オーバートレーニングによる免疫機能や副腎への影響


オーバートレーニング

早分かり -

  • 中強度の身体活動を日常的に行うことは免疫機能に良い効果があり、病気になる日数を50%にまで減少させる強度の運動を継続すると悪影響となることがある
  • 運動選手がオーバートレーニング気味になると呼吸器系の感染症にかかりやすく、このような免疫機能の乱れを起こさないためには栄養面での配慮が必要である乾燥酵母がこの問題に効果を示すことがわかった
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Dr. Mercolaより

生活習慣の一つ一つが要因となり、体調不良や、死を早めてしまうことにもなりえます。中でも有害な要因は、精神的または心労による ストレスですが、運動選手の場合だと、オーバートレーニングによる過度の肉体的ストレス、その後の回復不足が原因です。

中強度の身体活動を日常的に行うことは免疫機能に良い効果があり、病気になる日数 を50%にまで減少させることがわかりました。強度の運動を継続してやり過ぎると悪影響となることがあります。

強いストレスは一時的に免疫システムの働きを抑制し、それによって病原体や外部からの刺激に対して敏感な状態になってしまいます。

Michael Greger医師によると、運動選手がオーバートレーニング気味になると呼吸器系の感染症にかかりやすく、このような免疫機能の乱れを起こさないためには栄養面での配慮が必要であることがわかっています。

ベストな策はもちろん、運動をしたら十分に回復させることですが、もし既にダメージを受けてしまった場合は、乾燥酵母のような栄養補助食品が、試合復帰への近道となります。

オーバートレーニングによる副腎への負担は、副腎疲労につながりますが、健康のために早急に解決する必要があります。また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)も副腎関連の疾患で、過剰な精神的・肉体的ストレスによって起こる/悪化する可能性があります。

乾燥酵母の効果

通常は、激しい運動をすると、循環血液中の単球、すなわち外的刺激に対して防衛反応を示す白血球の数は減少します。

しかし、1日に小さじ3/4の乾燥酵母を摂った運動選手は、激しい運動 の2時間後、循環血液中の単球の値が運動前の値より高いという驚くべき結果がでました。

これが病気の減少につながるかどうかを検証すべく、研究者たちは、マラソンランナーで乾燥酵母の調査を行いました。乾燥酵母を摂取したランナーでは、偽薬を摂取したランナーと比較して、レース後2週間を超える期間、病気になる日数が半分になったのです。

乾燥酵母を摂った選手は、偽薬を摂ったグループに比べ、肉体的にも精神的にも調子が良いと報告しました。乾燥酵母を摂ったグループは、疲労、困惑、怒り、緊張、共に少ないということも報告されています。また、活力が大幅に増したという報告もありました。

乾燥酵母:ビタミンBが豊富なスーパーフード

乾燥酵母は、ビタミンB群、特にB6またはB12、葉酸塩(B9)、 チアミン(B1)、リボフラビン(B2)、ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)などの栄養素を摂るのに最適な食品です。1回の摂取量(小さじ2杯分)で、10 mg のビタミンB6と、8 mcg(マイクログラム)弱のB12が摂取できます。

タンパク質、食物繊維、 マグネシウム、銅、マンガン、亜鉛、なども豊富です。私は、乾燥酵母の味も好きで、ほとんど毎食テーブルスプーンに1杯ほどいただきます。また、ミトコンドリアの健康維持に重要なビタミンBを摂るのに最適です。

ビール酵母や他の活性酵母と混同しないようにしてください。乾燥酵母は、糖蜜を培地にして育った有機体から作られたもので、収穫されたあと乾燥させ、酵母の活動を止めたものです。

スタイルを気にしすぎるとホルモンに悪影響がある?

ストレスはまた、多嚢胞性卵巣症候群の原因になり得ます。この病気は、アンドロゲンという男性ホルモン(女性の月経周期や不妊、体重などに影響する)が上昇することによって起こります。

スタイル維持のためにオーバートレーニング気味で食事をきちんと食べていない、卵巣嚢胞はない、体重は普通または痩せ気味、インスリン抵抗性などの問題がない人には特に該当するかもしれません。

慢性的ストレスが女性の体内で男性ホルモンを上昇させる仕組み

Schoenfeld氏は多嚢胞性卵巣症候群の引き金となりうるホルモンの連鎖反応について、さらに詳しく述べています。要約すると、ストレスにより、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌され、刺激を受けた副腎からコルチゾールやアドレナリンのようなストレスホルモンが分泌されるというのです。

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)はまた、女性の多嚢胞性卵巣症候群の症状を引き起こす2つの主な男性ホルモンのうちの一つであるアンドロステンジオンをはじめとした副腎性アンドロゲンホルモンの分泌を誘発します。

私の臨床経験では、インスリン抵抗性が多嚢胞性卵巣症候群に大きく関係しているので、食物繊維以外の炭水化物を1日50グラム以下に制限し、除脂肪体重1 kgに対し1 gのタンパク質を摂ると良いことがわかっています。

とはいうものの、ストレスもまたかなり関係しているのです。

ストレスと副腎疲労

慢性的に過度な運動を続けることによる代償は大きなものです。Elinor Fish氏が以前Huffington Postの記事で驚きの経験について述べていました。熱心なランナーであった彼女が、癒えない疲労感や気分の変動に突然襲われたというのです。 4年間その症状に苦しんだのち、結局彼女は副腎疲労と診断されました。

左右の腎臓それぞれの上方に位置する副腎は、

身体の中で最も重要な機能の一つを担っています。ストレスの管理です。副腎に負担がかかり疲労困憊すると、身体全体にそれが伝わり、極度の疲労に発展するのです。

Michelle Eads医師は次の様に述べています。「副腎疲労は、人々が多忙であることを勲章のように捉えている速度の速い社会において、大変大きな問題です。副腎疲労の症状は、広まり過ぎており、生活の中でもはや「普通」の状態になってきているのです。副腎疲労は診断が難しく、健康状態の悪化が表面化するまでわかりにくいものとして知られていますが、次のような兆候があります。

一晩とおして眠ることが困難になる、または、きちんと眠ったのに朝起きられない 体力が向上しない、運動すると異常に疲れるだけで体力はついていない
「気持ちは元気、体が動かない」という感覚で、午後は異常に眠たい 体重増加
体力低下、慢性の疲労 不安、うつ症状
運動をやる気が起こらない ストレスに弱くなる、小さなことや日常生活で気に病んだり、うろたえたりしやすい
免疫機能の低下 筋力低下
塩分/糖分/脂肪分の多いものをやたらと食べたくなる 皮膚のトラブル
性欲の低下 座った/横になった状態から立ち上がった時の軽いめまい
記憶力の低下 月経前緊張症や更年期症状の悪化

副腎機能を健康に保つことの重要性

副腎は、50種類ものホルモンを分泌しており、以下のようなものをはじめ、その多くが生命維持に不可欠なものです。

  • 糖質コルチコイド類。コルチゾールをはじめとしたホルモン群で、食べたものをエネルギーへ変換、血糖値を正常化、ストレスに反応し免疫システムの炎症反応機能を維持します。
  • 鉱質コルチコイド類。アルドステロンをはじめとしたホルモン群で、体内のナトリウム、カリウム、および水分のバランスを適切に保つことで血圧や体内の血液量を安定させます。
  • アドレナリン。このホルモンは、心拍数を上げて筋肉や脳に送る血流をコントロールしたり、肝臓でグリコーゲンをグルコースに変換するのを助けたりします。

ここに記載したホルモンや、副腎で生成された他のホルモンは、次のような体内の機能をコントロールします。

  • 血糖値の調節や炎症の制御などといった代謝プロセスを維持
  • ストレスに対する「闘争/逃走」反応をコントロール
  • エストロゲンや テストステロンといった性腺ステロイドの生成
  • 体内の水分と塩分のバランスを調整
  • 妊娠状態の維持

副腎にストレスとなる主な要因

副腎は、ストレスに対処するための重要な役割を果たしていますが、ストレスが多過ぎる状態では、その機能は破たんしてしまいます。副腎が疲弊により低下するホルモンがあり、特にコルチゾールの数値が低下します。

ホルモンの不足は場合によって軽いものから深刻なものまで様々な症状となってあらわれます。深刻な症状では、アディソン病が知られており、筋力低下、体重減少、低血圧、低血糖を引き起こし、命にも関わることもあります。

対局の、または中間的な症状として、副腎疲労(副腎機能低下症とも呼ばれる)があります。アディソン病ほど深刻な症状ではないものの、 副腎疲労の症状は非常にやっかいなものです。副腎に過剰なストレスとなる要因は次のようなものが挙げられます。

怒り、恐れ、不安、罪悪感、うつなどのマイナスの感情 過労、心労 明暗サイクルの乱れ(夜のシフトの仕事、就寝時間が遅いなど) 慢性の炎症、感染症、病気や痛み 栄養不足、深刻なアレルギー
運動のしすぎ 睡眠不足 手術や外傷、怪我 極端な温度変化 有害物質への暴露

副腎疲労の診断方法とは?

副腎の機能は、様々な方法で計測可能です。最も一般的な方法は、24時間の尿検査、一定時間おきに唾液を採取する、血液検査です。この2つの方法にはそれぞれに難点があるため、多くの人において有効な検査は、一定時間おきに尿を採取する検査方法だと考えます。

24時間中に4回決められた時刻に検査用紙に尿をかけ、乾燥させて研究機関に送付して分析してもらいます。検査結果は非常に詳しい分析内容で、カラフルなグラフ表示がされています。検査を受けたい方は、dutchtest.comをご覧ください。私自身も、副腎の機能をこの検査で確認しています。

副腎疲労の際に運動は行うべき?

副腎疲労からの回復は時間のかかるものだということを常に忘れないでください。軽い副腎疲労であれば6ヶ月から9ヶ月で回復が見込めます。深刻な副腎疲労は回復するのに2年ほどかかることもあります。

必ず 完治 することは朗報ですが、それには日常の生活習慣を変えることが必要で、運動も減らさなければならない場合もあります。次に運動する時までに回復することは普段から重要ですが、副腎疲労を起こしてしまった場合はなお重要です。

それでも、運動を完全に止める必要はありません。体の状態を観察して、疲れたら休みましょう。また、私の 栄養摂取プログラムで述べているように、栄養価の高い食事をとるようにしましょう。コーヒーや炭酸飲料などの刺激物は副腎をさらに疲労させてしまうので、避けるようにしましょう。

血圧は絶対に下げなければなりません。最も簡単な方法は、リアルフードを食べることです。また、加工食品を控えることで自動的に糖分の摂取を大幅に減らすことができ、血糖値やインスリン濃度、レプチン濃度を正常化することができます。

「こまめに動いてエクササイズはほどほどに」が副腎疲労回復のカギ

近年私は、1日をとおして活発に行動することの重要性に重点を置いています。単純に、 座ることを避け、できる限り立っている ことが、定期的に運動療法を行うよりも、身体を健康に導く基本となるのかもしれません。定期的なウォーキングもそうです。1日に7,000歩から10,000歩くらいがお勧めです。

副腎疲労に悩んでいて、定期的なワークアウトをあきらめかけている/してはいけない人には大変重要なアドバイスではないでしょうか。体の機能に過剰な負担をかけることなく適度に動けるという点で、ウォーキングは最適な選択です。

回復力がついてきたら、ウォーキングの負荷を徐々に上げて行くことができるようになり、元気が出てきたら、別の運動を再開することもできるようになります。

私は、運動なしで健康状態を維持することは事実上不可能だと考えていますが、ストレスを多くかかえていたり、十分な回復を待たず過度な運動を頻繁に行うと、体に逆に負担をかけ、体を壊してしまいます。

副腎疲労は、長い間、過度の負担をかけた結果なのかもしれません。なので、常に自分の身体に波長を合わせ、身体の声に耳を傾けましょう。そして、もし副腎疲労の症状が出始めたら早めに診断、対策するようにしましょう。必ず回復できる症状に不要に悩む理由はありません。対処が早いほど、以前の状態に回復するのもはやくなります。