Dr. Mercolaより
地中海料理は流行の変遷を一貫して人気をなんとか維持してきた料理の一つで、それなりのいい理由があるからです。数々の研究が地中海料理の健康へのメリットを確認してきました。その大部分は糖分が少なく、タンパク質は適度であり、新鮮な果物や野菜が豊富で、健康的な脂肪がこれに伴っている点です。
一般的に考えられていることに反して「地中海料理」という一種類のジャンルがあるわけではありません。16カ国以上が地中海に面しており、食事の習慣は国ごとに、分化や民族的背景、宗教、農産物によって異なります。
全体的に地中海料理は脳や心臓の健康のために最もよい伝統的な食習慣の中の一つです。例えば、研究によるとナッツ、 アボカドやオリーブ油から取る健康な脂肪が豊富な食事が高齢者の記憶や認知力を高める可能性があることが判明しています。
以前の研究でも地中海料理がアルツハイマー病のリスクを軽減する可能性が指摘されていましたが、食事自体に効能があるのか、こうした食事を取る人がほかに病気のリスクを軽減する多くの健康的なライフスタイルの選択を行っているからなのかは明らかではありません。
食事と認知力の間の潜在的な関連性をさらに詳しく究明しようとして研究者らは例えば、肥満、高血圧や高コレステロールなど心臓血管病のリスク要因を持つ約450人の高齢者に三種類の食事のなかから一つを続けるように指示しました:
この研究の前後に脳の機能試験を行いました。ナッツで補完した地中海料理を食べた人々は記憶力が著しく改善し、バージンオリーブオイルで補完した人々は認知力が著しく改善しました。
低脂肪グループはその一方、記憶力も認知力もともに著しく劣化しました。
近年科学者らは地中海風料理が高齢者の脳萎縮を軽減することも突き止めました。ロサンゼルスタイムズの報告によると:
「70歳代のスコットランド人562人からなるグループのうち 地中海料理をよく食べていた食事スタイルの人は、平均すると三年間に渡って全体としてみればこの年齢層においては通常見られる脳萎縮が半減しました。 研究者は食事の頻度調査を行い、このグループを二つに分けました。一つは地中海風食事を少なくとも真似た人々で、もう一つはこれとは全く異なる食生活をした人々です。 地中海ダイエットグループの多くがきちんとこの食習慣に従ったわけではないにしろ、平均的な脳容量の減少は二つのグループ間で大きく異なりました。」
「70歳代のスコットランド人562人からなるグループのうち 地中海料理をよく食べていた食事スタイルの人は、平均すると三年間に渡って全体としてみればこの年齢層においては通常見られる脳萎縮が半減しました。
研究者は食事の頻度調査を行い、このグループを二つに分けました。一つは地中海風食事を少なくとも真似た人々で、もう一つはこれとは全く異なる食生活をした人々です。
地中海ダイエットグループの多くがきちんとこの食習慣に従ったわけではないにしろ、平均的な脳容量の減少は二つのグループ間で大きく異なりました。」
こうした調査結果は脳機能のために健康的な脂肪がいかに重要かを考えるとはっきりとした意味を持ちます。いずれにせよ脳は60%以上が脂肪から構成されており、その中で最も重要なものがDHAです。これは清浄なフィッシュオイルやクリルオイルなどのシーフードに含まれています。そうは言ってもシーフードも賢く選択することが大切です。
オメガ3など健康な脂肪を多く含むと同時に、水銀やその他の環境汚染物質が少ない魚を求めるようにしてください。小型の脂肪を多く含む魚、例えばいわし、アンチョビやニシンなどを選ぶとよいです。
原則的には食物連鎖の中でレベルが低い魚ほど、有害な汚染物質濃度が低くなる傾向にあるといえます。こうした小魚の多くはオメガ3をより多く含む傾向にあり、これなら一挙両得です。野生のアラスカサーモンも健康的な魚です。魚を食べない人は、クリルオイルなど高品質のオメガ3栄養補助剤を取るようにしてください。
魚のほか、身体(や特に脳)が最適に機能するためにメリットがある脂肪を含む物にはアボカド、有機牧草で育った牛の生ミルクから作るバター、ギーという澄ましバター、オリーブ、有機バージンオリーブオイル、ココナッツオイル、ペカンの実やマカダミアなどのナッツ類、放し飼いの鶏から取る玉子が挙げられます。
ビタミン Dと組み合わせて取る動物系オメガ3も特定の精神的状態においては認知力や行動力を改善することが判明しています。こうした状態にはADHD、双極性障害、精神分裂病が挙げられます。この改善態様は部分的に脳のセロトニン濃度を制御することによります。
オメガ3脂肪酸EPAはシナプス前ニューロンからセロトニンが放出されるのを阻害する脳内の炎症性信号分子を削減し、セロトニン濃度を一挙に高めます。脳細胞の重要な構造をなす要素であるDHAもセロトニン受容体がセロトニンにアクセスしやすくなることによってメリットが大きい効果を持っています。
脳の健康のために特にメリットがあることが判明しているその他の食事には、DASHやMINDの食事が挙げられます。このうち後者は果物と野菜、特に緑の葉野菜やベリー類、ホールグレイン、ナッツ、オイリーブオイル、豆類、鶏肉や魚を強調し、赤系肉、チーズ、バター、お菓子や揚げ物を控えることを強調しています。
以上三種類の食習慣に共通するものは自然のままの食品を強調していることで、特に新鮮な果物や野菜、適度の健康な脂肪を少なくとも取ることです。
DASH食は特に高血圧リスクを軽減するために特に効果的であることが判明しています。しかし、この効果がある真の理由は塩分削減にあるのではなく、果糖を多く含む加工食品を削減することにあると私は考えます。インスリンとレプチン濃度は正味接種炭水化物量に比例して上昇するので、これが血圧を高めます。
過剰な果糖は過剰な塩よりさらに高く高血圧を促します。2010年のある研究では、果糖を一日に74グラム以上消費した人(およそ2.5杯の甘いドリンクに相当)は血圧160/100 mmH(II度高血圧)になる危険度が77%高いことが判明しました。一日に74グラム以上の果糖を消費すると135/85の血圧値になるリスクを26%高め、さらに140/90となる確率は30%高まることがわかっています。
尿酸濃度の増加も高血圧と大きく関連性があり(欠陥中の窒素酸化物を阻害する)、果糖は尿酸濃度を高めます。実際に尿酸は果糖代謝の副産物です。従って、過剰な砂糖や果糖を食事から無くせば高血圧を促す根本問題を効果的に解決できるようになります。
果糖消費量を一日25グラム未満に抑えるようにお勧めします。インスリン耐性がある(米国人口のうちおよそ80%に該当)、高血圧症がある、または糖尿病, 心臓病やその他の慢性病がある場合、体調が正常に回復するまで果糖摂取量を一日15グラム未満に減らすことが賢い選択です。
私の見方では健康な脂肪の重要性は強調しすぎることはありません。脂肪は極めて多くの生物学的プロセスのために欠かすことができず、特に脳や心臓の機能のために関わっています。心臓機能の場合、スペインで行われた、55~80歳の約7,450人のボランティアが参加したテストは、低脂肪対照群が危険な不利な状態に立たされていると見なされたため、倫理的理由で早期に打ち切られました。
参加者全員が心臓血管病リスクが高いと診断されていた人々ですが、研究開始時点には症状には現れていませんでした。参加者は中央値4.8年間追跡調査されました。ボランティアは無作為に三つのグループに分けられました(二つが介入で、一つが対照群):
どのグループにもカロリー制限を課さず、運動促進も必要性も課されませんでした。オリーブオイルとナッツ消費を順守していることは血液検査と尿検査で追跡しました。一次評価項目は心筋梗塞、脳卒中、心臓血管系が原因による死亡のコンビネーションでした。二次評価項目は脳卒中、心筋梗塞、および心臓血管系が原因の死亡、任意の原因による死亡でした。
驚くべきことに、検査から5年未満で二つの介入群で対照群より30%も心臓血管系疾患リスクが軽減され、脳卒中リスクの軽減は49%と印象的な結果が得られました。研究者らが倫理的理由でテストを打ち切らざるを得なかったのも不思議ではありません!
残念ながら低脂肪食は体重管理と心臓の健康のために医学界で相変わらず最も人気がある食事であり続けています。この致命的な欠陥がある科学的に反証された忠告のために何百万人が早期に死亡したのかはまったくわかりません。
米国海洋大気庁(NOAA)による最近の報告書によると、米国人は、2015年には国民一人当たり約1ポンド分のシーフード消費量を増やしており、年間では平均15.5ポンド、一週間当たり4.75オンス増やしています。
これは最近二十年間では海産物消費量が最も大きく増加したことを表しますが、それでも一週間に8オンスの海産物を消費するよう勧める食事摂取の推奨値には至っていません。理想的には、毎週サケやイワシ、アンチョビ、サバ、ニシンなどの魚を2~3尾取ることを目指し、健全なレベルのオメガ3を取得するようにしてください。ツナ、サバ、サンマ、アンコウ、カジキ、オレンジラフィー、フエダイやオヒョウの缶詰は汚染度が最も高いので避けてください。
毎週必要な魚の量を取っていない場合は、クリルオイルなどのオメガ3サプリを毎日取ってください。用量としては、必要なオメガ3の量は体格、年齢、健康状態、オメガ3の種類などによって異なります。最もよいのはオメガ3指数テストを受けてみることです。オメガ3の赤血球中濃度を測るもので食事やサプリからじゅうぶんに摂取しているか否かを測れる実際に唯一の方法です。この指数は8%以上あることが必要です。
オメガ3脂肪酸の規定推奨値としての標準用量は定まっていませんが、健康関連の機関は健常な成人の場合一日にEPAとDHA合わせて250~500 mgを推奨しています。記憶の減退、鬱、心臓病の予防のためには、典型的にこれより多く(毎日EPAとDHAの1,000代後半から2,000 mg)が推奨されます。
妊娠中や授乳中であれば、通常より多くのオメガ3脂肪酸を必要とするようです。米国食餌協会とカナダ栄養士協会は妊娠中や授乳中には(全成人も含めて)EPAとDHA合計で毎日500 mgのオメガ3を推奨しています。
健常であり、最適な体脂肪レベルであれば、上記の食餌選択法は前記のその他の変動項目も含めて捉える場合は特に、無難な選択といえます。
しかし残念ながら現実には80%以上の人々がこのプロフィールには合致しておらず、肥満やガン、心臓病、糖尿病、自己免疫疾患や神経萎縮疾患に罹っています。この事実がご自身や身近な人にあてはまる場合は、体に一次燃料としての脂肪を燃やすように教えてからここでご紹介したような種類の食餌管理を始めてください。
私の新しい著書「Fat for Fuel」(燃料用脂肪)では炭水化物とタンパク質の摂取量を劇的に制限し、食抜きや断食のサイクル期間も取り入れて、体に一時燃料としての脂肪を燃やす能力を開腹させるのに役立つはずです。体重その他の健康状態を正常にし、体が一次燃料としての脂肪を燃やす能力を回復してから、地中海料理をたっぷり食べるように食生活を変える意義があります。
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