Dr. Mercolaより
睡眠は、精神面および感情面での健康状態から身体的な健康状態に至るすべてに対して影響し、日々のルーチンの中で最も簡単に変更を加え得るものの1つです
睡眠障害や睡眠不足は免疫系に影響を与えたり、心臓病のリスクが大きくなったり、血圧が上昇したり、アルツハイマー病のリスクが高くなるおそれがあります。
また、質の悪い睡眠は、腎疾患、多発性硬化症または胃腸障害などの他の重篤な、あるいは慢性的な健康の基礎状態に影響を及ぼす可能性があります。
残念ながら、National Sleep Foundation (NSF) による年次調査では、子供と保護者の両者が、室温、騒音、光、ペット、夜に行った行動など様々な要因に関連して、睡眠が中断されたり、質の悪い睡眠を経験しています。
ところで、質の悪い睡眠となってしまう夜の理由の一覧に追記しても差し支えない要因がもう1つあるのです。睡眠に関する研究では、屋外から差し込む光とは無関係に、満月の夜には身体が異なる反応を示すことが明らかになっています。
これまで長い間、科学者たちは月が身体に及ぼす影響に好奇心を抱き、これを月の効果と呼んできました。Current Biology誌に掲載された研究では、月が睡眠の質と睡眠パターンに何らかの弊害を与えているかもしれないことを示唆しています。
33名の被験者に睡眠の研究に参加してもらったところ、研究者たちは睡眠パターンに対するいくつかの変化を実証しました。
被験者たちは窓のない完全に暗い部屋で就寝したため、満月から射す余分な光による影響は一切ないはずでした。モニターされた状態で被験者たちは研究室で夜間に睡眠を取ってもらい、睡眠中にどれくらい早く眠りに落ち、どれくらい長く睡眠を取ったか、または睡眠中どんな脳波のパターンを示したかが記録できるようにしました。
被験者たちは、研究の期間中の3 日半、研究室に滞在しました。被験者と研究者の双方とも、研究の要素の1つが月相であるとは知らされていませんでした。実際のところ、データが収集された時点では、月相は研究の考察対象項目ではありませんでした。
この研究は2000年に行われ、メラトニン濃度、入眠までの時間、睡眠時間、被験者がどのくらいぐっすり眠れたかに関する主観的な報告などの要因が評価されました。10年後になって初めて研究者たちは、このデータを使って月相が睡眠に及ぼす影響を評価できることに気付きました。
研究データは、満月の時、被験者の睡眠時間が20分短縮されていることを示しています。
また、入眠までに5分以上かかっており、更に重要なのは、満月ではなかったときの夜と比べて、深い睡眠を取った人が30%減っていました。
研究者たちは、月と睡眠パターンの相関を確認するため、更なる研究が必要であることを強調しています。
研究者たちは月が睡眠に及ぼす影響について、満月の夜には眠る前に浴びる光量が増加することや、体内時計に似た未発見の月時計が関連する可能性のあることに理論付けたのです。
月が睡眠パターンに影響を与えるとしても、そのメカニズムは未だ明らかではありません。癲癇(発作的な機能活動)、精神医学的受診、救急室的受診、手術の成果および睡眠不足に対する月の影響を評価するための研究がいくつか行われました。
その結果は興味深いものでした。救急室や精神病院で医療に従事する人たちは、満月であることと活動が多くなることを結び付けて考えるのですが、研究結果はこの考えを支持していません。手術の執刀医の失敗も減っており発作で苦しむ人も少なくなります。
関連付けられたのは、満月の日の前後の3日間で犬猫の怪我が増えたり、満月の後数日間、夜行性の野生動物の狩猟活動が活発になるということでした。
ヒトの月経周期は月齢周期と同じ28日になる傾向がありますが、月齢周期と連係して女性の月経周期が開始したり終了するようになったことを示す研究はありません。
満月の時の睡眠障害を評価する研究結果では、睡眠研究の被験者が生成したメラトニン濃度の低下も観察されました。メラトニンは、夜間ずっと健康的に眠るための機能に重要な要素です。
メラトニンは脳の松果体から分泌されるホルモンです。メラトニンの働きは他のホルモンの生成と消費を調整して、体内リズムおよび24時間の身体時計を適切に維持することです。これが睡眠の質においてとても重要な役割を果たします。
しかし、これだけがメラトニンが体内で果たす唯一の役割というわけではありません。このホルモンは、女性の生殖器系と複雑に関連しており、女性の生殖ホルモンの放出およびそのタイミング、月経の頻度と月経周期の持続期間、月経の開始(初潮)と月経の停止(閉経)の時期の制御を司ります。
予備調査において、妊娠中の異常な濃度となったメラトニンと子癇前症の発症との間の関連が示唆されています。この状態は妊娠中のみ発生し、尿中へのタンパク質の排泄、および、体液の貯留が伴うことのある高血圧を併発することがあります。胎児の早産を余儀なくさせることもあります。
成人よりも子供の方がメラトニンの濃度がはるかに高いのです。研究者らは、メラトニンの濃度低下と加齢との間との関連を理論化しています。メラトニンは強力な抗酸化物質でもあり、脳に神経保護作用と老化防止効果の両方を潜在的に提供しています。
メラトニンは生殖器系を正常に保つだけでなく、生殖器系のガンを予防するのにも役立つと考えられています。卵巣ガン、子宮内膜ガン、乳ガン、前立腺ガンおよび精巣ガンは全て、メラトニンの濃度による影響を受けるとみられます。
研究者が調査している他の分野では、体重増加、心臓病、骨の健康、血圧片頭痛などに対するメラトニンの影響です。
明暗に曝されると身体のメラトニンの生成は、自然に調節されます。販売店の店頭にメラトニンのサプリメントが置かれていまますが、長期的にみて最も効果的な解決策は、自然なメラトニン生産を促し、身体の全体的な健康状態を改善する習慣づけを行うことです。
✓ 午前中の日差し
メラトニンは、明暗への暴露に影響されます。明るい時は、メラトニンの生成が自然に低下します。
午前中に少なくとも15分間、太陽光を浴びると、メラトニンの生成が調節されて昼間の時間帯には通常のレベルに低下していくため、昼間は覚醒し、夜間はよく眠れるようになるのです。
✓ 暗闇の中で眠る
身体は暗闇でメラトニンを生成および分泌し、眠気を催した後、眠り続けることを助けます。目覚まし時計、テレビあるいはその他の光源から出る明かりもなく、真っ暗な部屋で睡眠を取ると、睡眠の質が良くなります。
もし夜起きてトイレに行くようなことがあっても、メラトニンの生成が停止してしまわないよう、明かりを消すようにしておくことが重要です。
✓ コンピュータや携帯式デジタル機器は電源を切る
これらは、光源ですが、デジタル機器から出る光源の類も、最も必要とする夜間の時間帯に体のメラトニンの生成を抑制してしまうため、特筆しておく必要があります。
青色および白色の波長による輝度や露光は、メラトニンの生成に影響があるらしく、これはまさにタブレット型端末、ノート型パソコンおよびコンピュータから発する光の波長です。睡眠を保護するために、コンピュータやデジタル機器は就寝の少なくとも1時間前に片付けましょう。
✓ カフェインの摂取量を減らす
コーヒー、ダークチョコレート、その他の飲料に含まれるカフェインは、5時間の半減期があります。これは、つまり10時間後も体のシステムには、25パーセントが残っているということになります。夜よく眠るためにも、昼食以降、カフェイン添加された食品や飲料の摂取はやめましょう。
✓ ストレスおよびコルチゾール濃度を下げる
メラトニンの放出は、別のホルモンであるノルエピネフリンの放出に依存します。極度なストレスやコルチゾール放出の結果、ノルエピネフリンの放出が阻害され、よってメラトニンの放出も阻害されます。
就寝前のストレス軽減法に役立つかもしれないのは、ヨガ、ストレッチ、瞑想そしてお祈りなどです。
✓ マグネシウムの多い食品を増やす
マグネシウムは、夜間の脳の活動を抑え、リラックスできるようにして寝つきをよくする役割を果たします。これはメラトニンと直列式に機能します。高濃度のマグネシウムを含む食品としては、アーモンド、アボカド、かぼちゃの種、緑葉野菜が挙げられます。
✓ 寝室を寝るためのオアシスに変身させる
ベッドは、快適に就寝したり、休息を取るための場所です。それほど安眠の妨げとならないその他の活動といえば、次の2つのみです:読書と大切な人との親密な関係です。仕事、パソコン作業、携帯電話やテレビの視聴など、その他の行動は、睡眠の質を悪くしまいます。
ペットや屋外活動によるざわついた妨害はなくしましょう。寝室からペットを出したり、屋外の騒音による邪魔は、白色雑音発生器の採用を検討するなどしても良いでしょう。
✓ 就寝前の癒しのルーチンを確立する
人は、習慣を持つ生き物です。毎晩就寝前に済ませる就寝前の癒しのルーチンを確立すれば、寝つきが良くなる可能性があります。温浴したり、良書を読んだり、あるいは弛緩運動などの活動は、寝つきを良くするのに役立つ可能性があります。夜、中々寝付けない場合は、眠ろうと頑張るよりは、寝室を出て静かに読書する方が良いのです。
✓ 規則正しい生活を維持する
同じ時間に就寝して起床するようにすれば、体は、その日課に慣れてきます。これは、毎晩眠りにつかせ、寝たままの状態にしてくれる概日時計を規則正しくするのに役立ちます。この日課は、週末であっても維持していきましょう。
✓ 昼寝は早く済ませられなければ、しない
日中に寝ると夜眠るのが非常に難しくなります。昼寝がしたいのであれば、午前中の遅い時間か午後の早い時間に15から20分間の短い昼寝を取ります。
✓ 飲酒は遅い時間よりも早めにする
尿意を覚えてトイレに行きたくなり、睡眠が妨げられる可能性があります。飲酒は就寝する2時間以内に止めましょう。これで少なくとも起きなければならない回数を最小にできます。
✓ 寝室に電磁場(EMF)がないか確認する
電磁場は、松果腺、セロトニンならびにメラトニンの生成を攪乱することがあり、同様に他の負の効果も疑われます。これを測定するためには、ガウス・メーターが必要です。約50ドルから200ドル程度まで、様々なモデルがオンラインで購入できます。家のブレーカーを落とすことも推奨する専門家もいます。
✓ 毎日の運動
体は、運動したり動いていれば順調です。これで循環器系疾患や代謝障害のリスクが少なくなります。運動は、寝つきを良くしたり、ぐっすり眠れるようにしてくれるでしょう。一方で、運動中は体がコルチゾールを放出し、これがメラトニンの分泌を抑えてしまう可能性があります。最低就寝の3時間前か、できればそれよりも早く運動しましょう。
✓ 部屋は涼しくしておく
睡眠する際の最適温度は、華氏60度(摂氏約15.6度)から華氏65度(摂氏約18.3度)となっています。部屋の温度がもっと肌寒かったり、温かかったりすれば、更に眠れない夜となってしまうかもしれません。睡眠中は、体表温度が24時間中最も低いレベルにまで落ちます。部屋が冷えていればいるほど、体の自然な温度降下を促すことになります。
✓ マットレスとまくらを調べる
マットレスと枕が快適で適度な硬さがあれば、非常に休まる睡眠を実感するでしょう。マットレスの良質さを期待できる9年あるいは10年経ったマットレスは、買い替えを検討しても良いかもしれません。
✓ 就寝前に頭の体操をシフトダウンする
就寝前の最低1時間、できれば2時間に仕事はすべて片づけてください。翌日の計画や納期を心配することなく、眠りにつけるよう、くつろぐ機会が必要です。
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