Dr. Mercolaより
最近の研究では、成人における座りっぱなしの深刻なリスクが注目されつつありますが、このリスクは「成人」だけのものではありません。子供も、日中の60%以上を座って過ごしており、平均すると実に1日8.5時間になるとの推測もあるくらいです。
さらに、8歳以上の女児では特に、活動レベルが急に下がっていくと考えられています。そこで、少人数の女児のグループ(7歳-10歳)に関して、座りっぱなしが大人と同様、健康に悪影響となるかどうか、研究者グループによる調査が行われました。
成人では、座りっぱなしは脚の動脈を締め付け、血流が悪くなるので血圧が上昇し、やがて心臓病へと発展します。子供ではどうでしょうか。
実験開始時は、全ての女児において血管機能に問題は見られませんでした。しかし、タブレットで遊んだり映画を見たりして座ったままの状態が3時間経過すると、「深刻な」血管機能の低下が見られたのです。 彼らの動脈の拡張反応が最大33%も低下したことがわかりました。ちなみに、成人では、血管の機能が 1% 低下すると、心臓病のリスクが13%増加すると言われています。
一方、有望な発見もありました。数日後、実験に戻った際には、女児達の血管機能は元の状態に戻っていたのです。また、途中で10分間ほどの軽いサイクリングをはさむと、血管機能の低下は見られないことがわかりました。
とは言っても、毎日長時間も座っている生活を継続した場合の影響はわかっていないため、子供達には体を動かすよう促してあげることがベストです。カナダのケロウナにある、ブリティッシュコロンビア大学小児運動生理学准教授、Ali McManus医師は、 The New York Times にこう語っています。
「研究結果からも、長時間座りっぱなしでいるのが子供にとって良くないことは明白です。」
また、コーネル大学人間工学科、Alan Hedge教授は、この研究には参加していませんでしたが、CNN でこのように語っています。
「この研究から、子供も大人も、身体の基礎的な生理学の観点からすれば大きな違いはなく、座りっぱなしによって血管にかかる負荷は、子供も成人も高齢者も同様であることを示しています。」
成人は、1日平均9-10時間を座った状態で過ごしており、活動量が少なすぎで、30-60分程度の運動では取り戻すことができません。 私達は、小さい頃から長時間座って過ごすことに(精神的にも肉体的にも)慣れてしまい、それを当然のように 思っているだけ で、実は自然の摂理に反することです。
様々な研究で、農業従事者の生活では、座って過ごす時間は1日3時間程度であることがわかっています。人間の身体は、1日の大部分を動き回って活動するように できている ため、反対に1日の大部分を座って過ごすとマイナスの変化が顕著に現われるのです。
The Mind Unleashedは、長時間座りっぱなしの状態が引き起こす身体の様々な部位への影響について、注目すべき内容を取り上げています。長時間の座りっぱなしによる影響は、なんと脳から足の先まで、 全身 に及ぶのです。
臓器へのダメージ
脳へのダメージ
姿勢の問題
腰部の椎間板は、身体の動きに伴い伸縮することで血液や栄養を吸収します。しかし座った状態が続くと、椎間板は圧縮されたままの状態になり、時間とともに柔軟性を失っていきます。さらに、座りっぱなしの状態は、椎間板ヘルニアのリスクも高めます。
筋力の低下
また、大臀筋を全く使わないので弱くなり、歩く時や跳ぶ時の安定性や歩幅を確保する力に影響します。
脚の症状
子供の場合、そわそわする、落ち着きがない、じっとしていられないなどの症状は、 注意欠陥多動性障害(ADHD) 症状を表わす言葉です。しかし、このような状態は、学校のように長時間「じっとしている」ことを強いられる、身体にとって不自然な環境下では、当然起こりえることとも言えます。
そこで、一部の先進的な学校では、子供をデスクに向かって何時間も座らせることより、むしろ1日をとおして動いている時間をより多く与えるという試みが行われています。例えば、カリフォルニア州サンラフェルのVallecito Elementary Schoolでは、1日の中で最低4時間は、椅子なしのスタンディングデスクを使用します。
スタンディングデスクは、導入時の調整期間を経て、大変な高評価を獲得しています。生徒達は、スタンディングデスクでの学習を「楽しい」、そして「より集中できる」と報告しています。また教師達も、子供達がより授業に耳を傾けるようになったと言い、親は子供達が夜よく眠るようになったと報告しています。
つまり、座りっぱなしで起こるリスクは全て解消され、あらゆる面においてメリットをもたらすのです。同様に、イリノイ州のNaperville Central High Schoolでは、生徒達が1日の始めに体育の授業に参加できる特別プログラムを実施、また教室には、一日中エクササイズバイクやボールに触れることができる環境を完備しました。
プログラムに参加した生徒は読解のスコアが2倍近くに、そして数学のスコアは20倍にもなったのです。この効果は明白であり、成人にもあてはまることです。オフィスワークの人が座る時間を減らすには、作業場をスタンディングデスクに変えるのが最も有効な方法の一つです。
Preventive Medicine 誌の記事で発表された研究では、スタンディングデスクに関する23の実験分析で、座る時間が短縮され、やる気が上がったという結果が出ました。さらにスタンディングデスクの効果には次のようなものがあります。
座っている状態を減らすという意味は、立っていることだけが利点ではありません。そうではなく、人間は立っていると、自然に 動かざるをえなく なるのです。 Get Up!: Why Your Chair Is Killing You and What You Can Do About Itの著者であるJames Levine医師は次の様に語っています。
「スタンディングデスクを使用すれば、1日に数時間は立って過ごすことになります。じっと立ったままという訳ではありません。次のようなことが起こります。まず、多くの人が身体の重心を一方の脚から、もう一方の脚へ移動させ、姿勢を変える動作を、かなりの頻度で行います。 このような体重の負荷や体重移動の運動は、筋肉組織や、筋肉組織間のバランス、視覚野、精巣機能など、あらゆる生理的機能に良い効果をもたらします。」
「スタンディングデスクを使用すれば、1日に数時間は立って過ごすことになります。じっと立ったままという訳ではありません。次のようなことが起こります。まず、多くの人が身体の重心を一方の脚から、もう一方の脚へ移動させ、姿勢を変える動作を、かなりの頻度で行います。
このような体重の負荷や体重移動の運動は、筋肉組織や、筋肉組織間のバランス、視覚野、精巣機能など、あらゆる生理的機能に良い効果をもたらします。」
いわゆる貧乏揺すりのような動作にも効果があるのです。貧乏揺すりのような動作もなく、 かつ1日に7時間以上も座ったままの女性では、全死因死亡率が30%も増加することがわかりました。
貧乏揺すりのような動作をする と自己申告した女性の方は、遥かによい結果が出ました。1日5-6時間座った状態で過ごしていても、死亡リスクは 低いことがわかっています。さらに、貧乏揺すりのような動作のレベルが「中レベル」または「上レベル」のグループも、死亡リスクは増えませんでした。
1時間おきに2分間立ち上がって歩くと、歩かない場合より寿命が33%伸びることを示す研究結果があります。1時間に2分間、立っただけの人は、2分間 歩いた 人ほどの効果は得られませんでした。
1日に7,000 から10,000歩を目標にしましょう(距離にすると、3-5マイル、6-9 km)。生活に動きを取り入れ、座っている時間を少なくするには最適の方法です。他のどんな運動療法よりも効果的でしょう。 私個人は、1日14,000から15,000歩を、約90分でこなすことを日課にしています。歩数を記録することで、シンプルで小さな変更が身体を動かす量にどれだけ多大な影響を与えるのかと言うことがわかります。
ですので、歩数計を使うことをお勧めします。または、もっといいのは、フィットネストラッカーを身につけて1日の歩数を把握することです。身体活動を増やすことのできる簡単な方法は、仕事中や他の場所でも座らない環境にすることです。例をご紹介しましょう。
大人と同じで、子供達や思春期の若者も1日をとおして体を動かすことが大切です。小さな子供達は、そもそも元気に動くことが多いですが、さらに運動するように促しましょう。年齢が上がってくると、徐々に座って過ごす時間が長くなります。コンピューター、テレビ、タブレット、ビデオゲームなどがすぐ側にあれば特にそうです。
上述の研究者グループは、女児数名を3時間座ったままにする実験があまりにも簡単だったことに驚きを隠せませんでした。女の子達は、じっとしているのがつらいかと思いきや、むしろ快適そうだったためです。
親としては、子供達にはできるだけ、テレビ・PCなど画面を見て過ごす時間より、スポーツや運動(ダンスレッスン)や、体を動かす遊びや、犬の散歩、ゴミを出す、庭を掃くなどの家事の手伝いをして活動的に過ごすよう促したい所です。
学校に通うお子さんがいるなら、学校での身体的な活動が多くなるよう学校側と協議してみるのも対策の一つかもしれません。外で遊ぶ時間を設ける、スタンディングデスク、体育の時間、校内にエクササイズバイクやボールを置くなど、色々な方法があります。
ご自身も積極的に体を動かして見本となるようにして下さい。子供達は親の姿を見ていますから、あなたが積極的に活動すれば子供もそうなることでしょう。
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