無理をし続ける限り)それぞれの運動セッションにより身体にかかる大きな負荷が増えていくことになります。
その時点でセッションの頻度を減らし、間で身体が回復できる十分な時間を取ることが賢明です。実際に、運動の生産性を保つために、セッションの間で身体がすっかり回復するようにする必要があります。持久力が上がれば、運動の強度が上がり、身体が耐えられる頻度が下がるということを覚えておいてください。この結果、自分の健康レベルおよび他のライフスタイルの問題に対処するやり方は、継続してカスタマイズしていくことが必要です。
「オフ」の日にさらに高強度な活動に従事したくないでしょうが、他の種類の活動に参加することがきますし、するべきでしょう。例えばウォーキングストレッチ、柔軟トレーニングなどがあります。オフの日に座りっぱなしになる必要はありません。事実、肉体的に活動することで実質的に毎日欠かさずメリットを得られます。単純に、運動の強度と種類を変えるだけのことです。
一般的にトレーニングをサボることはお勧めできませんが、これは、トレーニングをすべきでない以下の5つの妥当な理由の一つに当てはまらない限りです。
1. 病気のとき
もし軽い風邪で過度に疲れていなければ短時間のトレーニングが有益なことがあります。というのは、短時間のトレーニングにより体温が上がり、ウイルスを撃退する手助けとなるかもしれないからです。しかし、「首の下」に以下のような熱や症状があれば、おそらく運動する代わりに休息を取る方がよいでしょう。
2. ケガをしている
定期的な運動は多くの怪我を防ぐのに役立ちますが、怪我した場所の運動は避けた方が良いでしょう。怪我をしている場所を悪化させない限りは、肩を怪我していても、依然として下半身のトレーニングをすることができるでしょう。(逆も同様です)
痛みを引き起こす活動は避けましょう。そして、もし怪我が治るまで長い時間がかかるのであれば、理学療法士と連携しましょう。理学療法士は治癒を促す安全な運動計画を提供してくれます。
3. 疲れ切っている
夜よく眠れなかった場合は、朝トレーニングをするために早起きするよりも、寝ている方が身体に良い場合があります。運動と同様に、睡眠も健康には不可欠です。そして、通常は、運動のために睡眠を犠牲にはしないものです。睡眠が奪われると補うのは難しいので、睡眠を最優先してください。しかし、これは毎日目覚ましのスヌーズボタンを押す言い訳にはなりません。
もし、疲れ過ぎていて毎朝起きられないのであれば、早めに寝るようにしましょう。そうすれば、活発になり、朝のトレーニングへ準備が整った状態で起きることができます。
4. 運動し過ぎて、極端に痛みがある
遅発性筋肉痛(DOMS)すなわち運動1、2日後に経験する筋肉の痛みは、筋肉線維内の微細な傷が引き起こす炎症によるものです。DOMSは普通のことで、一般にトレーニングをサボるべきだというサインではありません。
例外としては、トレーニングのやり過ぎで、ひどく痛い場合が挙げられます。この場合、筋肉がとても痛ければ、トレーニングを再開する前に完全に回復するよう十分な時間をとりたいでしょう。それはだいたい5日から7日程度となるでしょう。
5. スケジュールに追われる一日
誰もが、スケジュールがぎゅうぎゅう詰めになっている日があるものです。そのような日に、長時間のトレーニングは、多分にありそうであり得ないでしょう。あまりに忙しい場合は、時にはトレーニングをサボってもいいのです。とは言えど、あまりに頻繁に運動をしないことの言い訳に使うのは止めましょう。実のところ、ほとんどの人が実際に忙しいのですから、言い訳に優先順位をつける必要がありそうです。
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