Dr. Mercolaより
歴年齢とは、みなさんの多くが誕生日を祝うであろうその日であるカレンダー上の日数で、実年齢のことです。しかし、身体組織の年齢に基づいた生体年齢というのも存在します。
生体年齢は決まったものではありません。運動、食事、ストレス、睡眠、などの生活習慣に影響されて変動します。60、70、80歳と年を重ねてからの心身の機能は、遺伝的な要素は小さく、大部分は生活習慣、特に長年の習慣によるものです。
実年齢よりも 若かったり、 老けていたりするのはこれが理由です。自分の状態を知るには、肉体年齢を測定しましょう。肉体年齢は生体年齢の要素であり、実年齢よりも正確に寿命を知ることができます。
肉体年齢は、運動中に取り込める最大酸素量であるVO2 maxから求められます。VO2 maxは心血管系の強さの指標となります。同年齢の人の平均値より値が低い場合は、肉体年齢が実年齢より 上であることを示します。
一方、VO2 max の値が平均値を上回れば、肉体年齢は同年齢の人より若いということになります。幸いにして、VO2 max は改善することが可能で、つまり肉体年齢は、実年齢を重ねても若返ることができるのです。
ただ問題なのは、VO2 max値を用いて体内年齢を測るには、トレッドミルを使った高度な技術のテストを必要とするため、ほとんどの人がその値を知らないということです。
そこでノルウェー科学技術大学の研究者たちは、5,000人近くの有酸素運動能力、ウエスト周囲、心拍数、そして運動習慣に基づき、あるアルゴリズムを開発することに成功しました。この方法を用いれば、極めて正確にVO2 max値を導きだすことができます。
研究者たちは次に、このVO2 max 値が本当に寿命と関連しているかについての調査を重ねました。彼らは、55,000人以上もの成人を対象に、実年齢、VO2 max、肉体年齢を元に分析し、これらに強い関連性があることを発見したのです。
VO2 max の値が最も低い人(平均値より85%以上低い人、つまり肉体年齢が高い人)は、肉体年齢が実年齢と同じか低い人と比較して、
早期死亡のリスクが82%も高いことがわかりました。
著者は、肉体年齢のほうが、体重過多や、高血圧、喫煙などといったリスク要因よりもより正確に早期死亡を予測できてしまうかもしれないと考えています。
運動を始めようと考えている人は、これを参考にしてみてはいかがでしょう?
研究者たちが全国シニア競技大会(俗に言うシニアオリンピック)においてアスリートの肉体年齢を計測した所、高齢のアスリートほど、肉体年齢が実年齢に比べ何十歳も若かったのです。
メリーランド大学の医学部准教授であるPamela Peeke 医師および、上述の研究における第一人者であるノルウェー科学技術大学のK.G. Jobsen Center for Exercise in Medicine のUlrik Wisloff教授は、生活習慣がいかに肉体年齢に影響するかについての共同研究を実施しました。
彼らは、4,200 人もの高齢アスリートを対象に、肉体年齢を調べたのです。彼らの実年齢は平均68歳であったのに対し、平均肉体年齢は実に43歳でした。Wisloff医師は、 The New York Timesに次のように語っています。
「この差は極めて大きいです。彼らは何年にもわたってトレーニングをしてきているので、大きな差が出るだろうとは思っていましたが、これほど大きな差が出るとは、驚きました。」
高齢アスリート達の肉体年齢がどのようにして測定されたのかや、自分の肉体年齢も知りたいと思った人はついています。ノルウェーの研究者たちは、 肉体年齢を測定できるオンライン診断テスト(英語)を開発しました。実際に高齢アスリートの測定にも用いられたもので、誰でも自分一人で測定できるものです。
実年齢や性別、ウエストサイズ、身長、運動習慣などの情報を入力するだけで、VO2 max値や肉体年齢など、自分の健康レベルがわかります。私は61歳ですが、このテストを受けた時、自分の肉体年齢は31歳の人の平均値と同じでした。
もし数字に納得がいかない場合は、努力次第で変えることができます。Wisloff医師はこう語ります。「幸い、肉体年齢は変えることができるのです。」そしてもし肉体年齢を若返らせたいならば、「運動あるのみ」です。またPeeke 医師も、たとえ開始が遅かったとしても、肉体年齢は大幅に若返らせることが可能であるとしています。
たいていの人が、自分で老いを感じ始めるまで肉体年齢について考えることはありません。そして実際に老いを感じたその時、どうしようもないと思いがちですが、そんなことはありません。
2014 年5月、アムステルダムで行われたEuroPRevent会議で発表された研究では、40歳以降で集中トレーニング始めた男性が、30歳以前に始めた男性と同様の効果を得られたことを発表、さらに、運動をしなかった男性と比べ、健康状態が良いこともわかりました。
たとえば、両方のグループ(30歳以前で運動を始めたグループと40歳以降で始めたグループ)で、安静時の心拍数が1分間に57-58回と大幅に 低かったのに対し、運動をしなかったグループは、1分間に70回前後という結果でした。
また、運動グループはVO2 max においても高い数値を記録、さらに心臓の構造や機能においても運動の効果に伴う改善が見られました。フランス保健医療研究局のDavid Matelot 氏は次のように述べています。
「心臓は、加齢に伴う生物学的な変化はあるものの、たとえ40歳であっても持久力トレーニングにより改善の余地はあります。40歳で始めても、心機能の向上が得られないことはないようです。 生活習慣を変え、体力をつけるのに遅過ぎるということはないのです。いつ始めても、心臓や幸福への効果は高いのです。週何時間も費やすようなハードなトレーニングは必要ありません。」
「心臓は、加齢に伴う生物学的な変化はあるものの、たとえ40歳であっても持久力トレーニングにより改善の余地はあります。40歳で始めても、心機能の向上が得られないことはないようです。
生活習慣を変え、体力をつけるのに遅過ぎるということはないのです。いつ始めても、心臓や幸福への効果は高いのです。週何時間も費やすようなハードなトレーニングは必要ありません。」
50歳時の健康状態が良ければ、70-80代まで健康に過ごすことができることがわかりました。既に現在50歳で、 体力がないという方、今日から変わりましょう。また、運動により、体力強化に加え認知能力も鍛えられるため、 加齢に伴う脳の劣化に対しても効果を発揮することがわかっています。
最も多く運動を行った被験者は、脳の収縮が最も少なく、むしろ運動によって 拡大し得ることがわかりました。別の研究でも次のことがわかっています。
もちろん、どんな種類の運動であってもVO2 max 値を上げ、肉体年齢を下げることは可能ですが、最も効率的な方法の一つとしては、 高強度インターバルトレーニング(HIIT)があります。上述した オンライン診断テストを使って肉体年齢を測定する際、運動の強度に関する質問があることに気付くでしょう。
その質問に、時折「全力」運動を行うという回答した方は、肉体年齢を大幅に改善することができると言われています。加齢その他に伴って起こる筋肉喪失や萎縮を防ぐのに役立つ、ヒト成長ホルモン(HGH) の自然な産生が促進されるからです。
オンライン診断テストで聞かれるもう一つの質問として、安静時の心拍数に関する質問があります。安静時の心拍数が 低い方が、長寿のためには望ましいからです。高強度の運動を短い時間で一気に行い、ある一定の時間の回復時間を設ける高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、たとえ40歳以降に開始したとしても、VO2 max と安静時心拍数の 両方を改善できることがわかっています。
週わずか12分のHIITでVO2 max 値に著しい改善が望めます。ある研究では、一つ目の男性グループは、4x4 トレーニングと呼ばれる、4分間の高強度トレーニング+4回の休憩のセット(1日に16分、すなわち「16 分セット」)を、週3回、10週間継続して行いました。
二つ目のグループは、4分間高強度トレーニングのセッションを週3回、つまり週合計12分のセットあるいは1日に4分(「4分セット」)と呼ばれるトレーニングを行いました。両方のグループに、著しい改善が見られました。4分のグループにはVO2 max 値に10%の増加が、16分間セットのグループには、13%の増加が見られたのです。
また、別の研究によると、 極めて高い強度の4分間セットを 週4回行うことで、わずか6週間で有酸素能力は28%、VO2 max 値および有酸素性作業能力が15%向上することが示されました。
一方、強度が一定の有酸素運動を、週5回1時間ずつサイクリングマシンで行っても、VO2 max 値の上昇はわずか10%にとどまり、有酸素能力に関しては全く効果が見られませんでした。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)を是非フィットネスプログラムに加えてください。定期的な筋肉トレーニングをお勧めします。動作をゆっくり行うことで、高強度インターバルトレーニングと同じ効果が得られます。Doug McGuff医師は、スーパースローウェイトトレーニングが心血管系エクササイズより有効な高強度トレーニングであることを示してくれました。 スピードを遅くすることで、高強度の運動に変えることができます。
非常にゆっくりな動作が、細胞レベルで、筋肉を動かすタンパク質のフィラメントの全てに働きかけるのです。スピードを遅くする方法は、ダンベル、抵抗トレーニングマシン、自重エクササイズ、レジスタンスバンドなど様々な筋肉トレーニングに応用できます。しかし、全身の身体年齢は運動から だけでは得られます。
非常に重要な点は、若年死や障害などの要因でもあるじっと座って過ごす時間が長すぎることによる影響は、運動で帳消しすることはできません。日頃の運動に加えて、 なるべく座りっぱなしを避け(1日3時間以内)、こまめに 動くようにしてください。1日に10,000歩くらいがお勧めです(歩数計、身につけられるフィットネストラッカーなどを使うと良いですよ)。
両方とも合わせて行うことで、実年齢に関係なく、肉体年齢を若く保つことができます。最後に、健康的な食事をし、ストレスに対処し、きちんと睡眠をとることで、健康のためのプログラムが完全なものとなり、生体年齢を若く保ち続けることができるでしょう。
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