Dr. Mercolaより
満足に眠れなかった翌朝起きた後、目に付くものを何でも食べたいと感じた経験はありませんか。それは決してイマジネーションではありません。睡眠の質が翌日何を食べるかで大きな役割を果たすということが何度も示されています。
この結び付きはとても強いので、少し体重を減らしたいならば、睡眠と睡眠不足に絶対注意を払うべきです。たとえあなたが定期的に運動をして、健康食を真面目に取っていても(この二つはともにそれ自身大切ですが)、睡眠に問題がある場合は、体重を減らす努力が水の泡になります。どうしてそうなるかを説明しましょう。
研究者たちが、170名以上の被験者を含む11の睡眠研究をレビューしたところ、その結果は明白なものでした。限られた睡眠(典型的には、一日4時間くらい)は、十分に休んだ翌日よりも多くの食物を人に食べさせたのです。
参加者は、睡眠不足の翌日平均して385カロリー余分に食べました。しかも、脂肪を多く、タンパク質は少なくです。参加者の活動レベルには何の影響もありませんでした。つまり、「エネルギー収支でプラス」となったのです。これは、長い間では体重増をもたらすでしょう。
なぜ睡眠を削ると食べる量が増えるかについては、多くの理論があります。例えば、「飢餓ホルモン」のグレリンが増えて、満腹感に関係するレプチンが減るというものです。
しかし、特別研究の著者らは、睡眠不足は、報酬として食物を探す欲求も増加させると、述べています。
実際、ある研究(2012年)は、制限された睡眠(一日4時間)が、食物刺激に敏感な脳の領域での活性化が増加したことを発見しました。同時に、報酬と関連する領域の活動も増加したのです。このことは、なぜ不十分な睡眠が、脳を経由して、過食に走らせるかを説明するのに有益です。
強い意志の力でも、睡眠不足が持つ食欲へのそれほどはっきりとはしていない影響力を克服できないかも知れません。なぜなら、睡眠制限は、内因性カンナビノイド系の活性化と関連しているからです。それは、マリワナが活性化するのと同じ系統だからです。
この系統は、食欲と食物摂取を調節することに関係しています。ある研究は、正常な睡眠(8.5時間)を取った4日間と、制限された睡眠(4.5時間)との比較を、14名の若い被験者を使って実施しました。
参加者が睡眠不足になったときに、食物を喜びとする化学物質、エンドカンナビノイド2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)のレベルが上昇しました。
通常、あなたの2-AGレベルは夜間に低くなり、午後にピークに達するまでゆっくりと上昇する傾向があります。しかし、睡眠不足の人たちは、これレベルが夜遅くまで上昇したままでした。
従って、被験者たちは睡眠が少ないと空腹感と食欲の増加があった報告し、ジャンクフードの摂取を自分に禁止できなくなったのです。被験者たちは、炭水化物が多いスナックを食べただけでなく、よく休んだときと比べて二倍近い脂肪とタンパク質を摂取したのです。
過去の研究も同様に、慢性的に睡眠不足で、床に就くのが遅い人々は、昼間や夜遅くにもっと食べるので体重増加になりやすいことを示しています。
示唆に富む別の研究では、一晩の睡眠不足が、不十分な食事を6ヶ月間続けたときに表れるインスリン感受性障害に似ていることを示しました。
カリフォルニア州ロサンゼルスのCedars-Sinaiメディカルセンターの糖尿病&肥満研究所のプロジェクト科学者Josiane Broussard博士は次のように述べています。
「この研究は、血糖値を維持し、次のような代謝性疾病のリスクを減らす上で十分な睡眠が大切であることを示した。すなわち、肥満や糖尿病である。」
ところで、インスリン抵抗性は、体重増加を促進するだけでなく、ガンのような慢性疾患をも誘発します。これは、睡眠障害のある男性が、よく眠る人に比べて前立腺がんを発症する確率が2倍である原因の一部なのでしょう。
不十分な睡眠はまた、閉経後の女性において、乳がんの再発や乳がんの悪化の要因でもあるのです。一日6時間未満の睡眠もまた、結腸直腸腺腫の危険因子とみなされ、治療しないまま放置するとガンに発展する可能性があります。
一日6時間未満の睡眠の人は、7時間以上眠る人に比べて、リスクが50%増加したことが分かっています。睡眠不足がガンを誘発するもう一つの理由は、メラトニンで、その生成が睡眠不足により妨害されるのです。
このことはとても大きな問題です。というのも、メラトニンがいろいろな型のガン細胞の増殖を阻害するだけでなく、ガン細胞にアポトーシス(自己破壊)を起させる働きがあるからです。
子供の体重過剰や肥満の割合が急激に伸びているので、睡眠問題への対応が極めて大切なのです。睡眠習慣の比較的小さな変化でも、例えば、一日1.5時間の増減でも大きな影響があります。
ある研究では、8から11才の子供について、一週間毎日1.5時間の就寝時間を増減し、次の週にその増減を反対にしました。
子供が長く眠ったとき、著しいメリットが報告されました。例えば、一日平均134カロリー少なく摂取し、体重が0.5ポンド減少しました。
2011年、研究者たちは同様に、3から5才の被験者の睡眠を一日1時間増やしたところ、7才のときの体重過剰や肥満リスクが61%改善したのです。さらに重要なことに、体重の増加は特に脂肪分の増加によるものだったのです。
2013年の別の研究も、一日わずか1時間の睡眠を増やしただけで、体重過剰のリスクが28%減少し、肥満リスクが30%低下したことを示しています。
あなたが睡眠に問題を抱えている場合、日光への露出をちょっとチェックしてください。昼間室内で過ごしていますか。そのとき、ほとんど時間人工灯を浴びていて、夜にはさらに、TV、パソコン、携帯電話などを含む人工灯をあびていませんか。
こうした露出を調整して、朝明るい自然光を浴び、夜間のブルーライトへの露出をなくすことは、健康な睡眠にとって極めて大切です。
朝、明るいブルーライトが豊富な日光は、あなたの身体に起きる時間であるという信号を送ります。夜、太陽が沈み暗くなると、あなたの身体は寝る時間だという信号を受け取ります。
理想的には、あなたの24時間周期がリセットするのを助けるため、朝一番の自然光を少なくとも10〜15分浴びてください。それにより、「その日が始まった」という強いメッセージが体内時計に送信され、後で弱い光信号で混乱する可能性が低くなります。
それから、正午ごろ、日光を少なくとも30分浴びましょう。たっぷり1時間かそれ以上がずっと良いのです。あなたのスケジュールが日の出前に起床して、職場に到着しなければならないというものならば、明るい日光を昼間のどこかで30分以上は浴びるようにしてください。
太陽が沈む夕方、ブルーライトを遮る琥珀色のサングラスを掛けましょう。照明を絞ったり、電子機器を切ったりして、メラトニンの生成を妨げる明かりを減らすことも可能です。
日没後、どうしても照明が必要ならば、黄色、オレンジ、赤系統の低ワット電球に変えることもできます。5ワットの電球が照らす塩ランプは、メラトニンの生成を妨害しない理想的な解決策です。
夕方にパソコンやスマートフォンを使用する場合は、f.luxのようなブルーライト遮断ソフトをインストールしましょう。それは、日が進むにつれて画面の色温度を自動的に変えて、夕方になると青色波長を引き出します。しかし、すでに述べたように最も簡単な解決策は、ブルーライト遮断メガネを掛けることです。そうすれば、日没後ブルーライトにさらされることがなくなります。
朝ベットから飛び起きて、よく休んだと感じるならば、十分な睡眠を得たことになります。朝、ふらふらで日中の疲労に苦しむ場合は、もっと眠った方が良いでしょう。個人に必要な正確な睡眠時間は、年齢、健康状態などによりいろいろです。
2016年2月、米国CDC(疾病対策センター)は、米国の成人3人に1人は、睡眠不足であると報告しました。この場合、「十分な」睡眠は、一日7時間以上と定義されていますが、多くの成人は、一日8時間近くは必要でしょう(従って、睡眠不足は3人に1人以上に悪影響を与えていることになります)。
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