我々の祖先にガンはなかった


心臓の健康

早分かり -

  • 1日に15分間の運動で、心臓病がある人でも、3年寿命を延ばすことができる
  • 運動量の少ない人々は、最低限の運動をしている人々と比較して、死亡リスクが17%高くなる
  • インスリン抵抗性は主に精製炭水化物の過剰摂取や、運動不足によって引き起こされる。命に関わるような様々な慢性疾患の根本原因でもあります。運動によりインスリン濃度が正常に維持されるので、長寿につながるのである
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Dr. Mercolaより

健康で長生きをしたければ 適切な食事と適度な運動に勝るものはありません。少しの運動量でもいいのです。 Lancet誌で発表された最新の研究では、1996-2008年に数十万人を調査したところ、1日わずか15分の運動が寿命を3年伸ばすことわかりました。

1日最低15分または週に90分体を動かすようにした人々は、全死因死亡率が14%も低減していました。

さらに次のことがわかっています。

最低限の15分の運動に15分ずつ運動時間が追加される毎に、さらに全死因死亡率が4%、全ガン死亡率が1%減っていました。この結果は、全年齢層、性別を問わず、心血管疾患リスクのある人にも該当します。 

運動量の少ない人々は、最低限の運動をしている人々と比較して、死亡リスクが17%高くなっていました。

運動が長寿につながる仕組み

運動には、すべての病気を予防する効果があることが知られています。運動で寿命が延びるのは当然です。

例を挙げましょう。

血圧が下がる

抗うつ効果がある

減量効果がある

慢性の膝の痛みを和らげる

関節リウマチのコントロール

糖尿病のリスク低減 、前糖尿病を回復させる

ガンのリスクを低減

老化の進行を抑える

心臓病のリスク低減

骨を強化する

活力アップする

IQ を高め頭の回転が良くなる

研究チームが生化学的な変化を測定したところ、脂肪燃焼や代謝に関係する20の様々な代謝物を変化させることを突き止めました。これらの成分は、カロリーや脂肪の燃焼を助けるものや、血糖値の安定を助けるものもあります。

基本的に、理想的な体重を維持し、定期的に運動することで健康的なフィードバックループが作られます。これにより、インスリン受容体の働きが正常化、血糖値やインスリン濃度が一定に維持されるようになります。インスリン抵抗性は、主に精製された糖や炭水化物の過剰摂取や運動不足によって引き起こされ、命に関わるような様々な慢性疾患の根本原因でもあります。

心臓病とガンは、アメリカ人の死因の上位2位を占めています。運動は、主にインスリン濃度を下げる働きにより、両方の発症を防止することができます。運動はエストロゲンの濃度を下げる効果もあり、乳ガン予防につながるのも不思議ではありません。

ガンなどの重い病気にも運動は必要です。最新のMacmillan Cancer Supportでの報告書でもガン治療に運動を含めた方が良いというテーマがあがっています。報告書では、ガン治療中のすべての患者に、毎週2時間半の中強度の運動を実施するよう指導するべきであると推奨しています。研究では、次の運動効果が報告されています。

  • ガンによる死亡リスクを低減。前立腺ガンの死亡リスクは、運動により最大30%低減します。Harvard Medical School 研究チームによる過去の研究では、週3-5時間適度に運動する乳ガン患者は、座っていることが多い患者と比較して、ガンで死亡する確率が半分まで低くなります。少しでも毎週運動をすると、乳ガンの生存率が上昇します。運動の効果は、初期に診断された患者も広がってから見つかった患者でも同等でした。
  • ガンの再発リスクを低減。運動により、乳ガンの再発リスクが40%低減することがわかりました。
  • 活力を高め、ガン治療の副作用を最小限に抑える。

食事と運動はどちらが大切?

運動は大切なのですが、その効果は、健康的な生活によって得られる効果の約20%でしかありません。効果の大部分は適切な栄養にかかっています。

「Body by Science」の著者、Doug McGuff医師は、狩猟採集生活を送っていた祖先と同様の食事をするパレオダイエットに戻ることで、健康を最適化し、長寿や、病気のない生活が可能になると説明しています。パレオダイエットは流行ではありません。科学に裏付けされており、多くの医師や健康関連の専門家が、基本に返る食事として提唱しており、運動するより脂肪を落とす効果が高いかもしれません。

1万2千年前、旧石器時代の人々の主な食事は、デンプン質の少ない野菜、果物、木の実、植物の根、ダチョウやバイソンの赤身肉、臓物、魚介類などで、現代のアメリカでの食事とはかけ離れたものでした。

今日では健康に良い食品は、精製された糖分、高フルクトース・コーンシロップ、シリアル、パン、ジャガイモ、低温殺菌乳製品など、健康に良くない食品に置き換わりました。石器時代には、心臓病、糖尿病、ガンは死亡要因ではありませんでした。これら現代の死因の上位は、すべて食事が原因となっています。

現代の食生活で病気を引き起こす要因となっているのは、主にフルクトース、穀物などの糖分です。心臓病、高コレステロール、2型糖尿病、ガンのリスクを避けるには、フルクトースや穀物の消費量を厳しく制限する必要があります。

食事プラン—基本的な考え方

適切な食事がどんなものかわからない方、私のインスリン食事法を見てみてください。段階的に食事を変えていく方法を、初級/中級/上級にわけて紹介しています。適切に実施すれば、誰にでも効果があります。

基本的な推奨事項を解説します。

  • フルクトースの量は一日に25 g以下に。フルーツから摂るフルクトースは 15 g以下に抑えた方が賢明です。少量であってもほとんどの飲料や加工食品に、「隠れた」フルクトースが含まれているからです。
  • 加工食品を減らすか食べないようにする。
  • グルテンやアレルギー性の食品を食べないようにする。
  • できるだけオーガニックの地元で生産された食品を食べるようにする。
  • 少なくとも食事の1/3を非加熱の食品にする(多いほどよい)。
  • 新鮮な野菜の量を増やす。
  • 人工甘味料を摂らない。
  • トランス脂肪酸(植物油、マーガリンなど)を生バター、ココナッツオイルなどの健康に良い脂肪分に交換する。
  • オメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸のバランスを整える。クリルオイルなどの良質なオメガ-3脂肪酸を摂り、植物油(トランス脂肪酸)などの加工オメガ-6脂肪酸は控えること。
  • 不純物のない水を毎日飲みましょう。
  • ビタミンDの体内濃度を調整しましょう。日光を浴びる、安全性の高い日焼けマシンを使う、最終手段として、ビタミンD3のサプリメントを摂るのも良い方法です。

運動に関する5つの基本ルール

1. インターバルトレーニング(無酸素)。有酸素でも無酸素でもある運動ですが、研究では、無酸素の部分がより重要であると発表されています。心臓を死亡が燃えやすい状態に整えるのに良い方法は、1時間のジョギングやウォーキングではありません。実は、短時間の高強度トレーニングと回復時間を交互に繰り返す方法が良いのです。この運動方法は、インターバルトレーニングや瞬発的トレーニングとして知られ、心血管系の健康や脂肪燃焼を増進させます。

このアプローチのもう一つの最大の効果は、より高い運動効果を得ながら、運動に費やす時間は圧倒的に減る点です。例えば、間欠ダッシュではカテコールアミンという化学物質が大量に産生され、運動している筋肉内で脂肪が燃焼されます。その結果脂肪の酸化が進み、体重減少につながります。高強度の運動を短時間実施すると、短期間で体重や体力を適正に整えることができるのです。

フィットネスホルモンとも呼ばれるヒト成長ホルモン(HGH) の産生も促進されます。減量効果、筋力アップ促進のほか、年齢を重ねても若々しさを保つことができます。

2. 有酸素運動。ジョギング、エリプティカル・マシン、速歩などが有酸素運動です。血中の酸素量やと鎮痛効果のあるエンドルフィンを増やします。有酸素運動は免疫系を活性化させます。心臓からの血液の拍出を効果的に行い持久力をアップします。

有酸素運動をメインの運動にしたり、有酸素運動だけしかしないのは、運動によって得られる効果が十分に得られないため良くありません。

3. >筋肉トレーニング。筋肉トレーニングを1セット盛り込んで、日頃のエクササイズをより完成度の高いプログラムにしましょう。筋肉を疲れさせるために十分に回数をこなしてください。12回までしかリフトできない位のウェイトが最適な重さです。最低でも4回はリフトできる重さにしましょう。同じ筋肉群に毎日ワークすることは避けてください。筋肉が疲労から回復し、修復されるまで少なくとも2日間は必要です。

4. 体幹エクササイズ。背中、腹部、骨盤の周囲には29のコアマッスルが存在します。全身の動きの基礎となる筋肉群で、しっかり強化して、背中を保護し背骨や身体の各部位の怪我を防ぎ、バランスや安定性につなげましょう。

ピラティス、ヨガなどは、コアマッスルを鍛えるのに適しています。方法はパーソナルトレーナーについて学ぶ必要があります。呼吸やマインドフルネスに注意し、柔軟性を高めることがトータルフィットネスの重要な要素です。

5. ストレッチ。

慢性疾患がある場合の運動のコツ

慢性疾患があっても運動は体に良いということを覚えておいてください。ですがもちろん、ガンなどを代表とする慢性病がある方は、持久力や体調を考慮し、自分に合った内容の運動でなければなりません。

例えば、強度を下げたり時間を短くしたりして調整しながら、運動を続けることが大切です。上述のとおり、ガンの患者さんでも週2.5時間の中強度の運動を目指すと回復力をつけることができます。

体の調子を確認して、適宜休憩をはさみましょう。一日に数分であっても何もしないよりは効果があります。

免疫力が落ちすぎている場合は、公共のジムに出かけるより、自宅での運動が良いでしょう。運動は免疫機能を高める効果があるので、慢性病やガンがあっても続けることが大切です。