Dr. Mercolaより
ハーブティーは、抗酸化および抗炎症作用を持つポリフェノールやフラボノイドのような有益な成分を豊富に含んでいます。
普段から健康に気を遣わない人が時々飲む程度では、はっきりと効果が現れる事はなくても、健康的な地中海式ダイエットをたしなむギリシャの人々では、ハーブティーが高い抗ガン作用を示しています。
抗ガン作用が高いとされる3種類のハーブティー(カモミール、セージ、グリークマウンテンティー)の中でも、カモミールティーは、他の2種類よりさらに効果が突出しています。
ギリシャ人は、欧米人に比べ、甲状腺ガンの罹患率が非常に低い値となっています。アメリカでは毎年10万人中13.2人、欧米では5.2人の人が甲状腺ガンと診断されますが、ギリシャでは、なんとわずか1.6人となっています。 地中海式ダイエットの中心となる、新鮮な野菜や健康によい脂肪分に加え、アテネの人々は頻繁にハーブティーを楽しんでおり、研究によれば、カモミールティーを飲む量が多いほど甲状腺ガンのリスクが減ることがわかっています。
具体的には、週に2-6回カモミールティーを飲む人は、甲状腺ガンのリスクが70%減に、また30年間常飲した人は、80%減という結果が出ました。ある研究による報告をご紹介します。
「過去10年間、ガンやその他の疾患に対する紅茶や緑茶の効能についての研究は数例ありましたが、良性および悪性の甲状腺疾患に対するお茶の役割についての研究や議論はほとんどありませんでした。 ハーブティー、特にカモミールティーが甲状腺ガンや他の良性の甲状腺疾患を予防する作用があることが今回の発見により初めてわかりました。」
「過去10年間、ガンやその他の疾患に対する紅茶や緑茶の効能についての研究は数例ありましたが、良性および悪性の甲状腺疾患に対するお茶の役割についての研究や議論はほとんどありませんでした。
ハーブティー、特にカモミールティーが甲状腺ガンや他の良性の甲状腺疾患を予防する作用があることが今回の発見により初めてわかりました。」
カモミールの抗ガン作用は、アピゲニンなどの天然のフラボノイドの働きによるものです。カモミールの他、セロリ、パセリ、果物、野菜やハーブにも含まれるアピゲニンという成分が、ガンの成長を抑制し、ガン性の腫瘍を萎縮させたという結果が動物実験で出ています。
致死性が高く進行の早いヒトの乳ガン細胞を移植したマウスに、アピゲニン治療を実施したところ、ガンの成長は抑制され、腫瘍が萎縮しました。 ガン腫瘍に栄養を送る血管が萎縮し、腫瘍細胞への養分の供給が阻害され、増殖に必要な養分が枯渇したためです。2011年に行われた調査でも、同様の良い結果を示しました。乳ガン細胞を移植したマウスをアピゲニンで治療すると、腫瘍の発生数が減少、腫瘍形成も進行も遅くなりました。
2013年には、アピゲニンが乳ガン細胞のアポトーシス回避能力を阻害することが示されました。面白いことに、アピゲニンは人体内で160ものタンパク質に結合し、作用が非常に広範囲におよぶことが分かりました(薬剤は作用対象が通常1種類のみ)。研究者グループは、次のように説明づけています。
「作用対象が特定化された小分子薬剤とは異なり、植物化学物質は、類似性のある様々な細胞に影響を与えるため、健康上様々な効果がもたらされるのです。」
心落ち着くこのハーブは、医学の父と呼ばれるヒポクラテスの時代から伝統的に用いられてきた長い歴史があります。カモミールは、一般的には煎じ茶、抽出液、あるいは生花やドライフラワーからエッセンシャルオイルを抽出して使用されています。
Camellia sinensis由来植物であるこのカモミールは、甲状腺ガンの予防効果が期待できるほか、次のような様々な薬理作用があります。
さらに、次のような症状にも効果があります。 1.外傷や虫刺され
カモミールは、お茶として飲んだり、皮膚に塗ったりすると、最大の鎮静作用を持つハーブの一種です。カモミールは、バイオフラボノイドであるアピゲニン、ルテオリン、ケルセチンが豊富で、創傷治療の軟膏として、古代ギリシャ人、ローマ人、およびエジプト人によって重宝されました。
カモミール水を飲んだマウスは、飲まなかったマウスよりも治癒が早かったことする研究報告があり、これはカモミールの抗炎症、抗菌、抗酸化作用の効果によるものと考えられます。カモミールはまた、コルチコステロイドを使った場合より傷の完治が早かったこともわかっています。
2.糖尿病
カモミールティーは、糖尿病患者にとっても大変有効な選択となりえます。ある動物実験では、糖尿病のマウスの血糖値が大幅に下がり、また糖尿病性神経障害(神経損傷)、白内障、視力障害、腎臓障害などの糖尿病性合併症のリスクも軽減されたことが示されました。
Molecular Medicine Reportsは次の様に報じています。
「研究の結果、カモミールは、血糖値の上昇を抑えることにより、高血糖および糖尿病性合併症を改善し、肝臓のグリコーゲンの貯蔵量を増やす効果があることがわかりました。」
3.筋肉のけいれん、ストレス、不安の緩和
カモミールティーはグリシンの値を上げ、筋肉のけいれんを抑えるのに役立ちます。 グリシンはまた、神経をリラックスさせるので、カモミールがストレスや不安の解消に有効である理由もうなずけます。また、カモミールは昔から生理痛の緩和にも勧められてきました。
4.睡眠
カモミールには鎮静作用があり、自然な眠りをサポートします。就寝前に飲まれのはこのためです。ある研究では、不眠症の人がカモミールのサプリメントを摂取したところ、日中の活動が改善され、睡眠の改善にも効果があったことがわかりました。Molecular Medicine Reportsは次の様に報じています。
「カモミールは、効き目の優しい精神安定剤や睡眠導入剤として広く認知されています。その鎮静効果は、脳内のベンゾジアゼピン受容体に結合するフラボノイド、アピゲニンにあるされています。 前臨床モデルでの研究では、フラボノイドには抗けいれん作用が、アピゲニンにはCNS(中枢神経系)の鎮静作用があることがわかりました。また、10人の心臓病患者で、カモミールティーを飲んだ直後に、90分間熟睡する効果がありました。」
「カモミールは、効き目の優しい精神安定剤や睡眠導入剤として広く認知されています。その鎮静効果は、脳内のベンゾジアゼピン受容体に結合するフラボノイド、アピゲニンにあるされています。
前臨床モデルでの研究では、フラボノイドには抗けいれん作用が、アピゲニンにはCNS(中枢神経系)の鎮静作用があることがわかりました。また、10人の心臓病患者で、カモミールティーを飲んだ直後に、90分間熟睡する効果がありました。」
5.消化器系の不調
カモミールは、筋弛緩剤として胃の不調を和らげる他、過敏性腸症候群(IBS)にも効果を発揮します。Molecular Medicine Reportsは次の様に報じています。
「カモミールは昔から、「けいれん」(疝痛)、胃のむかつき、鼓腸(ガス)、潰瘍をはじめその他の胃腸の不調に用いられてきました。カモミールは、ガスを排出、胃を落ち着かせる、また腸内で食物を移動させる筋肉の緊張をほぐす効果があります。
6.痔
カモミールは、強力な抗炎症作用があるため、カモミール軟膏は、痔の症状を改善させます。カモミールはまた、痔の症状を和らげる座浴用のチンキ剤としても有効です。
7.皮膚の炎症
カモミールの鎮静効果は精神面だけではありません。カモミールには抗炎症作用は、日焼けや発疹などの皮膚の炎症を治療や、湿疹にも有効です。湿疹についてのある研究では、カモミールにはヒドロコルチゾンクリームの約60%に相当する効果があることがわかりました。
カモミールは世界でも最もポピュラーなハーブティーの一つです。アメリカだけでも、毎年約100万ポンド(約50万kg)のカモミールが輸入され、そのうち90%がお茶として利用されています。どのハーブにも言えることですが、カモミールは、さまざまな疾患の、さまざまな症状に効果があります。ドイツでは、皮膚の腫れや胃のけいれんを抑える薬としての使用が承認されています。 American Botanical Council(アメリカ植物協議会)は、カモミールのもつ、睡眠の改善、子供の下痢の緩和、乳児の疝痛解消、創傷治癒、放射線治療を受けた患者における粘膜炎の減少、および湿疹症状の軽減などの作用の有効性が複数の研究で認められている、と述べています。
カモミールは、「緊張状態、子供における神経の興奮状態、消化に問題がある際のストレス状態」の解消を促すという点で、情緒や精神の健康にとって大変よい効果をもたらします。さらに、10代の若者における注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状の一部を改善することもわかっています。Molecular Medicine Reportsは次の様に報じています。
「カモミールは古くから薬草として用いられて来ましたが、治療効果のある様々な働きをもつ植物化学物質が含まれていることで、現在も、そしてこれからも重宝されるでしょう。カモミールは、心臓血管の状態を改善し、免疫系を刺激し、ガンから身体を守ってくれるのです。」
カモミールティーを楽しむなら、寝る前やストレスの多かった1日の最後に飲むのがお勧めです。また、食事のあともよいでしょう。胃腸の調子を整えるためのカモミールティーの淹れ方について、ドイツのCommission Eは以下のレシピを推奨しています。
「150ml の熱湯を、3gの乾燥カモミールに注ぎ、5-10分程度、ふたをしてよく蒸らします。胃腸を整えるには食間に、一日3-4回程度飲むのがよいでしょう。」
American Botanical Council (アメリカ植物協議会)もまた、様々な病気に乾燥カモミールを用いる際のレシピを提案しています。
カモミールは、大変すぐれた安全性を持ち、禁忌はほとんどありませんが、もしブタクサ花粉、菊、アスター、ノコギリソウの花、アルニカ、またはマリーゴールドの花にアレルギーがある場合は、カモミールに対してもアレルギーがある可能性があります。また、これにはまだ議論の余地はありますが、ワルファリン(クマディン)などの抗血液凝固剤を服用している場合は、効果が強まる可能性があると報告されています。
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