40歳を過ぎてからランニングを始める際の特有の課題に対処するスマートな方法

ランニングのコツ

早分かり -

  • エクササイズは、睡眠改善、体重管理、心臓病や糖尿病のリスク低下など、いくつもの有益な効果をもたらす健康全般の基礎となる柱です
  • 40歳を過ぎてからランニングを開始する場合、スポーツを始めたり、楽しんだりする妨げとなってほしくない特有の課題が浮上することがあります
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Dr. Mercolaより

エクササイズは健康全般の基礎となる柱です。エクササイズのプログラムを毎日の日課のひとつにすると、有益な効果をたくさん謳歌できます。複数の研究で、 睡眠の改善や体重の管理、免疫機能に対しての利点が示されています。

エクササイズのプログラムは、心臓病糖尿病のリスクも減らすことができ、特に加齢による認知機能を改善する可能性があります。特に、これまで自分の健康習慣にエクササイズが含まれていない場合、エクササイズのプログラムを開始することが時に困難になることがあります。

以前、私は3時間を切ることのできるマラソンのランナーでした。その当時、他の多くの人たちと同様に、マラソンを完走することは健康の典型なのだと信じていました。そのときは、エクササイズについて大きな過ちを犯していたということが、つまり、エクササイズによっては健康を大きく損なう可能性がある、ということが分かりませんでした。心筋は何時間ものストレスに耐える作りではないため、過度に心臓に負担を掛けるトレーニングは心臓病のリスクを実際には高めている可能性があります。長距離走は心臓を傷めることがある一方で、1週間に数回、30分走ることが毎日の日課に必要となる場合もあります。

40歳を過ぎてからエクササイズのプログラムにランニングを追加しようと考えている場合は、考慮すべき点と実際に走り始めるときに対処するべき特有の課題があります。

ランニングの長所と短所

比較的習得しやすく、最小限の用具だけで済み、屋内でも屋外でもできることから、年齢を問わず多くの人がランニングを始めるようです。ランニングは、ランナーズハイ、または、「エネルギーバズ」と称されることの多いエンドルフィンを生成できる激しいエクササイズです。

ゆっくり、そして注意して走り始めるようにすれば、ランニングは毎週の日課に追加できるもうひとつの循環器系に効くエクササイズとなり、1つのスポーツ種目しか練習していて飽きがくるということもなく、筋肉の発達を多様化させることができます。ランニングは個人のスポーツですから、自分自身の目標と課題を設定することができます。

ランニング は、走った後の数時間、活力がみなぎり、気分が良くなると感じるため、エクササイズを続けようという本質的な動機付けも強化してくれます。しかし、毎週の日課にランニングを適宜追加することに対し賛成論は、多くありますが、課題をよく検討して、それに応じた調整をするようにしましょう。

走っているときと走った後の自身の身体に聞いてみることが重要です。「痛みなくして利益なし」という格言は、特定の関節や筋肉に痛みを感じるべきである、という意味ではありません。痛みを感じるのであれば、深刻な怪我をしてしまう前にランニングを止め、その問題に対処することが重要です。

負荷が掛かるスポーツの性質により、エンドルフィンの生成が増加するため、ランニングは、中毒になりやすくなっています。このランニングという行為は、急速に差し迫る危害を見逃してしまい、結果として数ヶ月間走れなくなる可能性があるため、エクササイズの日課の中でランニングに取り憑かれることのないようにしましょう。

しっかりとしたサポートを提供する良い ランニングシューズ を1足購入することが重要です。比較的使用されていないように見えたとしても、たいていのランニングシューズは、6ヶ月以上も経過すると内部のサポートが本来の機能を果たさなくなります。内部のサポートを交換することが大切で、そうでないと怪我のリスクが大きくなります。

歩くべきか、走るべきか?

これまでにランニングをしたことがない、または何年も運動していないといったような場合は、まずは活発に歩き始めることをお勧めします。いったん適切な強度で毎日ウォーキングする日課を始めたら、それがご自身のニーズを満たすと分かるかもしれません。また、いくつか大きなメリットを享受する可能性もあります。Journal of Sports Medicine誌掲載された最近の研究では、脳血管の健康阻害に関連した認知障害の症状を軽減する場合があるとの知見があり、中強度の ウォーキングプログラム の利点が実証されています。

研究チームは、6ヶ月の間、週に3時間ウォーキングするよう指示された血管性認知症の人の認知機能を評価しました。研究者たちは、参加者が介入後、反応時間の改善と認知機能の改善の徴候を有することが分かりました。

日中は全く運動しないところへ30分から1時間の急激な運動を組み合わせることが、一日中何も運動しないのと同じくらい健康にとって有害である、ということを新たな証拠が示唆しています。身体はほぼ連続的に活動するようなつくりになっているため、1時間のエクササイズで10時間何も運動しなかったことを相殺できません。

40歳を過ぎてから始める場合は特有の課題があるかもしれない

30歳の誕生日に近くなったある時期から、毎年、身体の筋肉量の1%が失われ始めます。 エクササイズ は筋肉の喪失の進行を遅らせるのに役立つことがあっても、その喪失を完全に塞ぐことはできません。しかし、これが70代になってもまだジョギングをしているか、もはや椅子から立ち上がることができないかの違いにつながる場合があります。

加齢とともに、関節、腱、靱帯のコラーゲンが失われ、柔軟性が低下し、涙が出やすくなるという傾向があります。脊椎の椎間板は若干脆くなり、代謝は遅くなり、骨は折れやすくなります。言い換えれば、身体は老化します。

これらの課題を抱えれば、更に大きな不快感を抱くことになりますが、ここで以下の方策を講じることが役立つのです。その過程が期待していたより悪い場合、プログラムの開始が早過ぎるか、プログラムの実行を急速に進め過ぎているか、の可能性があります。認定ランニングトレーナーであり、オリンピックに出場したマラソン選手であるGordon Bakoulisは、プログラムが期待していたより良くないいと感じるのは、40歳を過ぎていれば、プログラムを急速に始めているという兆候の1つだ、と言っています。

40歳以上の女性が新しいエクササイズのプログラムを開始する場合の課題

女性の場合、40歳を過ぎるとより多くの困難に直面します。女性の多くは、閉経によってホルモンバランス、筋肉発達および気分が変化し始める40代中頃まで定期的な生理があります。 動機の度合いの低さ、悲しみ、 抑うつ および不安などは、プログラムを着実に実行しようという欲求を減退させ、進歩を妨げかねません。しかし、エクササイズはこれらの 更年期症状に多大な影響を与える可能性があるので、この期間に推奨されることが多いのです。

足底筋膜炎、腰痛、テニス肘など反復性のストレス障害を悪化させる一般的な疼痛や痛みを経験することがあります。

中年期においては、過去の選択肢に対する疑問が増え、将来の選択肢が少なくなっていく傾向のあることから、人生で ストレスの多い期間 かもしれません。年老いた両親、成長する子供やキャリアの責任をやりくりしていると、栄養面への配慮が疎かになったり、最終的に自身が選んだエクササイズのプログラムに影響を与えることになりかねません。

ゆっくりと着実にレースを勝ち取ろう

段階を踏んで慎重にプロセスを進めていくのであれば、合理的なランニングの日課を堅持することで老化の影響を軽減することができます。これは、猪突猛進するべきでない、ということです。性急に事を進め過ぎているか、時期尚早なのかがわからない場合は「トークテスト」を使用し、自身の努力を測ると良いでしょう。

「トークテスト」をするためには、運動中に息を切らすことなく気持ち良く話せることが必要です。ひと息で1つまたは2つくらいしか単語を言えない場合は、その動きが速過ぎる、ということなのです。自身が快適に動けるレベルまでスピードを落とす時がやって来ました。ウォーキングやランニングを続けていくと、素早く動いているときに話をする能力は向上します。これは、活発に歩いたり、ジョギングしたりランニングしている間に実施できるテストです。レース中であったり、全力疾走中であったりするのではない限り、「トークテスト」は自分の運動を評価するのに便利です。

自分の目標は自分のエクササイズの実施状況を改善するということであることを忘れないようにして、ゆっくりと着実にレースを勝ち取りましょう。狙いは、自分の関節、心臓、肺に軽度のストレスを与えて改善に役立てることですから、怪我を引き起こすほどのストレスは与えないようにしてください。

加齢によって脚が弱くなり、有酸素容量や歩長も減退していきます。ゆっくりと開始して、 持続性を維持すること がこれらの課題の克服や、経時的に身体の適応、そして改善を助長していきます。複数の研究で、ランニングでは変形性関節症は引き起こされないことが実証されています。しかし、生まれつき身体が病弱な場合、またはすでに何らかの変性軟骨疾患を発症している場合は、ランニングは諦めて、活発に歩き続ける方が良い場合もあります。

道路上でのルール

ウォーミングアップとストレッチ

他のどのスポーツも同様ですが、開始前にウォーミングアップし、終了時にトレーニング回復とストレッチを組み込むことが重要です。柔軟な筋肉により、生体力学的に正しい状態で走り続けることができ、怪我のリスクの低減につながります。

歩長に気を配る

適切にウォーキングし、ランニングするのが自然なことだろう、と思われるかもしれません。つまるところ、誰もが2歳もしくはもっと幼い頃からウォーキングしたり、ランニングしたりしています。しかし、長年の間に、悪い習慣をも身につけてしまいがちです。

見せびらかすなかれ

魅力的なフィットネストラッカーは楽しいですが、余裕がないのであれば、それは不要なものです。お金をかけるものに優先順位を付けます。高価なフィットネスウォッチの代わりに、良好なサポートを提供するランニングシューズ、女性用の快適なサポートブラジャー、もっと安価なフィットネストラッカーを検討しましょう。場合によってはフィットネストラッカーは全くもって無くても構いません。

道路上でのルール

交通量に注意し、臨機応変にルートを変更しましょう。道路の左側通行にこだわることは大切ですが、雨水を排水するために道路が斜めになっているので、左足を右足よりも下に置くことになります。これでは、怪我のリスクが大きくなってしまいます。代わりに、道路の中央でランニングできるように交通量の少ない地域を探すか、または歩道に沿って走ってもいいでしょう。

ご褒美に目を向け続ける

他のランナーと自分を比べないようにしましょう。自分より優れている人は常にいるわけで、比較することはなんら生産的ではありません。新しいスポーツへの興味がいつしか薄れていくのは当然ですから、ウォーキングやランニングをしている理由とトレーニングを終えたときの気持ちにいつも目を向けていてください。これが動機を保つことになります。

ジャスト8週間で30分のジョギングから始める

目標を達成するためにプログラムに追随する方が容易なことがあります。このプログラムはウォーキングで始めて、プログラムの最後に30分で2マイル(約3.2キロ)の距離を気軽にランニングするというシンプルでプログレッシブなプログラムです。このプログラムは40歳以上で初めてランニングをするランナーにとっては理想的です。根本的な疾患がある、エクササイズに慣れていない、または20ポンド(約900グラム)体重超過しているなどの場合は、かかりつけの医師に確認することを忘れないでください。

ミーティングをスケジュールするのと同じ要領で トレーニング をスケジュールしておき、それに従います。最初の日がいちばん難しく、継続して進んでいくほど楽になります。調子の悪い日もあることを覚えておきましょう。誰しもそういう時があり、その後のトレーニングはたいてい他の日よりも良いものになります。

以下は、採用を検討して欲しい、Runner's Worldに掲載された内容をベースにしたスケジュールの例です。こちらのスケジュールを先まで延長して、ゴールに達成できるようにするのはいいのですが、スケジュールを短縮しないようにしてください。

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日

WEEK 1

月曜日: 1分ランニングして、2分ウォーキングする。10回繰り返す

火曜日: 30分ウォーキング

水曜日: 1分ランニングして、2分ウォーキングする。10回繰り返す

木曜日: 30分ウォーキング

金曜日: 1分ランニングして、2分ウォーキングする。10回繰り返す

土曜日: 30分ウォーキング

日曜日: 休息する

WEEK 2

月曜日: 2分ランニングして、1分ウォーキングする。10回繰り返す

火曜日: 30分ウォーキング

水曜日: 3分ランニングして、1分ウォーキングする。7回繰り返す2分ランニングして終了

木曜日: 30分ウォーキング

金曜日: 4分ランニングして、1分ウォーキングする。6回繰り返す

土曜日: 4分ランニングして、1分ウォーキングする。6回繰り返す

日曜日: 休息する

WEEK 3

月曜日: 5分ランニングして、1分ウォーキングする。5回繰り返す

火曜日: 30分ウォーキング

水曜日: 5分ランニングして、1分ウォーキングする。5回繰り返す

木曜日: 30分ウォーキング

金曜日: 5分ランニングして、1分ウォーキングする。5回繰り返す

土曜日: 6分ランニングして、1分ウォーキングする。4回繰り返す2分ランニングして終了

日曜日: 休息する

WEEK 4

月曜日: 8分ランニングして、1分ウォーキングする。3回繰り返す3分ランニングして終了

火曜日: 30分ウォーキング

水曜日: 8分ランニングして、1分ウォーキングするを3回繰り返し、3分のランニングで終了

木曜日: 30分ウォーキング

金曜日: 10分ランニングして、1分ウォーキングする。2回繰り返す8分ランニングして終了

土曜日: 10分ランニングして、1分ウォーキングする。2回繰り返す8分ランニングして終了

日曜日: 休息する

WEEK 5

月曜日: 12分ランニングして、1分ウォーキングする。2回繰り返す4分ランニングして終了

火曜日: 30分ウォーキング

水曜日: 13分ランニングして、1分ウォーキングする。2回繰り返す2分ランニングして終了

木曜日: 30分ウォーキング

金曜日: 14分ランニングして、1分ウォーキングする。2回繰り返す

土曜日: 15分ランニングして、1分ウォーキングする。14分ランニング

日曜日: 休息する

WEEK 6

月曜日: 16分ランニングして、1分ウォーキングし、13分のランニングで終了

火曜日: 30分ウォーキング

水曜日: 17分ランニングして、1分ウォーキングし、12分のランニングで終了

木曜日: 30分ウォーキング

金曜日: 18分ランニングして、1分ウォーキングし、11分のランニングで終了

土曜日: 19分ランニングして、1分ウォーキングし、10分のランニングで終了

日曜日: 休息する

WEEK 7

月曜日: 20分ランニングして、1分ウォーキングし、9分のランニングで終了

火曜日: 30分ウォーキング

水曜日: 22分ランニングして、1分ウォーキングし、7分のランニングで終了

木曜日: 30分ウォーキング

金曜日: 24分ランニングして、1分ウォーキングし、5分のランニングで終了

土曜日: 26分ランニングして、1分ウォーキングし、3分のランニングで終了

日曜日: 休息する

WEEK 8

月曜日: 27分ランニングして、1分ウォーキングし、2分のランニングで終了

火曜日: 20分ランニングして、1分ウォーキングし、9分のランニングで終了

水曜日: 30分ウォーキング

木曜日: 28分ランニングして、1分ウォーキングし、1分のランニングで終了

金曜日: 29分ランニング

土曜日: 30分ランニング

日曜日: 休息する