Dr. Mercolaより
すでにフルクトースに関して問題点を取り上げたい私の立場をよくご存じのことと思います。説得力ある証拠によって、フルクトースは他の糖分よりもはるかに健康に有害であることが判明しています。特に多くの加工食品に使われる高フルクトース・コーンシロップ(HFCS)などの、果物から抽出され、加工度が高かったり、遺伝子組換えの場合が該当します。
また、原則として、フルクトースを多量に摂取することになるので、果物を多く食べ過ぎることは良くない、とも警告いたしました。
果物は健康的な食事の重要な位置づけにある、として長年推奨されてきたので、このことが読者の間に混乱や戸惑いを引き起こしています。つまり、フルーツの消費に関しては 考慮すべき点があり、そのうちの何点かは、みなさん個人や特定の条件に依存するものになります。
ここで、これらの点をいくつか明らかにしましょう。フルクトースを多く含む食事は、インスリン耐性、2型糖尿病、肥満など大半の慢性疾患の原因となる、という考えを裏付ける説得力のある証拠以上のものがある、と確信しています。
私は長期にわたり、これらの健康上の問題に苦しんでいる人々、もしくは高血圧、心臓病、または癌に罹患している人々に対し、フルーツ全搬に含まれるフルクトースや、フルクトースを含む他の食品についてことさら注意を促してきました。現在では、最近の研究で、一部の果物が2型糖尿病に対し実際に予防効果があることが示されています。
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌に掲載された3つのコホート研究の新しい分析によると、特にブルーベリー、ぶどう、プルーンおよびリンゴといった果物は、 実際に2型糖尿病のリスクを低減させる可能性があるそうです。反対に、フルーツジュースの消費量は、発症リスクがより大きくなることと関連していました。ハーバード大学公衆衛生学校の栄養学科の助教授であり、トップ著者のQi Sun氏は、次のように述べています:
研究者たちは、1984年から2008年までの3つの調査に参加した約19万人の食事の記録を分析しました。研究の開始時に、参加者の中で糖尿病、心血管の疾患、もしくは癌と診断されていた人はいませんでした。
これら被検者の中で、ブルーベリー、ぶどう、およびリンゴを週に2回以上食べた人は、これらの果物を月に一回もしくは食べない人たちに比べて、2型糖尿病を発症するリスクが最大23%低いことが発見されました。
ぶどうやリンゴはフルクトースを特に多く含むので、これはかなり驚くべきことであると考えます。(下記の図を参照ください。)この著者が、なぜここでその利点に着目したかは不明ですが、リンゴやぶどうに含まれる植物性の栄養素は、フルクトースの潜在的な毒性を補う以上のものがあるようです。
抗酸化物質、および他の即物性の栄養素は、糖尿病、および他の大半の慢性疾患の特徴である炎症に対し効果があります。同様に、フルクトースの含有量がずっと少ないブルーベリーは、他の研究においても主に糖尿病患者にとって有益であることが判明しています。その理由は主に含有される抗酸化物質の量がとても多いことにあります。
ケルセチンと呼ばれる抗酸化物質のひとつは特に、研究結果のいくつかを潜在的に説明できるものです。たとえばリンゴはフルクトースが多く、フラボノイドを含み、また、専門家のリチャード・ジョンソン博士によると、フルクトースの代謝の一部を実際に阻害する、とのことです。赤ブドウ、プラム、およびブルーベリーを含む他のベリー類もこのケルセチンを含有します。
対照的に、掲載された特集記事によると、毎日1回以上、フルーツジュースを飲用した人は、他の人と比較して2型糖尿病に罹患する割合が21%高かったのです。これはとても重要な点であり、これまでしばしば、フルーツジュースを飲むことの潜在的な危険性に焦点を当ててきました。
貯蔵されたジュースに含まれる物質のうち、あまり言及されることのないメタノールの毒性は言うまでもないですが、単純にフルクトースを非常に多く摂取し過ぎていることになります。さらに、果物全体はフルクトースを含んでいる一方で、繊維質、抗酸化物質、そして広範囲の健康促進性の植物的な化学物質も豊富に含んでいます。
特に低温殺菌されていない市販のフルーツジュースは、これらの植物性の栄養素を実際は殆ど含んでおりません。果物全体に含まれる繊維質もまた、血糖値の急上昇を抑制するのに大きな役割を果たします。繊維質は糖分が血流に吸収されていく速度を抑制します。
このことはフルーツ・スムージーにも当てはまります。フルーツ・スムージーは果物や野菜の摂取量を増やすとても便利な方法とされています。残念ながら、同時に過剰なフルクトースも含まれており、さらにおそらく糖類も添加されている模様です。
最近、ヒポクラテス研究所のブライアン・クレメント博士にインタビューしました。興味深いことに、博士達も殆どの人に対し、果物を食べないよう、強く薦めています。果物に対し博士がこの立場をとる主たる理由は、果物が雑種人工交配されており、古代の果実より50倍以上も甘味が強くなっているからです。
多くの果物は甘味を増強するために、選択的、かつ意図的に生育されているため、植物性の化学物質の含有量が低下しています。この雑種人工交配およびその結果としての食品全体での健康的な栄養素の失調に関しては、今夏出版されたNew York Times誌の の4つ記事が取り上げています。
自然な果物を「まるごと」食べることで、フルクトースを非常に多く摂取してしまうことが、果物を多く摂取することに伴う主たる問題だと考えるが故に安易に果物を多く食べれば良い、という考えに用心しています。
果物に含まれる最も有効な植物性の栄養素の多くは、実際には苦くて酸味があるか、渋みのあるものですが、食品としての風味を満足させるために、農家は時間をかけて、最も甘味のある品種だけを選択し、他を淘汰していきました。
今日では食物の「キャンディ化」は全く新しいレベルにまで引き継がれており、すべての果物が体に良い、という考えに固執していると、結果的に代謝異常を患うことになるかもしれません。例えば、Los Angeles Times誌の最近の報告によると、とある果物栽培者は、コットン・キャンディ・グレープと呼ばれるぶどうを作り出しましたが、これは他のジャンク・フードと同様に問題のある食品です!
これらの問題に照らし合わせ、果物やフルクトースの消費に関する推奨事項を可能な限り簡潔に、説明致しましょう:
以前、リチャード・ジョンソン博士に、その優れた著書The Sugar Fixに明かされている、フルクトースの健康上の危険性に関する研究と、具体的にフルクトースがどのように高血圧、肥満、そして糖尿病を引き起こすのかについてインタビューしました。博士はまた、コロラド大学でも腎臓病と高血圧を研究する部門長でもあります。
ジョンソン博士の研究によると、 尿酸値をフルクトースの毒性マーカーとして有効に利用できるとのことです。つまり、フルクトースが身体と健康に及ぼす影響の度合いを確認することができる指標となります。このように、尿酸値は食事の選択の際に必要な注意度を測るものさしになりえます。
この分野での最新の研究によると、尿酸値の最も望ましい範囲は3から5.5 ミリグラム/デシリットル(mg/dl)であり、尿酸値と血圧、および心血管疾病リスクの間には一定の相関があり、これは3から4mg/dlの範囲である、ということです。
このことは、男性であれば4mg/dl、女性であれば3.5mg/dlのレベルの尿酸値であれば、フルクトースの毒性リスクは低く、また、上述のフルクトースの摂取量制限量について、より多くの自由度を保持できる可能性が高いということです。しかし、尿酸値が高ければ高いほど、その値が正常範囲に下がるまでフルクトースの摂取を制限する必要があります。
Dr. ジョンソン博士は、尿酸値を最適化するためのプログラムを考案しました。このプログラムで大切な点は、尿酸値のレベルが3から5.5mg/dlの理想的な範囲となるまで、フルクトースの摂取を完全に断つことなのです。
注目の研究で明らかになった深刻な焦点の一つは、フルーツを丸ごと食べることとフルーツジュースを飲むことの間に存在する健康上の成果に対する劇的な相違でした。フルーツジュースには通常、非常に高い濃度のフルクトースが含有されているため、インスリンの分泌を促し、抗酸化物質の効果を阻害する可能性があることを認識することが大切です。
先の研究では、多量のフルーツジュースを飲用すると肥満のリスクが劇的に高まることが明らかになっています。子供たちは喉が渇くと飲用水ではなくジュースを与えられることが多いため、特にこの点において危険に晒されています。
例えば、研究の結果、一日2から3回、甘い飲み物を飲む3歳と4歳の体重が多い傾向のある子供たちはわずか1年後に深刻な体重過多に陥るリスクが倍増することが明らかになりました。
さらに、市販のフルーツジュースを購入する場合、大部分のフルーツジュースには濃縮果汁に加えてフルクトース・コーンシロップや人工甘味料などが含まれるため、ラベルをよく読んで内容をよく確認する必要があります。新鮮な絞りたてのフルーツジュースでさえ、8オンスのガラスコップ一杯のジュースにつきティースプーンで約8杯分のフルクトースが含まれる、と言われています!
したがって、原則としてフルーツジュースの摂取量は厳格に制限することが賢明です。特に、尿酸値が理想とされる範囲を超えている場合は特に要注意です。また、2型糖尿病、高血圧、心臓病および癌に罹患している場合、尿酸値とインスリン値が正常範囲になるまでは、フルーツジュースの引用を忌避することをお薦めします。
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