ヨガ— 骨粗鬆症を予防する貴重なエクササイズ


骨粗鬆症にはヨガ

早分かり -

  • 加齢に伴う骨の弱体化は、特に女性に多く起こる。リアルフードの食事や、運動など、生活習慣の改善で骨の弱体化を防ぎ、回復することも可能である。
  • ウェイトトレーニングに加えて、ヨガもまた、骨粗鬆症の予防、治療に効果的であり、しかも、骨が弱体化した人にも安全あると研究で示されている。
  • 動物性のオメガ-3脂肪酸やカルシウム、ビタミンD、

    K2およびマグネシウムなどの栄養素も、強い骨を作るのに不可欠である。
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Dr. Mercolaより

加齢に伴う骨の弱体化は、一般的な問題です。骨量は、多くの場合30代をピークに減少し始めます。特に女性の場合は、閉経を迎えてから10年の間に、骨量減少が加速します。

この時期に何もせずにいれば、骨粗鬆症はどんどん進んでいくのです。骨粗鬆症になると、慢性疼痛はもちろんのこと、致命的な結果をもたらす股関節の骨折など、深刻な骨折のリスクが増します。

健康な骨を維持するための重要な方策の一つとしては、天然の食材を食べることです。加工食品を多く摂ると、体内で生化学上または代謝の問題が発生し、骨密度の低下を招きます。加工食品を減らすことは、骨の健康のためにまず取り組んでほしい対策です。

動物性のオメガ-3脂肪酸やカルシウム、ビタミンD、

ビタミンK2およびマグネシウムなどの栄養素も、運動と並んで強い骨を作るのに不可欠な要素です。ウェイトトレーニングや、パワープレートを使った 全身振動トレーニング (WBVT)は、どちらも骨を強化し、骨粗鬆症予防に大変優れた運動です。

ヨガが骨粗鬆症予防に効く?

他にも選択肢はあります。ニューヨークタイムズ(NYT)の発表によれば、リハビリ医学を専門とするLoren Fishman氏は、ヨガのような穏やかな運動が、危険な骨減少を促す薬剤の有効な代替策になると考え、ヨガや骨の健康について長年調査してきました。

「この考えは医学分野ではあまり広く受け入れられないが、一般的な研究者たちも補完医学についてほとんど情報がない状態である。」とNYT では述べられています。Fishman 氏は、2005年にヨガの動作に関する小規模のパイロット研究を始め、そこでいくつか有望な結果を得た。

ヨガを実践した11人の被験者は、ヨガを実践しなかった7人に比べ、脊柱や股関節の骨密度が増加したことを2009年に報告した。ウェイトトレーニングは、一般的に骨損失のある患者に勧められるが、Fishman 氏は、ヨガのポーズでも、同等の効果を得られると語っている。

『ヨガでは骨に重力よりも高い圧がかかるのです。』 

と彼は取材に答えている。

『ある筋肉群が、他の筋肉群に抗うポーズをとることで、骨を生成する細胞である骨細胞を刺激するのです。』」

骨を強くする12のヨガポーズ

立木のポーズ

三角のポーズ

英雄のポーズ

サイドアングルのポーズ

ねじり三角のポーズ

バッタのポーズ

橋のポーズ

仰向けで足をつかむポーズ I

仰向けで足をつかむポーズ II

膝を曲げたツイスト

脚を伸ばしたツイスト

屍のポーズ

 sciatica.orgのウェブサイトでは、骨粗鬆症向けのヨガプログラムを写真入りで、安全な手順と共に紹介しています。

Fishman氏はまた、「Yoga for Osteoporosis(骨粗鬆症のためのヨガ)」という共著を出版、彼のプログラムについて包括的なガイドを記載しています。特集のビデオでは、同様のプログラムを骨粗鬆症対策に特化したヨガポーズを紹介しています。参加者の骨密度は、研究の最初と終了後の両方に測定しています。血液および尿サンプルも採取、ならびに脊椎と股関節のX線撮影も実施しています。プログラムをきちんと実施しているかどうかは、オンラインプログラムに記録されました。

結果はGeriatric Rehabilitationの4/6月号に掲載されましたが、こちらも、非常に有望なものでした。エクササイズを適度にまたは完璧にこなした人は、実際に脊椎および大腿骨の骨密度が改善されていたのです。統計的に有意ではありませんが、股関節の骨密度もいくらか改善されていました。

また、18人の参加者に対して追加で骨質テストを行ったところ、「骨密度スキャンでは測定できない、骨の内部の支持が改善されており、これは骨折を防ぐのに大変重要なことである」といった結果がでています。

もろくなった骨にも安全なヨガ

怪我が治りにくく心配しているヒトにはこの結果は嬉しいことです。参加者全体の、実験前の骨折は109例という記録でしたが、ヨガが原因となった骨折や深刻なケガは、一例も報告されませんでした。(骨粗鬆症を予防するためにヨガを行ったある高齢の女性に関する実例はこちらのWebMDの記事をご覧ください。)

「ヨガは、骨がかなり弱ってしまった人でも安全に行っていただけます。」とFishman氏 は述べます。「たとえ骨密度が増加しなかったとしても、ヨガを行うことによる姿勢やバランスの改善も、骨折などから身体を守る効果があるのです。

脊椎の骨折は、姿勢の悪さから来る可能性がありますが、これを治す薬はありません。しかしヨガは、可動域や筋力、運動能力を高め、不安を解消する効果もあります。これら全てが、姿勢をまっすぐに保ち、転ばないために役立つのです。転ばないようになれば、骨折のリスクは激減します。」

エクササイズで骨が強化される仕組み

エクササイズの何が、骨の健康を左右するのでしょう?骨は常に、破骨細胞が古い骨を破壊し、骨芽細胞が新しく健康な骨を再生するというダイナミックな工程を経て再構築が繰り返されています。

ウェイトトレーニングは、骨の合成や石灰化の役割を担う細胞(骨芽細胞)への刺激となり、強い骨を作り出すのに役立ちます。筋肉に負荷をかけると骨にも負荷がかかり、これに反応して常に新しい骨が作られる様になるからです。

私の好きなウェイトトレーニングは、ランジウォーキングです。ウェイトを持たず自重だけで股関節の骨密度を高めるのに役立ちます。ランニングやジャンピング(体力に合っていれば)もウェイトトレーニングと同様、大変有効です。The New York Timesで過去に次の記事がありました。

「全力疾走やジャンピングは、最もわかりやすく研究も多い高インパクトの運動の一例です。ある研究では、25-50歳の女性が、少なくとも10回連続でノミのように飛び跳ねるエクササイズを12回、4ヶ月間繰り返したところ、股関節の骨密度が大幅に上がったという結果が出ています。

さらに、2006年に開始された、より詳細な実験では、ジャンピングに加え、上半身と脚部分に特化したウェイトリフティングを行った女性の脊椎の骨密度が、行わなかったグループに比べて2%も上昇したという結果がでました。ちなみに、脚部分のみに特化してウェイトトレーニングを行った女性は、脊椎の骨密度上昇はそれほど得られませんでした。」

骨を強化する4つの重要な栄養素

上述したように、骨を強くするために重要な栄養素が存在します。カルシウムや、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンK2などです。もしこれらをランク付けするなら、ほとんどの人が不足している栄養素という意味で、ビタミンD、ビタミンK2を上位にします。とは言っても、この4つの栄養素は全て連携して機能するものであり、どれが欠けても適切に機能することはありません。

  • ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける。
  • ビタミンK2は、骨にカルシウムを送り、臓器や関節腔、動脈内に堆積されるのを防ぐ働きがある(動脈の血栓の大部分は、カルシウムの沈着によるものである。「動脈硬化」はこれが原因)
  • ビタミンDを摂ると、ビタミンK2依存性タンパク質をより多く生成し、カルシウムが体中に送り込まれる。ビタミンK2がタンパク質を活性化しなければ、これらの効果は実現できない。
  • マグネシウムは、カルシウムが適切に機能するために不可欠な栄養素である。

カルシウム、マグネシウム、ビタミンK2、D3は、サプリメントでも摂取可能ですが、これらは食品や太陽光からも摂取することができ、サプリメントよりも好ましい方法です。

カルシウム

カルシウムを含む食品は、牧草飼育牛(植物を食べる)からとれた生の牛乳やチーズ、緑豊かな葉物野菜、柑橘類、イナゴマメ、ゴマ、 ウィートグラスなどに多く含まれています。カルシウムは、心臓病や脳卒中のリスクを増加させるサプリメントから摂取するよりも、食品から摂った方が吸収されやすく、機能しやすくなります。これは、ビタミンK2が不足している場合は特に該当します。

 

マグネシウム。

マグネシウムを多く含む食品は、海草、紅藻(ダルス)、海苔などです。ほとんどの人が定期的に食べることはない食品です。野菜もまた、未加工の穀類と併せて豊富にマグネシウムを含む食材です。

 

ビタミンK2

理想としては、食物由来(緑の葉物野菜や、納豆、生ミルク原料のチーズなどの 発酵食品 )とビタミンK2のサプリメントを併せて摂取することでビタミンKの効果を最大化するのが一番です。

多くの人が効果が出るほど十分には食事からビタミンKを摂れていません。

効果を最大に引き出せるビタミンK2の種類はMK7というもので、新しく発見され得た、効果が長続きする、より実用的な種類になります。MK7は、納豆という、大豆を発酵させた日本の食品から抽出されたものです。納豆は、ほとんどのアジアのスーパーで安価で取り扱っており、手軽に買える食品なので、納豆からたくさんのMK7を摂取することが可能です

ほとんどのビタミンK2サプリメントは、MK7から作られています。抗凝固薬を服用している場合は、ビタミンK2の摂取には注意が必要ですが、この種の薬品を服用しておらず、基本的に健康である場合は、一日に150-300 µgの摂取をお勧めします。

 

ビタミンD3

この栄養素を十分に得るには、肌を自然の太陽光にさらすのが一番です。太陽光から得たビタミンDは、プロホルモンとして機能し、肌の中で迅速に25-ヒドロキシビタミンD(ビタミンD3)に変化します。治療用の日光浴マシンでも同様の効果が得られます。3つめの方法は、ビタミンD3のサプリメントを服用することです。

濃度は、治療効果のある範囲内である1ミリリットルあたり40-60 ngにおさめてください。高用量のビタミンD3を服用する際は ビタミンK2 も一緒に摂る様にしてください。

 

年齢に関わりなく骨を守る4つのステップ

骨の健康を守る良い方法の一つは、新鮮なホールフードを取り入れたリアルフードの食事です。身体の本来の機能に必要な原材料である天然のミネラルが豊富です。さらに、 適度に日光を浴びること 、定期的な運動が大切です。

ここまでの話をまとめましょう。

1.新鮮で、理想的にはオーガニックのホールフードをたくさん食べましょう。カルシウムなどの栄養素を摂取するには、野菜、ナッツ類、種子類、オーガニックの肉や卵、生乳の(低温殺菌されてない)オーガニックの乳製品が適しています。加工糖分や精製穀物は最低限にしましょう。ピンクヒマラヤ塩などの天然塩に切り替えることもお勧めします。Robert Thompson氏が著書の「The Calcium Lie」でも述べているように、健康な骨の成長に必要な様々な天然のミネラルを含んでいます

彼の著作の意図は、骨は少なくとも1ダースのミネラルからできており、カルシウムの補給だけに集中しすぎると、骨密度は下がり骨粗鬆症のリスクが増加してしまいます。実用的な代替策として彼が勧めているのは、天然のミネラルイオンを利用することです。多くの人がカルシウムだけでなく、その他の微量ミネラルが不足しています。多くの食物がミネラル分の少ない土壌で育っているせいです。

2.ビタミンD3の体内濃度を調整しましょう。日光を浴びたり、食事やサプリメントを摂ってください(ビタミンK2が入っているものならなおよし)。血中濃度は定期的に測りましょう。濃度は、治療効果のある範囲内である1ミリリットルあたり40-60 ngが最適です。

3.ビタミンK濃度を調整しましょう。食品に合わせて必要であればサプリメントも使ってください。具体的な用量はわかっていませんが(経口投与の場合)、抗凝固薬を服用している場合のビタミンK2の高用量摂取には注意が必要です。この種の薬品を服用しておらず、基本的に健康な方は、一日に150-300 µgの摂取をお勧めします。

4.何らかのウェイトトレーニングをやってみましょう。自重トレーニング、WBVT、ヨガがお勧めです。骨芽細胞が新しい骨を作る刺激となる電気的な力を発生させるためには、筋力トレーニング も重要です。