涙を流す化学についての涙溢れる事実


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Dr. Mercolaより

多くの動物が感情表現や痛みを表わす音として「鳴く」一方で、人間は涙を流す唯一の動物です。

涙は、嬉しいときや悲しいときに流れますが、または特にタマネギを切ったときや目の中に砂粒が入ったときなど、臨床的に流涙としても記されることがあります。

涙の原因は何であれ、「水流」のスイッチが入る化学的な過程は同じです。眼球とまぶたの間には涙腺があり、感情に関連して涙を分泌します。

まばたきをすると、涙は目の上に分散し、涙点を通って排水されます(最終的には鼻へ到達し、そのために泣くと鼻水が出ます。)しかし、涙の量が大量である場合、この排水システムからはあふれ出してしまい、頬の上を伝って流れ出ることになります。

涙の3つの種類

身体は3種類の涙を分泌します。基本的な働きとして、目の潤滑と保護を司るものどして分泌されます。このための涙は常に微量(24時間で1グラム程度)だけ分泌され、まばたきのたびに目を覆います。

反射的に出る涙もあります。その涙は、また別の形態での目の保護のためであり、風、埃、煙やスライスしたタマネギなどの刺激物質に反応して分泌されます。3種類目の涙は、感情的、もしくは「精神的な」涙と時に言われるように、最も話題となり、そして一番神秘的であるとされる涙です。

精神的な涙は強い感情に応答して分泌されます-ストレス、幸福、悲しみ、肉体的苦痛やその他多くの感情です。これらの感情は、自律神経系との複雑な関連によって落涙を引き起こすものです。The Independent誌では、以下のように説明しています:

" …「自律神経系(自分では制御できない部分)に結線している辺縁系(特に視床下部と呼ばれる部分)と呼ばれる、主に感情を司る脳の領域部位があります。

この系は、アセチルコリンと呼ばれる神経伝達系を介し、涙管の「涙」分泌系をある程度制御します。そしてこの小さな分子が涙の分泌を促します

つまり、感情的な反応が…神経系を刺激し、その反応として、涙の分泌システムの活性化の指示を出す、ということになります。」

泣く事は、多くの身体的な感覚を伴う

泣くときは、それは涙が顔を伝って流れ落ちるだけの事柄にとどまりません。通常、心拍数の増加を伴います。発汗することもあり、しばしば、喉の部分にコブのような塊が形成されることもあります。これは咽喉頭異常感とも呼ばれます。これは実際にはコブや塊ではなく、むしろ喉の筋肉の緊張に関連しますす。

泣くときには、空気が咽頭から肺(声門として知られています)に伝わるよう喉の開口部が拡大します。

何かを飲みこむ時に声門は閉まりますが、泣く時に身体は声門を広げ、より多くの酸素を吸入しようとします。これは、声門を開け閉めしようとする筋肉の緊張と、喉の塊の感じとの間での葛藤です。

服従や脆さを表わす手段として泣く、ということ

涙を流すことは悲しみの表情を高める方法であり、それによってある種の生き残りの利点を提供している、理論化している人たちがいます。たとえば、誰かの支援を求めるのに一役買うかもしれません。以下はAmerican Psychological Association (APA)(アメリカ心理学会)のレポートです:

「『涙は顔の認識に、つながりと微妙な差異を彩ることになります。』この研究の著作リーダーであるボルチモア郡メリーランド大学の心理学および神経科学の教授であるRobert R. Provine博士は言います。

涙は一種の社会的な潤滑剤となり、人々のコミュニケーションを支援してその円滑な機能の確保に寄与しています。」

涙を流すことは、自分の防衛が崩れ、危機に脅かされていることを他者に知らせるサインとなり、そして他人の共感を呼ぶことになることで、個人のつながりを構築し強化することに役立ちます。」研究者のOren Hasson博士が説明しました:

「私の分析では、視野をぼんやりさせても、服従、支援の要請、さらに互いの愛情表現や結束の意思表示として涙は防御を緩めることに確実な効果があります。」

涙は医学的な効果があるのでしょうか?

感情反応のために流出する涙には、高い濃度の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)(ストレスに関連する化学物質)が含まれています。

悲しいときになぜ泣くのかについて一つの理論は、それが過剰なストレス化学物質を放出させるのに役立つというものです。従って、より穏やかにリラックスできるのです。

涙には、神経成長因子(NGF)も含まれ、ニューロペプチドはニューロン、特に疼痛、温度および接触の伝達に関与する感覚ニューロンの発生および生存にその役割を果たします。Provineによると:

「涙の中のNGFが薬効を有することを示唆している、という証拠がいくつか見られます。角膜の創傷の後の涙、角膜および涙腺におけるNGF濃度は、NGFが治癒に関与することを示唆しています。

さらに直接的には、NGFの局所的な適用は角膜潰瘍の治癒を促進し、ドライアイの涙の産生を増加させる可能性があります…いくぶん大胆な科学的な分析ですが、NGFを含む涙は、鬱屈した気分を晴らすのと同じ抗うつ効果を有しているという示唆もあります。

感情的ではない癒しの涙は、もともと、目の外傷を相手に伝え、部族メンバーによる介護を誘発したり、敵対者による身体的な攻撃を抑止したりしているのかもしれません。

この初期的な信号が儀式化を通じて肉体的な苦痛同様に感情的な苦痛の兆候となるように進化したのかもしれません。

このような進化のシナリオは、感情的な涙の視覚的な信号、およびおそらくは化学的な信号は、もともと眼の維持および治癒のために進化した涙の分泌の二次的な結果であり得ます。」

泣くことに関する4つの興味深い事実

なぜ人間が涙を流すのか、は未だ謎に包まれている質問ではありますが、その質問には学ぶに値する興味深い事実があります。Mental Floss は最近、以下のような事実をいくつか伝えています:

1. 泣くことで(結果として)気分が晴れる

Motivation and Emotion誌に掲載された研究では、人の感情がいつ測定されるのかに依存して、泣くことで気分が悪化したり、高まったりすることが判明しました。

この研究では、研究に参加した60人が感情的な映画を観た後、20分後と90分後にそれぞれの気分が即座に評価されました。映画の上映中に泣いた人は、上映直後、ネガティブな気分が明らかに増強しましたが、泣かなかった人たちの気分は不変なままでした。

その次の測定では、泣いた人の気分は元に戻っていたのですが、興味深いことに、最終の測定の時には、彼らの気分は元に回復しただけではなく、映画を見る前に測定したときの気分よりも高揚していました。つまり、泣いている間、最初のうちは気分が落ち込むかもしれないのですが、最終的には気分が向上するかもしれない、ということになります。研究者は次のように説明しました:

「泣くことに続く最初の気分の落ち込みが実験室での研究で観察された後、単に気分が回復するだけではなく、感情的な事象を経験する前よりもネガティブでなくなるためには明らかにある程度の時間を必要としました。これは過去にさかのぼった研究に相当するものです。」

2. タマネギで泣くのを止めることができる

タマネギは涙の分泌の原因となる涙液性因子(LF)と呼ばれるガスを放出します。日本の研究者は、LFを生産するのに必要な酵素を持たないタマネギを開発したので、これが涙を出す作用はないのですが、タマネギに含まれる有益な硫黄含有化合物も変えてしまいました。

そのため、タマネギがあなたの涙を誘う、という事実は少し不便ではありますが、それはまた、タマネギが含む多くの強力な健康的な成分を思い起こさせることでもあります。それはそであるとして、The World's Healthiest Foodsは目に対する刺激や涙の分泌を減らす助けとなるタマネギを切るための要領をいくつか共有しました。もしそんな問題を抱えていても、タマネギを切るのは、諦めないでください。代わりに、次のような要領を試してみて下さい:

「とても鋭利なナイフを使用し、常に立った姿勢でタマネギを切ってください。そうすれば目の位置はタマネギから可能な限り遠いところにあるようにできます。窓を開けてからタマネギを切ってみるようにして下さい。タマネギを切ることでどうしても涙が出て来てしまうなら、メガネやゴーグルを着用することを検討してみましょう。

タマネギを切る前に一時間ほど冷やしてください。こうするとタマネギの代謝を遅らせ、LFガスの生成率を下げることができます。

冷たい水の中でタマネギを切る方法は、目への刺激を減らすためによく使われる方法ですが、タマネギに含まれる栄養素の一部が水流で失われる可能性があるため、あくまで次善策と見なします。」

3. 泣くことは交渉をうまく運ぶことに役立つかもしれない

何らかの交渉中に泣くことを含んで感情を表現することは、活路を見出すのに役立つかもしれません。しかし、これは特定の条件が満たされた場合にのみ有効で、すなわち交渉の相手が以下のようなときです:

  • 泣いている人を力の弱い者として認知した場合
  • 将来的に関わりを持つことを予期した場合
  • 本質的な協力関係を構築した場合
  • 他人を責めるのは不適切であると信じていた場合

4. セックスの後で泣くのは自然なことである

研究によると、女性の半数近く(46%)が生涯のある時点でセックスの後に泣いたことが示されました(別の調査によれば、多くの男性もセックスの後に泣いたことがあることを示唆しています)。性交後の不快感、またはPCDとして知られており、性行為中および性行為後に発生するホルモンの変動による可能性があります。それはまた、セックスの持つ親密な性質によって、これまで封じ込めていた感情を表現できるようになったからかもしれません。

顕微鏡下では、涙はどのように見えるのか?

「涙の地形学」と呼ばれるプロジェクトでは、写真家のRose-Lynn Fisherが顕微鏡を使い、乾燥した人間の涙が拡大するとどのように見えるのかを調べました。数年間にわたり彼女は、自分自身とボランティアの人々、そして新生児の涙すらも100以上を調べました。

その結果得られたのは、際立って異なったイメージの美しいコレクションであり、その多くが大きなスケールの風景画に似ていました。Fisherはそれらを「感情地形の航空写真」と表現しました。彼女はSmithsonian magazine誌に次のように語りました:

…涙は、死のように無慈悲で、飢餓のように基本的で、人生の節目のように複雑であると感じるときに発する私たちの最初期の言語媒体です。…それはまるで私たちの涙の粒のひとつひとつに、ちょうど一滴の海のように集合的な人間の共同体験の小宇宙が含まれるかのようです。」