甲状腺ガン検診および一般的な甲状腺処方箋薬ではなぜ症状改善が上手くいかないことがよくあるでしょうか?

甲状腺薬

早分かり -

  • 甲状腺ホルモンは、代謝を調整したり、線維筋痛症、自己免疫疾患および過敏性腸症候群の発現や発現に影響したりなど、体内にあるほぼすべての細胞に影響します
  • 甲状腺機能低下は、フッ化物や難燃性化学製品のような環境毒に暴露された結果である場合があり、これは、容易に取り入れられる手法でサポートしなければなりません
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Dr. Mercolaより

首の前側にある甲状腺は、体内にあるほぼすべての細胞に影響を及ぼします。甲状腺ホルモンは、代謝を整え、子供の成長や発達に必要なもので、体内のほぼすべての生態処理に必要です。

甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、体全体の健康およびウェルネスに不調を来すことになるでしょう。甲状腺機能低下である人の60パーセント近くが症状を自覚していないということを示唆する証拠があります。まん延している一方、大抵は治療が容易であり、別の体の症状が覆されることもあります。

甲状腺の働きが弱まるのは、線維筋痛症、過敏性腸症候群、湿疹、歯肉炎および自己免疫疾患などの症状と関連しています。甲状腺ホルモンは、体内全域で使用されているため、機能低下の症候やホルモンの濃度低下によって影響を受けている健康状態は様々です。

女性は、男性よりも甲状腺機能が低下する割合が5から8倍多く、つまり8人に1人の女性が生涯で1回は甲状腺障害を発現することになります。甲状腺がどのような働きをし、機能不全の原因を基本的に理解することが包括的な健康のために重要です。

甲状腺機能

皆さんの甲状腺は蝶々のような形状はで、首の喉頭下にあり、4種類のホルモンを分泌します:T1、T2、T3そしてT4です。この番号は、ホルモンに付帯しているヨウ素の分子の数を示しています。これらのホルモンは、インシュリン、コルチゾール、性ホルモンなどの別のホルモンと相互作用します。

視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)がは、脳下垂体に働きかけて最終的にT4を放出するよう甲状腺に促す、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を放出します。放出される甲状腺ホルモンのほぼ90パーセントが不活性型のT4です。そして今度は肝臓が酵素の助けを借りてT4をT3に変換します。T2については、近年甲状腺ホルモンの1種であることがようやく分かっており、目下多数の研究対象となっています。

すべて順調に機能している時は、体内に十分なT4が生成されて、体の各細胞の代謝を制御しているT3に変換することができます。T3は、DNAにメッセージを伝達する上で重要であり、脂肪を燃焼させて代謝を上げます。このようにして、体がスリムでいられるのです。栄養バランスの崩れ、毒素への暴露、アレルギー源、感染およびストレスはこのホルモンバランスを崩し、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症および甲状腺ガンなど一連の合併症につながります。

他のガンと異なる甲状腺ガンの振る舞い

産業基金の団体が甲状腺ガン検査を謳った公告で気持ちが動かされたことがあるかもしれませんが、Journal of the American Medical Association発行物の中で米国予防医療研究委員会がこの検査方法を「やってはいけない分類」に入れるものとして推奨していました。

委員会は、甲状腺ガン検診の結果は、利益からは程遠いと考えています。大抵のガン検査は、初期の症状を検知して治療が成功する確率を上げるのに役立ってはいますが、この場合の早期ガン検診は、実は向かい火となる可能性があるのです。

多くの場合、甲状腺ガン検診は、命を脅かす腫瘍には決して発達することのないガンを発見するなど、誤った陽性反応を産生することになります。一方、一回発見されたものなら、ほとんどの医師は、治療を推奨する義務を感じ、これには、通常甲状腺の切除も含まれ、深刻な副作用をもたらす可能性があります。

手術によって、偶発的に発話や嚥下を制御する神経を痛めてしまったり、体内のカルシウム濃度を正常に保つ副甲状腺を切除してしまうことがあります。社説の中で、Dartmouth Institute for Health Policy and Clinical PracticeのH. Gilbert Welch博士は、甲状腺ガンの過剰診断による問題点について述べています。

SEERプログラムのデータは、1990年まで甲状腺ガンのインシデントは相対して安定しているのが、その後3倍になっていることを示しています。一方で、更に興味深いことに、この急激な増加にも関わらず、甲状腺ガンの死亡率は安定しており、ガンの兆候は、治療が不要なものであると特定され扱われています。Welch博士は以下のように述べています:

「新規で甲状腺ガンの診断を受けた患者には、一般的には積極的な治療が行われていました。2013年付けの米国においては、80パーセント超が甲状腺全摘となり、結果生涯に渡る甲状腺置換療法を得ることが必要となっていました。」

甲状腺機能が不安定ですか?

Jonathan Wright博士は甲状腺機能の測定と、その測定を患者が経験する可能性のある症状に対しどう対比すべきかを議論します。このことが最近のヨーロッパの研究で実証され、研究者たちは治療の結果と臨床検査や症状とを比較しました。

著者たちは、患者が甲状腺機能低下症と診断された後に、レボチロキシン(Synthroid)を用いた治療の臨床的な有効性に関心を示しました。米国で診断を受けた人の中で、治療薬としてレボチロキシンを処方された人数が最も多く、スタチンが処方された人の数を2015年に凌駕しています。

Johns Hopkins氏の研究によると、高齢者の約15%がレボチロキシンを服用していました。しかし、この薬のように普及が進んでいると、ヨーロッパの老人の軽度の甲状腺機能低下症の症状に対し、その薬はあまり大きな効果が無いことがヨーロッパの研究で判明しました。患者が重篤な症状を訴えていないにも関わらず、数値がわずかに上昇したときに、医師は、薬剤を処方するための定められた血液検査の一環としてTSH検査を実施することがよくあります。

研究に参加した被験者のTSHレベルは、通常より少なくとも2倍以上高く、疲労状態にある、という訴えもありました。研究者たちは、グループを分割する前に認識速度、手の筋肉の強さ、体重および血圧を評価し、半数にレボチロキシンを、そして残りの半数にプラセボを与えました。そして研究者らは、1年間の治験の後、レボチロキシン投与グループのTSHレベルが正常に回復したことを発見しましたが、被験者の病訴はどちらのグループでも改善しませんでした。

甲状腺機能に影響を与える難燃性化学物質

研究者たちは、被験者たちの平均年齢が74歳であったことから、被験者グループのTSHレベルの変化は年齢に起因すると考えました。しかし別の研究で、環境有害物質が甲状腺機能の変化、更に甲状腺乳頭ガンの増加に関与しているであろうことが実証されていました。

主任研究者であるデューク大学医学部医学教授、Julie Ann Sosa博士は、「最近の研究では、環境要因がこの増加の部分的な原因となっている可能性があることを示唆している」と語りました。この研究は、難燃性化学物質の代表格であるポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)に焦点を当てたものです。

過去の動物実験でPBDEsと甲状腺機能との関連性が示されていたため、Sosa博士と同僚たちは、甲状腺乳頭ガンと診断された140人が平均して10年間居住し続けている家屋において塵のサンプルを採取しました。

研究者たちは血液サンプルを使ってPBDEsへの曝露を評価し、BDE-209を高いレベルで有する家庭に住んでいる人々の甲状腺ガンを発症する可能性が2倍高いことを発見しました。高レベルのTCEPを含む塵のある家屋に住む患者は、大きな浸潤性の腫瘍を有する可能性が4倍高かったのです。

甲状腺機能をサポートするための自然手法について

甲状腺機能低下の診断として、血液検査と臨床症状のスクリーニングの組み合わせが最も多く実施されます。低甲状腺機能の症状には以下が含まれます。

原因不明の疲労感

抑うつ症状

ドライスキン

不安

寒気

意識がぼんやりする

原因不明の体重増加

性欲の低下

抜け毛

甲状腺の機能をサポートし、検討に値する健康改善に役立つ自然な手法がいくつかあります。これらの戦略には以下が含まれます。

水のろ過

フッ化物だけが飲料水を汚染する唯一の化学物質というわけではありません。塩素が空気中へ蒸発する、または、噴霧されるのを防ぐためには家全体をフィルタリングすることが重要ですが、飲料水からのフッ化物の除去は最も重要です。

残念ながら、大抵の水道水には、消毒の結果の副産物、化学物質、放射線、重金属、更に医療薬剤などの広範囲な物質が含まれています。フッ化物は多くの自治体で水道水にいまだに加えられていますが、毎日飲む水を癒しの水よりもむしろ有害な水に仕立てているもう一つの要因です。

アシュワガンダ

アジアとインドのハーブの1つで、数千年にわたりアーユルヴェーダで用いられる強力な薬草です。アシュワガンダは適応促進薬として機能し、免疫系、代謝およびホルモン系のバランスを整えることで身体が環境に適応するのを助けます。

アシュワガンダの根の活性成分の濃度が最も高く、甲状腺ホルモンを含むホルモンバランスを調整するのに役立ちます。また、女性が閉経期に向かう場合、エストロゲンとプロゲステロンのバランス調整にプラスの効果があることが示されています。

うつの症状が甲状腺症状の一部ではない場合でさえ、アシュワガンダの根はコルチゾールレベルを低下させ、インスリン感受性を回復し、気分を安定させるのに役立ちます。他の研究では、脳を酸化的ストレスから守り、エネルギーレベルを改善する可能性のあることが示されています。

乾燥甲状腺

乾燥甲状腺(NDT)は、天然甲状腺や甲状腺エキスとして知られ、またはNature-ThroidまたはAmour Thyroidというブランド名で呼ばれる処方薬です。NDTには、天然の甲状腺が生成するT4、T3、カルシウムや他の元素が含まれています。

無作為二重盲検クロスオーバー試験において、研究者たちは、原発性甲状腺機能低下症に罹患した18歳から65歳の70人の患者においてレボチロキシンとNDTの服用を比較しました。患者たちはいずれかの薬剤を16週間服用しました。

その後で、患者に好きな方の薬剤を尋ねたところ、レボチロキシンを好む者は19%であったのに対して、ほぼ50%がNDTを好む、と回答したのです。NDTを服用した人は体重が平均3ポンド(約1.4キロ)減少していましたが、レボチロキシンを摂取した人の体重は減少していませんでした。

New England Journal of Medicine誌のもう1つの研究では、T3とT4の両方が供給されるため、天然甲状腺サプリメントが精神機能をコントロールする上ではより優れていました。 T3は甲状腺ホルモンの機能の90%を担います。

かかりつけの医師または内分泌学者がレボチロキシンからNDT製剤への切り替えを検討してくれないのであれば、合成製剤は甲状腺機能低下症を治療する最良の選択肢ではないので、この記事および参照可能な研究の一部をかかりつけの医師に見せることをお勧めします。

ヨウ素

ヨウ素は甲状腺ホルモン機能が正常であるための必要条件です。このビデオで、Jorge Flechas博士は、先進工業国を悩ませている重度のヨウ素欠乏症と、この欠乏傾向を逆転させるために必要な投与量について議論しています。

臭素の発生源を遮断する

臭素は、ヨウ素不足に苦しむ人の数が増えていることに対し、大きな役割を果たしている模様です。臭化物は、農薬、プラスチック、焼き菓子、清涼飲料水、そして難燃剤に含まれています。

ビタミンとアミノ酸

ビタミンB12 およびビタミンAとアミノ酸チロシンは、甲状腺機能低下を患っている人々に有益な効果を示しています。

グッグル

グッグルは、身体におけるT4からT3への変換を強化するインドのミルラの木から樹液を抽出したものです。甲状腺機能低下の症状である低代謝を治療するために、サプリメントが伝統的に使用されてきました。動物実験では、グッグルを与えられたネズミにおいては食物からのヨウ素の取り込みおよび甲状腺酵素の活性が上昇し、酸素消費量が増加することが分かりました。

更にサプリメントによってT4変換からのT3ホルモンの血中濃度の増加も示され、T4をT3に変換する酵素活性が上昇しました。妊娠中の摂取は安全ではない可能性があるため、使用する前に医師とよく相談する必要があります。

高麗人参

高麗人参はアシュワガンダのような適応促進薬であり、過剰な量のリバースT3(rT3)の産生をブロックする特性があります。より迅速に効率よく体内に吸収され、より長く体内に滞在するように発酵させた高麗人参の製剤をアジアの施術者が開発しました。

ヒトにおける研究では、この漢方が甲状腺ホルモンレベルに及ぼす影響を調べ、その結果、注射による投与が良好な臨床治療結果をもたらし、更にT3およびT4レベルの健全な上昇、およびrT3の減少をもたらすことが示されました。

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