Dr. Mercolaより
多くの研究で、ビタミン補充による、認知機能の障害/低下を防止し、および/または治療への影響が調査されてきました。
動物性 オメガ-3脂肪酸 などの健康に良い脂肪が脳の健康に非常に重要であることは定着しているが、ビタミンなど他の栄養分もまた脳機能を最適に保つために必要です。
最新の、韓国の研究では、軽度認知障害やうつ病の高齢者に総合ビタミン剤補充を行うと、どちらの症状も改善されたと結論づけました。
特にビタミンB群のうち葉酸塩(B9、別名葉酸の合成型)、ビタミンB6、B12は、認知機能の低下と、 アルツハイマー病などの、より重篤な痴呆症を防止する強力な効果が見られたため、注目の話題となりました。
精神的な混乱と記憶の障害は、問題は、ビタミンB12不足で最も多くあらわれる警告サインの2つで、脳の健康のために非常に重要です。
オメガ-3脂肪酸の血中濃度が低く、アミノ酸ホモシステインの血中濃度が高い状態は、脳萎縮、痴呆症、およびアルツハイマー病との関連が指摘されています。
ビタミンB6、B9、およびB12は、ホモシステインを、タンパク質の構成要素であるメチオニンに変換する役割があります。
これらのビタミンB群が不足すると、この変換プロセスが阻害され、ホモシステインは増加し続ける結果になります。逆に、葉酸(葉酸塩)、ビタミンB6、B12の摂取を増やすと、ホモシステインは減少していきます。
2015年に出版されたあるプラセボ対照試験では、軽度認知障害と診断された168人の高齢者に、葉酸を0.8 mg、ビタミンB6を20 mg、およびB12を0.5 mgか、偽薬を無作為に毎日投与しました。
この量は、アメリカの一日推奨量を大幅に超える量です。すべての被験者は、2年間の研究の最初と最後に頭部のMRI検査を受けています。
ビタミンB補充の効果は、オメガ-3脂肪酸の濃度を基準に分析、比較されました。
興味深いことに、オメガ-3脂肪酸の濃度が高い人ほどビタミンBの効果が高いことがわかりました。
ホモシステインの濃度が高くなると脳の変性が起こると考えられており、ビタミンB群はホモシステインの影響を抑えることが知られています。
2010年に実施された、高濃度のビタミンBを補充する研究では、ビタミンBを摂取したグループでは、偽薬のグループと比較して、脳の萎縮が少なかったことがわかっています。
この実験では、被験者は、偽薬か、葉酸を800 mcg、B12を500 mcg、B6を20 mgのどちらかを摂取しました。この研究は、ホモシステインの濃度を調節することで、脳の萎縮を抑え、アルツハイマー病の発症を遅らせることができるかもしれないという仮定のもと実施されました。
2年後、ビタミンBによる管理を受けた人々では、偽薬を摂取した人々に比べて脳の萎縮が大幅に抑えられていました。実験開始時にホモシステインの濃度が高かった被験者では、偽薬のグループと比較して、脳の萎縮は半分ほどに抑えられていました。
2013年の研究でこの調査はさらに進みました。ビタミンB群は、単に脳の萎縮を遅らせるだけでなく、 特に アルツハイマー病によって最も強い影響を受けることが知られている脳領域の萎縮を抑えていたのです。
その脳領域での萎縮は、1/7に減少していました。
脳のレントゲン写真でも、偽薬とビタミン補充による脳萎縮の度合いの差がはっきりと現れています。上述の研究が示すとおり、多量の葉酸、ビタミンB6とB12を摂取している被験者では、ホモシステインの血中濃度が下がり、脳収縮は90%減少しています。
研究著者は次の様に報告しています。
「中略。ビタミンB群は、灰白質を萎縮させるホモシステインを低下させ、認知機能の低下を抑えます。
この結果は、ビタミンBの補充により、AD(アルツハイマー病)の進行の主な要素であり、認知機能低下と関連づけられる、脳領域の萎縮がゆるやかになることを示します。
2010年に発表されたフィンランドの小研究もこの点を支持しています。 ビタミンB12を多く含む食品を食べている人では、晩年のアルツハイマー病のリスクが低減することがわかりました。
ビタミンB12(ホロ-トランスコバラミンII)のマーカーが1単位上がる毎に、アルツハイマー病を発症するリスクは2%減少しました。食事にビタミンBを含む食品を多く取入れるとこの効果が得られます。たとえば、肉類、鶏肉類、卵、乳製品、天然魚などです。
葉物野菜、豆類にもビタミンB群が含まれますが、完全にベジタリアン食の場合は、 ビタミンB12欠乏のリスクが非常に高くなりますので注意が必要です。ビタミンB12は、肉、魚、卵、牛乳、乳製品などの動物性食品に含まれる天然の成分です。
該当する場合は、しっかり補充することが非常に重要です。もう一つ気を付けないといけない点が、ビタミンB12が体内に適切に吸収されているかどうかです。最も大きな分子であるため、体内に吸収されにくい特徴があります。
経口のビタミン12のサプリメントがあまり体内に吸収されない理由でもあります。ビタミンB12は、内因子と呼ばれる胃タンパク質に結合するために必要があります。その結果小腸(末端回腸)の終端で吸収されるようになります。内因子は、結合したビタミンB12の分子とともに、始めに吸収されます。
年を取るにつれて、内因子を生産する能力が衰えて、ビタミンB12不足のリスクが高まります。
メトホルミン(Glucophage、Glucophage XR、Fortamet、Riomet、およびGlumetza)の使用は、特に投与量が多くなると、ビタミンB12の吸収を抑制する可能性があります。
1日に4杯以上コーヒーを飲むと、体内に保有しているビタミンBを15%減少させ、制酸剤の使用も、ビタミンB12の吸収を妨げます。
ビタミンB群の他にも、脳の健康のためには、ビタミンCやDも重要です。ビタミンCは、セロトニンなどの抗鬱作用のある神経伝達物質の産生に重要な役割を果たします。
ビタミンCは、IQや記憶力を改善し、年齢による脳の変性と脳卒中を防ぐ作用があります。
ある研究では、ビタミンCとE(相乗効果を持つ)の組合せが痴呆症のリスクを60%低減させるという結果が出ています。ビタミンCには解毒効果があり、血液脳関門を通過することができるため、重金属を脳から除去する作用があります。
皮膚が太陽光にさらされると産生されるステロイドホルモンであるビタミンDも脳に大きな影響を与えます。 妊娠中のビタミンD不足 は、欠乏が胎児の脳の適切な発達の他、多数の問題に発展することがあるので、妊婦は、特にこのことを認識している必要があります。
誕生後も、子供の脳のさらなる発達にビタミンDが必要です。
成人では、適度な濃度を維持することで認知機能の低下を防止することが明らかにされています。
認知機能の低下は「自然」の出来事ではありません。多くの場合、原因は生活習慣です。栄養価が低く、糖分、野菜以外の炭水化物、トランス脂肪酸のような健康に良くない脂肪分、数々の毒素(殺虫剤や人工添加物など)が多い食事のせいです。
有毒な殺虫剤を避けるためには、理想的にはオーガニックで、地元産のリアルフードから栄養の出来るだけ多くを摂るようにお勧めします。
状況や体調によっては、さらに多くのサプリメントが必要かもしれません。
まず、この記事でお話した、脳に良い栄養素を含む食品のリストをおさらいしましょう。動物性のオメガ3脂肪酸、ビタミンB6、B9、B12、C、D。これらの栄養素が豊富な食品を食べていないと思う方は高品質の、理想的には食品由来のサプリメントを検討してください。サプリメントを選ぶときには次の項目に注意しましょう。
動物性の オメガ-3脂肪酸
水銀の体内蓄積が少ない、天然アラスカ鮭、イワシ、カタクチイワシなどの脂肪分の多い魚やオーガニックの 牧草飼育牛の 牛肉
イワシは特に多くのオメガ-3脂肪酸を含んでおり、1回の服用量で一日の50%の充足率です。
南極のクリルオイルは持続可能な選択肢です。天然のアスタキサンチンが含まれ、酸化防止作用もあります。
次に良い選択肢は天然のアラスカサーモンオイルです。
ビタミンB6
七面鳥、牛肉、鶏肉、天然サーモン、サツマイモ、じゃがいも、ヒマワリの種、ピスタチオ、アボカド、ホウレンソウ、バナナなど。
乾燥酵母はビタミンB群が豊富で、中でもB6を多く含んでいます。1回の摂取量(小さじ2杯分)で、10 mg のビタミンB6を含んでいます。
ビール酵母や他の活性酵母と混同しないようにしてください。乾燥酵母は、糖蜜を培地にして育った有機体から作られたもので、収穫されたあと乾燥させ、酵母の活動を止めたものです。
香りの良いチーズを思わせる風味で様々な量に加えることができます。レシピは、こちらのビーガンブログの記事をご覧ください。
葉酸塩(B9)
新鮮で生のオーガニックの葉野菜、特にブロッコリー、アスパラガス、ホウレンソウ、白カブの葉、様々な種類の豆類(特にレンズ豆、ヒヨコ豆、白インゲン豆、黒豆 、インゲン豆)など。
葉酸 は、合成型のビタミンBでサプリメントに良く使われています。自然界には葉酸塩として食品に含まれます。
葉酸塩 は、 葉(食用の葉野菜)から出た言葉です。
葉酸が体内で使われるためには、生物学上の活性型であるL-5-MTHFに変換されなければなりませn。
血液脳関門を通過できる型で、脳にとって良い作用をもたらします。
酵素の活性が遺伝子レベルで縮小しているため、葉酸を生物活性の型に変換するのに人口のほぼ半分が苦労しています。
このため、ビタミン Bサプリメントを摂る場合は、合成の葉酸ではなく、天然の葉酸塩を摂るようにしましょう。
乾燥酵母に多く含まれています。
ビタミンB12
ビタミンB12は、牛肉、牛レバー、子羊、フエダイ、シカ肉、鮭、小エビ、ホタテガイ、家禽肉、卵、および乳製品のような食物をはじめ、そのほとんどが動物の組織中にあります。
ビタミンB12を含む数少ない植物は、本物のB12の吸収を遮断する ビタミンB12アナログ です。
糖分の多い食品を制限して発酵食品を食べましょう。
ビタミンB群は、腸内フローラが健康であれば腸内で産生されます。
理想的にはオーガニックのリアルフードを発酵食品と合わせて食べると、マイクロバイオームに食物繊維や善玉菌が届けられ、体内でのビタミンBの産生を助けることができます。
乾燥酵母にはビタミンB12も豊富に含まれており、ベジタリアンやビーガン食の方にもお勧めです。
1回の摂取量(小さじ2杯分)で、8 mcg弱の天然のビタミンB12が摂取できます。
舌下に噴霧するミストや、ビタミンB12の大きな分子を直接血流に届けることができるため注射も効果があります。
ビタミンC
ピーマン、チリペッパー、芽キャベツ、ブロッコリー、アーティチョーク、サツマイモ、トマト、カリフラワー、ケール、パパイヤ、イチゴ、オレンジ、キウィ、グレープフルーツ、メロン、レモンなど。
果物や野菜の摂取を増やすには、 ジュースがお勧めです。または、 自家製発酵野菜もお勧めします。
ザワークラウト(発酵キャベツ)に含まれるビタミンCは、発酵していないキャベツの6倍 多く 、ビタミンCの摂取を増やすのに最適です。
経口のビタミンCで最も優れているのはリポソーム製剤です。
これは、伝統的なビタミンCやアスコルビン酸による副作用(胃腸障害などの)がなく、細胞内の濃度を最適化することができます。
一日に30-100 mgの量で、血漿中のビタミンCの濃度が大幅にアップします。
ビタミンCは、一日一回たくさん摂るより、数回にわけて服用した方が効果的です。
ビタミンD
ビタミンDは、肌が日光にさらされると自然に生成されます。
ビタミンDは、牧草飼育家畜の肉や他の自然食品、強化食品からも摂取することができますが、太陽光を浴びることが理想的な方法です。
ビタミンDのサプリメントを使う場合は、食物やサプリメントで ビタミンK2 と マグネシウムの摂取量も増やすようにしてください。
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