マグネシウムは糖尿病のリスクを減らすことできるでしょうか。


マグネシウム・糖尿病

早分かり -

  • 2型糖尿病を防止する上で、また、インスリン抵抗性を緩和する上でマグネシウムが持つ役割に関して、幾つかの重要な研究が行われました
  • マグネシウムの摂取量が多いほど、グルコースとインスリンの代謝障害リスクが減少し、糖尿病前症から糖尿病への進行を遅らせることができます
  • 一日に100㎎のマグネシウムを取れば、糖尿病のリスクが15%減少します
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Dr.マーコーラによるインタビュー

マグネシウムは、心臓や骨のためのミネラルと主としてみなされることが多いですが、それは必ずしも正しくありません。これまでに研究者たちは、ヒトのタンパク質についてマグネシウム結合部位を3,751か所も見つけています。このことは、マグネシウムのヒトの健康や病気における役割がとても過小評価されていることを示しているのです。

マグネシウムはまた、体内にある300以上もの酵素中にも発見されており、血糖値を調節するのを助ける酵素も含まれています。これは、マグネシウムが糖尿病を食い止める一つの機能です。この発見を支持する科学的根拠が多数示されています。

マグネシウムは、糖尿病リスクを軽減する可能性があります

幾つかの重要な研究は、マグネシウムが代謝機能を効果的に保つ役割を示しています。特に、インスリン感受性、グルコース調節、2型糖尿病からの保護に関するものです。

マグネシウムの摂取量が多いほど、グルコースとインスリンの代謝障害リスクが減少し、中年層における糖尿病前症から糖尿病への進行を遅らせることを示しています。

研究者は、次のように述べています。「マグネシウムの摂取は、糖尿病のリスクが高い場合、糖尿病の進行リスクを遅らせる点で特にメリットがある。」

マグネシウムは、インスリン抵抗性に効果的です

インスリン抵抗性に対してマグネシウムが持つ効果がマグネシウムの利点の一部となっています。ある研究で、インスリン抵抗性を持つ体重過剰の被験者が、毎日365mgのマグネシウムまたはプラセボを摂取しました。6か月後、マグネシウムを摂取したグループは、対照グループに比べて、血糖値のより速い低下とインスリン抵抗性の低下を示しました。

インスリン抵抗性は、身体がインスリンを正しく使用できないときに発生し、血糖値を過剰に高くします。インスリン抵抗性は、2型糖尿病の前駆体であると同時に、多くの慢性疾患のリスク因子でもあります。

マグネシウムがグルコースやインスリン・ホメオスタシスを制御するメカニズムは、マグネシウム・ホメオスタシスを司る二つの遺伝子に関係しているようです。マグネシウムはまた、多くの細胞機能において「オン」または「オフ」のスイッチとして働く、酵素であるチロシン・キナーゼを活性化するのに必要とされ、さらに、インスリン受容体の適切な機能にも必要とされます。

インスリン抵抗性を持つ人々はまた、尿でのマグネシウムの排出が増えることを経験しますが、それがさらにマグネシウムレベルを低下させることになります。このようなマグネシウムの損失は、尿中グルコースの増加に続発するようであり、尿量を増やします。

従って、マグネシウムの摂取が不十分だと、低マグネシウムレベル、インスリンとグルコースレベルの上昇、マグネシウムの過剰な排出という悪循環が加速するように見えます。言い換えれば、体内のマグネシウムが少ないほど、「それをなんとか保つ」ことができ難くなるようなのです。

マグネシウムだけが 糖尿病の予防に大切なわけではありません

マグネシウムは、体内のあらゆる器官が使うミネラルです。特に、心臓、筋肉、腎臓です。原因不明の疲労や脱力感、心拍リズムの異常、あるいは筋肉のけいれんや目のけいれんに苦しむ場合、マグネシウムのレベル低下が原因かもしれません。さらに、マグネシウムは、次のような機能に不可欠です。

  • 筋肉や神経の活性化
  • アデノシン3リン酸(ATP)を活性化することによる体内エネルギーの増加
  • タンパク質、炭水化物、脂質の消化を助ける
  • RNAやDNAの合成の基礎として機能する
  • セロトニンのような神経伝達物質の前駆体としての作用

Dean博士は、15年以上もマグネシウムについて研究し、いろいろな発表をしています。彼女の最新の著書マグネシウムの奇跡は、2014年に出版されましたが、それによって、マグネシウム欠乏が引き起こすか原因となる約22の医療分野について知ることができます。それらはすべて科学的に実証されています。例えば次のような分野です。

不安とパニック発作 喘息 血栓
腸疾患 ぼうこう炎 うつ病
解毒 糖尿病 疲労
心臓疾患 高血圧症 低血糖
不眠症 腎疾患 肝疾患
偏頭痛 筋骨格症状(線維筋痛、けいれん、慢性的な背痛など) 神経の問題
産科および婦人科(PMS、不妊症、子癇前症) 骨粗しょう症 レイノー症候群
虫歯

低マグネシウムレベルと関連する5つの因子

  1. 炭酸飲料やカフェインの過剰な摂取
  2. 閉経
  3. 加齢(高齢者ほどマグネシウム欠乏になりやすい。なぜなら、加齢により吸収が減少し、吸収を阻害する可能性がある薬を飲んでいる可能性が高まるから)
  4. 利尿薬、特定の抗生物質(ゲンタマイシンやトブラマイシンなど)、コルチコステロイド(プレドニゾンまたはデルタゾン)、制酸薬、インスリンなどの特定の医薬品
  5. 身体が持つマグネシウムを吸収する能力を損なう不健全な消化器系(クローン病、リーキーガット(腸管壁浸漏)など)

十分なマグネシウムを食事だけから摂取するのは可能でしょうか。

海草、ほうれん草やスイスチャードのような緑葉野菜は、マグネシウムの優れたマグネシウム源となります。また、豆類、ナッツ、カボチャやヒマワリ、ゴマのような種子なども同様です。アボカドもマグネシウムを含んでいます。 

野菜ジュースは、食事でそれらを十分に取るための素晴らしいオプションです。それでも、今日栽培されている食物は、マグネシウムやその他のミネラルが不足しています。従って、十分なマグネシウムを取ることは、マグネシウムを多く含む食品を食べるという単純な問題ではあり。(ただし、それも確かに大切です。)

グリホサートのような除草剤もまた、キレート剤として作用し、今日栽培されているとても多くの食品中のミネラルの摂取および利用を効果的に阻止します。その結果、真にマグネシウムが豊富な食品を見つけるのがとても難しい可能性があります。調理や加工がさらにマグネシウムを奪い取ります。サプリメントを選択する場合は、マグネシウムサプリメントが多種多様なことに注意してください。なぜなら、マグネシウムは他の物質と結合しなければならないからです。100%マグネシウムというサプリメントはありません。

特定の化合物に使用される物質が、マグネシウムの吸収および生体利用効率に影響を及ぼす可能性があるので、それぞれ健康上の利点がわずかに異なったり、目的がずれたりします。次に示す表は、いろいろな形態の違いの幾つかをまとめたものです。スレオニン酸マグネシウムは最良の供給源の1つで、ミトコンドリアを含む細胞膜に浸透して、エネルギーレベルを高めるように思われます。それはさらに、血液脳関門を貫通し、認知症を治療、予防し、記憶を改善するという素晴らしい機能を発揮するように思われます。

サプリメントを取る以外でマグネシウム状態を改善する方法は、エプソム塩浴または足浴を定期的にすることがあります。エプソム塩は、マグネシウム塩で、皮膚から体内に吸収されます。マグネシウム油も、局所的使用や吸収に使用できます。どのようなサプリメントを選ぼうとも、ステアリン酸マグネシウムを含むものは必ず避けてください。よく使われていますが、潜在的に危険な添加物だからです。

マグネシウム・グリシネートは、吸収および生体利用率の最高レベルを提供する傾向があるマグネシウムのキレート化形であり、不足を修正しようとしている人にとって理想的とよく考えられています。 酸化マグネシウムは、キレート化していないマグネシウムで、有機酸や脂肪酸にけつごうしています。60%のマグネシウム含有量があり、大便を柔らかくする特性があります。
塩化マグネシウムまたはマグネシウム乳酸は、12%しかマグネシウムを含みませんが、5倍の含有量がある酸化マグネシウムなど他のマグネシウム形よりも吸収に優れています。 硫酸マグネシウムまたは水酸化マグネシウム(マグネシアミルク)は、下剤としてよく使われまs。過剰摂取が容易なことに注意して、指示通りに服用すること。
炭酸マグネシウムは、制酸剤特性を持ち、45%のマグネシウムを含みます。 マグネシウムタウリンは、マグネシウムとタウリンの組合せを含むアミノ酸です。この組合せにより、身体と心を落ち着かせる効果があります。
クエン酸マグネシウムは、クエン酸と組合せたもので、下剤としての特性があり、その面では他より優れています。 マグネシウムトレオンは、新しいタイプのマグネシウムサプリメントで、主としてミトコンドリア膜を通過する優れた能力があるため有望であり、市場では最良のマグネシウムサプリメントかもしれません。

マグネシウムは、最適な健康のために正しいバランスが必要です

マグネシウムを摂取するときは必ず、カルシウム、ビタミンD3、ビタミンK2も考慮に入れる必要があります。なぜなら、これらはすべて互いに相乗的に作用するからです。マグネシウムでバランスを取らずに過剰のカルシウムを摂取すると、心臓発作や突然死につながることがあります。カルシウムを取りすぎて、十分なマグネシウムを取らないと、筋肉がけいれんし、それが特に心臓に影響を与える傾向があります。

「つまり、マグネシウムが関係する筋肉や神経機能が悪影響を受けるのです。十分なマグネシウムを取らないと、筋肉がけいれんします。カルシウムが筋肉を収縮させるからです。バランスを保つと、筋肉はその機能を発揮します。筋肉は弛緩したり、収縮したりして、所定の活動をします。」とDean博士は説明しています。

カルシウムとマグネシウムをバランスさせるときに、ビタミンK2やDとのバランスの必要性も考慮すべきです。これらの4つの栄養素は、互いに助け合いながら複雑なダンスを共に演じるのです。これらの栄養素のバランスが崩れることは、カルシウムサプリメントが心臓発作や脳卒中のリスクの増加を連想させたり、ビタミンDの毒性を経験する人々がいたりすることを説明しています。

2型の糖尿病リスクを下げる別の方法

  • 加工食品、砂糖、特にフルクトース、のあらゆる形態、あらゆる穀物すべてを新鮮な食品で置き換えてください。過去50年間、従来の糖尿病治療の失敗の主な理由は、欠陥のある食事の勧めにまさに関係しています。フルクトース、穀物、その他の糖を形成するでんぷん質炭水化物は、身体の悪いインスリン反応の大きな原因であり、あらゆる糖や穀物は、たとえ全粒のとか有機のと称される「健康に良い」穀物でも、大幅に削減する必要があります。
  • インスリン/レプチン抵抗性、糖尿病、高血圧、心臓病、または太りすぎの場合は、インスリン/レプチン抵抗性が解消されるまで、フルクトース摂取合計量を15g /日に制限することをお勧めします。

    加工食品は、あらゆるthe 主原因の源です。例えば、フルクトース・コーンシロップやその他の糖分、加工穀物を含むものが含まれます。また、トランス脂酸、人口甘味料、その他の合成添加物も代謝機能不全を悪化させます。フルクトース以外では、トランス脂肪(飽和脂肪ではない)が、インスリン受容体に妨害して、糖尿病のリスクを高めます。健康に良い飽和脂肪はそういうことはしません。糖分と穀物を減らす場合、食事から多くのエネルギー分(炭水化物)を削減していることになるので、それを別のもので代替する必要があります。理想的代替品は次の通りです。

  • 高品質のタンパク質、低〜中程度の量。かなりの量のタンパク質を肉類、魚、卵、乳製品、豆類、ナッツから取ることができます。動物性タンパク質を選ぶときには、遺伝子組み換え飼料や農薬による健康上の問題を避けるため、有機栽培した牧草を与えた、または、牧草地で飼育された肉類、卵、乳製品を選ぶようにしてください。
  • できるだけ高品質の健康に良い脂肪(飽和かつ一価不飽和脂肪)。最適な健康のために、たいていの人は毎日、カロリーの50-85パーセント以上を健康に良い脂肪の形で取る必要があります。良好な供給源としては、ココナッツ、ココナッツミルク、アボガド、バター、ナッツ、動物性脂肪があります。(高カロリーの脂肪は、量としては少ないことを銘記してください。従って、自分のお皿を見たときに、一番大きい部分が野菜となるでしょう。)
  • 定期的かつ集中的な運動研究によれば、体重減を伴わない運動でも、インスリン感受性を高めることが分かっています。高強度のインターバルトレーニング(HIIT)は、私の勧めるピークフィットネス・プログラムの中心的な要素ですが、それは、わずか4週間でインスリン感受性を24%も改善しました。
  • オメガ3対オメガ6の割合の改善今日の西洋式食事には、とてもたくさんの加工食品と損傷したオメガ6脂肪が含まれていて、オメガ3脂肪があまりにも少ないものとなっています。オメガ6脂肪の主な供給源は、トウモロコシ、大豆、キャノーラ、ベニバナ、ピーナッツ、ヒマワリ油である(そのうちの最初の2つは、遺伝子操作の対象になってもいて、問題を複雑にしています)。オメガ6とオメガ3の最適な割合は、1:1です。しかし、現在の割合は、20:1と50:1の間(オメガ6が多い)に悪化しています。この偏った割合は健康に深刻な悪影響を与えています。
  • これを改善するには、植物油の摂取量を減らします(つまり、植物油を使って調理しないことと、加工食品を避けることを意味します)。そして、クリルオイルなどの動物性オメガ3の摂取量を増やします。

  • 年間を通じてビタミンDの最適レベルを維持するビタミンDが糖尿病にとても効果があるという考えを証拠が強く支持しています。ビタミンDレベルを最適にする理想的な方法は、常に日光を浴びること、または、高品質の日焼けベッドを使うことです。最終手段として、経口補充を考えます。定期的にビタミンDを摂取するのですが、ただし、ビタミンDの血中濃度を50-70ng/mlの健康に良い範囲に収めるように確認しながら摂取すべきです。
  • 毎晩高品質で十分な睡眠をする不十分な睡眠は、ストレスと血糖値を上げ、インスリンやレプチン抵抗性を高め、体重を増やします。
  • 健康に良い体重を維持するこれまで提案したように食生活やライフスタイルの変更をすれば、インスリンやレプチン感受性を大幅に改善し、やがて健康的な体重が得られます。理想的体重を決定することは、いろいろな要因によります。例えば、体格、年齢、一般的な活動レベル、遺伝的要素などです。一般的なガイドラインとしてヒップからウエストまでの寸法インデックスチャートが有益かもしれません。これは、体重の問題があるかどうかを調べるうえで、BMIよりずっと優れています。なぜなら、BMIは、筋肉の強さと、腹腔内脂肪量(内臓の周囲に蓄積する危険な内臓脂肪)の両方を考慮しないからです。後者は、レプチン感受性とそれに関連する健康問題の強力な指標なのです。
  • 断続的な断食の実行。慎重に食事と運動のガイドラインに従っているのに、体重や全体的な健康にまだ十分な進歩を遂げていない場合、私は断続的断食を強く推薦します。これは、食料品店や食料品にアクセスすることが常にはできなかった先祖の食生活を効果的に真似るものです。
  • 腸の健康を最適化する。腸は生きているエコシステムで、良いバクテリアや悪いバクテリアで満ちています。複数の研究により、太った人々と痩せた人々では異なる腸内バクテリアを持っていることが分かっています。良いバクテリアを多く持てば、免疫系が強くなり、身体の全体的機能が改善します。幸いなことに、町内フローラを最適化することは比較的容易です。発酵食品(納豆、生の有機チーズ、味噌、培養野菜など)を定期的に食べることで、良いバクテリアを再度身に付けることができます。