Sayer Jiより
グルテン含有穀物を食べると、精神分裂病などの精神疾患につながるのでしょうか?
信じられないかもしれませんが、
研究者が、食事からグルテンを除去すると症状が改善され、逆に、グルテン含有穀物を食べると神経系、精神系の疾患につながることを示すエビデンスを偶然見つけた時からゆうに60年以上この質問は問われ続けています。
「グルテンフリー」ダイエット導入による情緒障害の消散に関する報告書は少なくとも1951年には医学文献に登場しています。 1954年、Sleisengerはセリアック病の成人32人中に3人の精神分裂症患者を発見したと報告しました。1957年、Bossak、Wang、およびAldersbergは、セリアック病患者94人中に5人の精神病の患者を発見したと報告しました。
初期の段階の認識は、健康体の人より高い割合で精神分裂症患者にセリアック病または少なくともグルテン感受性が起こっているというもので、より綿密な調査へとつながりました。
例えば、1966年の The American Journal of Clinical Nutrition に掲載された、「Wheat "Consumption" and Hospital Admissions for Schizophrenia During World War II,」(小麦の消費と第二次世界大戦中の精神分裂症入院数)という題の著名な疫学の研究では、複数の戦争中の精神科病院への入院者数の減少について調査し、精神分裂症とセリアック病の関係性を立証しようと試みています。
研究の著者F. C. Dohan医学博士は、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、カナダ、および米国における第二次世界大戦前後の精神科病院への女性入院者数を調査しています。
これらの数値は、戦前と戦後の2期間における小麦とライムギの消費量と比較されました。Dohan博士は述べています。
「5ヶ国での戦前の精神分裂症による初回入院者数の年間平均における割合の変化と、小麦のみと小麦・ライムギの消費における割合の変化を比較しています」。
下図は調査の結果です。(英語のみ)
グルテン含有穀物の定量が減少すると、精神病院への初回入院者数の割合も世界的に減少しています。
以来、グルテン含有穀物の消費と精神分裂症を結び付ける多くの研究が出版されています。
研究者は、これらの民族が部分的に西欧化され、小麦、大麦ビール、および米を消費しはじめると、罹患率がヨーロッパレベルに達したことを指摘している。
グルテン摂取を停止すると、症状の改善が見られた。
グルテンと精神分裂症の関連を立証する最新の研究が、 World Journal of Biological Psychiatry (生物学的精神医学世界ジャーナル)に、「Elevated gliadin antibody levels in individuals with schizophrenia」(精神分裂症患者におけるグリアジン抗体の増加)という題で今月発表された。
この研究では、950人の精神分裂病患者と1,000人健康な対照群の血液の働きを比較しています。
抗グリアジンIgG抗体を持っているオッズ比が精神分裂病患者では2.13倍であった。少しでも精神分裂症があると、小麦タンパク質に対する免疫の過剰反応が起こる率が高いことが示されました。
グリアジンは、口語ではグルテンと呼ばれる物質に含まれるタンパク質のアルコール可溶性複合体であり( 小麦には厳密には23,000を超える種々のタンパク質が含まれ、この用語は誤解を招くが )、小麦タンパク質の主要な免疫毒性クラスと考えられます。
例えば、セリアック病では、遺伝子が仲介する免疫プロセスが進行します。グリアジンへの露出で、酵素組織トランスグルタミナーゼがタンパク質を変性させ、免疫系が小腸組織と交差反応し、腸絨毛の破壊を生じさせる炎症反応を起こします。
セリアック病患者と精神分裂症患者の両方で血液中にグリアジン抗体が発見されたことは次の事実を示唆しています。
腸の粘膜を透過して血流中に入ると、抗体が仲介する免疫反応が起こります。小麦タンパク質グリアジンへの抗体が血中で発見されるということは、構成要素であるアミノ酸に完全に分解されていないことを示します。
グリアジンは、セリアック病の罹患有 無 にかかわらず、腸内のタンパク質ゾヌリンを上方制御することがわかっており、本質的には腸の透過性とその後の自己免疫の「パンドラの箱」を開くようなものです。
別のエッセイでも、我々は小麦の麦芽凝集素(WGA)としてまた知られている小麦レクチンの効果を生じさせる腸の透過性について説明しました。[ Opening Pandora's Bread Box(パンドラのパン入れを開く)をご覧下さい。]
2007年にJournal of Immunology(免疫学ジャーナル)に発表された研究では、反グリアジン抗体はニューロンシナプシン I(軸索突起の神経終末に存在するタンパク質)に結合します。 作者が信じる研究が、グリアジンがどのように「神経病、運動失調、発作、神経行動学上の変化などの神経系の合併症」に寄与しているかを説明できるかもしれません。
神経系の自己組織化に対抗する、自己抗体の形成に反グリアジン抗体が寄与しているかもしれない別の事例は自閉症です。
2004年の Nutritional Neuroscience (栄養神経科学)に掲載された研究では、自閉症の子供は、グリアジン抗体と小脳(脳)タンパク質が同時に増加していることを明らかにしました。
つまり、小麦タンパク質は、交差反応する抗体を刺激し、神経系のダメージを生じさせるのです。
この研究結果では、さらに大きな疑問がわきます。反グリアジン抗体は人口の約27%において発見されており、原因不明の神経系の機能不全に苦しんでいる人々は57%にのぼります。
ということは、グルテン含有穀物が潜在的に世界全般の精神衛生に悪影響を与えているということでしょうか?
私達のエッセイ「The Dark Side of Wheat」(小麦の裏側)ではさらに深くこの可能性を掘り下げています。私達はローマ帝国による文化的および生物学的な帝国主義の形としての小麦ベースの経済の利用にフォーカスをあてています。
小麦は、現代の因習的な医学が概算(小麦の影響が主にセリアック病と食物アレルギーに集中している)しているよりはるかに大きな悪影響を身体の健康に与えていると言えます。私達は、200以上の グルテン含有穀物の悪影響 と、これまでに説明した20の有害な「毒性モード」をリスト化しました。
グルテン含有穀物が、不調、マニア、中毒、鬱、精神分裂症などの精神疾患の唯一の原因とするには不確定要素があまりにも多くありそうです。
しかし、ひとつ確かなことがあります。
皆さんの直接の経験が、二重盲検、プラシーボ対照、ランダム化された人体実験と同じくらい貴重なのです。つまり、食事から穀物を除去して気分がよくなり、身体的にも精神的にも健康状態が改善するなら、それに勝る証拠はありません!
Sayer Jiは、GreenMedInfo.comの創設者かつ代表であり、国際的な非営利団体、消費者啓蒙、健康の自由を求める組織 National Health Federationの諮問委員会メンバーです。
共著に「 Cancer Killers: The Cause Is The Cure」(ガンを死滅させる:原因が治癒のカギ)がある。現在、Tania Melkonianとの共著「 EATomology: An Edible Philosophy of Food」(食学:食物の可食哲学)を手がけている。
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